福井俊彦の発言 (財務金融委員会)
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○福井参考人 お答え申し上げます。
まず、委員が冒頭におっしゃいましたとおり、この先、非常に長い距離を見ましたときに、日本経済の場合、少子高齢化、人口減少、この厳しい問題に対処すると同時に、財政再建を着実に実現していかなきゃいけない。したがいまして、その中であるべき日本銀行の姿というのは、今後、非常に長期にわたり物価安定のもとで持続的成長をきちっと実現していく、この軸は崩せない、そういう意味で日本銀行の果たすべき役割は非常に重いというふうに自覚をいたしております。
そう申し上げました上で、当面の経済の見通し、これをしっかりさせた上で先につなげていくということになりますが、御指摘のとおり、現在の状況は、米国の経済が調整過程にある、そして米国のサブプライム問題に端を発した国際金融資本市場の動揺が不透明要因、不確定要因となっている、こういうことでございます。
こういう状況の中で、日本経済の、この先しばらく、ややロングランな経済見通しを立てるということは決して容易な作業ではございませんが、一昨日の私どもの政策決定会合では、日本経済につきまして、この日本経済を単体で見ると、今のところ、内需、外需、比較的バランスのよくとれた需要に牽引される形で、そして生産、出荷、在庫、このバランスも比較的いい状況で、みずからがリズムを崩す心配が余り少ない状況で、物価安定のもとで持続的成長を続ける可能性が高いと一応判断される。
そして、今起こっております外部環境につきましては、米国の経済のスローダウンは、かなりの程度その他の国の高成長によって吸収される可能性がとりあえず強い。
それから、サブプライム問題に端を発した国際金融資本市場の動揺については、いわゆるリスクの再評価の過程でございますし、各部門で損失の吸収ということが行われなければいけませんので、少し時間がかかるということではありますが、幸いにも、日本経済への直接的な影響という点で見ますと、日本の金融システムへの直接的な打撃はかなり限定されている、こういうふうな状況がございますので、私どもの見方によりますと、現在ただいまの状況に足を置く限り、物価安定のもとでの息の長い拡大が続く可能性が高いというのが今の判断でございます。
ただしということにどうしてもなってまいります。米国の住宅市場の調整が一段と厳しいものとなった場合、それから、金融資本市場の変動の影響がやはり予想以上広範なもの、あるいはより深いものとなった場合ということは当然考えられるわけでございます。その場合には、資産効果、それもいわゆる逆資産効果を通じ、あるいは信用収縮というプロセスを通じ、さらにはいわゆる企業マインドとか消費者マインドの悪化を通じて、さまざまなルートを通じて個人消費や設備投資が下振れる。特に、震源地であります米国景気が一段と減速する可能性はやはり考えられると思います。
欧州経済は非常に順調だと言われております。確かに、内外需、バランスのとれた堅実な成長が続いているんですけれども、欧州におきましても、国際金融資本市場変動の影響が結構大きいということは御承知のとおりだと思います。この金融環境の変化が実体経済に及ぼす影響次第では、欧州経済も下振れるリスクがあります。
アメリカや欧州の経済をめぐるリスクが顕現化した場合には、その程度いかんによっては、世界経済の中の他の地域の成長に悪影響を及ぼす。最終的には日本経済への影響ということも免れない可能性がありますので、注意深く見ながら金融政策を運営していかなければいけない。
今後とも、適時適切な判断については一層研ぎ澄まされた目で見ながら判断していきたいというふうに考えています。