安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 鳩山由紀夫議員にお答えいたします。
逃げず、逃げ込まずという消費税への姿勢についてのお尋ねがありました。
我が国財政は極めて厳しい状況にあり、成長なくして財政再建なしの理念のもと、経済成長を維持しつつ、国民負担の最小化を第一の目標に、歳出削減や行政改革等を徹底してまいります。
このような改革を徹底して実施した上で、それでも対応し切れない社会保障や少子化などに伴う負担増に対しては、安定的な財源を確保するため、抜本的、一体的な税制改革を推進し、将来世代への負担の先送りを行わないようにします。
消費税については、このような抜本的、一体的な税制改革の中で議論を行っていく必要があると考えております。(拍手)
小泉前総理の政治についてのお尋ねがありました。
この五年半にわたる構造改革と国民の自助努力の相乗効果により、我が国は長い停滞のトンネルを抜け出し、未来への明るい展望が開けてきたと認識しており、今後もこの改革の炎を燃やし続けていきたいと考えております。(拍手)
私は、特定の団体や個人のための政治を行うつもりは一切ありません。額に汗して勤勉に働き、家族を愛し、自分の暮らす地域やふるさとをよくしたいと思い、日本の未来を信じたいと願っている人々、そして、すべての国民の期待にこたえる政治を行ってまいります。
美しい国について、四点お尋ねがありました。
まず第一として、歴史を大切にすることについてのお尋ねがありました。
私にとって歴史を大切にすることとは、自分の生まれ育ったこの国に自信を持ち、今までの日本が紡いできた長い歴史を、その時代に生きた人たちの視点で見詰め直そうとする姿勢であると考えています。
一方で、政治家の発言は政治的、外交的な意味を持つものであることから、歴史の分析について政治家が語ることについては謙虚であるべきと考えております。
第二として、規律を知る、凜とした国についてのお尋ねがありました。
私の言う、自由な社会を基本とし、規律を知る、凜とした国は、自由な社会を基盤にして、自立した個人がみずからを律し、全体として規範を遵守していく社会の実現を想定しており、このため、教育の抜本的改革や、民間の過度の公的援助依存体質からの脱却などを実現してまいります。
なお、国家公務員の再就職等の問題については、行政及び公務員に対する国民の信頼を確保するため、退職管理の適正化に向け、総合的に検討を行う必要があると考えております。
また、官製談合の問題については、与野党から官製談合防止法の改正案が国会に提出されており、今後議論されるものと期待しております。
第三として、未来へ向かって成長するエネルギーを持ち続けることについてのお尋ねがありました。
私は、努力した人が報われ、勝ち組と負け組が固定化しない社会、チャンスにあふれ、だれでも再チャレンジが可能な社会をつくることにより、社会の活力が維持され、未来へ向かって成長するエネルギーを持ち続けることが可能となると考えております。こうした観点から、政府としては、総合的な再チャレンジ支援策を推進してまいります。
第四として、世界に信頼され、尊敬される国についてお尋ねがありました。
私は、世界に向けて日本の魅力をアピールするとともに、その強さを生かして積極的に貢献していくことが重要と考えます。そのための人材を育成し、リーダーシップのあるオープンな国を目指してまいります。
また、大事な隣国である中国や韓国との間で信頼関係を強化し、双方の努力を通じて、未来志向で率直に話し合える関係を構築してまいります。
さらに、普遍的な価値観と共通の利益を有する日米同盟については、その基盤である信頼関係をより強固にするため、総理官邸とホワイトハウスの関係を初めとして、両国間で常に意思疎通できる枠組みを整えます。
私の唱える美しい国が国民から離れているとの御指摘がありました。
美しい国は、国民一人一人が考え、はぐくんでいくものであります。私は、新しい国づくりにともにチャレンジしたいと願うすべての国民の皆様に、美しい国づくりに参加していただきたいと考えています。このような観点から、私は、国民との対話を何よりも重視してまいります。(拍手)
雇用改善のための具体策についてお尋ねがありました。
いわゆる勝ち組と負け組が固定化せず、だれでも再チャレンジ可能な社会を構築するため、団塊世代などベテラン人材を初めとする高齢者や女性、ニートやフリーターの積極的な雇用を促進することとしております。
具体的には、フリーター二十五万人常用雇用化プラン等を推進し、二〇一〇年までにフリーターをピーク時の八割に減らすとともに、だれもが意欲と能力を生かして働ける全員参加型社会の構築を図るため、七十歳まで働ける企業の実現に向けた取り組みを推進し、正規、非正規労働者間の均衡処遇の実現に向け法的整備を含めた検討を進めるなど、実効性のある再チャレンジ支援策を推進してまいります。
高齢者、年金生活者の負担についてのお尋ねがありました。
先般の税制改正は、世代間及び高齢者間の公平を確保する観点から行われましたが、標準的な年金以下の年金だけで暮らしている高齢者世帯には、十分に配慮する措置を講じています。また、介護保険や医療保険では、在宅と施設の給付と負担の公平性の観点等から、食費、居住費についての自己負担を求めるなどの見直しが行われましたが、保険料及び利用料等について、所得の低い方に対しては負担軽減措置を講じるなど、適切に配慮をしております。
障害者自立支援法についてのお尋ねがありました。
本制度は、障害者の方々に対するサービスの計画的な整備、就労支援の強化など、障害者の方々が安心して暮らすことのできる地域社会の実現を目指すものであります。また、制度を皆で支えるため、国の負担を義務化する一方で、利用者の方にも原則一割の負担をお願いしておりますが、その際、家計に与える影響を十分考慮した負担上限額の設定や個別の減免措置などの配慮を講じているところであり、引き続き制度の周知定着を図ってまいります。
