松野博一の発言 (経済・産業・雇用に関する調査会)

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○大臣政務官(松野博一君) 厚生労働大臣政務官の松野でございます。
 本日は、雇用をめぐる現状と課題というテーマに基づき、厚生労働省における雇用政策について、お手元に配付をさせていただきました資料に沿って説明をさせていただきます。
 まず、雇用失業情勢の現状について御説明を申し上げます。
 資料の二ページ目をごらんください。
 我が国の雇用失業情勢は、厳しさが残るものの、改善が進んでおります。経済が長期間低迷する中で、完全失業率が五%を上回る水準となるなど厳しい時期もありましたが、平成十四年以降の景気の回復に伴い、雇用情勢も全体としては改善が進んでおり、本年九月の有効求人倍率は一・〇八倍、完全失業率は四・二%となっております。
 しかしながら、その実態については様々な課題があるものと考えています。経済産業構造の変化や価値観の多様化などを背景に、パート労働者や派遣労働者など雇用期間が相対的に短い非正規雇用者の割合が高まっております。若者については、完全失業率の水準が依然として高く、いわゆる年長フリーターやニートの問題もあります。高齢者については、一昨年に六十五歳までの定年の引上げ等の措置が義務付けられたところですが、有効求人倍率は依然として他の年齢層と比べると低い水準にあり、相対的にはなお厳しい雇用環境にあります。
 また、働く者の仕事と生活に関する意識やニーズが多様化する中で、仕事と仕事以外の活動を様々に組み合わせ、バランスの取れた働き方を安心、納得して選択していけるようにすること、すなわち、仕事と生活の調和の実現が重要になっています。
 国勢調査の結果によると、我が国の総人口が二〇〇五年に減少に転じたことが確認され、また、二〇〇七年から約六百七十万人の団塊の世代が六十歳代に順次到達するなど、我が国経済社会は大きな転換期を迎えています。
 このような状況の中で、労働力人口の減少を抑え、経済社会の活力を維持増進させるためには、若者、高齢者、女性など、だれもが意欲と能力を最大限発揮し、働くことができるようにすることが重要であると考えております。
 まず、非正規雇用の問題について御説明申し上げます。
 四ページ目をごらんください。
 正規雇用者数は近年減少傾向にある中で、非正規雇用者数は若年層を中心に増加しており、非正規雇用者の雇用者全体に占める割合はおおむね三人に一人となっております。その内訳を見ると、二〇〇五年では、パート、アルバイトが千百二十万人、派遣社員が百六万人、契約社員等が四百七万人となっております。
 こうした非正規雇用の増加は、経済産業構造の変化や価値観の多様化など、企業と労働者双方のニーズによりもたらされているものと考えております。
 五ページ目をごらんください。
 非正規雇用の年齢階級別の動向ですが、近年特に二十歳から二十四歳、二十五歳から二十九歳の若年者で非正規雇用の比率の伸びが大きくなっております。
 六ページ目をごらんください。
 非正規雇用者が増加することによる社会的影響ですが、左の教育訓練の実施状況をごらんいただきますと、正規雇用者と非正規雇用者の間では職業能力開発機会に格差があることが分かります。また、右の有配偶者の占める割合をごらんいただきますと、非正規雇用では正規雇用に比べ有配偶率も低くなっております。
 このように、若年者を中心とした非正規雇用の増加は、将来、社会全体としての人的資本の蓄積の弱体化、晩婚化、非婚化による少子化の加速につながる懸念があり、十分な注意が必要であると考えています。
 七ページ目をごらんください。
 これから非正規雇用について課題と具体的な取組の方向をお示ししております。
 パートタイム労働者については、正社員との間で賃金などの待遇の格差が主な課題となっており、パートタイム労働者の態様に応じた均衡処遇の確保や正社員への転換等を推進するためのパート労働法の見直しについて検討を進めています。
 また、有期労働契約者について、契約期間中はやむを得ない場合を除き解約できないこと等について検討しております。
 さらに、フリーター等の増加については、先ほども申し上げましたとおり、職業能力開発機会の格差や少子化の加速といった懸念があります。このような状況を踏まえ、若者の能力、経験の正当な評価と採用機会の拡大等について雇用対策法を見直し、事業主に努力義務を課すことなどを検討しています。
