ツルネンマルテイの発言 (本会議)

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○ツルネンマルテイ君 民主党のツルネンマルテイでございます。
 私は、民主党・新緑風会を代表して、総理及び関係大臣に質問いたします。
 初めに、参議院の役割について伺います。
 参議院の役割を見直す必要性を参議院議員である我々は痛感していると思いますが、有り難いことに、いろいろな改革が既に始まっています。
 その一つには、言うまでもなく、予算と決算に対する役割分担があります。衆議院は国の予算を決める院であるのに対して、参議院には決算を厳しくチェックするという重要な役割があります。参議院では予算実行の無駄を見付け出し、それを次回から省くように政府に要求します。これだけでも二つの院にははっきりとした役割分担があります。しかし、残念ながら、この改革は国民にはまだ十分に知られていないことも事実です。
 本来、中立の立場でチェックするためには、参議院から政府の大臣や副大臣、政務官に入るべきでないという考えがあります。以前、参議院の院内会派、緑風会にはそのような決まりもあったと聞いています。これについて、小泉総理の考えを聞かせてください。個人としての意見で結構です。
 次に、日本のアジア外交について質問しますが、その前に少しばかり、日本とアジアとの外交関係を、外国で生まれ育ったフィンランド系日本人の見方として参考までに説明させていただきます。
 日本のアジア外交は、戦後、主に発展途上国への経済支援や国際機関への拠出金のような国際貢献に依存した外交であったと言えるのではないでしょうか。
 経済的な援助がODAを中心として行われてきたのです。ODAの使い道にはいろいろな問題があったとはいえ、アジアの国々のインフラに貢献できたことも事実です。それはまた、日本のアジア外交にとっても一定の役割を果たしました。つまり、日本から援助をもらっている国では、政府レベルでは日本の悪口をなかなか言えない関係ができたのです。悪く言えば、日本のアジア外交はお金の力に頼る外交であったと思います。
 しかし、最近は、中国と韓国などは、日本の援助に頼らなくてもやっていけるようになったためか、日本の政府を厳しく批判するようになってきています。それは、彼らから見れば、その背景には日本の戦争責任に対する問題ももちろんあると思いますが、今日はそれについて触れないことにします。
 いずれにしても、戦争に負けた国としての日本には、欧米の先進国のように政治力や軍事力に基づく外交は当然できなかったわけです。
 ここで小泉総理に質問ですが、このようなODAを中心とした外交戦略を日本が今後も続けていく方がよいと思われますか。それとも、今までとは異なった戦略、つまりODAのほかに新しい外交力を発揮すべきだと思われますか。そして、その新しいアジア外交として具体的にどのようなものを考えておられますか、お聞かせください。
 小泉総理は、マスコミからアジア外交について質問されると、いつもアメリカと日本との外交関係を親密にすることがアジア外交のためにも最も重要なことであると答弁していますが、それはアジア外交の戦略にはならないと思います。一つでもいいから具体策を聞かせてください。
 また、答弁の中で靖国問題に触れなくても結構です。小泉総理の靖国参拝に対する弁解を、私も国民の皆さんと同様、飽きるほど聞いていますから。つまり、中国や韓国の外交を非難するのではなく、日本のアジア外交を見直すためにどうすればよいのかについて答弁をお願いします。
 次に、農業について、中でも特に有機農業について中川農水大臣に質問します。
 御存じのように、有機農業とは、化学的に合成された肥料も農薬も使わない農業です。遺伝子組み換え技術も利用しないで、土地の性質に由来する農地の生産力を発揮させることによって安全な農産物を育てることとともに、環境への負荷をできる限り低減した栽培方法であります。
 以前は有機栽培の技術はまだ十分に発達していなかったこともあって、生産量や外形などにおいては慣行農業に劣ったところもありましたが、最近は有機栽培のノウハウの進歩に従って、有機農業に転換する専業農家も増えています。特に米作りでは、自然の循環機能を生かした有機栽培により、優れた成績を上げている農家が増えています。また、消費者の中でも、食の安全性を重んじる機運が高まっていることは事実です。こういうことから、有機農業は衰退している日本の農業を再生する切り札になる可能性を持っていると考えます。
 しかし、日本ではまだ有機農産物は全農産物のわずか一%です。EUや米国では有機農業が大幅に拡大しつつあります。また、途上国も、輸出による所得向上や輸入化学資材への依存度を低減させ、自立農業を構築するためには重要となっています。
 国内における有機食品の供給が伸びない中で国内需要が拡大すれば、有機食品の輸入が促進され、食料・農業・農村基本計画に掲げる食料自給率向上という目標に逆行する懸念があります。
 このような中で、有機農業を積極的に育成、振興していく必要があると思いますが、政府は、有機農業技術の向上、普及や有機JAS認証取得の促進のためにどのような支援を行う用意があるか、答弁をお願いします。
 また、超党派で組織する有機農業推進議員連盟では、有機農業の振興を図るための法律が必要と考え、法律案提出の準備を行っています。
 消費者の選択に資するように、有機作物と有機加工食品の表示が適正に行われていることを監視するのは国の責務であるが、一方、食料自給率向上の観点から、有機農産物や有機加工食品の生産振興を図ることも国の責務ではないかと考えます。
 政府は有機農業振興のための支援法の必要性についてどのような所見を持っているか、お聞かせください。
 次に、食の安全、BSE、米国産牛肉等輸入再開問題について伺います。
