佐藤泰介の発言 (教育基本法に関する特別委員会)

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○佐藤泰介君 ただいま議題となりました日本国教育基本法案、地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律案及び学校教育の環境の整備の推進による教育の振興に関する法律案の三法案につきまして、民主党・新緑風会を代表し、その提案の理由及び内容の概要について御説明申し上げます。
 人なくして国なしであります。民主党・新緑風会は、明日を担う人間を育てることこそが最重要課題と位置付け、新たな文明の創造を希求し、未来を担う人間の育成について教育が果たすべき使命の重要性にかんがみ、このたび日本国教育基本法案等三法案を提出いたしました。
 我が国の教育は様々な問題に直面しています。すなわち、人生のスタート段階における格差問題、いじめを原因とする痛ましい自殺や不登校、学力低下の問題、受験第一主義の行き過ぎによる未履修問題、さらには昨今、小中学生をめぐる悲惨な事件も続発しています。
 こうした教育の問題を抜本的に改善するためには、日本国教育基本法において、新しい時代に対応した新たな教育の理念を明示するとともに、この理念を具体化するため、子供たちとじかに接する教育現場における民主的、自律的な運営を行うための教育行政の抜本的な改革と、学校教育の環境整備のために必要な財源の確保が不可欠と言わなければなりません。私たち民主党・新緑風会は、これらの要請にこたえるため、日本国教育基本法案等三法案を取りまとめた次第です。
 まず、日本国教育基本法案につきまして、以下、主な内容を申し上げます。
 第一に、我々は物質文明を脱し、コミュニケーションや知恵や文化を重視する情報文化社会の創造を目指し、その担い手を育成するために重要なアイデンティティーの醸成を図るため、前文において、教育の使命は、「人間の尊厳と平和を重んじ、生命の尊さを知り、真理と正義を愛し、美しいものを美しいと感ずる心を育み、創造性に富んだ、人格の向上発展を目指す人間の育成である。」とし、同時に、日本を愛する心を涵養し、祖先を敬い、子孫に思いを致し、伝統、文化、芸術を尊び、学術の振興に努め、他国や他文化を理解し、新たな文明の創造を希求することを明記しております。
 第二に、何人に対しても生涯にわたって学ぶ権利を保障することとしております。
 第三に、国及び地方公共団体は、それぞれの子供に応じた教育機会及び環境の確保、整備を図るものとし、国は普通教育の最終的責任を有するものとしております。
 第四に、幼児期の教育及び高等教育について、無償教育の漸進的な導入に努めることとしております。
 第五に、生命及び宗教に関する教育については、生の、命の意義や死の意味を考察し、宗教的な文化や伝統に関する基本的な知識の修得及び宗教の意義の理解、そして宗教的感性の涵養は教育上尊重されなければならないとしております。
 第六に、インターネット社会の光と影について正しく理解するための教育を推進するとしております。
 第七に、地方公共団体が行う教育行政はその長が行わなければならないと規定するとともに、地域の子供は地域で育てていくとの考えから、その設置する学校には学校理事会を設置し、主体的、自律的運営を行うものとしております。
 第八に、教育予算を安定的に確保するため、公教育財政支出について、国内総生産、GDPに対する比率を指標とすることを規定しております。
 このほか、建学の自由、私立学校の振興、障害を有する子供への特別な状況に応じた教育、職業教育等についても規定しております。
 なお、義務教育期間等については、今後検討を加え、施行後三年以内に必要な措置を講ずることとしております。
 続きまして、地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律案につきまして、御説明申し上げます。
 本法律案は、日本国教育基本法の理念を具体化し、地方公共団体における教育行政の適正な運営を図るため、地方公共団体による教育機関の設置及び学校理事会、教育監査委員会等に関し必要な事項を定めようとするものであります。
 以下、主要な内容について、御説明申し上げます。
 第一に、責任の所在が不明確な教育委員会を廃止し、その事務を地方公共団体の長に移管することとしております。
 第二に、地方公共団体に新たに教育監査委員会を設置し、地方公共団体の長に移管された事務の実施状況に関し、必要な評価、監視を行い、長に対しその改善のために必要な勧告をすることとしております。
 第三に、地方公共団体の設置する学校ごとに保護者や地域住民、校長等から構成される学校理事会を設置し、各学校において主体的、自律的運営を行うこととしております。
 第四に、公立学校の教職員の任命は、すべて設置者である地方公共団体の長が行うこととしております。
 最後に、学校教育の環境の整備の推進による教育の振興に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
 本法律案は、日本国教育基本法の理念を具体化するため、子供たちがその発達段階及びそれぞれの状況に応じた適切かつ最善な環境で学校教育を受けることができるよう、学校教育の環境の整備に関する指針等を策定するとともに、その着実な達成を図ることにより、教育の振興に資することを目的としております。
 以下、主な内容について御説明申し上げます。
 第一に、学校教育の環境の整備は、子供たちがその発達段階及びそれぞれの状況に応じた適切かつ最善な環境で学校教育を受けることができるよう、多様な教育機会の提供、きめ細かな教育指導の充実、安全・快適な学校教育のための諸条件の整備、心身の健康・職業選択等に関する相談体制の充実等を旨として行うことを基本方針とすることとしております。
 第二に、国は、この基本方針に基づき、学校教育の環境整備に関する施策を総合的に策定、実施する責務を有することとしております。
 第三に、地方公共団体は、この基本方針に基づき、学校教育の環境整備に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その区域の特性を生かした自主的な施策を策定、実施する責務を有することとしております。
 第四に、教職員の配置、学級編制、学校の施設設備など学校教育の環境の整備に係る重要項目についての目標水準、その達成の目標年次等に関し、日本国教育基本法第十九条の教育の振興に関する計画の一部として、政府は整備指針を、地方公共団体は整備計画を、それぞれ策定することとしております。
 第五に、国及び地方公共団体は、日本国教育基本法第十九条に規定する教育予算の確保・充実の目標を踏まえ、整備指針及び整備計画を達成するため、必要な財政上の措置等を講ずることとしております。
 政府・与党は、教育基本法改正案を提出しただけで、その後の具体的な教育の在り方については何ら明らかにせず、無責任な態度に終始しており、新しい教育の具体像が全く見えません。地図を示さず、やみくもに前に進めと言われても、国民は信用できません。
 私たち民主党・新緑風会は、責任政党として、国民の切実な要請にこたえるため、これら三法案を併せて提案した次第であります。
 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

発言情報

speech_id: 116514048X00120061122_015

発言者: 佐藤泰介

speaker_id: 12789

日付: 2006-11-22

院: 参議院

会議名: 教育基本法に関する特別委員会