主濱了の発言 (本会議)
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○主濱了君 民主党の主濱了でございます。
ただいま議題となりました農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律案に対しまして、民主党・新緑風会を代表して質問します。
日本農業の基本指標を見ますと、販売農家は、平成二年から平成十七年のわずか十五年間で三四・三%減少、平成二年の三分の二になってしまいました。また、販売農家の経営耕地総面積は、同様に、この十五年間で二一・二%も減少しています。さらに、耕作放棄地率は、平成七年は三・八%、平成十二年は五・一%、平成十七年は一一・二%と急上昇しています。加えて、食料自給率は、昭和三十五年の七九%をピークに、平成十年の四〇%まで三十八年間で実に三九ポイントも急激に低下し、以降四〇%で低迷しています。
これらの状況を踏まえ、新しい食料・農業・農村基本計画を中心に、特に担い手について質問をいたしますので、明快かつ日本農業の再生を目指す積極的な御答弁を願うものであります。
まず、食料自給率が四〇%で低迷している理由についてお伺いします。平成十二年策定の、前の基本計画を推進したにもかかわらず、結局、食料自給率は上昇しませんでした。この点について、大いなる反省と国民に対する説明が必要であります。最初に、食料自給率が上昇しなかった理由をいかに考えておられるのか、中川農林水産大臣、お伺いします。
また、平成二十七年には食料自給率四五%の目標を達成しなければならないわけですが、目標達成への御決意とその具体的な方策について併せてお伺いします。
さて、新しい食料・農業・農村基本計画に基づく経営安定対策は平成十九年産からの導入が予定されています。諸施策の中心になる品目横断的経営安定対策の対象者、すなわち担い手は、様々な特例はあるものの、その要件は厳しいと思います。規模要件では、認定農家が北海道では十ヘクタール以上、都府県で四ヘクタール以上、特定農業団体が二十ヘクタール以上。さらに、集落営農などが担い手になるためには、二十ヘクタール以上という規模要件のほかに、地域の農用地の三分の二以上の利用集積を図ることや、農業生産法人への計画を有することなどをも満たさなければなりません。導入までもう一年を切っていますが、農業の生産に途切れがあってはならないのであります。
この観点から、本制度導入時、平成十九年当初の担い手の数及び担い手へ集積される農地をどの程度と見込んでいるのか、また、導入時において国民への国産の農産物の供給に支障を来すことがないのかについて、中川大臣にお伺いします。
次に、新しい基本計画の下で一定の要件を満たした担い手に対してだけ集中的、重点的に施策を講じるとしていることは農政の大転換と考えられますが、このことを全国の農家に十分周知し、理解を得ているかについて伺います。
古いデータで恐縮ですが、昨年十一月中旬の日本農業新聞の調査では、農家モニターが品目横断的経営安定対策についてよく知らないとする回答が七割を超えているとのことであります。現在どの程度全国の農家の理解、納得を得ていますでしょうか。もし周知が十分でない場合は平成十九年産からの導入を延期することも必要と考えますが、中川大臣、いかがでしょうか。併せてお伺いします。
このことが問題になるのは、現在の販売農家の平均経営耕地面積が一・七六ヘクタールだからであります。これを集落営農の場合二十ヘクタール以上に集積をしなければ、経営安定のための交付金の交付対象である担い手にはなれないのです。しかし、農地集約には時間が掛かります。すべての農家の理解を得るために時間を十分掛ける必要があります。
次に、米が品目横断的経営安定対策の中の諸外国との生産条件格差是正対策の対象品目に入っていないことについてお伺いします。
これは、米には国境措置がなされていて諸外国との生産条件の格差を議論する余地がないという理由からでしょうか。確かに、現在は精米の関税は一キログラム当たり三百四十一円、関税率にすると七七八%で、ミニマムアクセス米を除いては実質輸入が難しい状況にあります。他方、WTO農業交渉の中で、日本はG10とともに、重要品目についてその数を幅広く確保すること、関税削減率を低く抑えることなど、各国の農業生産条件を反映した関税構造が尊重されるよう提案をしています。私は、米は当然この重要品目に位置付けられるものと考えております。
しかし、WTO農業交渉の結果、米の関税を大幅に引き下げざるを得ない状況になり、外国産米が日本に流入し、生産条件の格差が顕在化した場合、一般的な考え方として外国との生産条件格差是正対策の対象品目として米が加えられるのか、まずお伺いいたします。
