伊吹文明の発言 (文教科学委員会)
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○国務大臣(伊吹文明君) これは先生、一番人間社会にとって重要なんだけれども、いろいろな価値観あるいは政党の理念を持って行われる政治の中では一番難しい分野なんですね。しかし、民主党があり、公明党があり、共産党があり、自民党があっても、日本で生きている限りは、日本人が共通に持っているものを教えるということは私は当然あっていいと思います。
具体的に、規範というのは、法治国家ですからまず法律というものがあります。しかし同時に、その国において、長い歴史の中で祖先が試行錯誤の中でこれはどうも不適当だなというものをそぎ落として、これは正しいんじゃないか、みんなで守っていこうよというものを残して、そしてつくり上げてきたものと法律とを合わせたものが私は規範だと思いますね。
ですから、英国では、あれだけ近代議会制民主主義の母なる国と言われましたけれども、どちらかというと明文法の非常に少ない国であって、つい最近まではコモンローと言われる法に書かれざる規範というのか、その国の約束事のようなもので社会の秩序が守られていたわけですね。ですから、英国の規範と日本の規範とまた非常に違うと思いますし、ましてやアメリカのように人工的に移民をもって、いろいろな規範を持った人たちがつくり上げた国で共通に持つ規範というのは一体何なんだろうというのは、非常につくりにくいからこそあの国は法律を優先に国の社会秩序を守っているわけですね。
しかし、先ほど来お示しになったこの調査を見て、その国においてすら日本以上に今先生が御指摘になったことを強く意識しているということを突き付けられると、我々はやっぱりかつて、宗教の意識が非常に低いと先生、難しいとおっしゃったけれども、かつて宣教師が信長の時代に日本へ来たときに、どの国の国民よりも日本人は礼儀正しく、そして人に優しく、町は清潔であるという手紙を送っておりますよね、本国に。新渡戸稲造さんは、宗教感覚はこんなに薄いのに、なぜ日本人というのはこんなに社会が整然と秩序正しく保たれているんだろうかという疑問を持った自分の米国人の妻に、武士道というものが宗教に代わるものとして日本にはあるんだということを教えたのが「武士道」という本ですよね。
商人道というものもありますし、例えば石田梅岩の石門心学のようなものもあれば二宮尊徳や安藤昌益の農業に携わる人の規範みたいなものも日本にはあるわけですから、もう一度やっぱり、こういうものは、こういう人が主張したことはこうだよということを私は教えていくというのが本来の徳目であって、その中でどれを取るかということを、点数化するということはやっぱり適当なことじゃないんじゃないかなという気持ちを持ちながら今先生がおっしゃったことに取り組みたいと思っております。