岩本司の発言 (本会議)
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○岩本司君 福岡県選出の岩本司でございます。
私は、民主党・新緑風会を代表いたしまして、国民の皆様に分かりやすい質問をさせていただきますので、どうか分かりやすい御答弁、よろしくお願いを申し上げます。
小泉政権の進める構造改革の本質は、言わば弱肉強食政策であり、強い者をより一層富ませ、弱者をないがしろにする、勝ち組と負け組との二重構造社会を構築していく政策でしかあり得ません。この結果、日本人が古来より培ってきたまじめに地道に働く国民性が無視され、日本の文化や伝統は忘却のかなたへと送り去られようとしております。小さな政府の経済性を追求する余り、国民の安全、安心が犠牲にされております。
構造改革というにしきの御旗の下、国民の生活実態や生活習慣、そして我が国の歴史や文化を顧みることなく、すべてにおいてアメリカ型の競争原理という理論のみでの政策を行っていることの行き詰まりが、頻発する公共交通の事故やトラブル、耐震偽装問題、またライブドアショックなどによる東京証券取引所のコンピューターシステム障害として警鐘を鳴らしているものと感じざるを得ません。
まず、総理にお伺いいたします。
母屋でおかゆを食っているのに離れ座敷ではすき焼きを食っているという、当時の塩川財務大臣の発言で有名になった官僚たちの隠し財布ともいうべき特別会計についてお尋ねいたします。
私たち民主党は、無駄遣いの温床となっています特別会計に根本的にメスを入れ、既得権を温存しようとする省庁の体質を是正すべきであると考えます。
政府は、去年の十二月、行政改革の重要方針を閣議決定し、今後五年間を目途に特別会計の見直しを完了すると宣言いたしました。しかし、この方針において、個々の特別会計の中で民営化すべきだと明示したものは一つもなく、統合すべきだとしたものについても所属官庁単位の統合から踏み出せず、数合わせ的な統合にとどまっております。選挙の前だけ改革改革、民営化民営化と言って、選挙が終わったらやったふりをしているだけではないでしょうか。お答えください。
また、この方針で一般会計化すべきとされた特別会計は若干あるものの、港湾整備や治水、農業共済再保険など、一般会計の繰入れが大きい特別会計はその対象とはなっておりません。国会がしっかりとチェックでき、しかも国民から見て分かりやすい財政制度にするために、これらを一般会計に統合すべきではないですか。御所見をお伺いします。
特に大きな争点となっています道路整備特別会計の道路特定財源の見直しについても、去年十二月七日に自民党さんがまとめた見直し案では、一般財源化を図ることを前提とすると明記はしたものの、具体案は今年六月にまとめるという完全な腰砕け、先送りにとどまっております。我々が提出した天下り禁止法案を否決し続けるわけですから、改革を止めるなと言っておいて、裏では天下りを止めるな、談合を止めるなと指示されているのでしょうか。
今年六月には本当に最終結論を得ることができるのか。その中身として、最も明快な現行の暫定税率のまま一般財源化ということを決定できるのか、答弁を求めます。
昨年の衆議院総選挙のときの自民党のマニフェストには、郵政法案以外の税制改革、年金改革、地方分権、外交などの重要な国政課題について、数値目標や達成期限などほとんど具体的な記述はありませんでした。
中でも、定率減税の廃止は与党の総選挙マニフェストで全く触れてないものであり、国民生活を圧迫する大衆増税の強行であります。ようやく回復の軌道に乗ってきた日本経済に冷水を浴びせるだけでなく、公約違反そのものであります。
また、定率減税は所得税の抜本的な見直しを行うまでの間と法律に定められており、抜本改革なしにこれを廃止することは明らかな法律違反であります。マニフェストと法律を犯す二重の違反と言わざるを得ません。定率減税廃止は絶対にこれを行わないと、小泉総理よりお約束いただきたい。
また、谷垣財務大臣においては増税を明言されており、定率減税を廃止し、更に消費税を上げることは、日本経済をどん底に落としてしまう愚策になるものと断言いたします。
現在、家庭の主婦は工夫を凝らし、夕飯の買物の時間帯をずらすなどして、三割、五割引きのシールが張ってある食料品を買うなどして家計のやりくりをしている現状を総理は御存じでしょうか。
我々民主党は、増税の前にしっかりと歳出削減を行うことが国民に対しての大義であると考えます。自民党が示唆する増税論議は、自民党政権特有の税金の垂れ流し構造の象徴であると言えるのではないでしょうか。総理の御見解をお伺いいたします。
