尾身幸次の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○国務大臣(尾身幸次君) 御法川議員からの御質問についてお答えいたします。
 十九年度予算案についてのお尋ねがありました。
 十九年度予算案においては、税収について五十三・五兆円と、七・六兆円の大幅な増加を見込んでおります。その一方で、国の政策的な経費である一般歳出については、公共事業において十八年度当初予算比三・五%の縮減を行うとともに、ODAにおいて四・〇%の縮減を行うこととしております。また、社会保障において、制度改革により二千二百億円程度の抑制を行うこととするなど、徹底した歳出削減方針を貫き、一般歳出を四十七・〇兆円にとどめております。これは、電源開発特別会計の仕組みの変更に伴う〇・三兆円の歳出増加を除けば、対前年度比で見て〇・三兆円の増加にとどまっており、実質的には、税収増のほとんどを財政健全化に振り向けているということであります。
 この結果、新規国債発行額については、四・五兆円減の二十五・四兆円となり、議員御指摘のとおり、過去最大の減額幅を実現したところであります。
 特例公債発行についての財政法上の考え方についてお尋ねがありました。
 財政法においては、国の歳出は租税をもって賄うことを財政の基本原則としておりますが、公共事業のように、その受益が長期にわたるような歳出については、いわゆる建設公債を発行することが認められているところであります。
 したがって、財政法は、政府に対し、少なくとも租税と建設公債による収入の範囲内に歳出を抑えるべく歳出削減に取り組むことを求めているものと考えられ、特例公債のような特別の立法措置による公債を発行せざるを得ない現下の状況は財政法上の例外に当たり、財政健全化の観点から是正していかねばならないものと考えております。
 今後の財政運営についてのお尋ねがありました。
 我が国の財政状況は、国、地方を合わせた長期債務残高が、平成十九年度末で対GDP比一四八%になると見込まれ、主要先進国の中で最高の水準にある一方、所得の中で、租税及び医療保険等の保険料の支払いの比率をあらわす国民負担率は、平成十九年度において三九・七%であり、主要先進国の中で実質的に最低水準にあります。
 端的に申し上げれば、我が国は、債務残高が主要先進国の中で最悪の水準である反面、国民の負担をあらわす国民負担率は最低の水準ということであり、このような財政の姿について、財政制度等審議会は、中福祉・低負担ともいうべき状態と指摘しております。
 こうした状況を踏まえれば、子供や孫の世代に負担を先送りしないためにも、財政健全化に向けた取り組みを着実に進めていかなければなりません。したがって、二〇一〇年代半ばに向け、債務残高対GDP比を安定的に引き下げることを目指し、まずは、二〇一一年度までにプライマリーバランスを確実に黒字化することを目標に、歳出歳入一体改革に取り組んでまいります。
 今後の国債管理政策の運営方針についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、新規国債発行額は対前年度比で過去最大の減額を実現したものの、今後とも国債の大量発行が見込まれる中、確実かつ円滑な国債の発行及び中長期的な調達コストの抑制には細心の注意を払う必要があります。
 そのために、まず重要なことは、財政健全化の推進により国債に対する信認を確保していくことであり、二〇一〇年代半ばに向け、債務残高対GDP比を安定的に引き下げることを目指し、まずは、二〇一一年度までにプライマリーバランスを確実に黒字化することを目標に、歳出歳入一体改革に取り組んでいく必要があります。
 その上で、市場との対話を重視しつつ、市場のニーズ、動向等を十分に踏まえた国債発行、国債の保有割合が低い個人や海外部門の保有促進等による保有者層の多様化、年限の長期化、多様化による将来の借りかえ需要の平準化等の債務管理の進展といった国債管理政策の適切な運営に引き続き努めてまいります。
 なお、金融政策については、現在の景気回復を持続的なものとするため、経済を金融面から支えていただくことが重要と考えておりますが、具体的な金融政策運営は日銀にゆだねられており、政府がコメントすべきではないと考えております。
 今回の税制改正と我が国経済の活性化についてのお尋ねがありました。
 経済がグローバル化する中で、どの国に企業活動の拠点を置くかを企業が決める時代、すなわち企業が国を選ぶ時代になっています。そういう中で、日本という国家が企業活動の拠点として選ばれるようにするためには、税制において少なくとも国際的なイコールフッティングを確保することが重要であります。
 減価償却制度については、他の先進諸国はすべて一〇〇%まで償却ができますが、日本だけは今まで九五%までしか償却ができないという仕組みとなっておりました。このため、平成十九年度税制改正において、国際的なイコールフッティングの確保や経済活性化の観点から、この仕組みを撤廃することとしております。
 我が国経済は、企業部門の好調さが持続しており、これが家計部門へ波及し、国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる状況にあり、こうした中で、経済活性化により企業の体質強化や競争力強化を後押しすれば、家計部門にも好影響があるものと考えられます。
 すなわち、労働市場の状況を見ると、失業率は二〇〇二年度の五・四%から昨年十二月には四・一%まで改善し、有効求人倍率も一九九九年度の〇・四九倍から昨年十二月には一・〇八倍まで上がっており、企業活動の活発化により労働需給がタイトなものとなれば、賃金が上昇し、消費の拡大、さらには経済全体の活性化につながると期待しております。
 中小企業に対する税制改正についてお尋ねがありました。
 我が国経済の発展のためにも、経済活力の源泉である中小企業が健全に発展していくような政策に力を入れていくことが極めて重要であります。
 こうした観点から、平成十九年度税制改正においては、主として次のような改正を行うこととしております。
 まず、先ほども申し上げましたとおり、減価償却制度を抜本的に見直し、一〇〇%償却できるようにします。これは、中小企業を含めた日本の企業の競争力の強化に役立つものと考えております。
 次に、留保金課税制度は、同族会社が利益を配当せず内部に留保した場合に、通常の法人税に加えて追加的に課税する制度ですが、その適用対象から中小企業を除外することにより、資本蓄積を促進します。
 また、実質的な一人会社のオーナーに対する役員給与の損金算入を一部制限する制度について、会社の利益とオーナーへの給与との合計額が八百万円以下となる場合には適用除外としていたものを、中小企業活性化の観点から、これを千六百万円に引き上げます。
 さらに、生前贈与を行う際に贈与税の負担が大幅に軽減される相続時精算課税制度について、中小の同族会社の事業承継を円滑にするため、自社株の贈与の場合に、親の年齢要件を六十五歳から六十歳に引き下げるとともに、非課税枠を五百万円上乗せし、三千万円にいたします。
 こうした改正により、中小企業については、平年度ベースで約千八百億円程度の減収を見込んでおり、法人と個人事業者を合わせた約二百七十万の中小企業に効果があるものと見込んでおります。(拍手)
    —————————————

発言情報

speech_id: 116605254X00720070220_026

発言者: 尾身幸次

speaker_id: 1221

日付: 2007-02-20

院: 衆議院

会議名: 本会議