中川雅治の発言 (国際問題に関する調査会)
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○中川雅治君 私は、日米関係について、主として経済の面から見て所感を申し上げたいと思います。
現在の日米経済関係は、過去の日米摩擦の時代と比べて大変静かであります。かつての日米摩擦の関係のような状況にあるのが米国と中国との関係だと思います。
米国の経常赤字は八千億ドルにもなっておりまして、GDP比で六%を超えております。中国が日本の外貨準備をしのいだと報道されていましたが、米国の貿易赤字に占める中国の寄与度が突出してきているようであります。例えば、一九九三年の米国の貿易赤字の内訳を見ますと、日本が五一・四%、中国は一九・七%であったものが、二〇〇五年には、日本は一〇・八%、中国が二六・三%となってきています。中国は人民元を切り上げたといっても余り動かしておらず、米国は中国との関係に神経をとがらせていると思います。日本はアメリカとの関係において波静かであるといっても、日本の米国に対する輸出が次第に中国の米国に対する輸出に取って代わられていくということを意味しているわけでありますから、喜んでばかりいるわけにはいかないと思います。
今、日米関係はBSE問題や在日米軍の再編問題など、安心、安全の問題をめぐって懸案事項はあるわけですけれども、経済関係は平穏であります。それでも私は幾つかのリスクを内包していると思っております。
一つは、これは原油価格の動向であります。
十八日のニューヨーク原油は一バレル七十・八八ドルを付けた。ロンドンでは七十二ドル台を突破しました。この水準を更に超えていくこととなりますと、エネルギーの石油依存度の高い米国経済はやはり打撃を受けることと思います。日本経済にも当然影響を及ぼすことになるわけでありますが、米国経済に対する影響が更に日本経済に跳ね返ってくることになることに留意しなければならないと思います。
それから二番目は、金利が上がってきているということであります。
アメリカの短期金利は今まで徐々に引き上げられてきましたが、ここに来てそろそろ打ち止めかなと思われていたところ、利上げはもっと続きそうだと思われてきておりまして、そういった状況を反映して米国の長期金利も五%を超える水準まで上がってきております。
日本の長期金利も十年国債の金利が二%に達しました。日銀が量的緩和政策を解除し、その後のゼロ金利の解除も比較的早いのではないかという観測が市場に流れておりまして、これが長期金利の上昇につながっていると思います。アメリカやEU諸国などの長期金利も上がってきておりまして、こうしたグローバルな金利情勢が更に日本の長期金利にも波及してくることが懸念されます。
我が国の景気回復基調がしっかりしてきたこの時点で長期金利が急上昇することになれば、既発の長期国債の価格が下落し、金融機関等が大きな損失を被り、再び金融危機が訪れるおそれもあります。また、回復してきた設備投資にも水を差すことになり、さらに利払い費の上昇により財政状況が更に悪化し、国債を増発せざるを得なくなり、また更なる金利上昇を招くといった悪循環が生じ、日本経済に大きな打撃を与えかねません。
私は、日本銀行に対して、アメリカを始め諸外国の長期金利の動向にもよく目配りしながら、ここは慎重な金融政策の運営をするように注文したいと思います。
三番目は、アメリカの双子の赤字の問題であります。
先ほど申し上げましたように、アメリカの経常赤字は八千億ドルに達し、GDP比で六%を超えています。予算教書によりますと、二〇〇六年の財政赤字の見通しはGDP比で三・二%となっています。去年は二・六%でした。ブッシュ大統領は、一般の支出は抑えているものの、イラクはまだ終わっておらず、国防や国土安全保障に関する支出は伸びております。財政赤字はなかなか減っていきません。
また、米国の貯蓄率は二〇〇五年は何と三角〇・四%とマイナスになってきております。言ってみれば、米国は政府も国民も消費し過ぎている状況にあります。こうした状況がいつまでもつのかということが危惧されます。今は中国がドルを持ってバランスしているわけですが、米中関係は次第に深刻な状況となってきています。
日米関係は今は平穏だといっても、米国が大幅な経常赤字を持ち、更なるドル安、金利高につながるリスクは依然あるわけであります。いつ日本にどのような影響を与えるのか心配であります。こうした状況が日米経済関係の現状であると思います。
そこで、日本といたしましては、日米経済関係が平穏な今こそ、先ほど申し上げましたように、金融政策のかじ取りをしっかりして景気回復基調を確かなものにしていかなければならないということが一つ。それから、外圧がさほどない今の静かな状況は、率先して構造改革に取り組み、また財政再建に取り組んでいく好機ととらえるべきではないかということを申し上げたいと思います。
そうしたことに道筋を付けていくことがまた日米の良好な経済関係につながっていくという好循環を生んでいくことになるものと思っております。
そのためには、原油価格の動向や金利の動向、為替の動向などについてグローバルな視点で目配りをしながら、先進諸国が常に協調していく体制をより強固なものにしていくということが重要であると思います。そういう意味で、私は今週末開かれるG7に注目しております。
以上でございます。