安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 中川秀直議員にお答えをいたします。
開かれた保守主義についてのお尋ねがありました。
私にとって保守とは、いわゆるイデオロギーではなく、日本及び日本人について考える際に、自分の生まれ育ったこの国に自信を持ち、今までの日本が紡いできた長い歴史を、その時代に生きた人たちの視点で見詰め直そうとする姿勢であると考えています。
一方で、そうした歴史に根差した保守主義という基盤の上に立ちながらも、それは閉鎖的あるいは排他的なものであってはならず、現実に対しても虚心に目を向けることで、開かれた保守主義を目指していきたいと思っています。
ナショナリズムについてのお尋ねがありました。
私の考えるナショナリズムとは、自分たちが生まれ、育ち、そしてなれ親しんだ自然や祖先、家族、また地域のコミュニティーに対する帰属意識であります。そういう帰属意識があるからこそ、だれかに言われなくとも、ごく自然なみずからの感情として、そうした自然や家族、地域に誇りを持ち、これらを壊さないように愛情を持って守ろうとする、そうしたものがナショナリズムであると考えております。
経済成長の実現に向けた基本認識と決意についてのお尋ねがありました。
我が国が美しい国として繁栄を続けていくためには、安定した経済成長が続くことが不可欠です。この考えのもと、今後十年間で年率二・二%以上の実質経済成長を視野に、経済成長戦略大綱などの政策を着実に実行してまいります。さらに、イノベーションの力とオープンな姿勢により、日本経済に新たな活力を取り入れ、安定した経済成長の実現に全力を尽くします。
デフレの完全脱却に向けた決意についてのお尋ねがありました。
我が国は、経済、社会全般にわたる構造改革と国民の自助努力の相乗効果により、長い停滞のトンネルを抜け出し、デフレからの脱却も視野に入るなど、改革の成果があらわれ、未来の明るい展望が開けてきました。
重点強化期間である今年度内に物価の安定基調を確実なものとし、物価の安定のもとでの民間主導の持続的な成長を図るため、政府、日銀は一体となった取り組みを行ってまいります。政府は、成長なくして財政再建なしの理念のもと、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇六に基づき、構造改革を加速、深化してまいります。日本銀行に対しては、引き続き金融面から確実に経済を支えていただくことを期待しております。
教育改革についてお尋ねがございました。
天然資源に恵まれない我が国においては、人材は国家発展の基礎であります。このため、まずは教育基本法案の早期成立を期すとともに、教員免許の更新制の導入等により、教育改革を精力的に推進します。
また、科学技術の発展のため、人材の育成は極めて重要であります。このため、現在、スーパーサイエンスハイスクール等の事業を積極的に実施しているところであり、引き続き、イノベーションの基盤となる人材の育成に取り組んでまいります。(拍手)
規制改革の重要性についてお尋ねがありました。
規制改革の推進は、これまで規制によって困難であった革新的なビジネスモデルや製品を生み出すことを可能とするものであり、イノベーションの創造に資するものであると考えております。情報通信分野も含め、引き続き規制改革を推進してまいります。
イノベーション加速のため税制の果たすべき役割についてお尋ねがありました。
経済がグローバル化する中で、イノベーションを加速させ、国際競争力を強化するため、税制の果たす役割は重要であると考えております。近年の税制改正においても、このような観点から研究開発税制等を導入してきたところです。
今後、イノベーションの加速を図るためには、税制において国際的なイコールフッティングを確保することが重要であり、競争上ハンディキャップになっているものがないかどうか、今後の税制改革の中で検証してまいります。
農林水産業の戦略産業化についてのお尋ねがありました。
農林水産業は、大きな潜在能力を秘めている産業であり、イノベーションの力を活用することにより、その可能性を最大限に引き出し、新世紀にふさわしい戦略産業としていきます。このため、バイオマス利用の加速化や輸出の拡大などに攻めの姿勢で取り組むとともに、株式会社の農業参入の促進や、意欲と能力のある担い手の育成、確保などにより、産業構造の改革を図ります。
財政再建と増税との関係についてのお尋ねがありました。
我が国財政は極めて厳しい状況にあり、歳出歳入の一体改革に正面から取り組む必要があります。成長なくして財政再建なしの理念のもと、経済成長を維持しつつ、国民負担の最小化を第一の目標に歳出削減を徹底してまいります。また、抜本的な行財政改革を強力に推進し、簡素で効率的な、筋肉質の政府を実現します。
このような改革を徹底して実施した上で、それでも対応し切れない社会保障や少子化などに伴う負担増に対しては、安定的な財源を確保するため、抜本的、一体的な税制改革を推進し、将来世代への負担の先送りを行わないようにします。
