柚木道義の発言 (本会議)

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○柚木道義君 民主党の柚木道義でございます。
 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案に反対する立場で討論を行います。(拍手)
 私が本改正案に賛同できない理由は大きく三点あります。第一に、失業給付の国庫負担の引き下げによって政府が雇用政策の責任を放棄してしまっている点、第二に、本当に必要な人に給付が行かない問題点、そして第三に、働く皆さんの貴重な雇用保険料の無駄遣いをそのまま放置している点であります。
 第一に問題なのは、失業給付に係る国庫負担を本来負担額の五五%に削減した点です。
 一部地域で雇用情勢が好転しているものの、依然として雇用情勢が大変厳しい地域も多く、また不安定な非正規雇用がふえております。例えば私の地元岡山県でも、有効求人倍率は確かに好転しておりますが、正社員の雇用はふえておらず、短時間労働や派遣労働などの非正規雇用がふえております。政府は景気回復と言いますが、働く人たち、生活する人たちの豊かさの実感が乏しいのが実情ではないでしょうか。
 こうした中、財政削減の名のもとに失業給付の国庫負担を大幅に引き下げることは、国の雇用政策の責任放棄ではないでしょうか。
 第二の問題点は、本当に必要な人に給付が及ばないところです。そもそも、この点については、安倍政権の、そして柳澤厚生労働大臣の雇用労働行政そのものに対する認識が問われていると考えます。
 そして、残念ながら、本法案では格差是正への効果の望みは薄いと言わざるを得ません。より具体的に言えば、まず、雇用が不安定な非正規労働者は、失業給付の受給期間を終えても就職できなかったり、正規雇用の労働者と比較をして教育訓練給付の受給者が極めて少なかったりと、雇用保険は正規雇用への道が開ける支えにはなっておりません。
 さらに、今回、委員会審議の中で驚くべき事実が明らかになってまいりました。今回、短時間労働被保険者の受給資格が十二カ月から六カ月に短縮されます。ところが、一般被保険者の自己都合離職者は、受給資格期間が六カ月から逆に十二カ月に延びるわけで、極めて不利になるのです。厚労省は、安易な離職や循環的給付の防止策として十二カ月への引き上げを主張しておりますが、その根拠は、調査対象受給者五百七十二万人に対しまして三・四%、約二十万人が複数回失業給付を受給しているからだけというのです。
 しかし、ちょっと冷静に考えてみてください。出産や病気療養や家族の介護や交通機関の急な事情などは安易な離職になるのでしょうか。あるいは、これが循環的な給付対象者になるのでしょうか。こうしたケースへの視点が全く抜け落ちていることを、十四日の委員会質疑の中で我が党の内山議員から指摘された厚生労働省や柳澤大臣は、その日は何度も答弁に窮し、委員会は紛糾し、質疑は延期されたのです。翌々日の委員会採決当日の十六日の再質疑の際には、厚労省は、そうした事例は特定受給資格者として政省令に書き込むと苦し紛れに答弁をしました。
 しかし、このような新たに社会的に重篤な影響を与える改定を単に政省令に書き込むといった答弁で、しかも、指摘されて初めてそう答えるような厚生労働省に任せられるものでしょうか。これこそまさに国会の中で審議されてしかるべき重要事項ではないのでしょうか。何のために我々は国会で審議をしているのでしょうか。
 労働者にとって多大な不利益になる重要な事柄が法案に盛り込まれず、政府は雇用のセーフティーネットと言いますが、これでは穴だらけのネットであって、個々の労働者にとって安心のネットであるとは到底思えません。こうした穴を一つ一つ丁寧にふさいでからならいざ知らず、このような穴あきだらけの法案に賛同できるはずがありません。
 また、柳澤大臣は、委員会質疑の中で、雇用保険法三十三条によって給付制限が既に十分機能しているのに、なぜ一般の方々の受給資格要件を六カ月から十二カ月に引き上げる必要があるのですかとの問いに、給付制限が機能しているからといって受給資格要件引き上げが不必要ということにはならないという、およそ厚生労働大臣とは思えない、つまり、日々現場で額に汗して働く国民の皆さんの実態がわかっているとは全く思えない、無責任かつ場当たり的な答弁をされました。
 あるいは柳澤大臣は、工場労働を労働時間だけが売り物と発言をされた方ですから、そういった働く国民の皆さんにとって大変な不利益変更になる労働時間ならぬ労働期間変更を、人間的な感情を抜きにして、いとも簡単に機械的に決めてしまわれるのではないでしょうね。
