中川秀直の発言 (本会議)
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○中川秀直君 私は、自由民主党を代表して、戦後生まれ初の総理である第九十代安倍晋三内閣総理大臣の内外諸問題に対する基本姿勢について伺います。(拍手)
初めに、悠仁親王殿下の御誕生をすべての国民とともにお喜びし、お健やかな御成長を心よりお祈り申し上げます。(拍手)
他方、六月末の九州地方を中心とした豪雨により、また、さきの台風十三号により不幸にもお亡くなりになられました方々に、心から哀悼の意を表します。さらに、負傷された方や被災者の方々に対し、心からお見舞い申し上げます。この上は、被災地の方々が一日も早く平穏な暮らしを取り戻せますよう、我が党は復旧復興対策に全力を挙げる所存であります。
さて、総理の所信表明をお伺いして、私は、ケネディ大統領が世界に尊敬されるアメリカになろうと呼びかけたことを思い出しました。今日の日本がさまざまな問題を抱える中で、時代が安倍総理を日本丸のかじ取りに押し上げたのであります。自由民主党も全力でお支えいたします。どうか、命がけで国民の期待にこたえていただきたいと思います。(拍手)
総理は、みずからの考え、みずからの立場について、開かれた保守主義と述べております。今や、かつての社会民主主義者ですら、みずからを保守本流と名乗る時代であります。だからこそ、総理の言われるところの開かれた保守主義とはいかなるものなのか、まずお考えをお聞かせください。
総理は、所信表明において美しい国の姿を詳しく説明されました。美しい国づくりとは、成長戦略により活力に満ちた経済とし、再チャレンジ支援によりチャンスに満ちた社会とする。さらに、頑張る地方応援プログラムや日本型社会保障制度、子育てフレンドリーな社会、教育再生により、優しさに満ちあふれ、自律の精神を大事にする社会とし、海外からの投資倍増でオープンな国づくりを目指すことと受けとめました。
総理いわく、歴史、伝統、文化を大切にしながら、自由な社会を基本とし、規律を知る、凜とした国。未来に向かって成長するエネルギーを常に持ち続け、世界に信頼され、尊敬され、愛される、リーダーシップのある国。
新内閣の支持率は約七割であります。総理が示した「美しい国、日本」の国家像は、多くの国民の共感を呼んだのではないでしょうか。(拍手)
野党は危険なタカ派政権と批判していますが、私は、それは全く間違った見方であると確信をいたしております。誤解されるナショナリズムについて、総理の本当の思いをお聞かせください。
次に、経済成長戦略についてお伺いします。
今や、「改革なくして成長なし」の五年半にわたる小泉政権の改革のたいまつは、しっかりと「成長なくして日本の未来なし」の安倍政権へと引き継がれました。
経済成長率に関する経済学の常識として世界で広く受け入れられている理論に、低い所得水準の国の成長率は高い所得水準の国よりも高いというものがあります。こうした観点から見ても、日本より所得水準が高いアメリカの成長率よりも日本の経済成長率が低いということは、おかしなことであると考えます。日本の経済成長率はもっと高められると考えるのが自然であり、安倍内閣は、それを実現するための内閣であると確信します。
骨太の方針二〇〇六の財政健全化策の前提にある名目経済成長率三%程度という手がたい予測にすら悲観的な見方がある中で、成長なくして日本の未来なしに込められた総理の基本認識と成長実現に向けた御決意を伺います。
私は、成長戦略の第一歩はデフレの完全脱却であると考えます。総理は、自由民主党総裁就任の際、あらゆる政策を導入してまずはデフレ脱却を目指していくべきである、デフレ脱却をしてしっかりと成長していくことが財政の再建につながっていくと述べられておりますが、改めて、安倍政権におけるデフレの完全脱却に向けた御決意を伺います。
二十一世紀の日本が豊かな国であり続けるためには、教育の再生が極めて重要な国家戦略であることは言うまでもありません。
米国のブッシュ大統領は、ことしの一般教書演説の中で、中国、インドとの競争を意識し、数学、科学教育を重視するアメリカ競争力構想を打ち出し、今後十年間で一千三百七十億ドル以上を投資すると宣言しました。