貸金業の制度改正等、多重債務問題への対応についてお尋ねがありました。
本件については、利用者の債務負担を軽減しながら、また利用者利便にも配慮しながら、新たな多重債務者を発生させない枠組みを一日も早く構築する必要があります。
先日、与党において基本的に了承された案を踏まえつつ、しっかりと法案策定作業を進めるなど、この問題に政府を挙げて取り組んでまいります。
教育基本法案についてお尋ねがございました。
新しい時代の教育の基本理念を明確に提示し、国民の共通理解を図りつつ、社会全体による教育改革を着実に進め、我が国の未来を切り開く教育を実現するにふさわしい法案として、政府として教育基本法案を前国会に提出したところであります。
私の目指す「美しい国、日本」を実現するためには、次代を背負って立つ子供や若者の育成が不可欠であり、教育再生を国政の最重要課題の一つと位置づけております。まずは、今国会における本法案の成立を期して、しっかりと取り組んでまいります。
また、すべての子供に高い学力と規範意識を身につける機会を保障するため、公教育を再生します。このため、内閣に教育再生会議を発足させ、その推進を図ります。
なお、民主党提出の日本国教育基本法案については論評を差し控えたいと思いますが、国会において、それぞれの法案について活発な議論が行われることを期待しております。
日本外交の基本姿勢についてお尋ねがありました。
私は、日本の外交、安全保障の基盤である日米の同盟関係が世界とアジアのための日米同盟であることをより明確にし、その基盤に基づき、アジアの強固な連帯のために積極的に貢献する外交へと転換してまいります。
その際、先般の北朝鮮のミサイル発射に対する制裁決議を日本が主導して提案したように、日本の国益をしっかりと確保し、同時に、地域や世界のために日本は何をすべきか、世界は何を目指すべきかを積極的に主張し、リーダーシップを発揮していく所存です。
アジア外交についてお尋ねがありました。
アジアの平和と繁栄を維持強化するため、アジア全域の連帯の強化に主導力を発揮します。そのために、大事な隣国である中国、韓国と、あらゆるレベルと分野で相互理解と率直な対話や協力を積み重ね、双方の努力を通じて未来志向の関係を築いていきます。同時に、インドや豪州等の基本的価値を共有する民主主義国、さらにASEAN諸国との連携を一層強化していきます。
拉致問題に関する政府の方針についてお尋ねがありました。
拉致問題の解決なくして北朝鮮との国交正常化はあり得ません。政府としては、対話と圧力の方針のもと、引き続き、拉致被害者が全員生存しているとの前提に立って、すべての拉致被害者の生還を強く求めていきます。そのため、今般、私を本部長として設置された拉致問題対策本部を中心として、政府一体となって拉致問題解決に向けた総合的な対策を推進していきます。
日ロ関係についてお尋ねがありました。
小泉前総理のもとで、日ロ行動計画に基づき両国関係の進展に努めてきました。引き続き、日ロ両国間で幅広い分野における関係を前進させ、信頼関係に基づくパートナーシップの構築に努めていきます。そのためにも、最大の懸案である北方領土問題の解決に向け、粘り強く取り組んでまいります。
過去に日本がアジアでとった行為についてのお尋ねがありました。
さきの大戦をめぐる政府としての認識については、平成七年八月十五日及び平成十七年八月十五日の内閣総理大臣談話等により示されてきているとおり、我が国は、かつて植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えたというものであります。
いわゆるA級戦犯の国家指導者としての責任についてお尋ねがありました。
さきの大戦に対する責任の主体については、さまざまな議論があることもあり、政府として具体的に断定することは適当ではないと考えます。
いずれにせよ、我が国は、サンフランシスコ平和条約第十一条により極東国際軍事裁判所の裁判を受諾しており、国と国との関係において、この裁判について異議を述べる立場にはないと考えています。
私の靖国神社参拝についてのお尋ねがありました。
靖国神社参拝につきましては、国のために戦ってとうとい命を犠牲にした方々に対して、手を合わせ、御冥福をお祈りし、尊崇の念を表する気持ちは持ち続けていきたいと思っております。
私がこれまで、行くか行かないか、あるいは参拝したかしていないかについて宣明するつもりはないと申し上げてきたことは、私が個人としてまさに考えるところであります。
昨年の総選挙で自民党を除名された議員の復党についてのお尋ねがありました。
郵政民営化につきましては、さきの臨時国会において郵政民営化法案が成立したことを受け、安倍内閣において平成十九年九月からの郵政民営化を確実に実施いたします。こうした方針を含め、私が掲げる国づくりの方向について与野党から幅広い御協力をいただけることを期待しております。
いずれにせよ、昨年の総選挙で自民党を除名された議員の復党の問題につきましては、個別の事情を勘案し、党として判断していくべき問題であると考えます。
党首討論についてお尋ねがございました。
党首討論は、国民に対して各党の政策に対する基本的な立場を明確に示し、政策論争を活発化させる重要な機会であると認識しております。
いずれにせよ、国会の運営につきましては、政府が申し上げるべきことではなく、与野党でよく協議していただきたいと考えております。(拍手)
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