 なお、いわゆる偽装請負の問題と、フリーター二十五万人常用雇用化プラン等の若年者雇用対策につきましては、追って御説明申し上げます。
 続いて、若年者の雇用対策について御説明申し上げます。
 九ページ目をごらんください。
 若者の雇用情勢につきましても、全体としては改善の動きが加速化しております。完全失業率は八・七%と、平成十年以来となる九%を下回る水準まで低下しております。また、有効求人倍率は一・四九倍と、平成四年以来の水準まで上昇しています。
 さらに、高校生、大学生の就職率ですが、高校生については昨年に比べ〇・九ポイント上回る九八・一%、大学生については昨年に比べ一・八ポイント上回る九五・三%と、いずれも大きく改善しています。
 十ページ目をごらんください。
 いわゆるフリーターの数については、二〇〇三年に二百十七万人まで増加した後、二年連続減少し、二〇〇五年には二百一万人となっているものの、二十五歳以上の年長フリーターについてはほとんど減少しておりません。また、いわゆるニートの数は、二〇〇二年に六十四万人となってからは高止まりしており、二十五歳以上の層については増加しています。
 このように、就職氷河期に正社員となれずフリーターにとどまっている若者やニートなどの無業者は依然として多く、こうした若者に対する支援は極めて重要であると考えております。
 このため、厚生労働省においては、本年一月に改訂されました若者の自立・挑戦のためのアクションプランに基づき、関係府省と密接に連携しつつ、各種対策に取り組んでいるところです。
 十一ページ目をごらんください。
 本年四月からフリーター二十五万人常用雇用化プランとして、常用雇用を希望するフリーターに対してジョブカフェやハローワーク等におけるきめ細やかな就職支援等を行っております。
 昨年度においては、フリーター二十万人常用雇用化プランとして目標を設定し、ハローワークによる就職者数十八・五万人を含め二十二・五万人の常用雇用を実現いたしました。本年度は更に目標値を高く設定してこれらの取組を推進しています。
 十二ページ目には、ニート等の若者の働く意欲や能力を高めるための総合的取組をお示ししております。各地域に地域若者サポートステーションを設置し、地域の若者支援機関のネットワークの中核として各機関サービスが効果的に受けられるようにすることにより、ニート等の自立を支援しています。
 また、合宿形式による集団生活の中で生活訓練、労働体験等を通じて働く自信と意欲を付与する若者自立塾事業を推進しています。
 さらに、全国のハローワーク等において専門的相談体制を整備し、若者の就業をめぐる悩みに対応することとしています。
 そして、若者に働くことの意義を実感させ、働く意欲、能力を高めるため、経済界、労働界、教育界、地域社会、政府等の関係者が一体となって取り組む若者の人間力を高めるための国民運動を展開しています。
 このほか、若者の応募機会の拡大が図られるよう、経済団体等への働き掛けを行うとともに、先ほど申し上げたとおり、雇用対策法の見直しについて検討を進めるなど、若者に関する各般の雇用対策に取り組んでいるところです。
 次に、高齢者の雇用対策について御説明申し上げます。
 十四ページ目をごらんください。
 出生率の低下、団塊の世代の高齢化により、労働力人口は今後減少していくと見られています。また、雇用失業情勢が全体として改善傾向にある中で、高齢者の有効求人倍率は、本年九月で〇・六〇倍と厳しい情勢が続いております。一方で、日本の高齢者の就業意欲は各国と比較して非常に高く、二〇〇四年における六十歳から六十四歳の男性の労働力率は七一%となっています。さらに、厚生年金の定額部分の支給開始年齢が二〇一三年までにかけて段階的に六十五歳まで引き上げられているところであります。
 こうしたことから、就労意欲のある高齢者が年齢にかかわりなく働き続けることができる環境の整備が必要であります。
 このような問題意識を踏まえ、平成十六年に高年齢者雇用安定法を改正いたしました。その概要については十五ページ目をごらんください。
 このうち、六十五歳までの雇用確保につきましては本年四月から施行されており、事業主は、定年の引上げ、継続雇用制度の導入、定年の定めの廃止のうちいずれかの措置を講ずることが義務付けられたところです。