我が国の理数科やものづくり教育を支えた理科教育振興法や産業教育振興法関連予算は、最盛期の二割程度になっております。今こそ、教育基本法改正、教員免許の更新制導入などの教育改革に加え、新たな科学技術教育振興法を制定し、子供たち、孫たちの時代の教育再生とイノベーションの基盤をつくるべきであると考えますが、総理の御所見をお伺いします。
総理は、画期的な新しい技術の革新、新しい取り組み、新しい考え方など、いわゆるイノベーションによる生産性向上を経済成長戦略の重要な柱としております。特に、情報通信技術分野において規制によって分断されている市場を新たに結合していく必要があるとの御意見をお持ちと伺っておりますが、改めて、こうした規制改革の重要性について御所見を伺います。
今回の安倍内閣の布陣は、企業活動が活性化すれば、雇用がふえ、税収がふえる、経済成長と財政再建は矛盾するものではないとの安倍経済政策、アベノミクスの基本哲学をひしひしと感じるものであります。イノベーション加速のための税制が果たすべき役割について、総理の御所見を伺います。
総理は、地方を支える農林水産業を新世紀にふさわしい戦略産業として位置づけられ、おいしく安全な日本産品の輸出を平成二十五年までに一兆円規模にすることを目指すとしております。このような農林水産業の戦略産業化には農業のイノベーションも不可欠であると考えますが、近い将来、株式会社の農業参入をイメージされているのかも含め、総理の基本認識を伺います。
自由民主党は、経済成長と財政再建が相互に響き合う好循環を実現していくことが何よりも求められるとの立場に立脚しております。また、さきの自由民主党総裁選挙において、歳出削減等の努力もせずに、ただ十年後の財政再建だけを目的に大幅な増税をするようなことはしないということで決着しました。
総理は、所信表明の中で、国民負担の最小化を第一の目標として歳出削減を徹底する、国や地方の無駄や非効率を放置したまま国民に負担増を求めることはできないという決意を述べております。財政再建と増税の関係について、総理の御所見を改めて伺います。
また、総理は、所信表明の中で、筋肉質の政府を実現するための一環として、公務員の労働基本権など、公務員制度全般について見直しを進める決意を表明しました。
財務省の調査によれば、全国の地方公務員の給与は、それぞれの地域の従業員百人以上の民間企業で働く人々よりも、平均で二一%も高いという結果が出ております。とりわけ、東北地方や九州地方では、地方公務員が地域の民間給与よりも三割から四割近くも高い給与をもらっている自治体が目立っております。
私は、こういう官民給与格差はアンフェアな格差であり、しかも、国民の税金からそうした給与が出ているという点において、早急に是正しなければならないものと考えます。
私は、公務員の民間並み合理化をすれば、二〇一一年度の基礎的財政収支黒字化に必要な増税額を限りなくゼロに近づけることができるのではないかとも考えます。こうした観点から、総理が、公務員の民間並み合理化の障害になっている公務員の労働基本権の制限の見直しを表明されたことを高く評価するものであります。(拍手)
公務員制度改革について、民間同様の能力・実績主義を取り入れるお考えがあるのか、信賞必罰をどう組み込むのか、さらにまた、キャリア制度のあり方、分限処分の実施、労働基本権の付与と身分保障との関係等について、総理はどのようにお考えでしょうか。労働基本権問題等についての政府の行政改革推進本部専門調査会の結論の時期、公務員制度改革関連法案の提出の時期を含め、お尋ねします。
次に、私は、社会保険庁の解体的出直しなくして年金の信頼回復なしと考えます。
さきの通常国会終了後、八月三日に公表された社会保険庁の国民年金保険料の不正免除問題についての最終報告書では、平成十七年四月から平成十八年六月までの間に行われた違法な免除や猶予手続、勝手な不在者扱い等、不正な事務処理件数は三十八万五千四百四十件にも上っていたことが明らかになりました。
社会保険庁の体質問題の根底にあるのは、社会保険庁職員の大多数が参加する労働組合、自治労国費評議会の問題であることは周知の事実であります。コンピューター導入反対、年金見込み額試算は行わない、資格記録票も交付しない、ファクシミリ番号も公表しないという自治労国費評議会諸君の極めて異常な国民無視の闘争こそが、国民に不便をかけ続けてきた根源的理由なのであります。(拍手)
公務員として使命も果たさず、しかも、身分や特権を守るために百件以上にも上る覚書や確認事項を当局との間で結んでいた事実は、もはや、この組織を公務員のまま存続させることの限界を示しております。社会保険庁職員を国家公務員のまま存続させる案では、解体的出直しにならないことは明らかであります。
