大塚宗春の発言 (決算委員会)

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○会計検査院長(大塚宗春君) 国会法百五条の規定に基づく決算委員会からの会計検査の要請に対する結果報告に関する概要説明を行います。
 会計検査院は、平成十七年六月七日付けで参議院議長から会計検査及びその結果の報告の要請がありました九事項のうち、昨年度に報告をした二事項を除く各府省が所管する各特別会計に関する事項外六事項につきまして、関係府省、関係地方公共団体及び関係独立行政法人などを対象に検査を行い、九月二十一日、十月十八日及び十月二十五日にその結果の報告書を提出いたしました。その報告書の概要を御説明いたします。
 最初に、「政府開発援助(ODA)に関する会計検査の結果について」を御説明いたします。
 検査しましたところ、JICA等との契約に基づきコンサルタントが実施した調査において、再委託契約の精算に当たり適正を欠くなどの事態がありました。草の根・人間の安全保障無償援助において、贈与契約上の終了期日までに終了していないものが多く見受けられるなどの事態が見受けられました。スマトラ沖地震の被災国に対するノンプロジェクト無償資金協力事業において、資金供与額に対する支払済額の割合である支払率は、十八年三月末現在、二〇・五%から四二・八%となっていました。
 検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、JICA等において、再委託契約を伴う委託契約について適正な契約の履行の確保に徹底を期する必要があると考えております。また、JICAの委託契約に係る再委託契約で経理処理等が事実と異なっていることが判明した案件については、引き続き検査を実施し、取りまとめができ次第報告することとしております。草の根・人間の安全保障無償援助について、贈与契約の締結等の際には、被供与団体に対し制度の趣旨を一層周知徹底することなどについて指示を徹底し、今後の業務運営等に当たり更に留意することが必要であると考えております。被災国への緊急援助として実施されたものについては、速やかに災害復旧・復興のために使用されることが必要であると考えております。本院としては、資金の執行状況について引き続き検査を実施し、取りまとめができ次第報告することとしております。
 次に、「独立行政法人中小企業基盤整備機構(旧・中小企業総合事業団)の実施する高度化事業に関する会計検査の結果について」を御説明いたします。
 高度化事業においては、貸付条件等は緩和されてきているものの、中小企業者にとって事務手続等が煩雑であること、民間金融機関からも低金利で融資を受けられる状況にあること、都道府県にとって事務負担が大きく、その取組が消極化していることなどから、新規の貸付けが減少し、一方で繰上償還の増加に伴う償還金が多額に上っております。このため、貸付残高が急激に減少し、貸付財源と貸付残高との間に乖離が生じ、余裕金が増加しておりました。また、貸付残高に占める不良債権の割合も上昇傾向にありました。
 検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、制度利用者の立場に立った貸付手続の一層の簡素化を図るなどして制度の利用促進に努め、都道府県の取組が消極化しないようにその担うべき役割を検討していくこと、債権管理態勢のより一層の整備を図り、多額に上っている不良債権の処理を促進すること、余裕金の解消が困難と見込まれる場合には事業の実施状況に見合った財源の規模とするような措置をとることが必要と考えております。
 次に、「特別会計の状況に関する会計検査の結果について」を御説明いたします。
 検査いたしましたところ、財政状況の透明性の確保が十分には図られていなかったり、多額の繰越額・不用額、決算剰余金が継続して発生していたり、積立金等の保有規模に関する基準が具体的に定められていなかったり、予算積算と執行実績とが乖離している状態が継続していたり、出資法人において繰越欠損金を抱えていたりなどの財政統制上の課題が見受けられました。
 検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、特別会計を所管する各府省において、分かりやすい情報提供に努め、各特別会計の透明性の向上を図ること、予算の執行状況や決算の精査、分析を一層徹底し、的確に予算に反映させること、決算剰余金及び積立金等の内容や残高に留意し、財源の性格、特別会計の事業に対する需要の動向等から見て可能な場合は、一般会計への繰入れも含めてその有効活用を図るなどの検討を行うこと、事務事業の適切な管理を図り、歳出の合理化に向けた予算執行管理を徹底すること、出資法人に対して新規事業の採択の適正性、財務状況等について常に注視するなど出資者として適切な管理を行うことに留意して見直しを進めるとともに、政府一体として、現在行っている特別会計の改革を着実に実施し、各特別会計における財政統制を実効あるものにしていくことが重要と考えております。
 次に、「地方財政の状況に関する会計検査の結果について」を御説明いたします。
 地方財政計画の歳出の種類ごとの決算額では、一般行政経費につきまして二年度以降決算額が六兆円を超えて計画額を上回る乖離が生じており、投資的経費(単独)につきまして十一年度以降決算額が五兆円を超えて計画額を下回る乖離が生じておりました。職員に対する特殊勤務手当等では、他の手当又は給料で措置される勤務内容に対して重複の観点から検討を要すると思われる手当などが支給されておりました。職員の福利厚生事業への支出では、ほとんどの地方公共団体で職員互助組合等に対して補助金が交付され、現金給付のほか、商品券、旅行券等の物品給付が補助金の対象となっておりました。職員の病気休暇等の制度では、病気休暇では国と同様である団体が二一%、特別休暇等では国より多い団体が九〇%となっておりました。