次に総理にただしたいのは、国民が強い関心を持ってその決着の行方を見守っております耐震強度偽装問題でございます。
この問題の本質はどこにあるのか。まず指摘しなければならないのは、規制緩和の一環として、建築確認申請を民間の指定確認機関にゆだねたことが本当に正しかったのかどうかということであります。この背景には、日本建築業界への参入を目指したアメリカの強い要求がありました。これはまさしく郵政民営化と同じ構造であります。
総理、あなたは官から民へと小泉改革のスローガンを連呼してきましたが、安全まで民間任せにすることが果たして国民にとってプラスなのでしょうか。建築基準法の抜本改正をすべきではないですか。小泉総理及び北側国土交通大臣の答弁を求めます。
第二に、この耐震強度偽装問題に政治家、とりわけ小泉総理、あなたの出身派閥である清和会、森派が深く関与していることが次第に明らかになりつつあります。極めてゆゆしき問題ではありませんか。いずれ、これらの関与に絡む疑惑は司直の手によって解明されることと期待しておりますが、事は重大であります。
かつて国土庁長官まで務めた政治家で、自他ともに総理側近と認める伊藤公介議員が、事件の主役である建築主の会社社長から継続的に政治献金を受け、子息の会社に利益を供与し、その上、わざわざ役所まで同行して世話焼きをしているのです。政治家としては明らかに逸脱した行為だと思いますが、小泉総理の見解をお伺いいたします。
また、さきの衆議院における証人喚問では、安倍官房長官の政策秘書の名前が出されました。官房長官にも御答弁を求めます。
次に、政府開発援助、ODAの問題についてお尋ねします。
小泉総理は、昨年、今後五年間でODAを約一兆二千億円増額すること、特に、アフリカに対するODAを三年間で倍増することを表明されております。
しかし、私も、当選直後より行政監視委員会において、ODAの無駄遣いをなくすよう全力で取り組んでまいりました。国民の目線から見ますと、景気は全体として明るさが増しているとはいえ、地域や業種によって大きなばらつきが生じ、国民の生活は依然として苦しいものがあります。事実、毎年自殺者が三万人を超える状況にあり、平成十七年七月十九日の参院厚生労働委員会の自殺に関する総合対策の緊急かつ効果的な推進を求める決議では、自殺未遂者だけで三十万人という数字が示されております。恐らく、予測を超えた数の人々が自殺を考え、今日も生死を分けた苦しみにあえいでおられると思われます。
何よりも、我が国の財政は大変厳しい状況下にあります。ODAは国民の血税で賄われるものであり、より効果的、効率的に執行されることが何よりも大切であります。また、ODAはできる限り我が国の国益に資するよう実施されるべきです。
昨年、我が国は国連安保理の常任理事国入りを目指し、大変な外交努力を費やしました。しかし、我が国がODAを多年供与した国々のうち、いわゆるG4の枠組み決議案の共同提案国に名を連ねてくれた国は極めて少数にすぎませんでした。ODAの効用とは一体何なのかということを我が国はこの教訓から学ばなければなりません。
また、一昨年のスマトラ沖大地震に際して、被害を受けたインドネシアなどに緊急援助を進めておりますが、災害の発生から一年経過しても援助額の七割が執行されていない状況にあります。これは、援助実施体制の欠陥をさらけ出したものであります。
小泉総理に、ODAの改革、国益に資する戦略的なODAの進め方、援助実施体制の在り方について御認識をお伺いいたします。
次に、コンピューター問題についてお伺いします。
中央省庁、地方自治体では、十数年前からコンピューター化の流れに沿う形で業務の効率化を目指し、コンピューター企業とともにシステム化を進めてきております。その資産規模は三千三百億円、地方自治体では三兆一千六百八十億円と言われ、合計三兆四千九百八十億円という巨額な資産であります。政府関連予算の経費削減は、我々国会議員を含め、政府としても真摯に取り組むべき課題であると考えます。
また、コンピューター本体、いわゆるハードウエアに関して、自民党の調査によると、年間十億円以上の経費を要する中央省庁の情報システムのうち、件数ベースで約半数、予算ベースで約八割の四十一システムがレガシーシステムであることを発表しております。レガシーとは過去の遺物といった意味で、コンピューターの場合、旧来からの大型計算機を中心としたシステムのことです。最近極めて高性能になってきたパソコンなどを利用するオープンシステムに比べてコストが高いという欠点があり、さらに、随意契約が取られ、競争原理が十分働いていないと言われております。
