田嶋要の発言 (本会議)
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○田嶋要君 民主党の田嶋要です。
私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりましたいわゆる新テロ特措法案について、反対の立場から討論をいたします。(拍手)
まず、過去六年間、インド洋上での過酷な環境の中、粛々と給油活動の任務を全うされた海上自衛隊の方々に心より敬意を表します。
反対理由の第一は、過去の活動の問題でございます。
今回はっきりしたことは、給油開始後、イラク戦争勃発までの最初の一年と四カ月で、海上自衛隊の油の実に九八%は米国艦船に提供され、主にアフガニスタン本土への空爆を行ったということです。これは、過去六年間の米国への給油量の七三%に当たります。そして、過去六年間では、米国艦船への給油は全給油量の八割です。つまり、十一カ国が参加をした海上阻止活動への給油というのは、実は名は体をあらわしていないのであります。
政府は、旧テロ特措法はそのようなアフガニスタン空爆への給油を認めていたと主張します。しかし、国民が十分に知らされていたとは言えません。また、政府は、アフガニスタンでの武力行使を警察的活動と呼び、さらに、海上自衛隊自身は非戦闘地域にいるため武力行使とは一体化しないという主張を繰り返しますが、果たしてこれが説得力あるものなのか、疑問です。
さらに、二〇〇三年三月二十日にはイラク戦争が始まりました。私たちは、空母キティーホークやミサイル駆逐艦ポール・ハミルトンがイラク戦争に従事していた可能性を証拠に基づいて指摘をいたしました。一方、政府は、日本の法律に違反するような油の使い方はしていないというアメリカ政府の主張をただ繰り返すばかりです。どちらの主張がより信頼に足るものでしょうか。
言うまでもなく、米海軍の活動の現実を日本の都合で変更するなどできるはずはありません。つまり、日本国内での議論では、アフガニスタンとイラクとは全く別個の軍事活動として説明されてきましたが、その説明は、複数の軍事活動を前提とした米海軍の現実とのはざまで、最初から破綻していたのです。
しかも、この点に関する政府答弁は以前とずれてきています。二〇〇三年五月、当時の政府はこう明言しています。イラクとの戦争に私どもから補給を受けた船が参加することはテロ特措法違反である。しかし、今の臨時国会では、こういう趣旨の答弁に変わりました。補給を受けたその艦船が他の任務を付与されていること自体は別に問題がない。今や、補給を受けた艦船がアフガニスタンと同時にイラク戦争に従事していても、油の転用ではなく、合法的な給油となったのです。
本当の海上阻止活動以上に、多くの油が使われたアフガニスタン空爆。そして、アフガニスタン空爆からイラク戦争。さらにその先に一体何が来るのか。そして、残念ながら、油はまじるのであります。自衛隊からもらった油だけが別のタンクに入るわけではありません。要するに、米艦船が複数任務を行い、そして我が国が従来の枠組みのまま給油をする限り、海上阻止活動を支援する名目の給油は、さまざまな戦争の後方支援をする可能性に全く歯どめがかからない。そして、それにこれまでおよそ六百億円の税金が投じられてきた。政府はそのことを承知の上で、またそれを許す法案を提出しているのです。
反対理由のその二は、国益との整合性の問題です。
政府は、給油活動が我が国の国益にかなうベストな活動だと主張します。そして、その主張の論拠の一つが、いわゆるシーレーン防衛です。しかし、それも説得力がありません。
過去十年余りのデータでは、日本関係船舶が襲われた事件は、インド洋では年平均一・六件、他方、マラッカ海峡を含むアジア地域では年十二・三件、実に八倍です。シーレーンが重要だと言うのであれば、インド洋の前に、まずアジアの海域です。さらに、海上阻止活動が我が国の国益なのであれば、なぜ給油なのでしょうか、しかも、日本だけがただで。だからこそみんなに感謝をされたということなのでしょうが、歯どめのかからない軍事行動への給油よりも、むしろ、国益にかなう活動として、海上自衛隊による海上阻止活動そのものを検討するべきです。
反対理由の三は、防衛省の体質の問題であります。
まず、あの八十万ガロンと二十万ガロンの取り違えの問題です。イラク転用疑惑への当時の政府の反論は、今や完全にその根拠を失いました。組織ぐるみで事実を隠ぺいした疑いもぬぐい切れません。誤った情報に基づき国民に虚偽の答弁を行い、そして旧法の延長をした政府の責任は重大であります。
また、自衛隊補給艦の航海日誌の一部が規則に反して破棄されていた事実も判明しました。これも、不都合な情報の隠ぺいと疑われても仕方ありません。また、これとは逆に、秘匿すべき情報が過って開示された事例も見つかりました。
要するに、むちゃくちゃなんです。無論、自分たちの組織の事務方のトップが接待ゴルフ漬けでは、組織の規律が失われるのも無理からぬことかもしれません。
しかし、それでも、自衛隊は実力組織であります。文民統制のベースとなる組織の規律、情報管理が問題だらけでは、一体どうして文民統制が担保できるのでしょうか。意図的な隠ぺいであれば、なおさらです。そして、そのような組織が米国と交換公文で確認しているという給油活動も、国民に信じろと言う方が無理な相談です。
まさに、このような文民統制の危機のさなかに、そして防衛省と山田洋行をめぐる疑惑などの究明がこれからというときに、わざわざ国会承認規定を外した新法案を通そうとすることは、まさに暴挙であります。
反対の理由の四は、テロとの闘いの手段の問題です。
アフガニスタンをテロと麻薬の温床にしてはいけない。しかし、実際は既に温床になっています。自爆テロは急増、ケシ栽培は世界の九三%、過去六年、悪化の一途です。イラクに次ぐ泥沼化が強く懸念をされています。
テロとの闘いに武力行使は本当に有効なのか、もはやだれと闘っているかわからない、殺しながら人道援助ができるのか、疑問は膨らむ一方です。だからこそ、今、立ちどまって熟慮が必要なのではないでしょうか。医療に例えれば、六年間治療を試みた、病状は改善の兆しなし。であれば、治療を変えてみるべきではないか。
我が国は、アフガニスタンにおける武装解除などを成功させました。米国、イギリス、ドイツ、イタリアもそれぞれ国軍建設、麻薬対策、警察再建、司法改革を担当しましたが、その中でも日本の成功は際立っていたと評価されています。湾岸戦争のトラウマということが言われますが、しかし、一兆五千億も日本が払って、クウェートにはわずか十六億円しか届かなかったのとは違い、アフガニスタンには、我が国は一千四百億円もの経済的支援を行い、武装解除に象徴されるすぐれた人的貢献を行ってきました。そして、これからも、我が国がアフガニスタンの真の和平プロセスと民生・人道復興に関して、オール・ジャパンで強化するべき支援策は幾つもあります。
米国やイギリスでも、イラク戦争を初めとして、テロとの闘いに武力行使が有効かどうか、そして財政は負担に耐えられるか、次第に世論の圧力が強くなってきています。民主党は、参議院にイラク特措法廃止法案を提出いたしました。平和という山の頂につながるテロとの闘いは一つではありません。米国の同盟国日本だからこそ、今、米国の追従ではなく、米国とは違う道を登り始める必要がある。それこそが戦略的なテロとの闘いと考えます。そして、そういう我が国の決断に米国を含む国際社会がいつか感謝する日がやってくる、その信念を最後に申し上げ、反対討論を終わります。(拍手)