千葉景子の発言 (日本国憲法に関する調査特別委員会)
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○委員以外の議員(千葉景子君) 日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案につきまして、提出者を代表してその趣旨を御説明いたします。
国民投票法制は、憲法制定権力の担い手である国民が、その権利を行使して憲法改正をすべきか否かを判断するための制度です。憲法制定権力の担い手である国民がその権利を行使する制度を早急に整備することは、立法府としての責任であり、改正に対する国民の主権を回復し、真の国民主権を具体化することは国民の代表者としての使命であると考えます。
また、国民投票法制は、憲法改正の中身をめぐる議論とは切り離し、憲法改正を標榜している政党も、憲法改正に反対している政党も、ともに賛同し得るような公正かつ中立的なルールとはいかなるものかという冷静な議論を通じて幅広いコンセンサスづくりを目指すべきものであると考えます。
しかしながら、本年年頭以来、安倍首相が自らの在任中に憲法改正を行うと公約し、また憲法改正を参議院選挙の争点にすると表明したことから、与党はこの国民投票法制についても期限を切って強引に成立を目指す姿勢に転じ、衆議院の特別委員会では十分に審議が尽くされないまま採決が強行されました。国民投票法制をめぐる議論が、幅広いコンセンサスに基づく公正中立なルール作りではなく、安倍首相の在任中の改憲実現のためのレール作りに変質してしまったことは残念でなりません。
与党案提出者は、与党案、民主党案の違いはもうほとんどなくなったと事あるごとに発言しておられますが、国政における重要な問題に係る案件の国民投票法制について、与党案ではその意義及び必要性の有無について検討を加えるとしているだけで、検討した結果、何もしない余地を残すものにすぎません。
投票権者を十八歳とする点についても、与党案では公職選挙法等の改正がなされない限り実施を幾らでも先送りできるまやかしの規定にすぎません。
また、与党案では国家公務員法、地方公務員法等に定められた公務員の政治的行為の制限規定の取扱いは附則で検討することとしていますが、与党案提出者や与党関係者からは、政治的目的の有無による線引きではなく、公務員の労働団体による組織的な国民投票運動を抑え込もうという別な意図があるのではないかと疑わざるを得ない答弁や発言もなされております。これでは、主権者による自由濶達な国民投票運動を萎縮させることのないよう規制を最小限にすべきであるという共通認識を葬り去ろうとするものと言わざるを得ません。
このように与党案は、これまでの衆参両院における議論の積み重ねを踏まえているとは到底言い難いものであり、民主党の考えと与党案の間には厳然たる相違点が存在しておりますので、民主党独自の対案を提出することとした次第です。
以下、本法律案の要点を、与党案との相違点に絞って申し上げます。
第一に、国民投票の対象については、憲法改正のほか、国政における重要な問題のうち憲法改正の対象となり得る問題、統治機構に関する問題、生命倫理に関する問題その他の国民投票の対象とするにふさわしい問題として別に法律で定める問題に係る案件とすることとしており、附則において、この法律が施行されるまでの間に、国政問題国民投票に関し、日本国憲法の採用する間接民主制との整合性の確保その他の観点から検討を加え、必要な法制上の措置を講ずることといたしております。
このように、国政問題国民投票については、対象を限定し、かつ間接民主制との整合性を欠くこととならないよう十分な配慮を行った上で導入することとしておりますので、与党の指摘する懸念は何ら根拠のないものと考えております。
第二に、国民投票の投票権者は、諸外国では、成人年齢である十八歳に合わせて十八歳以上の国民に投票権を与える例が非常に多いことから、投票権者の年齢を十八歳以上とすることとし、附則において、この法律が施行されるまでの間に公職選挙法、民法等の関連法令について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずることといたしております。
与党案とは異なり、三年後の施行時における十八歳投票権を明確に担保するものとなっております。
第三に、国民投票運動についてでありますが、公務員を含め多くの国民の皆さんがこれに主体的、積極的にかかわるであろうことを前提に、かつ、このことを期待し、国民投票運動は基本的に自由とし、投票の公正さを確保するための必要最小限度の規制のみを設けることといたしております。公務員法制上の公務員の政治的行為の制限については、本法案に規定する国民投票運動については適用しないこととし、公務員の労働団体による国民投票運動についても、国民投票運動に名をかりた特定政党や特定候補者への支持拡大運動でない限り当然に容認されるべきことを明確にしております。
テレビ、ラジオにおける有料広告については、発議後投票日までの全期間禁止すること、政党等は、テレビ、ラジオにおいて、賛否平等に無料で広告をすることができることとすることとしております。テレビ等の有料広告禁止期間を与党案の二週間と異なり全期間としたのは、期日前投票は既に投票期日の二週間前から始まっていることや、多額の資金を要するテレビの有料広告については財力の多寡による不平等が生じることなどの理由からであります。
第四に、この法律の規定のうち国民投票の実施に関する部分は、公布の日から起算して三年を経過した日から、また、国会法の一部改正の部分は、公布の日以後初めて召集される国会の召集の日から、それぞれ施行することといたしております。なお、憲法改正原案の提出及び審査に係る国会法の規定は、この法律が施行されるまでの間は適用しないものとしております。
この凍結期間は、これまでの各院の憲法調査会と同様に改正の要否も含めた基礎的な調査にとどめるべきであって、与党案提出者の答弁にあったような、凍結期間中であっても各院の憲法審査会で憲法改正原案要綱作りはどんどん進められるというような、初めから改正ありきの考え方は、提出者としては全く念頭に置いておりません。
その他、所要の規定を置くこととしております。
以上の点につきましては、民主党が衆議院で昨年五月に提出した法律案に本年四月に提出した修正案を加味した内容と基本的に同一の内容となっております。
なお、衆参両院でのこれまでの審議も踏まえ、国民投票において国民の承認がなかった改正案と同一内容の改正原案の発議について、当該国民投票の結果を十分に考慮するものとする規定を置くとともに、合同審査会について、その円滑な運用と活用が図られるよう、勧告の前の段階においても各議院の憲法審査会長が合同審査会の経過及び結果を審査会に報告しなければならないこととする規定を置くことといたしました。
以上が本法律案の趣旨であります。
何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。