そのときの報告によれば、巨大なシステムが長年にわたり非競争環境に置かれてきたこと、またその支出の大半がシステムの維持運営に費やされ、効率性に関する十分な検証がなきまま拡充されてきたことにあり、その結果、システム予算が戦略的IT投資に回らず、現場における技術革新や業務改革にも支障を来すところに問題の本質があるとされております。
今後どのようにレガシーシステムをオープンシステムに置き換えていくのか、経済産業大臣にお伺いいたします。
去年の暮れのイラクの連邦議会選挙の最終結果がようやく発表されました。しかし、依然として自爆テロなどが多発しております。
去る十二月八日、国会を閉会したまま、政府はイラクへの自衛隊派遣の再延長を閣議決定いたしました。国会での議論を避け、民主党が再提出したイラク特措法廃止法案は審議もされませんでした。正に国会軽視、国会や国民に対する説明責任を放棄するものではないでしょうか。何か反論はございますか。
イラク戦争は、アメリカが大量破壊兵器の存在を主張し、それを日本も信じて全面的に支持した経緯があります。しかし、最近になってアメリカでは、ブッシュ大統領までが大量破壊兵器がイラクに存在しなかったことを認め、国民に謝罪されました。
私自身、開戦一か月前に現地イラクに赴き、調査を行い、またフセイン大統領顧問や国民議会議長と会談を持った際に、大量破壊兵器の保持に疑念を抱き、帰国後、委員会において、調査の延長を主張いたしましたが、政府は全く耳を傾けるどころか、世界に先駆けイラク攻撃を支持しました。にもかかわらず、総理は、今に至ってもアメリカの誤った情報を信じたことについて自らの非を全く認めようとはしません。ここには、日本が独自の情報収集能力を持つことを放棄し、アメリカの言いなりになるしかないと初めからあきらめるという情けない姿勢が現れております。
改めてお聞きします。全く誤ったアメリカの情報を信じて、それを前提に行動したことに一点の反省の余地もないのか、お答えください。
自衛隊は人道復興支援を理由に派遣されましたが、現在、陸上自衛隊が行っていた給水活動も終了しております。さらに、現地で自衛隊を守るイギリスやオーストラリア軍の撤退も報じられている中、政府は、国会や国民に対して明確な自衛隊の撤退の道筋を示しておりません。政府は、イラクからの撤退の道筋を直ちに国民の前に明らかにし、自衛隊を速やかに撤退させるべきだと考えますが、総理のお考えをお聞かせいただきたい。
次に、乗り物の安全についてお伺いします。
昨年は、四月二十五日のJR西日本福知山線の事故、十二月二十五日のJR東日本羽越線の事故と、大きな列車事故が相次ぎました。不幸にも昨日、JR伯備線にて痛ましい事故も起こりました。犠牲者やけがをされた方々、そしてその御家族の皆様に対して、心からお悔やみとお見舞いをここで申し述べさせていただきます。
不安なのは列車事故だけではありません。航空トラブルも相次ぎました。
そこでお尋ねします。
政府は、これまでより軽微なトラブルについても国に報告するよう航空会社に義務付けるための航空法改正案を準備していると伝えられております。しかし、こうした行政への報告義務があるトラブルや事故については、報告者自身の処分へのおそれから報告が滞るケースがあると思われます。むしろ、正直に報告した場合の処分は軽くし、その情報を会社はもとより業界や行政までもが共有するようにした方が事故防止にはつながるのではないかと思いますが、いかがでございますか。
また、現在の事故調査委員会の調査は、技術的側面に力点が偏っているものと考えます。まずは、事故の背後にある組織的な問題点の調査など、事故の再発防止に資する調査を行う必要があると思いますが、我が党においては事故調査委員会の見直しを行っております。総理のお考えはいかがですか。
最後に、小泉総理の政治姿勢について一言申し上げさせていただきます。
さきの衆議院解散直後の記者会見の中で、総理は自らを、天動説を押し付けようとする法王庁の権威に屈せず、科学的に正しい地動説を抱き続けたガリレオ・ガリレイに例え、自賛されました。しかし、私の意見では総理はガリレオには似ても似つきません。ガリレオが説いたのは地動説、すなわち動いているのは地球、そしてその上に立っている自分なのです。これに対して、総理の場合はその逆で、天上天下唯我独尊、動いているのは天、すなわちあらゆるものが自分を中心に回っているという天動説を信じられているようですが、実はその天動説の中心はブッシュ大統領なのではないでしょうか。
我々民主党は、天動説でも地動説でもなく、国民を中心とした真の改革に全力で取り組んでまいりますことをお誓い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