小林元の発言 (経済・産業・雇用に関する調査会)
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○小林元君 民主党・新緑風会の小林元でございます。
本調査会は、平成十六年十月に設置されて以来、「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」について三年間にわたり調査を行ってまいりました。本日は、これまでの調査を踏まえ、民主党・新緑風会を代表して意見を表明させていただきたいと存じます。
第一は、格差の問題であります。
我が国の景気は回復を続けており、イザナギ景気を抜き、戦後最長の景気拡大期間に入っていると言われております。しかし、多くの国民が感じていることは、景気の回復ではなく、所得の格差、教育の格差、大企業と中小企業の格差、都市と地方の格差といった社会の様々な場面における格差の拡大ではないでしょうか。このような格差の拡大の背景としては、バブル崩壊後の経済低迷期におけるグローバル化の進展やIT革命といった経済社会状況の変化に加え、小泉内閣のいわゆる構造改革路線による行き過ぎた規制緩和等によって社会の各方面にわたるゆがみ、ひずみが大きくなってきたことが考えられます。
格差のうち、とりわけ大きな問題は、正規雇用と非正規雇用の格差であると思います。今や非正規雇用者の割合は全雇用者の三分の一を占めておりますが、特に若年層におけるフリーター等が増加することになれば、経済的な理由によって結婚や出産が困難となる若者が増え、少子化に一層の拍車が掛かることや社会保障制度への影響が懸念されます。
さらに、幾ら頑張って働いても収入が生活保護の水準にも達しないワーキングプアと呼ばれる人たちの数が増加しているとも言われており、そのような若者たちは明日への希望を持てない生活を送っております。
このように、非正規雇用が増加してきたことの背景として、就労形態の多様化に伴い自由な働き方としての非正規雇用を自ら選択したと言われることがありますが、現実には正社員として働く場がなく、非正規雇用を選択する以外なかったという場合が多いのではないでしょうか。特に、卒業時期が就職氷河期と呼ばれる雇用情勢の極めて厳しい時期と重なり、正社員の職を得ることができなかったいわゆる年長フリーターの人々は、雇用情勢が改善し新卒者についてはバブル期以来の売り手市場とも言われている今でも、非正規雇用としての就労を余儀なくされております。
そこで、緊急に講ずべき施策としては、国や自治体がそのような非正規雇用を続けてきた人たちに対する職業訓練を実施し、必要な職業能力を身に付けさせることが挙げられます。
また、企業に対しましては、正規雇用の採用を拡大させるとともに、非正規雇用から正規雇用への登用を積極的に行うことや、職員の募集に際しては中途採用を含めて行うことなどを求めていくべきであると考えます。
また、正規雇用と非正規雇用の間の賃金格差の解消を図るため、賃金は同一価値労働同一賃金の原則を踏まえたものとするとともに、多くの労働者に雇用の機会を与えるため、短時間正社員制度の導入等を促進すべきであると思います。
第二は、今後の人口減少時代における経済社会の在り方でございます。
少子化の進展に伴う労働力人口の減少が避けられない中、我が国が今後とも活力ある豊かな社会を維持していくためには、労働者一人一人の生産性を高めていくとともに、高齢者や女性がこれまで以上に労働市場に積極的に参加することがますます重要となっております。
本年二〇〇七年には、団塊世代の労働者が六十歳の定年を迎える最初の年に当たりますが、高齢者の中には若い人に負けない元気な方々もたくさんいらっしゃいます。昨年四月に施行されました改正高齢者雇用安定法では、事業主は定年の引上げ、継続雇用制度の導入、定年の定めの廃止のいずれかの措置を講ずることとされました。当面は、このような制度を通じて知識や経験や意欲のある高齢者の方々が引き続き現役で働けるようにすることが重要でありますが、将来的には、だれもが年齢にかかわりなく能力を発揮して働くことのできるエージフリー社会を目指すべきものと考えております。
我が国の女性の労働市場への進出は続いており、いわゆるM字カーブは以前に比べフラット化しておりますが、男女間の賃金格差は依然として大きく、女性にはパートタイム労働者が多いという状況もあります。また、管理者に占める女性の割合は極めて少なく、課長相当職、部長相当職では全体の一割にも達していません。男女間の賃金格差の解消はもちろんですが、昇進や処遇等についても、女性であるという理由から不利益を受けることがあってはならないと思います。
社会のあらゆる分野における男女の固定した役割分担や差別、不平等な状態の解消を図り、男女共同参画社会を実現していくことが大きな課題であると考えます。
第三には、仕事と生活の調和を求めるワーク・ライフ・バランス社会の構築であります。
これまでも、主として少子化対策の観点から仕事と生活の両立支援のために様々な対策が講じられてきており、例えば女性労働者の育児休業取得率は現在七〇%を超えております。しかし、これには結婚や出産を機に離職した女性が含まれておらず、また中小企業では大企業に比べると育児休業の取得率が低くなっております。
育児休業制度については、男女とも取得しやすい制度とするよう一層の工夫を行っていく必要があります。また、育児期の方からの要望の強い看護休暇の拡大等の施策を講じていく必要もあります。
女性労働者の育児休業取得率が上昇する一方、男性労働者の育児休業取得率は一%にも達しておりません。この背景の一つとして、家事や育児は女性が行うものという意識が我が国においては依然として根強いことがあるように思われます。仕事と家庭の調和を図るためには、家事や育児に対する男性の自覚や協力が不可欠であり、家庭生活に関する女性の負担を軽減するためにも一層の啓発が求められると思います。
また、各種の両立支援策の拡充の前提として、長時間労働の是正が必要であります。我が国では特に正社員の労働時間が欧米諸国に比べて極めて長く、週の就業時間が六十時間以上の就業者割合は一九九〇年以降、特に男性で増加傾向にあり、サービス残業も広く行われています。このようなことから、育児期の男性が家事や育児に参加することは困難となり、女性が家事や育児の大部分を行わざるを得なくなっています。サービス残業の解消は当然のこととして、育児期の男性が働きながら家事や育児に参加できるようにするためにも、長時間労働の是正は喫緊の課題であると考えます。
保育所も仕事と生活の調和を公的にサポートする仕組みとして重要でありますが、我が国では保育所への入所を希望しながら入所できない待機児童が依然として多く、このことは特に働きながら子育てをしたいという女性にとって大きな障害となっております。早急に保育所を整備し、この解消を図ることが喫緊の課題ですが、さらに休日保育や放課後児童対策についても、利用者のニーズを踏まえつつ拡充強化していくことが望まれます。
なお、このような仕事と生活の両立支援策が効果を上げるためには、包括的な施策を長期的視野に立って実施する必要があります。したがって、省庁横断的な体制を整備するとともに、そのための計画を策定するなど、政策に継続性や統合性を持たせる方法を検討すべきであると考えます。
最後に、我が党といたしましては、格差のない社会、すべての雇用者が生き生きと働き、自らの能力を最大限発揮できる社会の実現のために一層努力することをお約束して、意見表明とさせていただきます。