江畑謙介の発言 (安全保障委員会)
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○江畑参考人 お答えいたします。
まず、本来の御質問は、この再編計画の実行がうまくいかなかった場合ということなんだと思いますが、その前に、御指摘なされた在韓米軍の件についてなんです。
これは私の理解するところ、在韓米軍を削減しても、確かに、先ほど坂元参考人からの御発言もありましたけれども、韓国における反米感情や何かの問題で、なかなか米軍基地の運用というのが難しくなってきたというのも一方ありますけれども、過去十年間の変化を見る限り、北朝鮮、これは朝鮮民主主義人民共和国、以下、北朝鮮と略称を使いますけれども、この軍の内容は、核兵器の技術的な開発及びその運搬手段の弾道ミサイルの開発というものを除けば、通常戦力においてはほとんど進歩していないというふうに考えられます。
一方、アメリカ軍及び韓国軍は、一九九〇年代から急速に発達いたしましたいわゆるIT、情報技術を駆使して非常に効率のいい軍隊となった。したがって、数の面において言えば、かつての、例えば一九九四年、いわゆる朝鮮半島の核合意の前に非常に緊張したことがありましたけれども、あの時点における在韓米軍及び韓国の軍隊が感じていた北朝鮮の脅威に比べれば、現在の北朝鮮の通常戦力の脅威は非常に低下したというふうに考えます。それがゆえに在韓米軍の削減が可能になったということがかなり大きいのではないかというふうに考えます。
ただ、問題は、削減が可能であっても、それは抑止力としての機能、実はこの抑止力という概念は非常に難しくて、自分たちではこれで抑止力が高まったと思っていても、相手がそう思ってくれなきゃどうにもならないんですね。ですから、本当に在韓米軍の三分の一削減というのが、北朝鮮の側から見た場合に、実質的能力が高まったから同じだなと見てくれるのか、それとも、実際は、戦闘能力が下がったから今こそチャンスだと思われるのか、それは残念ながら我々の方にはわからないんですが、客観的に見るならば、世界のいかなる視点から見ても、在韓米軍及び韓国軍の能力は非常に高まったというふうに思います。
しかし、いざここで危機が生じますと、米軍の増強というのが当然必要になります。それは、危機が高まって、戦闘状態にいかなくても、韓国及びその周辺に米軍を増強することによって抑止力が高まるという効果が生まれます。その場合には、その受け入れ先、ないしは韓国に米軍を投入する場合の非常に有力な基地及び施設として日本というのが地理的にいってもあることは間違いなかろうと思います。ですから、日本でいえば、周辺事態安全確保法によってそれはある程度担保されるわけですけれども、アメリカはそれを期待しているということは言えるかと思います。
一方、ですから、これがうまくいかなかった場合はどうなるかという本来の御質問に対する答えなんですが、先ほど私、これは申し上げましたように、ともかく両国間で外交的に一応決まったこと、それが履行できなかったという場合においては、確かに日米間において非常に不信感が高まるという問題はまず第一点に生じるだろうと思います。
では、かわりに、ここが問題なんですが、アメリカが、では日本はいい、韓国と同じように、在日米軍は削減して別のところにという代替基地があるかというと、これはありません。グアム島は三千三百キロ以上離れたところにありますので、その地理的な位置からするならば、どうしても日本というのはアメリカの世界戦略から見ればかけがえのない存在であって、何が何でもそれは手放したくないだろう、アメリカから見た場合ですよ。
ですから、あとは、日本はそれをどうやって、別に、アメリカの弱みにつけ込むという言い方をしては非常に失礼になりますけれども、そうではなくて、アメリカはそれだけの価値を認めているんだということに対して我々は、これも坂元参考人がおっしゃられたように、どういうふうに積極的に関与する、アクティブに考えていくのかということが重要だろうというふうに思われます。
それから、うまくいかなかった場合、もう一つの重要な問題は、二国間の合意として成り立った以上は、これは先ほど申し上げましたのでしつこくは繰り返しませんが、世界の信用を失う可能性がある。特に安全保障においては、今後、例えば、日本は既にNATOとの連携を強めていくということを一応国際的な約束として打ち出したわけですけれども、それ自身に対して、欧州NATO諸国の、NATOにはアメリカやカナダも含まれますが、特に欧州NATO諸国の不安というものが生じる可能性もあるということで、国際的な信義及び責任という問題から、やはり決まったことは形をつけなければならないというふうに思います。
以上です。