江畑謙介の発言 (安全保障委員会)

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○江畑参考人 江畑でございます。
 簡単に意見を述べよということなので、できるだけ手短に今回の法案の内容に関連することを述べさせていただきたいと思います。
 まず第一に、米軍再編の目的と基本方針ですが、これはもう皆さん御存じだと思いますけれども、簡単に言えば、二十一世紀、アメリカが軍事戦略にどうやって対応したらいいかということのための全世界における米軍の基地及びその施設、部隊の再編計画です。
 その基本的な目的はどうかというと、冷戦時代の米軍の基地及び部隊の配置というものは、簡単に言えば、東側、つまりソ連を中心とする共産圏諸国の封じ込め政策、そして、それが外へ出てくるのを防ぐ、あるいは出てきた場合にそれを防ぐという、いわゆる静的な、スタティックな基地の配置であったのに対して、これからは、どういうことがどこで起こるかは非常に予測が難しい、そのためにそこに迅速に短時間で対応できるような形に基地及び部隊を配置するというのが基本目的です。そういう意味では、ダイナミックな作戦ができるようにということと言えるかと思います。
 ただ、その場合に、日本側の立場から見た場合には、では、米軍がある中東方面とかアフリカ方面に展開する場合に日本を中継するというようなときに、果たして日本の基地が使われること自体をどういうふうにとらえるかという一つの疑問が出てくるだろうというふうに考えます。ただ、それも、逆に見れば、今回の日米の合意、特に去年なされました日米間の合意に関連して、共通の戦略目標がある、それが世界の安定に寄与するものであるならばという事項が共同声明についてございますので、そこから見れば一種の解釈が可能かなとも思われます。
 それから、アメリカの方針としては、すべての事態にアメリカの軍隊、つまり米軍だけで対応するのではなくて、その地域における同盟国ないしは友好国の積極的な役割分担というものを期待する、できればそのために必要な経費の負担も求めるというのが、表立っては言っておりませんが、基本的な政策として感じられるといいますか、見てとれます。
 ただ、これも地域と国によって格差がございまして、経済的に非常に困難な国に対してはそれほど多くは求めていません。その例としては、黒海周辺におけるルーマニアあるいはブルガリアで、こういうような国に求めるのは、米軍基地そのものの建設はアメリカが負担するけれども、その周辺のインフラ、例えば道路の整備というようなものに関してはブルガリアやルーマニアに負担してもらうという形です。
 それに対して、逆に、基地そのものの新設ないし移転に関して多くをその国に負担を求めるというのが、例として言えば、まさに日本であり、お隣の韓国がそうだろうと思います。ともに米軍経費、例えば韓国の在韓米軍の移転経費、特に、ソウルにおける在韓米軍司令部を平沢という南の方に移動しますけれども、これの経費、つい最近出ましたけれども、総額が約十兆ウォン、日本円にいたしますと一兆二千五百億円、そのうちのおよそ六〇%、七千億円分ぐらいは韓国が負担する。そういう点で、比率からいうと、今度の沖縄の在日米軍を、特に海兵隊を中心としてグアム島に移転する経費の負担率が五九%ということですから、日本と似たような負担率かなというふうに思われます。
 それで、今回の特別措置法案について、日本の国民の立場からして、一国民としてどういうふうに見られるかということの意見も申し上げます。
 まず、地理的に見ますと、日本は、アメリカの本土から見れば、太平洋を越えて反対の位置にあります。したがって、ここは、冒頭申し上げましたけれども、アメリカが中央アジアあるいは南アジア、さらには遠くはアフリカにまで米軍を展開する場合に、日本という、太平洋を越えたこちらにある同盟国というのは極めて重要な戦略的な位置にあります。しかも、政治的にも、言うまでもなく、同じシステムですし、価値観も共有できるというところですね。特にこういう点から言えるのが、沖縄の価値というものは、アメリカから見る限り、アジア方面、それからさきの東南アジアから南アジア、中東に至るまでの経緯を考えますと極めて重要になって、むしろ冷戦時代よりも沖縄の地位はアメリカにとってみれば非常に高くなったということが言えるかと思います。
