笠井亮の発言 (日本国憲法に関する調査特別委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。
 十二月十二日の小委員会について、補足的発言として三点にわたって述べたいと思います。
 第一に、この間、与党案と民主党案をめぐって双方に歩み寄りがあったとか合意形成まであとわずかとかしきりに言われて、先週の委員会質疑では修正内容を確認し合うかのようなやりとりもありましたけれども、十二日の小委員会では、手続法は必要という参考人も含めて、すべての参考人から両案に対してさまざまな意見や疑問点、あるいは懸念や問題点が多岐にわたって出されたということであります。
 NHK、読売、毎日、産経、日弁連の参考人のだれ一人からも、これでおおむね結構という意見表明はなかったと思います。それどころか、特に有料の広告放送を投票日前一週間禁止するとしていることについては、社として改憲を推進する立場を表明している新聞社も含めて、すべての参考人が疑問を投げかけていたのは印象的でありました。
 また、昨日、政府はタウンミーティングをめぐるやらせ質問の調査結果をようやく報告し、その重大な実態と、世論誘導があったことを認めました。しかし、そのもとでも、今与党は教育基本法改悪を強行しようとしております。私は、教育基本法の改定案の撤回こそ政府・与党の適切な責任のとり方だと考えますけれども、こういう中で一昨日の小委員会において毎日新聞の近藤参考人から、広報協議会の事務の中に憲法改正案に関する説明会もやるとあるが、やらせ質問で問題になったタウンミーティングを想像するので、これと同じにならないような保障があるのかという疑問が呈されました。枝野委員からは、やはり裁量の余地があることなので民主党としては外そうと決めているとの発言がありましたが、この問題も重要な点だと思います。
 今与党と民主党が、両案の相違点を埋めるために互いに幾つかの修正を模索しているようでありますけれども、今明らかにされている修正がなされたとしても、国民の両法案に対する疑問や懸念は解消されないということを改めて確認した次第であります。
 第二に、放送や新聞の広告の無料枠を政党のみに認めることについて、NHKの石村参考人、毎日新聞の近藤参考人、さらに日弁連の吉岡参考人から疑問の意見が述べられたという問題であります。
 NHKの石村参考人からは、国会に議席を有する政党だけで適当なのかどうか、さらに議論が必要との意見が出され、毎日新聞の近藤参考人からは、基本的には市民団体にも無料広告を認めるのが望ましいが、どういう線引きが可能か知恵を絞るべきとの意見が表明されました。これらは両案の問題点を指摘したものであり、注目いたしました。
 このことは技術的に解消される問題ではなく、まさに憲法九十六条の基本問題であります。すなわち、国会は改憲案を発議するまでであって、その後は主権者国民が国民投票の主人公であり、政党の役割は言うまでもなく重要ではありますけれども、やはり意見表明の主体はあくまで主権者国民だということであります。
 この点で日弁連の吉岡参考人が、十一月七日の小委員会でも、政党等による無料の広告について政党にのみ認めることになれば国会での審議の内容がそのまま反映することになってしまうこと、憲法改正が最終的には国民投票による国民の判断にゆだねられることとされているのは、憲法改正の是非について改めて広く国民の中で自由闊達な議論をし、その結果、主権者たる国民一人一人の判断にゆだねようとするものだからだと述べ、さらに十二日の小委員会でも、九十六条の基本的問題として、憲法について、国民がみずからの憲法を選ぶということが重要であって、確かに発議する政党も重要だけれども、国民の側で自由闊達なこれに対する意見表明をして選ぶということは重要であると表明されました。このことは、憲法九十六条の理解にかかわる基本問題として重く受けとめるべきだと考えます。
 第三は、公務員等及び教育者の地位を利用した国民投票運動を禁止するとの規定について、日弁連の参考人から、地位利用の定義を明確にしたり罰則をなくしたりなどの修正を行ったとしても、この規定を置くことによる弊害は解消されないことが指摘されたことであります。
 この問題について、私は、与党は地位利用と国民投票運動の定義を明確にするということと罰則を設けないという二つの修正でよしとしようとしているが、これらの修正を行ったとしても、この禁止規定は網羅的に公務員、教育者にかかり、罰則を設けなくても公務員法上の懲戒処分の事由になるということになれば、依然として萎縮効果は全く変わらないのではないかと質問しました。
 これに対して、日弁連の菅沼参考人は、地位利用の問題を限定できるのかということだが、職務権限に直接絡めて賛成投票もしくは反対投票をすることを強制するという事態については職権濫用罪という規定で規制が現実にできるわけだから、それ以外の場面でそもそも規制をしなければならない地位利用があり得るのか。罰則がなければいいかという問題では、ほかの法律でも、例えば公務員で言えば、罰則はなくても、それに基づいて通達を徹底させてそれに違反したら懲戒処分というようなこともあり得るわけで、この法律に罰則がないから萎縮効果がないということにはなりにくいと答えられました。
 読売新聞の上村参考人からも、地位利用の定義がはっきりしない、禁止されるべき地位利用とは一体どういうものなのかとの疑問が提起されたことにも注目しました。
 補足的発言の最後に、今度の小委員会のテーマでは、これまで二回の参考人からの意見聴取と懇談、また委員会での質疑等を重ねてきたわけでありますが、法案の持つ問題点は解消されないどころか、再三の指摘にもかかわらず、例えば憲法九十六条の理解にかかわる問題でも、原理原則を踏まえず技術面に走る姿勢が明らかになってきております。私は、法案審議の前提問題が問われているということを、今回のテーマ一つとっても痛感いたしました。
 このことを強調して、発言を終わります。

発言情報

speech_id: 116504968X00920061214_010

発言者: 笠井亮

speaker_id: 27017

日付: 2006-12-14

院: 衆議院

会議名: 日本国憲法に関する調査特別委員会