安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 松本剛明議員にお答えをいたします。
 公務員の再就職についてのお尋ねがありました。
 私は、世界のグローバル化が進む中で、時代の変化に迅速かつ的確に対応した政策決定を行うため、官邸のスタッフについて、官民を問わず優秀な人材を登用する枠組みを早急に構築することとしております。
 公務員の再就職の問題を考えるに当たっても、官の優秀な人材が民に出て活躍をしたり、また、民の経験を経た者が官の中でその能力を発揮するなど、国全体における官民の人材交流、人材活用の重要性に十分考慮する必要があります。このことを踏まえながら、早期退職慣行の是正にも取り組みつつ、退職管理の適正化に向け、総合的に検討を行う必要があると考えております。
 一方、再就職後の公務員の不正な行為に対しては、厳正なる対処をする必要があると考えております。
 このような視点に立って、前行政改革担当大臣からいただいた提案を踏まえ、公務員制度改革全体の中で改革案を検討します。
 地方分権についてのお尋ねがありました。
 地方の活力なくして国の活力はありません。やる気のある地方が自由に独自の施策を展開し、魅力ある地方に生まれ変わるよう、必要となる体制の整備を含め、地方分権を進めます。地方分権に向けて、関係法令の一括した見直し等により、国と地方の役割分担の見直しを進めるとともに、国の関与、国庫補助負担金の廃止、縮小等を図ってまいります。
 来年度における公共事業予算の取り扱いについてお尋ねがありました。
 今後五年間の公共事業関係費については、基本方針二〇〇六において、歳出歳入一体改革を進める中で、重点化、効率化を徹底することにより、これまでの改革努力を基本的に継続するとされたところであります。この方針に基づき、来年度の公共事業予算についても、概算要求基準において対前年度比三%減としており、コスト縮減や入札改革の徹底、事業のめり張りづけの強化等により、これを達成してまいります。
 公共事業についてのお尋ねがありました。
 公共事業については、都市と地方とを問わず、真に必要な社会資本整備を重点化や効率化を徹底しながら進めるとともに、都市と地方の間における不均衡の解決、地域の自立や活性化に資する事業を実施してまいります。また、未来への投資として、国際競争に勝ち抜くためのインフラ整備や国民生活の安全、安心の確保につながる社会資本整備など、我が国の将来を見据えて必要と判断される公共事業を実施してまいります。
 消費税引き上げに対する意思についてのお尋ねがありました。
 我が国財政は極めて厳しい状況にあり、成長なくして財政再建なしの理念のもと、経済成長を維持しつつ、国民負担の最小化を第一の目標に、歳出削減や行政改革等を徹底してまいります。
 このような改革を徹底して実施した上で、それでも対応し切れない社会保障や少子化などに伴う負担増に対しては、安定的な財源を確保するため、抜本的、一体的な税制改革を推進し、将来世代への負担の先送りを行わないようにします。消費税については、このような抜本的、一体的な税制改革の中で議論を行っていく必要があると考えています。
 現在の諸情勢を勘案すれば、十九年度予算の歳出削減の状況、来年七月ごろに判明する十八年度決算の状況、医療制度改革を踏まえた社会保障給付の実績等を見る必要があり、これらを踏まえて、税制改革の本格的、具体的な議論を行うのは来年秋以降になると考えております。
 いずれにせよ、財政再建の重要性にかんがみ、平成十九年度予算については、従来の改革努力を継続し、徹底した歳出削減に取り組んでまいります。
 税制特別委員会の設置についてお尋ねがありました。
 御指摘のように、税は極めて重要な国政の課題でありますが、特別委員会の設置については、まずは国会において協議をいただくべきものであると考えます。
 定率減税廃止に伴う増収分の使途についてのお尋ねがありました。
 平成十七年度及び十八年度の税制改正による定率減税の縮減、廃止に伴う所得税の増収分については、三二%は地方交付税法に基づき地方交付税に充てられております。残余については、使途が法定されていない一般財源であることから、厳密に特定することは困難でありますが、与党における御議論等も踏まえ、定率減税の縮減、廃止に関連づけられた歳出項目としては、十六年年金改正法附則の規定に基づく基礎年金国庫負担割合の千分の二十五の引き上げの一部や、十七年度分については、特別障害者給付金支給法及び医療観察法により必要となる額に相当する額が挙げられます。
 なお、残る基礎年金国庫負担割合の二分の一への引き上げについては、十六年年金改正法附則において、平成十九年度を目途に、所要の安定した財源を確保する税制の抜本的な改革を行った上で、平成二十一年度までに実施することとされており、基本方針二〇〇六の関係記述も踏まえ、財源のあり方も含め、検討していく必要があります。
 移転価格税制についてのお尋ねがありました。
 移転価格税制は、国外関連者との取引を通じた海外への所得移転に対処し、適正な国際課税の実現を図るもので、これまでも同税制の適用基準の明確化を図るとともに、納税者の予測可能性を確保するとの観点から、納税者からの事前確認の申し出に対して積極的に対応し、迅速かつ的確な処理に努めていると考えております。