 厚生労働省では、法の着実な施行のため、事業主に対して適時適切な助言、指導、支援に努めてきたところです。その施行状況につきましては十六ページ目をごらんください。
 本年六月一日現在、五十一人以上規模企業の約八四%が法に沿った措置を導入済みとなっております。また、この高年齢者雇用確保措置における上限年齢については、年金支給開始年齢の引上げに合わせ、平成二十五年までに六十五歳となるよう段階的に引き上げることとしていますが、措置を導入済みの企業のうち、このスケジュールを前倒しし、六十五歳以上を上限年齢としている企業は七六・三%となっております。
 十四ページに戻っていただきまして、高齢者がその意欲と能力に応じて年齢にかかわらず働き続けることができる社会の実現に当たっては、個人の能力や適性にかかわらず年齢のみを理由として就職の機会を奪う年齢制限を是正する必要があり、合理的な理由なく年齢を考慮して採用を行おうとする事業主に対しては、年齢制限是正の意義と必要性の浸透を図ることが重要であると考えております。
 このため、現在ハローワークでは、雇用対策法による労働者の募集、採用に当たっての年齢制限緩和の努力義務、改正高年齢者雇用安定法による年齢制限に係る理由の提示の義務付けを踏まえ、求人受理の際に合理的な理由なく年齢制限を課すことのないよう指導しており、本年九月の年齢不問求人割合は、平成十三年九月一日の一・六%から四五・二%に増加しております。今後ともこの指導を徹底してまいりたいと考えております。
 続きまして、高齢者の多様な就業・社会参加の促進を図るという点につきましては、シルバー人材センターにおいて、地域に密着し、高齢者の多様なニーズに応じた就業機会を提供しているところであり、今後とも事業の推進に努めてまいりたいと考えております。
 こうした各種施策を通じ、高齢者が生き生きと働くことができる活力がある社会の構築に向けて努力してまいります。
 次に、ワーク・ライフ・バランスについて御説明申し上げます。
 十八ページ目をごらんください。
 少子高齢化等の中で、働く者の意欲、能力が最大限発揮できることの必要性や、働く者の仕事と生活に関する意識やニーズの多様化を背景として、働く者一人一人が職業生活における各々の段階において、仕事と、家庭、地域、学習といった仕事以外の活動を様々に組み合わせ、バランスの取れた働き方を安心、納得して選択していけるようにする、仕事と生活の調和の実現が重要であります。
 こうした観点から、厚生労働省として、ワーク・ライフ・バランスにかかわる所要の取組をこれから申し上げるとおり推進しているところであります。
 まず、労働時間等の現状を御説明します。
 十九ページ目をごらんください。
 近年、全労働者の年間総実労働時間は減少傾向にありますが、その原因は、二十ページ目にありますように、主として短時間労働者の割合が増加したためと考えられます。一般労働者については依然として長時間労働の実態があり、労働時間の長短二極化の進展等、新たな課題が発生しております。
 次に、二十一ページ目をごらんください。
 近年、年次有給休暇の取得率は低下傾向にあります。その原因の一つとしては、年次有給休暇の取得について事業場における労使の意識が前向きなものとなってないこともあると考えられます。
 二十二ページ目をごらんください。
 これに対応するために、労働時間等の設定を労働者の健康と生活に配慮するとともに、多様な働き方に対応したものへと改善するため、時短促進法を労働時間等設定改善法へと改正し、今年四月一日から施行したところです。同法に基づき、労使の自主的な取組を推進することを通じて、所定外労働の削減や年次有給休暇の取得促進を進めることにより、長時間労働の是正に取り組んでおります。
 二十三ページ目をごらんください。
 ワーク・ライフ・バランスへの取組の中でも、特に仕事と家庭の両立支援が重要となっています。厚生労働省としては、希望する者すべてが子育て等をしながら安心して働くことができる社会の実現をするために、育児・介護休業法等の施行、事業主の両立支援への取組の支援、労働者への支援を行っております。