公務員制度改革についてお尋ねがありました。
公務員制度改革については、能力・実績主義や分限処分のあり方などさまざまな論点について、現行のシステムにとらわれず検討を行い、公務の現場にしっかり根づくような内容の改革を行いたいと考えております。
また、公務員の労働基本権に関する問題については、行政改革推進本部専門調査会でさまざまな角度から検討を始めており、その方向を見きわめたいと考えています。
これらの検討状況を踏まえ、必要な法案の提出時期を考えてまいりたいと思います。
社会保険庁の解体的出直しについてのお尋ねがありました。
社会保険庁については、業務改革、職員の意識改革及び組織改革を強力に推進し、国民の信頼回復を一日も早く図ることができるよう、徹底した改革を行い、解体的出直しを実現しなければならないと考えております。
現在、社会保険庁改革の関連法案を国会に提出し、御審議をいただいているところであり、これが解体的出直しにふさわしいかどうか、また、すべて公務員でやらなければならないかどうかということも含めて、国会で十分に御議論をいただいた上で、国民のための年金制度を真に守ることのできる新組織を早期に実現してまいります。(拍手)
地方分権についてのお尋ねがありました。
地方の活力なくして国の活力はありません。やる気のある地方が自由に独自の施策を展開し、魅力ある地方に生まれ変わるよう、必要となる体制の整備を含め、地方分権を進めます。
地方分権に向けて、関係法令の一括した見直し等により、国と地方の役割分担の見直しを進めるとともに、国の関与、国庫補助負担金の廃止、縮小等を図ります。
地方税については、国、地方の財政状況を踏まえつつ、交付税、補助金の見直しとあわせ、税源移譲を含めた税源配分の見直しを行うなど、一体的な検討を図ります。
また、道州制の本格的導入に向けた道州制ビジョンの策定を進めてまいります。
正規、非正規労働者間の均衡処遇についてお尋ねがありました。
正規、非正規を問わず、どのような働き方を選択しても、安心、納得して働き、経済的自立や結婚、出産、子育てをしていくことのできる環境を整備することが重要な課題であると認識しております。
このため、パート労働者への社会保険の適用拡大、有期雇用を含む労働契約のルールの整備や、均衡処遇や能力開発等を進めるためのパート労働法の改正など、正規、非正規労働者間の均衡処遇の実現に向け、法的整備を含めた検討にしっかりと取り組んでまいる決意であります。
在日米軍再編の今後の進め方についてのお尋ねがありました。
在日米軍再編は、抑止力を維持しつつ地元の負担を軽減するものであり、ぜひとも実現させなければなりません。政府としては、今後とも、沖縄県など地元の切実な声によく耳を傾け、地域振興策などについてもしっかりと取り組むことにより、米軍再編を着実に進めてまいります。
テロ対策特別措置法の延長についてのお尋ねがありました。
国際社会によるテロとの闘いは依然続いており、我が国は、国際協調のもと、テロとの闘いを我が国自身の問題と認識し、引き続き重要な役割を果たさねばならないと考えております。現行のテロ対策特措法は本年十一月一日に期限を迎えますが、以上のような状況にかんがみて、同法の期限を一年間延長したいと考えております。(拍手)
アジア外交についてお尋ねがありました。
アジアが自由で活力ある地域となるよう、アジア諸国との外交に主導力を発揮します。大事な隣国である中国、韓国とは、あらゆるレベルと分野で対話と協力を積み重ね、双方の努力を通じて未来志向の関係を構築していきます。両国との首脳会談については、常に扉をオープンにしてきており、その実現に向けて双方で努力していきます。
同時に、インドや豪州等の基本的価値観を共有する民主主義国、さらにはASEAN諸国との連携を一層強化します。こうした取り組みを通じて、アジア全域の連帯を進めていきます。
戦後日本の出発点、戦後日本の歩み、憲法改正の意義とそのプロセスについてのお尋ねがありました。
戦後の日本は、さきの大戦で国内外に大きな被害を与えたことへの率直な反省の上に立って、半世紀以上にわたって、自由と民主主義、そして基本的人権を守り、国際平和にも貢献してまいりました。そして、高度成長もなし遂げました。私たちは、こうしてつくり上げたこの国の形に堂々と胸を張るべきだと思います。
しかしながら、国の理想、形を物語るものである憲法は、日本が占領されている時代に占領軍の深い関与のもとで制定されたものであり、また、六十年近くを経て現実にそぐわないものとなっています。だからこそ、私たち自身の手で、二十一世紀にふさわしい日本の未来の姿あるいは理想を憲法として書き上げていくことが必要であると考えています。
与野党において議論が深められ、方向性がしっかりと出てくることを願っております。まずは、日本国憲法の改正手続に関する法律案の早期成立を期待します。(拍手)
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〔議長退席、副議長着席〕