この場合、関税率の大幅な引下げは、担い手のみならず担い手以外の農家にも影響を及ぼしますが、この影響については担い手以外の農家にも対処するべきであります。すなわち、担い手以外の農家も品目横断的経営安定対策の対象とするべきであると考えますが、いかがでしょうか。併せて中川大臣の御所見をお伺いします。
次に、新しい基本計画では兼業農家の位置付けはいかがなっていますでしょうか。販売農家は百九十五万戸、うち兼業農家は百五十一万戸で、販売農家の七七・六%も占めています。兼業農家を切り捨てるなど、抜きにして日本農業は語れないと思いますが、中川大臣、いかがでしょうか。
また併せて、十年後の生産体制についてお伺いします。平成二十七年の農業構造の展望に示されております効率的かつ安定的な農業経営、すなわち担い手は三十六万戸ないし四十二万戸だけであります。この担い手を中心とした生産体制で、日本国民一億二千万人に対して国産の安全な農産物を十分にかつ継続して供給できるとお考えでしょうか。食料の自給率向上に影響しませんか。中川大臣、お伺いします。
次に、今の日本、耕地が減少し続けていますが、私は、現在ある四百七十万ヘクタールの耕地すべてが活用されることが必要であると考えます。一定規模などの要件を満たした担い手が耕作する農地だけが特に大事なのではないと考えます。担い手でなくても、五反歩、〇・五ヘクタール、一ヘクタールであろうが、意欲を持って農業に真剣に取り組む農家、国民に国産の農産物を供給する農家であれば、農政の対象、支援の対象とすべきと考えますが、いかがでしょうか。中川大臣の御所見をお伺いいたします。
なお、農政における支援に対して、ばらまき行政との批判があることは承知しています。しかし、国民のために国産の安全な農産物を供給している販売農家、これら農家に対する支援については、日本が食料の面でも自立し、真の独立国家として存続するために、国策として守っていかなければならない是非必要なものと考えるものであります。
次に、中川大臣、このたびの新しい基本計画がすべての農家に勇気と希望を与え、日本農業を元気にするものであるとお思いでしょうか。私は、残念ながら、そうではないと考えます。反対に、多くの農家が、農政に見放されたということで生産意欲を失い、耕作を放棄するのではないかと懸念するものであります。私の在職中に結果が出る可能性もあります。
この耕作放棄地が増大するのではないかという私の懸念が的中した場合、どなたがどのような責任をお取りになるのか、中川大臣、お伺いいたします。
私は、この法律案策定の契機になっている農業の生産構造の脆弱化を招いた原因が何であったか、これが本来問われなければならないと考えています。昭和三十六年の旧農業基本法以来、生産性の向上や規模の拡大、あるいは価格政策による所得向上を目的とした農政が進められてきました。しかしながら、農業所得、特に主食である米の生産農家の所得は向上せず、生産規模の拡大もさほど拡大せず、結果として農業後継者を育てることもできなかったと評価せざるを得ません。どなたが進めてきたかについては、今日はこの辺に置いておきます。
農業の基本指標は依然低下し続けています。このような中で担い手だけに支援を集中する政策は農業の衰退傾向に拍車を掛けるものと、大いに懸念するものであります。富士山を例に取るのは恐縮ですが、今進めようとしている担い手を中心とした生産体制は、富士山の八合目より下のすそ野を切り捨てるようなものであります。
私は、効果的、効率的な農業を否定するものではありません。ただ、今やるべきは、国民に国産の農産物を供給している販売農家全体を農政の対象として、直接支払制度を導入して支援することであります。このことにより、農業、農村全体を活性化し、日本の農業を再生することであります。
そのためにも、日本に合ったスタイルの農業を目指すべきであると考えます。農業生産はもとより、農村文化や食文化、あるいは豊かな自然環境の保持や国土の保全をも担う、すそ野の広い、層の厚い、多様な担い手を確保するべきであると考えます。これは正に、与党とか野党の問題ではなく、日本の存亡にもかかわる重大な問題であると考えるものであります。
最後になりますが、狭小そして急峻な日本の国土に合った、日本独自スタイルの農業及び農政の在り方について、中川大臣の御所見をお伺いします。
なお、御答弁が不十分な場合には再質問をさせていただきますことを申し添えまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣中川昭一君登壇、拍手〕