田村哲夫の発言 (教育再生に関する特別委員会)

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○田村参考人 ありがとうございました。
 学力という言葉が非常に世間で使われます。実を言うと、これは余り定義が明確でない言葉と言われております。あえて言えば、適応能力、アプティチュードといいましょうか、そのことを言うのかなと思います。
 つまり、学力の中には、測定ができるものと測定が非常に難しいものがある。測定が難しいものでいいますと、巷間よく言われているように、意欲などは大変測定が難しいわけですね。では、その意欲をどう育てたらいいか、これはまたなかなか難しいわけです。測定できる部分でいいますと、いわゆる基礎学力と言われている知識、技能、あるいは記憶力とか計算力といったものをディシプリン、訓練で鍛える、こういうことは割に簡単に測定しやすいわけでございますね。
 この部分、どちらが重要かといいますと、心理学の分析では、アプティチュードという分析に例えれば、つまり、アリストテレスは、なぜ勉強するかということを二千五百年前に弟子から聞かれたとき、予想もできないことが起きたときに慌てないためだ、こういうふうに答えたという有名な言葉があります。孔子も同じようなことを言っていますけれども。要するに、適応能力が学力だというふうに考えることは、二千五百年前から同じような定義がされているのかなと私は理解しておりますけれども、その両方も低下しているということで今問題になっているということでございます。
 授業時間をふやすということは、それなりに一定程度の適切な対応では、ある程度は思います。しかし、余りふやし過ぎると、今度は意欲がなくなるという別の問題が起きてくるわけですね。ですから、その辺のところがなかなかバランス上難しいわけでございます。
 前回、ゆとり教育という、私はこの言葉を使いたくないんですけれども、一般的に使われていますからわかりやすいので使いますと、ゆとり教育ということで言われた対応は、確実に、授業時間を減らして、では何をやるのか、つまり、子供たちが学習に対する意欲、興味、関心を高めるということを重点に置いて教育をしていこうではないかという宣言だったわけでございますね。その宣言のあらわれが、総合学習。つまり、学問が何に役に立つか、そのことが身につけば学習に対する意欲が高まるわけですね。その工夫をしたわけですけれども、実際なかなかうまくできていないということが指摘されております。ただ、これは非常に判定が難しいんです。
 実は、私が一番大きな問題だと思うのは、意欲が一番大きな問題ではないかなというふうに思っておりまして、それをどうするかということは、基本的に私としての考え方があります。
 まず、社会の問題があります。つまり、私たちの国は、理数系といいましょうか、科学技術に対する興味、関心が実は世界一低い国なんだそうです。これはOECDの調査で出ております。どうして低いのか。これは一つ原因を追求してみる必要があるだろうと思います。
 学校という場で考えた場合、学習意欲、つまり、やる気が出るというのはどういうときかというと、多様な体験を持たせるということがその秘密のかぎかなというふうに思います。つまり、いろいろな機会に、成就感とか、よくできたとか、あるいは、やってみたらおもしろかったとか、こういうような体験を多く持つこと、これがとにかく大変意欲を持つためのきっかけになるんではないか。
 したがって、単一の価値観に従って社会ができている、あるいは単一の価値観に従って学校が、教育が展開されているということになると、実は、もしかすると一時的に基礎的な学力は上がるかもしれませんけれども、意欲という点では危機的な状況が起きるんではないかなというふうに考えております。
 ですから、多様性、言ってみれば、先ほどグローカリズムということを申し上げましたが、多様性というもの、つまり、生活体験、自然体験を含めたいろいろな多様な体験がいろいろな場で行われているということが、その社会が生き生きとした、生きる喜びを感じ取った社会になるためのかぎではないかなというふうに思っております。学校では、それを受けていろいろな工夫をこれからしていく必要があるんだろうというふうに思っております。
 とはいっても、やはり目標がないとなかなかやりにくいですから、学習指導要領、あるいはその上の学校教育法、教育基本法というような形で、民主主義国家の我が国が、国会で議論されて、目標を議会として提言されているわけですから、それを目標として実際の現場における子供の成長に生かしていきたい、その生かし方は、今申し上げたようなやり方かなというふうに思っております。簡単には答えは出ませんし、簡単な解決方法はないというふうに率直に思っております。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 田村哲夫

speaker_id: 6095

日付: 2007-05-08

院: 衆議院

会議名: 教育再生に関する特別委員会