 検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、地方財政計画額と決算額の乖離の縮小を図るために、単独事業の地方財政計画額は、地方における標準的な経費の実態を十分に踏まえて計上すること、地方公務員に係る特殊勤務手当等、福利厚生事業への支出、病気休暇等の制度については、各地方公共団体において、必要性及び妥当性を改めて点検し、住民の理解が得られるものとなるよう見直しを実施して、その内容等を住民に開示し公表することが求められると考えております。
 次に、「各府省等におけるコンピュータシステムに関する会計検査の結果について」を御説明いたします。
 検査いたしましたところ、次のような状況となっておりました。
 各府省の株式会社エヌ・ティ・ティ・データ等コンピュータシステム会社に対する事務・業務の委託契約の状況につきましては、支払金額の上位五者で全体の支払金額の六五・四%を占めておりました。保守・運用契約の競争性、経済性の状況につきましては、契約の競争性が低く、また、予定価格の算定に関し、契約後の事後検証が必ずしも十分ではありませんでした。主なシステムの利用の状況につきましては、電子申請等関係システムの利用率が低調となっておりました。情報セキュリティーの管理体制の状況につきましては、管理体制が必ずしも十分とは言えませんでした。電子政府構築計画に基づく業務・システム最適化計画の作成を予定しているシステムの現状と最適化に向けた取組の状況につきましては、最適化計画で示されている効果を発現させるためには課題が見受けられました。
 検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、契約の競争性、透明性を向上させ、積算の合理性の向上を図ること、電子申請等関係システムの利用の拡大を図り、国民の利便性の向上に努めること、情報セキュリティー対策の強化を図るとともに、そのための管理体制の整備を図ること、業務・システムの最適化を円滑に進めるとともに、最適化計画が状況の変化に対応したものとなっているか常に留意することなどにより、国の情報システム関係予算の経済的、効率的、効果的な執行を図ることが重要であると考えております。
 次に、「社会保障費支出の現状に関する会計検査の結果について」を御説明いたします。
 医療保険等につきましては、市町村が運営する国民健康保険におきまして厳しい財政状況となっております。また、若年者及び老人の一人当たり医療費に地域格差が見られ、その格差は近年固定化する傾向にございます。介護保険につきましては、一人当たり実質収支額がマイナスとなっている市町村等が見受けられ、また、認定率、一人当たり給付費、第一号保険料等で地域格差が見られます。生活保護につきましては、保護率等のほか、保護の実施体制、実施状況についても地域格差が見られますが、これらの行政的要因と保護率との間に明確な相関は見られませんでした。
 検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、まず、医療保険等につきましては、医療保険財政の改善のため収支両面にわたる一層の取組が求められ、また、医療費の地域格差については縮小していくことが望まれます。次に、介護保険につきましては、介護保険の利用動向等をより的確に把握し、また、過度なサービス提供等に起因する地域格差は是正を図る必要があると思料されます。最後に、生活保護につきましては、なお一層の制度の適正な運営を確保するため、事業主体間の格差について縮小することが望まれます。
 最後に、「中心市街地活性化プロジェクトの実施状況に関する会計検査の結果について」を御説明いたします。
 検査したところ、プロジェクトの実施状況等については、多くの地区において、計画作成に当たり市町村が地域住民等の意向を把握していなかったり、ほとんどの地区において、年間商品販売額等の具体的な数値目標を設定していなかったり、新たな市街地を整備することとしている地区があったりなどしておりました。プロジェクト実施機関の人的体制、財政基盤については、市区町村における民間組織との連携を円滑にするための協議会の設置が五割程度にとどまっていたり、タウンマネジメント機関で専任従事者を一人も置いていないものが六割以上となっていたりなどの状況となっておりました。中小企業の活性化等プロジェクトの有効性については、人口以外の指標について一部の地区を除いて下げ止まりが見られるとは言えない状況となっており、また、実施される事業の種別、大規模小売店舗の立地状況など地区の特性等が影響を与えていると思料されました。
 検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、改正後のまちづくり三法及び新基本方針に基づく中心市街地活性化施策の実施に当たっては、市区町村において、適切かつ具体的な基本計画を作成し、実施体制の整備充実を図り、明確な目標を定めて施策を実現していくこと、また、国等において、中心市街地活性化のための一体的な取組が効果的になされるよう効率的な国費等の投入を行っていくことが重要と考えております。
 これをもって報告書の概要の説明を終わります。
