澤雄二の発言 (経済・産業・雇用に関する調査会)

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○澤雄二君 公明党の澤雄二でございます。
 当調査会は、「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」について三年にわたり調査を進めてまいりました。三年間の締めくくりとして、公明党を代表して意見を表明させていただきます。
 我が国は人口減少社会に突入をいたしました。国勢調査によりますと、平成十七年の我が国の総人口は戦後初めてマイナスとなりました。出生数は過去最低を記録し、六十五歳以上の高齢者人口が総人口に占める割合は初めて二〇%を超えました。また、厚生労働省の人口推計によりますと、およそ五十年後の二〇五五年の人口構成は、総人口が約九千万人、六十五歳以上の老年人口がおよそ四〇%、十四歳以下の年少人口がおよそ八%となっております。
 このように、急速に少子高齢化が進み労働力人口が減少していく中で、将来的にも成長を持続させ生活の質を高めていくためには、就業率の上昇と労働生産性の向上が不可欠であります。就業率を上昇させるためには、特にその意欲と能力を十分に生かすことができていない若者、高齢者、女性について就業の場を拡大していくことが必要です。意欲と能力を十分に生かしていないということは、前向きに考えれば可能性が十分にあることを意味しています。このことは、将来の日本を考える上で大変重要なことであります。
 また、労働力の確保のみならず、労働生産性の向上のためにも、そして、何よりも人として生きていく価値を高めるために、仕事と生活の調和、ワーク・ライフ・バランスを推進することが重要であります。
 我が国の労働市場は、企業による保障も拘束も強い正規雇用と、企業による保障も拘束も弱い非正規雇用の二極化が始まっています。この二極化を解消するためには、非正規雇用の正規化、長時間労働の是正、柔軟な就業形態の導入、均衡処遇の確保等が喫緊の課題となっております。
 派遣労働者の増加などにより、今や非正規雇用者はおよそ一千六百万人と雇用者の三割以上を占めるまでに拡大しています。正規雇用と非正規雇用では、所得格差だけではなく、職業能力開発の機会にも格差があります。我が国の技術力低下の一因となることが将来危惧されます。また、非正規雇用は正規雇用に比べ未婚率も高いことなどから、非正規雇用の増加は社会全体としての人的資本の蓄積の弱体化、晩婚化、少子化につながる懸念が増大しています。
 このような正規雇用と非正規雇用との格差を是正するには、当然でありますが、働き方の実態に応じた均衡待遇の確保、正規雇用への転換の促進を図る必要があります。具体的には、一定の年数雇用を継続した場合には正規雇用への移行を義務付ける、契約期間が限定された社員が多い場合には雇用保険料率を引き上げるなどの雇用対策を行っていく必要があると考えます。
 非正規雇用の問題は特に若年層で深刻化しています。近年問題となっている請負労働者の多くは若者で、非正規雇用拡大のしわ寄せが若者に行っています。使い捨てのような働き方をさせられているとも言われています。政府は、請負労働の実態把握とその対策に強力に取り組むべきと考えます。
 景気回復による企業の新卒採用の拡大に伴い、二十代前半のフリーターは減り始めたものの、就職氷河期にやむなくフリーターとなった二十代後半以降のいわゆる年長フリーターでは正規雇用の職を得ることは依然として容易ではない状況があります。他方、これまで新卒採用を控えてきた企業では、組織の人員構成がゆがんでしまい、今後会社を支えていくべき二十代後半から三十代半ばの人材の不足が将来の禍根となることが懸念をされます。
 我が党は、年長フリーターを正社員として雇用した企業に助成金を支給するように主張し、本年度予算において措置されたところであり、今後の制度の利用が期待をされます。
 社会の発展のためにも若者の活力が不可欠であり、こうした若者に再チャレンジの機会を与えるためにも、新卒一括採用だけではなく、中途採用にも門戸を開いた雇用システムへの転換を促進する必要があります。さらに、キャリア教育の在り方を抜本的に見直し、雇用行政と教育行政の連携の強化、日本版デュアルシステムやインターンシップの拡充、職業経験豊富な社会人OBなどをキャリアカウンセラーとして学校に配置することなどを推進するべきです。