 それから、日米安全保障条約そのものの存在というものは、アメリカ軍のアジア太平洋方面展開能力を支えるものであるというだけではなくて、地域安定要素として評価している国があることも否定できません。また、日米安保条約に基づく配置によって、日本、我が国の軍事力の過度な、過度というのはいろいろ比較の問題がございますけれども、軍事力の過度な増強が抑えられるというふうに考えているアジア諸国あるいはそれ以外の地域の国もあるというのも、またこれも否定できない事実だろうと思います。
 そして一方、外国の軍隊の駐留や基地の新設というものがなされれば、その国にとってみれば地域住民との摩擦が生ずるのは当たり前のことで、基本的には摩擦がふえる要素が存在してまいります。ですから、これから見るならば、日本国民の方から見るならば、いわゆる沖縄の負担軽減だけではなくて、在日米軍施設や基地、部隊、その再編、移転に伴って、米軍基地、施設を持つ、あるいは新たに受け入れてくれる自治体や住民、それに対して何らかの補償措置が必要となると思われます。その手段として、現在ここに提示されている特別措置法以外に何か有効な手段が見出せるかというと、私個人としては、では、ほかに何かいい方法があるかとなると、残念ながら見出せないというのが現実でございます。
 それからまた、国際的に見た場合、日米が同盟関係にある以上は、外交の基本として、日米両国間で締結された合意というものが実行されない場合に、両国関係のみならず、国際社会における基本的ルール、あるいはマナーと言いかえてもいいかもしれませんけれども、その見地からも我が国の信頼性に対する疑問が生じます。したがって、一度決めた以上はそれを完遂せねばならない。よほどの大きな状況の変化がない限りは、基本的には、両国間で締結された合意に関してはそれを守らなければならないというのが、国際社会で問われますし、それができませんと、我が国の利益が大きく損なわれることになります。
 平成八年、いわゆるSACOで合意されました沖縄の普天間航空基地の辺野古沖への移転というのが十年間にわたって何ら進展せず、結局、再度今回の日米合意を締結せざるを得なくなったという経験は、同じことをまた繰り返しますと、日米間の信頼だけではなくて、世界における我が国の国際的な取り決めに関しての、あるいは約束事に対しての遂行能力に対する疑念を生むという懸念があります。
 そのために、合意された再編内容の実現あるいは進捗状況に応じて地域振興策を実施するという方法が今回の特別措置法で提示されています。これを単純に見ますと、まさに国民の側から見ると、目の前にニンジンをつるされて、馬がそれを食べようと進まされているというような感じを受けて、確かに余りいい気持ちはいたしません。いたしませんが、ではほかにいい方法があるかとなりますと、これも私個人で見るならば、残念ながら、ほかにはこれ以上のものが見出せないというのも事実で、もしこれがだめだというなら、何か別で現実的であって有効な方法というのを考え出さなければならぬのですが、今、私個人にはそれを例示できる能力はございません。
 ただ、最後に、基本的にこれは国民の税金を使って行われることです。今回の特別措置法の内容を見ますと、ほとんどいわゆる財政的な支援策ないしは財政的な解決策ですから、そうなりますと、国民の税金を使って行うものですから、どうしてこのような施設が必要なのか、あるいはどうしてこの部隊は移動せねばならぬのかということに関して、国民に十分理解を求めるようにさらに一層の説明が必要だろうと思います。
 これは、法案の第一章第三条第二項にもより一層の説明を行うというふうに書いてございますけれども、それと同じように、今までの経緯からしますと、日米間の合意を急ぐ余り、何か国民に対しての十分な説明がなされてこなかったような印象があります。
 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 江畑謙介

speaker_id: 21263

日付: 2007-04-10

院: 衆議院

会議名: 安全保障委員会