 引き続きまして、会計検査院法第三十条の二の規定に基づく報告に関する概要説明を行います。
 会計検査院は、会計検査院法第三十条の二の規定により国会及び内閣に対して、七月十三日、十月十一日及び十月十八日に計五件の報告を提出いたしました。その報告書の概要を御説明いたします。
 最初に、「土地改良負担金総合償還対策事業のために国庫補助金により造成された土地改良負担金対策資金について、資金規模を資金需要に対応したものに改めるよう農林水産大臣に対して改善の処置を要求したもの」を御説明いたします。
 農林水産省では、財団法人全国土地改良資金協会に土地改良負担金対策資金を造成し、土地改良負担金に係る借換え資金の利子補給を行うなどすることといたしました。
 検査の結果でございますが、十六年度末の対策資金の資金残高は千六百五十八億余円となっている一方で、十七年度以降に交付される利子補給金等は三百三十億余円と推計されることなどから、農林水産省に対し、資金需要に対応した資金規模の把握を行うことや、多額の余裕資金の発生が想定される場合には資金規模の縮小を図ることなどの処置を講ずるよう改善の処置を要求いたしました。
 次に、「高速道路の建設事業に係る入札・契約制度の見直しの状況等について」を御説明いたします。
 日本道路公団の鋼橋上部工工事について、十七年度に談合の事実が発覚し、その状況の下、日本道路公団、首都高速道路公団及び阪神高速道路公団において入札・契約制度の見直し策が策定されました。
 検査いたしましたところ、入札者が多いほど落札率が低下している傾向もある一方で、入札参加資格の要件は変更されていないなどの状況となっておりました。
 検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、入札参加資格の要件は、更に競争性の高い入札となることを指向して、その見直しについて検討すること、また、談合事件による損害については、引き続き適時に適切な違約金等の請求を行い、その速やかな回復に努めることなどが重要と考えております。
 次に、「成田国際空港株式会社における空港施設等の整備事業に係る入札・契約の実施状況等について」を御説明いたします。
 平成十七年十二月に、十五年度に発注した受変電設備工事の入札に関し、成田国際空港株式会社の社員が刑法の競売入札妨害罪で逮捕、起訴されるという事態が発生いたしました。
 検査いたしましたところ、受変電設備工事について変圧器等の主要機器について自ら製作することを競争参加の条件としているため、入札者が限定的となっていたり、違約金条項を契約書に明記する措置をとっていなかったりしている状況となっておりました。
 検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、同会社が策定した工事発注事務の適正化策を確実に実施するとともに、競争参加者の一層の拡大を努めること、立件対象となった三件の工事について、損害賠償の請求について検討することなどが重要と考えております。
 次に、「関西国際空港の経営において、長期有利子債務の確実な償還を図り、安定的な経営基盤を確立するため、経営改善に努めることが必要な事態について」を御説明いたします。
 関西国際空港株式会社におきましては、累積損失額が平成十四年度末で二千六十八億円と多額に上っているなどの状況を踏まえ、十五年度からの三か年を経営改善集中期間として経営改善に取り組み、そして、国は十五年度から同会社に対して毎年度九十億円の政府補給金を交付しております。
 検査いたしましたところ、経営改善集中期間終了後の十八年度の収支見通しについては、目標の達成は困難となっていたり、また、政府補給金制度導入後の十六、十七両年度における長期有利子債務の減少額について国土交通省が制度導入時に行った予測と比較してみますと、予測を下回っていたりしているなどの状況となっておりました。
 検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、同会社において、長期有利子債務の償還計画を策定した上で確実な償還に努めること、経営改善に引き続き努めることなどが重要と考えております。
 最後に、「財投機関における財政投融資改革後の財務状況と特殊法人等改革に伴う財務処理の状況について」を御説明いたします。
 財投機関を取り巻く環境が財政投融資改革や特殊法人等改革等により大きく変化いたしましたことから検査いたしましたところ、まず、特殊法人等改革による財投機関の財務への影響については、新規設立法人への資産等の承継に際して発生した損失や承継前の累積欠損金の解消などのため、政府出資金が二兆千百六億円償却されるなどしておりました。
 また、財政投融資改革後の財投事業に係る資金調達の状況については、資金調達方法が多様化しているとともに、財投機関債の発行金利に事業スキーム等の相違による格差が生じておりました。
 検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、新規設立法人について、将来更なる財政負担が生ずることのないよう効率的な事業運営に努めること、また、財投機関債の発行に当たっては、資金調達コストを可能な限り抑えるよう努めることが重要と考えております。
 これをもって報告書の概要の説明を終わります。

発言情報

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発言者: 大塚宗春

speaker_id: 26044

日付: 2006-11-15

院: 参議院

会議名: 決算委員会