 人口減少へと転じ、労働力供給制約が次第に強まる我が国において、今後も持続的な発展を維持するためには、意欲や能力があれば年齢にかかわりなく働き続けられる生涯現役社会の実現を目指すべきだと考えます。
 今年から定年を迎え始めるいわゆる団塊の世代は、戦後の日本を支えてきた物づくり世代であり、世界に誇る高い知識や技術力を持った人たちです。こうした高齢者に活躍の場を提供するために、公明党の主張で、高齢者雇用安定法の改正により六十五歳までの雇用延長を段階的に進めることが義務化され、七十歳定年を目指す中小企業には助成金が支給されることになりました。
 今後は、シルバー人材センターやNPOを活用した多様な雇用・就業機会の確保、ワークシェアリングなどを活用した再就職や継続就労の支援拡大が求められております。
 近年、労働者全体の年間総労働時間は減少傾向にありますが、これは主としてパート労働者の割合の増加によるものです。一般労働者については依然として長時間労働の実態があり、労働時間の長短二極化が進行しております。この二極化を改善し、ワーク・ライフ・バランスを実現するためには、長時間労働の是正、柔軟な就業形態の導入、均衡処遇の確保の三点が課題となります。
 このため、サービス残業を抜本的に解消するとともに、時間外労働の割増し率の引上げを実現することが必要であります。割増し率の引上げについては、現在法案が提出されておりますが、将来的には四割に引き上げることを検討すべきであります。もちろん、中小企業対策は別途考慮する必要があります。また、短時間勤務、フレックスタイム、在宅勤務等の導入を促進することにより柔軟な働き方を実現すべきと考えます。均衡処遇を確保するためには、業務内容の明確化を促進するとともに、サービス業などの一部で比較的業務内容が明確な分野から同一労働同一賃金の原則の導入を実現すべきと考えます。
 出生率の低下が続く中で、ワーク・ライフ・バランスの中でも特に仕事と子育てを両立するための支援の充実は重要であります。最近は、出産後も仕事を続けることを望ましいとする就業継続型への支持が男女ともに多くなっています。しかし、現実には、男性の家事に掛ける時間が極めて少なく、保育所などの社会的な支援も不十分であり、女性が就業を継続することは容易ではありません。
 人口減少社会の中で、女性の就労率は今後も高まっていくと想定されており、仕事を続けながら出産、育児に困難を感じることがない働き方や、さらに男性、女性がともに働きながら子育てを担っていくライフスタイルの確立が求められています。
 公明党が昨年発表した少子社会トータルプランでは、育児休業制度の普及、拡充、次世代育成支援対策推進法に基づいて企業が策定した一般事業主行動計画の公表の義務化を進めるべきとしています。さらに、出産、育児等によって離職した者に対する教育訓練の機会の提供や企業の再雇用制度の充実を促進すべきと考えます。
 仕事と生活の両立を図るための働き方の改革が企業の生産性を低下させ、競争力をそぎかねないとの懸念を持つ人もいます。しかし、実際は、両立への先進的な取組をしている企業で順調に業績を伸ばしている事例は数多くあります。こうした企業では、育児休業取得や職場復帰支援などにより就業意識を高め、労働生産性の向上を図っています。参考人として来ていただいたクララオンライン社長の家本氏からも、中小企業におけるワーク・ライフ・バランスへの取組と効果について話があったところであります。
 企業にはワーク・ライフ・バランスを推進するための大きな責任があります。今後は、このような事例を周知することにより企業の意識改革を進めることが重要です。そして、少子化対策や地域における様々な活動の振興、家族関係や家庭教育などの観点からも不可欠であるという認識の下に、ワーク・ライフ・バランスのための施策を総合的、計画的に推進し、国を挙げて企業と国民が一体となった働き方改革を進める必要があると考える次第であります。
 最後に、現在、我が党は仕事と生活の調和推進基本法の制定に向けて鋭意検討を行っていることを申し添え、私の意見表明とさせていただきます。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 澤雄二

speaker_id: 8699

日付: 2007-05-09

院: 参議院

会議名: 経済・産業・雇用に関する調査会