福井俊彦の発言 (財務金融委員会)
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○福井参考人 簡潔にお答えするには、やや複雑な問題ではございます。
サブプライムローンに問題を発しました今のリスクリプライシングのプロセスというのは、おっしゃいましたとおり、そう単純には進まないと思います。
これから金利の再設定が行われていく、あるいはそれ以外の価格の再設定が行われていく。その結果として損失の発生とか追加的な負担の増加ということがありますので、これを企業なり経済全体なりがこなしていく過程というのは、この先、生み出していくキャッシュフローを食いつぶしながらそれを消化していくということでありますので、トータルとしますと世界経済全体の成長にとっては明らかにマイナス要因になっているが、それがどの程度かというのは、今のところ正確には読めないが、多かれ少なかれあるだろうという前提はやはり考えておかなければいけないということだと思います。
一方、原油価格あるいはコモディティーの上昇につきましては、恐らくマーケットは、先行きの経済について、米国のスローダウンないし今申し上げましたような金融市場の中から出てくる問題について、エマージング諸国の強い経済成長力でもってかなり吸収できるだろうという見通しのもとに、先行きのコモディティー、オイル価格をやや強気に見ているというところがあるのに加え、もしかすると、一時的な投機資金がそちらに回っているということも重なって入っていると思います。
したがいまして、原油価格、コモディティー価格の実体経済との関係での均衡点は、これからさらに探りを入れていくというプロセスがあって、いずれ均衡価格が市場の中で見出されていくであろう。
したがって、今の原油価格、コモディティー価格の高さのままずっといくかどうかはわからないと思います。ある程度調整されていくのが自然でなかろうか。その調整された後の価格というものが、その先、持続可能な世界経済の成長の中でうまく吸収していけるものであるかどうかということが決め手になってまいりまして、そこがスムーズに吸収していかれるようであれば、インフレあるいはデフレ、スタグフレーションのリスクの度合いは軽減されていく、こういうことになると思います。
しかし、いずれにしても、経済というのはそううまいシナリオどおりいくとは限りません。いろいろ不規則な要因が入ってきて、あるいは市場がそれを拡大、増幅して悪い姿を見せ、悪い影響を経済にはね返してくるということがありますので、最終的には、市場の動きを今の段階で予測することは非常に難しい。
ただ、締めくくりとしてお尋ねのありました長期金利、これは、原理原則を申し上げますと、申すまでもないんですが、基本的には、将来の経済や物価に関する市場の見方を反映して形成される。だけれども、市場の常として、今申し上げましたとおり、さまざまな要因を材料として大きく変動するリスクが併存している、こういうことであります。特に日本の長期金利の場合には、海外金利の影響を受ける面が強い。日本だけでなくて、海外の金利も、お互いに影響し合う、共鳴し合っているところがありますので、その影響は拡大、増幅して出てくる可能性があるということだと思います。
そういうことを考えますと、先ほども申し上げましたけれども、一方では世界的なインフレ方向のリスクというものには注意をしていく必要がある。それは、原油価格の高騰が示しているかもしれないし、中国経済の過熱感が強いというふうな実態を踏まえてもそういうことが言えると思いますけれども、その一方で、やはりダウンサイドリスクが非常に強く出て、思わぬ世界経済の下振れ、これも十分考えられることであります。
したがいまして、世界的に長期金利の先行きを見ました場合には、上下いずれの方向にもかなりのリスクをはらんでいる。その場合に、長期金利だけではなくて、他の金融指標についても同じことが言えると思いますので、金融市況の予想外の大きな変動をもたらすリスクというのは、今から私どもも念頭に置いております。
展望レポートで、長期金利とだけ特化して書いておりませんけれども、「金融市況の変化など」と、少し表現は一見やわらかいんですが、実は長期金利よりももう少し幅を広げてリスク要因をそこに書かせていただいています。
今のところ、現実にこのリスクが顕現化するというふうには目には映っていないんですが、リスク要因としては結構大きいというふうに私どもは認識しているということでございます。