 今後とも、我が国の課税所得の国外への流出を防止するとの観点から、事前確認制度の運営も含め、移転価格税制の的確な執行を通じて適正な国際課税の実現に努めてまいります。
 年金制度についてのお尋ねがありました。
 年金制度については、平成十六年の制度改正において、保険料水準の範囲内で給付水準を自動的に調整する仕組みの導入等により、長期的な給付と負担の均衡を確保し、持続可能な制度とすることができたと考えております。
 なお、給付水準については、将来にわたり現役世代の所得の五〇%を維持できる見通しですが、仮に少子化が長期間にわたり予想以上に進行し、将来、五年以内に五〇%を下回ることが見込まれることとなった場合には、給付と負担のあり方について改めて検討し、所要の措置を講ずる旨、法律で定められています。
 公的年金の一元化については、民間サラリーマン、公務員を通じて、将来に向け、同一の報酬であれば同一の保険料を負担し同一の公的年金給付を受けるという公平性の確保などの観点から、まずは厚生年金と共済年金の一元化を速やかに実現してまいりたいと考えております。
 社会保険庁改革についてのお尋ねがありました。
 社会保険庁については、業務改革、職員の意識改革及び組織改革を強力に推進し、国民の信頼回復を一日も早く図ることができるよう徹底した改革を行い、解体的出直しを実現しなければならないと考えております。
 現在、国会に提出している社会保険庁改革の関連法案については、平成二十年十月に社会保険庁を廃止するとともに、新たにねんきん事業機構を設置し、地方組織の抜本改革、外部専門家の登用、約一万人の公務員の削減等を行うものであり、看板のかけかえという批判は当たらないと考えております。
 いずれにしても、今回の法案が解体的出直しにふさわしいものであるかどうか、また、すべて公務員でやらなければならないかどうかということも含めて、国会で改めて十分な御議論をいただいた上で、国民の信頼を得ることができる新組織を早期に実現してまいります。(拍手)
 農家に対する直接支払い制度の導入についてのお尋ねがありました。
 政府としては、意欲と能力のある担い手に対し支援を集中化、重点化することにより構造改革を進め、生産性や品質の向上などの課題の解決を図ることが避けて通れないものと考えております。
 このため、担い手に対象を絞った新たな経営安定対策を十九年産から導入すべく、先般の通常国会において関連法律を整備したところであり、その円滑な実施に向け万全を期す決意であります。
 農産物の貿易交渉についてのお尋ねがありました。
 農産物の貿易交渉においては、輸出促進等攻めの姿勢を持ちつつ、日本の農業、農村の面から譲れないところは交渉で全力を尽くして守っていく考えであります。この方針は、政府・与党一体のものであります。
 普天間飛行場の移設、返還を含む在日米軍再編の進め方についてのお尋ねがありました。
 在日米軍再編は、抑止力を維持しつつ地元の負担を軽減するものであり、ぜひとも実現させなければなりません。
 政府としては、今後とも、沖縄県など地元の切実な声によく耳を傾け、地域振興策などについてもしっかりと取り組むことにより、米軍再編を着実に進めてまいります。また、日米地位協定については、引き続き運用の改善に努めてまいります。日米同盟については、世界とアジアのための日米同盟の考え方に基づき、一層強固にしてまいります。
 在日米軍再編の予算と法的枠組みについてのお尋ねがありました。
 在日米軍再編に伴う日本側の経費負担については、現在、再編案の詳細な計画等について日米間で検討しているところでもあり、具体的に申し上げる段階ではありませんが、鋭意検討を進め、できるだけ早期に明らかにしてまいりたいと考えています。
 法的枠組みについては、地域振興策等の必要性を踏まえ、法整備が必要か否かも含めて検討を進めているところです。
 集団的自衛権についてのお尋ねがありました。
 政府としては、これまでの憲法解釈や国会における議論の積み重ねを十分に尊重しつつ、大量破壊兵器やミサイルの拡散、テロとの闘いといった国際情勢の変化や、武器技術の進歩、我が国の国際貢献に対する期待の高まりなどを踏まえ、日米同盟がより効果的に機能し、平和が維持されるようにするため、いかなる場合が憲法で禁止されている集団的自衛権の行使に該当するのか、個別具体的な例に即し、よく研究してまいります。
 なお、研究に当たりましては、これまでの国会等における御議論も十分踏まえながら、整々と検討を進めてまいりたいと考えております。
 緊急事態法制と危機管理の体制の整備についてのお尋ねがありました。
 国民の安全に重大な影響を及ぼす緊急事態に迅速的確に対処できる体制の構築は政府の責務であり、着実に取り組んでまいります。なお、新たな法制の整備については、現段階ではその必要性は乏しいものと認識しております。
 他方、危機管理体制の整備に関しては、政府全体として総合力を発揮し、国民の安全を確保するよう取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)

発言情報

speech_id: 116505254X00420061002_010

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2006-10-02

院: 衆議院

会議名: 本会議