昨日の一部報道によれば、年金保険料徴収に関する市場化テストのモデル事業で、民間の方がコストが三割から五割も低く、一方、徴収率は社会保険庁を上回るとの見通しが明らかになっております。
総理は、自民党総裁選の公約において、社会保険庁の徹底的改革と同時に、社会保険番号の導入や徴収一元化を行うことを掲げておられます。年金など社会保障改革の目的は、国民のための制度を守ることにあり、組織を守るためではないのであります。
公務員身分を含め、総理の総裁選における公約を完全実施する解体的出直し案を、遅くとも参院選前に提示することが政府・与党の責任であると考えますが、総理の考えを伺います。(拍手)
私は、総理の地方分権に関する基本的な考えは、道州制導入、新分権一括法制定、税源移譲の三位一体であるととらえております。これに対して、野党の中には、道州制は地方分権ではない、税源移譲はしないという考え方をもって地方分権と称する人もおります。私は、税源移譲なくして地方分権なしと考えますが、道州制や交付税改革も含め、地方分権についての総理の基本的な考えを伺います。
骨太の方針二〇〇六には、総理が官房長官時代におまとめになった「再チャレンジ支援」の中に、正社員とパートなど労働者間の均衡処遇を目指すとあります。これは、自由民主党と公明党との連立政権合意の中にも盛り込まれた安倍内閣の重要政策であり、ワーク・ライフ・バランスの回復を通じた子育てフレンドリーな社会づくりにも寄与するものと考えます。正規、非正規雇用の均衡処遇に向けた総理の御決意を伺います。
次に、外交・安全保障問題について伺います。
私は、今回の米軍再編の合意は、総理が目指す自立国家に向けた第一歩であり、同時に、世界とアジアのための日米同盟としての基礎を固めるものであると評価しております。在日米軍再編については、今後、関係する自治体、住民の切実な声に耳を傾けて全力で取り組む必要がありますが、今後の進め方について総理の考えを伺います。
また、国際社会が一丸となったテロとの闘いは、いまだに終わっておりません。今国会ではテロ対策特別措置法の延長を行い、我が国もテロとの闘いへの主体的な努力を続けていくことが必要と考えますが、総理の考えをお尋ねします。
総理は、所信表明で、中国、韓国を、ロシアとともに大事な隣国と位置づけております。そして、中国、韓国との信頼関係強化がアジアや世界にとって極めて大切であるとの認識を示すとともに、未来志向で率直に話し合えるよう双方がお互いに努めていくことが重要であるとの認識を示しております。この所信表明は、主張する安倍外交の重要なメッセージが込められていると考えます。
中国もこれに反応し、安倍新首相は日中関係の改善に積極的な態度を示しており、中国はこれを歓迎すると公式に述べるなど、中韓両国もしっかりとこのメッセージを受けとめていると考えます。(拍手)
改めて、アジアの強固な連帯確立のために、積極的に貢献する外交に向けた総理の御決意を伺います。
総理は、戦後六十年の歩みについて、さきの大戦により国民の多くが塗炭の苦しみの中にあり、多くの国々の国民に対して大きな被害を与え、傷跡を残した、そのことに対する率直な反省から平和的な国づくりをしてきたとの認識を述べています。そして、総理は、戦後日本の平和的かつ民主的な発展への誇りをもとに、二十一世紀の日本の国家像にふさわしい誇りある国づくりのため、新たな憲法の制定を目指しております。
改めて、戦後日本の出発点、戦後日本の歩み、そして憲法改正の意義、そのプロセスについて総理の御所見を伺います。
終わりに、今、格差を感じる人に光を当て、国民すべてを勝ち組にするためにも、日本の未来をつくる経済成長の確かな道筋を固めなければなりません。富はまずこれを創造してからでなければ分配はできないからであります。(拍手)
かつて、チャーチルは、社会主義は富める者を引きずりおろすが、自由主義は貧しき者を引き上げると言いました。自由民主党は、そうした意味での真の自由主義の党として、民意の党、成長の党、分権の党として、美しい国創り内閣とチーム一丸となって安倍総理を全力で支えていく決意であることをここに改めて表明し、質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