小林美恵子の発言 (少子高齢社会に関する調査会)
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○小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子です。私は、日本共産党を代表して、少子化対策、高齢対策についての意見表明を行います。
まず、本調査会が三年間のうち二年半を費やしてきました少子化問題について述べます。
今、出生率は日本の人口を維持する最低水準二・〇八を大きく下回る一・三にまで下がっています。子供を産むか産まないかはすべてのカップルと個人が自由に決定する問題でありますけれども、子供を産みにくい、育てにくい、だから子供が少なくなるというのは決して健全なことではなく、日本社会の存立にとっても重大なことです。
この要因について、政府の少子化白書でも、若者の不安定雇用と低賃金、子育て世代の長時間労働、経済的負担の増大を挙げています。まさに深刻な少子化は、労働法制の規制緩和による働くルールの破壊、子育て世代への増税や負担増、保育の公的責任後退など、政治のゆがみにあることは明らかではないでしょうか。
では、どうすれば少子化を克服できるのか。
欧州の国々では、落ち込んだ出生率を引き上げることに成功してきています。例えば、出生率が過去最低だった一・二四から一・三六に回復してきたドイツでは、女性に多くの負担を強いてきた子育ての現状を変えようと、保育所の拡充と育児休業手当の引上げを打ち出しています。育児休業手当を現行の定額約六万六千円から、収入の六七%、上限を約二十六万円に保障して、育児休業の取得率が五%と余りにも低い父親の育児参加を促すというものであります。出生率が一九九〇年代の一・六台から二〇〇六年には二・〇一に回復したフランスでは、出産後も働く女性が多く、男女ともに労働時間が短く、手厚くきめ細かい家族手当があります。働く権利とともに子育てする権利の保障をつくる社会づくりの姿勢がこれらの施策から伝わってきます。我が国でも、働く権利と子育てする権利の保障、社会保障制度の充実を始め希望ある未来を示す政治が必要です。
そこで、私は具体的に次のことを提案をします。
一、長時間労働と非正規雇用を拡大させる労働法制の規制緩和路線から、労働時間を短縮し安定した雇用の確保を大原則とする雇用政策に転換すること。
二、女性も男性もパート労働者も含めて育児休業が取得できるように、休業中の所得保障を六〇%に引き上げ、また女性が働き続けることで不利益を受けることがないように再雇用を保障するなど、仕事と子育ての両立を図ること。
三、子育ての経済的負担を軽減するために、児童手当の拡充とともに乳幼児医療費無料化を国の制度として実施をする、教育扶助や就学援助の拡充、高校、大学の授業料免除の拡大など、教育費の負担を軽減する。
四、定員超過の詰め込みをやめ、待機児童をなくす保育施設の拡充や学童保育の拡充。
五、小児夜間救急医療施設や産婦人科医療施設を拡充すること。
六、子育ての不安を解消するために、子供の安全対策のための人員配置、スクールバスなどの財政支援措置を拡充すること。また、児童虐待防止のため、相談窓口の整備、児童福祉士など児童相談所職員の抜本的増員、児童諸施設の改善を図ることです。
また、日本の家族政策への財政的支出は低く、対GDP比、デンマークは三・八、日本は〇・六となっており、国際水準に引き上げるように財政保障をすべきかと思います。
以上、緊急対策として提案をいたします。
次に、高齢対策について意見を述べます。
高齢者の問題を考える上で最も重要なのは、生きがいを持って日本社会で生きる上でも、高齢者の安定した生活保障基盤ではないでしょうか。現実はどうでしょう。四月十六日の毎日新聞にも、八十歳夫婦が無理心中、介護疲れかと。こうした高齢者の悲劇な報道がされています。政府は、国民に自己責任を強調し、社会保障制度の改悪を進めてまいりました。二〇〇四年来の年金課税や定率減税の全廃などでは、所得税、住民税だけでも五百万人以上で、高齢者の五人に一人が増税となりました。昨年、年金減らされて、住民税がなぜ上がるのかと高齢者の怒りは広がりましたが、今年もまた増税になり、多くの高齢者は怒りと不安を強めています。