 二十四ページ目に参りまして、仕事と家庭が両立できる働き方を実現するためには企業における取組が重要です。このため、各企業に対し次世代法に基づく次世代育成支援のための行動計画の策定をお願いをしております。現在、行動計画の策定、届出義務のある従業員三百一人以上の大企業においては、ほぼ一〇〇%の企業に届出を行っていただいているところです。今年度は、従業員三百人以下の中小企業においても行動計画の策定が進むよう積極的に取り組んでまいります。また、来年度からは、行動計画を策定、届出し、一定基準を満たした企業を厚生労働大臣が認定する仕組みがスタートします。認定を受けた企業は、次世代認定マークをその商品や求人広告などに使うことができるようになります。
 二十五ページ目でございますが、ワーク・ライフ・バランスの実現のためには企業の意識を変えていただくことが重要であることから、厚生労働省においては、日本アイ・ビー・エム株式会社の北城会長を座長として、企業経営者や経営者団体、有識者の御参加の下に、男性が育児参加できるワーク・ライフ・バランス推進協議会を開催し、去る十月十三日に企業経営者向けの提言をとりまとめていただいたところです。今回の提言には、男性も日常的に育児参加ができるような柔軟な働き方や、短くて効率的な働き方によるワーク・ライフ・バランスの実現によって、優秀な人材の確保・定着、従業員の意欲、生産性の向上、仕事の内容や進め方の見直し、効率化などといった企業経営にとってもメリットがあるといったことが盛り込まれております。
 最後に、いわゆる偽装請負について御説明申し上げます。
 二十七ページ目をごらんください。
 請負とは、発注者と請負労働者の間に指揮命令関係はなく、請け負った事業主がその請負労働者についてすべての責任を負うものです。
 一方、労働者派遣とは、労働者の派遣を受け入れる事業主、すなわち派遣先の事業主が派遣労働者に指揮命令を行うものであり、その指揮命令に伴う責任を負うこととされております。
 ここで、いわゆる偽装請負とは、請負、業務委託を偽って、労働者派遣契約を締結しないまま発注者が労働者に指揮命令を行う労働者派遣を行うことであり、労働者派遣法等に違反するものです。これについては、安全衛生等の事業主責任の所在があいまいとなり、労働災害の発生につながるなどの問題があるものと認識しております。
 いわゆる偽装請負の発生原因ですが、製造業における請負労働については、一時的、季節的な業務量の増大に対処するため、欠員補充等必要な人員を迅速に確保できるため、経費が割安なため等の理由から大企業を中心に幅広く活用されております。このようなニーズにより請負事業の活用が進む中で、本来指揮命令を行うべき請負事業主ではなく、発注者が請負労働者に対し安易に指揮命令すること等によりいわゆる偽装請負が生じているものと考えております。
 次に、その防止、解消策について御説明申し上げます。
 いわゆる偽装請負への問題に的確に対応するため、平成十六年度からは、監督指導業務をハローワークから労働局に集中化して専門的に対応する体制を整備しております。
 二十八ページ目をごらんください。
 請負事業主に対する監督指導の実施件数、発注者に対する監督指導の実施件数のいずれも年々増加しており、また、このうち文書による指導を実施した件数も増加しています。
 また、今般、偽装請負の防止、解消を図るため、一層取組を強化することとしました。
 二十九ページ目をごらんください。
 本年九月四日に、厚生労働省から各都道府県労働局に対し、請負事業主、発注者等に対する広報、集団指導の実施などの周知啓発の強化、職業安定行政と労働基準行政の間での情報共有化の徹底と共同監督の計画的実施を始めとする監督指導の強化、死亡災害等重篤な労働災害を発生させた悪質な違反が認められた発注者に対する司法処分、請負事業主に対する刑事告発、行政処分といった厳格な対応などの取組を進めるよう指示いたしました。
 このような取組を通じて、事業主に対して法令遵守の徹底を図るとともに、偽装請負等の違法事案に対する是正指導を進めているところでもあり、今後とも違法事案の防止、解消に最大限の努力をしてまいります。
 雇用をめぐる現状と課題に関する説明は以上でございます。
 厚生労働省としては、今後とも、だれもが意欲と能力を最大限に発揮し、働くことができるような社会の実現に全力を尽くしてまいりますので、皆様の御理解と御協力をよろしくお願いを申し上げます。

発言情報

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発言者: 松野博一

speaker_id: 23071

日付: 2006-11-08

院: 参議院

会議名: 経済・産業・雇用に関する調査会