 その後、政省令でそのようなことがないようにしていきたいとの官僚答弁がございましたが、実は平成十六年度年金法改正でもそうでしたが、あのときも改正後に多くの問題が起こったのは御承知のとおりです。しかも、今回の雇用保険法改正の施行は四月からです。今はもう三月の二十日です。柳澤大臣、あと十日で、国民生活に大変な影響を及ぼす不利益変更の内容を特定受給者に該当するように一つ一つ精査して書き込んでいくんですか。そんないいかげんなことをしていたら、障害者自立支援法であったり、あるいは診療報酬改定のリハビリ日数の制限緩和などのように、国民生活に重大な支障が出てから慌てて改定するようなことになるのではないですか。
 私たちが心配しているのは、この改定によって、これから受給資格が発生しないで失業保険がもらえない人たちが続々と出てくるという新たな社会問題が生まれてしまうことなのです。
 柳澤大臣、大臣は、こういった不利益変更になってしまうことのないように、それこそ機械的な正確さをもってしてその内容をしっかりと明示し、そういったすべての方々がそこから除外されるべきことを、この際、国民の皆様にはっきりと明示されてから採決されるべきではないでしょうか。
 大臣、反論があれば、法案を差し戻していただければ、我々は幾らでも委員会で審議いたしますので、どうぞおっしゃってください。
 次に、育児休業給付の拡充も大変場当たり的です。政府案では、育児休業給付の額が引き上げられますが、三年間の暫定的な措置です。非正規労働者が育児休業を取得しにくいこと、育児休業給付と企業からの賃金保障を合わせると、育児休業給付率が失業等給付を上回るという問題があります。
 審議会の中でも、育児休業中の所得保障を含め、子育て支援策については雇用保険制度以外の枠組みで検討すべきとの意見が出ていますが、政府はいまだその検討を始めておりません。それだけでなく、ここでも不利益変更となるような、子育て支援とはおよそ逆行した改定となってしまうものです。
 また、我が党の三井議員も指摘されたように、積雪寒冷地等の季節労働者に給付されている特例一時金の支給期間が五十日から四十日間に短縮されます。冬期雇用がいまだに厳しい地域において特例給付金の水準が引き下がれば、労働者の生活が脅かされかねません。
 さらに、雇用保険の適用対象を広げていない問題もあります。短時間のパートを複数かけ持つマルチジョブホルダーや請負労働者は雇用保険の適用外ですが、雇用が不安定なことから、こうした方々こそ雇用保険制度の適用対象とすることで、まさに再チャレンジのセーフティーネットとすべきではないでしょうか。
 そして、第三の問題点は、雇用保険をめぐる無駄遣いが本法案では根絶されないという問題です。
 一昨年十二月には、労働保険特会については、原則として純粋な保険給付事業に限り本特会にて経理するものとし、労働福祉事業及び雇用保険三事業については廃止も含め徹底的な見直しをするとされていましたが、本法案では、雇用保険三事業は雇用福祉事業だけが廃止され、労災保険の労働福祉事業も形を変えて存続します。
 安倍総理は、所信表明で、行革を推進し、筋肉質の政府を実現すると述べておりましたが、これではまさしく改革の看板倒れではないでしょうか。労働保険特会に徹底したメスが入らず、我が党の長妻議員や園田議員も重ねて指摘しておりますように、いわゆる天下りは温存されたままですし、働く者の雇用保険を流用して無駄な経費に費やされたりする余地を残すものであります。
 加えて、私の地元で、水道関係の現場で日々雇用保険料もきちんと納めながらまじめに働かれている方から強く抗議を受けましたので、ここできちんと明らかにしておきたいことがございます。
 松岡農林水産大臣は、今どき水道水を飲んでいる人はいないという大変配慮に欠ける発言をされましたが、先日の厚生労働委員会で我が党の田名部議員が、水道水の安全について厚生労働大臣が定める水道法の水質基準に基づいて柳澤厚生労働大臣の認識をただした際に、柳澤大臣は、水道法において水道とは、導管及びその他の工作物により、水を人の飲用に適する水として供給する施設の総体をいい、もともと水道水というのは、人の飲用に適する水として供給されているのであって、松岡農林水産大臣は何か誤解をされているのではないかと述べられておりました。

発言情報

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発言者: 柚木道義

speaker_id: 6952

日付: 2007-03-20

院: 衆議院

会議名: 本会議