池田守男の発言 (教育基本法に関する特別委員会)

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○池田参考人 御指名をいただきました池田でございます。
 衆議院教育基本法に関する特別委員会の参考人としてこのような機会をちょうだいいたしましたことを感謝いたしているわけでございます。委員の皆様方には、教育基本法という教育の根本を定める重要な法案につきまして日々精力的に御審議をいただいておりますこと、深く敬意を表しているところでございます。
 本日は、企業人としまして、また教育再生会議の座長代理といたしまして、そのような立場で教育基本法の改正につきまして所見を述べさせていただきたいというふうに思います。
 現在の教育基本法は、これまでの時代にありまして、基本的に大変すぐれた内容を有していたというふうに考えております。我が国が戦後復興を遂げ、豊かな社会を築き、国際的にも一定の地位を確立するに至るプロセスにおいて教育が果たした役割は非常に大きいものがあります。その根本理念として、教育基本法の意義は十分に評価しなければならないというふうに思うものであります。
 しかしながら一方で、教育基本法が制定されて以来今日までの間に社会は大きく変化をいたしております。技術革新に伴い、教育基本法の制定時には想像もできなかったような社会状況が次々と現実のものになってきております。また、国際化もさらに進んでいるわけでございます。
 その中にありまして、私どもの人間関係も大きく変化をいたしてきております。個々人の問題、家族の問題、地域、企業等におきます人間関係も大きく変わってきているわけでございます。また、物質的な豊かさの達成の一方で、私ども日本人の美徳といったものが残念ながら失われてきているのではないかというふうに思わざるを得ないのでございます。日本人の精神性といったものが失われてきているのではないかというふうに感じさせられるわけでございます。
 このような社会の変化については、だれもがひとしく感じていることではないかというふうに思います。そして、これからの社会を心豊かに、よりよく生きるためには大きな改革が必要ではないかということも、ひとしく感じていることではないかというふうに思うわけでございます。
 社会は、当然のことながら人によって成り立っております。人づくりこそが国づくりであり、社会づくりの基本であります。その中核を担っておりますのが教育であります。教育の改革、再生こそが今日の喫緊の課題ではないかというふうに思うわけでございます。
 その意味で、教育の根本理念を定めておりますところの教育基本法の改正は、今日の社会にありまして、まことに当然なことであり必要なことではないかというふうに考えております。
 それでは、この教育基本法改正につきまして、お許しをいただき、私見を述べさせていただきたいというふうに思います。
 まず、現在の社会状況に照らしまして特に今後重視しなければならないものは、公の精神、公共の精神ではないかというふうに思うのでございます。
 私ども人間は、決して一人では生きることはできないわけでございます。だれもが、周りの多くの人々から、あるいは社会全体からの恩恵の中で生きているわけでございます。そのことは、言葉をかえれば、人も、多くの人々によって、または自然の恩恵の中で私どもは生かされているということではないかというふうにも思うのでございます。
 こうした事実を認識するということが、先ほど申しました公共の精神につながるものではないかというふうに思うのでございます。また、このことが他者に対する優しさとか協調の精神の根本になり、人に優しい、温かみのある社会をつくり上げる基本になるのではないかというふうにも思うのでございます。
 さらに申し上げますと、このことは、教育のみならず、企業の経済活動にも当てはまるのではないかというふうに思うのでございます。企業も社会の中で生かされている存在であるというふうに思います。そうであるならば、市場経済のもとで売上利益を追求するのみではなくて、公共のために尽くすと申しますか、社会貢献活動がますます重要になってきているのではないかというふうに思います。
 公共の精神は、社会に生きる人間としての出発点と言えるのではないかというふうにも思います。政府の教育基本法では、こうした精神を教育の根本理念の一つとして位置づけられており、この公共の精神そのものを高く称揚していただいているということは、非常に意義あることではないかというふうにも思っております。
 また、政府案にありまして伝統と文化の尊重が織り込まれておりますことは、大変心強い限りでございます。自国の伝統、文化を理解し尊重するということは、これからの国際社会におきましてますます重要なことではないかというふうに思うのであります。