介護保険制度はどうか。改悪介護保険法の下、要介護度が低い、決め付けられた高齢者は、介護保険で利用してきた介護ベッド、そして車いす、ヘルパーやデイサービスなどを取り上げられています。介護施設の居住費、食費が全額自己負担となったため、負担増に耐えられず退所を余儀なくされる。また、ショートステイ、デイサービスを断念した高齢者も少なくありません。
医療改革関連法は、高齢者の負担を引き上げ、更に六年で療養病床を二十三万床も削減する計画のため、施設不足が一層深刻化するのは必至であります。
さらに、全国四千七百万人が加入する国民健康保険は、今土台を掘り崩すような危機に陥っています。高い保険料の下、年収二百万円台でも三十万、四十万の負担を強いられるなど、多くの自治体の国民健康保険料は既に住民の負担能力をはるかに超える額となっています。昨年六月時点で国保料滞納は四百八十万世帯、制裁措置で国保証を取り上げられた世帯は三十五万を超えました。国保証を取り上げられ、医療費を全額自己負担する資格証明書に替えられた人が受診を控えて死に至る事件も続発をしています。
さらに、老齢加算廃止、母子加算廃止など、生活保護費への国庫負担削減も広がっています。これらは、政府自らが憲法二十五条に明記をされている国民の生存権を否定するものではないでしょうか。このままでは、社会保障が国民の暮らしを支えるという本来の機能を大きく失い、逆に多くの国民を苦しめ、社会不安をますます増大させる要因となります。
私は、この現実を調査会としても政府としてもしっかり直視をし、これまでの施策を根本的転換することが必要だということを声を大にして、以下、次の諸対策を政府に提言をいたします。
一、社会保障を予算の主役に据え、暮らしをしっかりと支える社会保障制度の改革、拡充を求める。基礎年金の国庫負担を二分の一までに直ちに引き上げ、年金財源の基盤強化を図ることとともに、全額国庫負担による最低保障年金制度創設の実現に向かうこと。
二、だれもが安心して利用できる介護保険制度に改善すること。
三、介護ベッド、車いすやヘルパーなどの取上げをやめさせること。
四、特養ホームなどを計画的に増設し、待機者の解消を図ること。
五、食費、居住費の負担を軽減すること。
六、介護保険料、利用料の免除・軽減制度を国の制度として確立すること。
七、介護給付費の国庫負担を現在の四分の一から二分の一に引き上げること。
八、国は、低所得者対策を拡充し、高齢者の介護施設、療養施設不足の深刻化を食い止めること。
九、介護職員の労働条件を改善すること。
十、保険で安心して掛かれる医療制度にするために、窓口負担の引上げをやめ、軽減すること。保険が対象とする医療サービスの縮小、切捨てをやめ、拡充させること。減らされてきた国庫負担を計画的に元に戻すとともに、高薬価や高額医療機器の見直しなど、保険財政の無駄もなくし、医療保険財政を立て直すこと。
十一、国保料を引き下げ、国保財政を再建するため、国庫負担を一九八四年当時の水準に計画的に戻すこと。
十二、老齢加算を元に戻し、生活保護費への国庫負担削減をやめること。
十三、一・七兆円もの増税となっている定率減税廃止を撤回をし、年金への課税をやめ、高齢者増税をやめること。
最後に、財源問題について触れます。
少子化対策の施策に当たっては、財源問題になりますと、社会保障給付の中で高齢対策を抑制し、子育て支援にという意見もあります。しかし、それは国の予算全体を見ない議論であり、社会保障給付の割合議論は正しくないと思います。政府は社会保障の改悪に財政難を口実にします。しかし、一方で米軍再編に三兆円もの負担をするのは、その主張に全く道理はないのではないでしょうか。また、スーパー中枢港湾など不要不急の公共事業を節約し、五兆円規模に上る巨額の軍事費を大幅に削減するなど、税金の使い道を見直し、研究開発減税、IT投資減税など大企業向けの優遇税制にメスを入れ、適正な税負担を求めるならば、社会保障財源は十分捻出できるのではないでしょうか。
私は、国民、若い世代、高齢者が置かれている困難な事態に当たり、国会の意思として、社会保障の拡充を始め少子化対策、高齢社会対策の抜本的充実を広く国民に呼び掛ける必要があることを述べて、意見表明といたします。