 我が国では、リスクコミュニケーションという概念は、これまで災害や危機管理、投資といった場面では使われることがあっても、食品の安全の分野ではまだなじみの薄いのが現状です。しかし、リスクコミュニケーションは、平成十三年の国内初のBSE発生を契機に、平成十五年に制定された食品安全基本法に明記され、食品安全対策が科学的根拠に基づいて適切に展開される上で欠かせないプロセスと位置付けられています。
 リスクコミュニケーションの目標は、リスク評価とリスク管理の過程において関係者が必要となる情報を共有の上で、関係者の意見が適切に反映されることであります。しかし、実態は、リスク評価機関とリスク管理機関の結論、方針を説明、説得する場になっており、消費者の理解を高め、消費者の意見を施策に反映することの目標が達成されていないのではないんでしょうか。その典型な例がBSE問題です。
 この問題をめぐっては、全国各地で意見交換やパブリックコメントが実施され、多くの消費者や各方面の専門家から政府方針に否定的な見解が寄せられてきましたが、それらは政府の最終決定にどのように反映されたのでしょうか。小泉総理、答弁を求めます。
 そして、先週、米国産牛肉で、多くの消費者や各方面の専門家が危惧していたことが起こりました。食品安全委員会が管理機関である政府に強く求めていた輸出プログラムの実効性及び遵守の担保について、政府が何ら実施しないまま輸入再開を行った結果、今度の事態が引き起こったことは明白です。政府の責任は極めて重大ではないんでしょうか。輸入の全面禁止は当然のことですが、今度の米国産牛肉の輸入再開はいつ、どのような条件で行うおつもりですか。明快な答弁を求めます。
 また、輸入牛肉についても日本と同様にトレーサビリティーを義務付ける原産地表示の義務化、又は輸入牛肉を含んだ加工食品についても、消費者がどこから輸入された牛肉を使用しているか明確に判明できるシステムの確立を行うべきと思われますが、この点についても併せて見解をお聞きします。
 民主党は、トレーサビリティー法案は前国会に提出しており、BSE検査済みの表示や加工食品の原材料原産地の表示の義務化を盛り込んだ法律案についても準備を進めています。
 次に、鳥インフルエンザについて伺います。
 西日本で発生から二年が経過しましたが、いまだ感染原因が分かっておらず、養鶏農家はいつ自分のところで発生するかが分からないとの不安を抱えながら生活しています。養鶏農家の不安を解消し、より効果的な予防対策を構築する上でも、感染原因の早期究明が必要であるが、今後の見通しについて伺います。
 また、茨城県の感染原因をめぐっては、海外のウイルス株から作られた未承認ワクチンの使用を指摘する声もあります。このことは、日々健全経営に取り組む養鶏農家にとっては非常に迷惑な話でありますが、仮にこうした事実があるとすれば重大な問題です。国は未承認ワクチンの使用実態をどこまで把握しているのか、併せて伺います。
 次に、アスベスト対策について伺います。
 政府は、今国会にアスベストによる健康被害の救済に関する法律案を提出することにしています。しかし、この法案の中で政府はアスベストによる健康被害の拡大を放置した行政責任を認めておらず、労災並みの補償及び遺族に対する補償の充実を求めている被害者側から見れば、全く不十分な内容です。より充実した補償を求め、市民の署名は百四十六万人にも上っており、こうした動きをどう受け止めているのか伺います。
 次に、教育問題について質問します。
 小泉総理は平成十三年五月七日の所信表明演説の中に、一躍有名になった米百俵という言葉がありました。その言葉に含まれているメッセージを再び思い起こさせるために簡単に説明します。
 それは、明治の初め、戊辰戦争で焼け野原となった長岡城下に救援米として送られてきた百俵の米にまつわるエピソードです。時の長岡藩の大参事小林虎三郎は、この百俵の米を藩士に配分せず売却し、その代金を学校の資金に注ぎ込んだのです。その出来事に含まれている教えは、国が興るのも町が栄えるのもことごとく人にある、食えないからこそ学校を建て、人物を養成するのだ、つまり目先のことばかりにとらわれず明日を良くしようというものです。
 初めは、小泉総理もこのような精神を込めてこの言葉を使ったと思いました。しかし、それからおよそ五年経過し分かってきたことは、このすばらしい精神が小泉総理にとって単なる掛け声にしかすぎなかったということでした。
 総理、小泉政権の下で日本の義務教育に対する公的支援は一貫して低調に推移しています。公教育の財政支出は対GDP比率二・七%、OECD諸国中最低の水準です。小泉総理は、教育改革の中身については全く関心を示していません。結果として、児童生徒をめぐって、いじめ、殺傷事件などが続発し、学力、体力など、子供たちの生きる力も急速に低下しています。
 小泉総理は、こうした教育現場の惨状を一切顧みることなく、全く教育論がないまま、一昨年来、三位一体改革の名をかりて義務教育費総額の削減を強引かつ巧妙に推進していると考えます。一方では、文部科学省も、教育現場に対する中央管理統制主義を改める意思を明確には打ち出しておりません。
 一体、政府としては、今後の教育についてどのような方向を目指そうとしているのか、全く不透明ではありませんか。まず、総理の義務教育に関する基本的な理念をお聞かせください。
 今回、政府は、十八年度予算案の中で、義務教育費国庫負担金国庫負担率を現行の二分の一から三分の一にするとしています。三位一体改革の方針に基づく措置とされていますが、なぜ二分の一から三分の一になったのでしょうか、総理から明確な説明をいただきたい。また、義務教育について国の果たす役割はどのようなものと考えるか、総理の答弁を求めます。
 最後に、私は、一昨年九月から始めた四国八十八か所歩き遍路、およそ一千二百キロメーターをこの今月の十五日に歩き終えました。そこには奉仕というすばらしい精神がありました。政界にもこのような愛に基づく奉仕の精神が強くなることを願って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: ツルネンマルテイ

speaker_id: 15246

日付: 2006-01-25

院: 参議院

会議名: 本会議