 また、郷里を愛し祖国を愛するということは、人間としまして当然のことではないかというふうに思います。自分の郷里や国を愛するということは、そういう精神は、必ずや他国の存在をも理解するということに私はつながるものではないかというふうに思うものでございます。他者を同じ人間といたしまして、他国を同じ国としまして理解するということは、それぞれ同じ次元の問題として大切なことではないかというふうにも感じるものでございます。
 さらにつけ加えさせていただきますれば、今後の教育において特に重要と考えます一つに、家庭教育や、学校、家庭、地域社会の連携があるのではないかというふうに思います。今日、残念ながら、家族や地域社会を初めとするコミュニティーにおける関係がますます希薄化しているということを感じざるを得ないわけでございます。
 特に、そのことは若年層に強くあらわれている傾向ではないかというふうに思います。そうしたことが今日のさまざまな社会問題にもつながっているのではないかというふうに憂慮をするものでございます。
 それらのことを考えますと、今回、政府案におきまして、家庭教育について明記され、また、学校、家庭及び地域住民の相互の連携強化が新たに盛り込まれておりますことは非常に評価できることではないかというふうに思っております。
 学校と家庭、地域の強い連携の中でこそ子供たちは、社会に息づくところの知恵や見識を得、また、一般常識やマナー、教養などを身につけることができるのではないかというふうに思うものでございます。また、そのことによりまして、日本人固有の他者への思いやり、優しさ、そういったものが深まってくるのではないかというふうに思いますし、他者をおもんぱかる想像力といったものもそういったコミュニティーの中で養われるものではないかというふうに思うものでございます。
 このように、今回の改正案を貫く理念は、私の教育への思いと多くのところで重なっているわけでございます。大変意を強くさせていただいているわけでございます。
 それでは最後になりますが、お許しをいただきまして、若干、企業社会のことについて触れさせていただきたいというふうに思います。
 社会にありまして働くということは、人間存在の根幹にかかわる重要なことではないかというふうに思います。これまでこの働くということが、余りにも企業中心であり、企業サイドに偏り過ぎていたのではないかというふうに、私も企業経営者の一人として強く反省をいたしているところでございます。
 企業人として働きながら、同時に家庭を大切にし、父親としまして、また母親としまして、地域の一員として生きる点において十分であったかどうかというふうに自問自答いたしますと、必ずしも、個々人においても企業組織においてもそうではなかったというふうに言わざるを得ないのでございます。
 現在、我が国が直面いたしておりますところの今日の少子化問題も、私は、このようなことに対しましての警鐘ではないかというふうに思うものでございます。そのことにつきましては、私自身も経営者の一人といたしまして深く考えさせられているわけでございます。
 この少子化問題は、将来の労働力不足というよりも、人間本来のあるべき姿として、働き方の問題として考えるべきではないかというふうに思うものでございます。それはワーク・ライフ・バランスに取り組むことではないかというふうにも思うものでございます。働くことも、家庭も、地域も大切にする生き方へと働き方を見直すことが、子供たちへの教育にも積極的にかかわっていく、そういう社会、そういう大人をつくることにつながるのではないかというふうに思うわけでございます。
 あわせて、企業そのものも、もっと積極的に教育にかかわっていくような仕組みにもそういう意識によって落とし込めるのではないかというふうに思っております。企業の社会貢献活動、私は、これからの時代、教育というものが社会貢献活動の中心にあってもいいのではないかというふうに感じさせられております。
 以上、教育基本法の改正に関しましての所見を申し上げさせていただきました。
 教育再生会議におきましても、現在、教育のさまざまな課題について検討を始めさせていただいているところでございます。こうした私どもの議論のベースになりますものは、教育基本法案にも掲げられた理念であるというふうに思うものでございます。
 日本の将来を担う若者の夢と希望、それに基づく志をはぐくむ教育を実現するための第一歩といたしまして、この教育基本法の早期成立を切にお願いするものでございます。
 私からは以上でございます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 池田守男

speaker_id: 23460

日付: 2006-11-09

院: 衆議院

会議名: 教育基本法に関する特別委員会