行田邦子の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○行田邦子君 民主党・新緑風会・日本を代表して、ただいま議題となりました放送法等の一部を改正する法律案について質問を行います。
本法案は、元々、本年四月六日に安倍前内閣の下で閣議決定され、その内容は、放送に対する政治、行政の介入を強化する一方で、地方の放送局の在京キー局による支配を促進しかねないものでした。
しかし、今ここで私たちが審議しようとしている放送法改正案は、衆議院で民主党の主張を入れた修正が成立した結果、そのような危険性は相当程度払拭されています。これは、さきの選挙によってもたらされた参議院における与野党逆転の成果であり、そのことが牽制となり、衆議院において与野党間のより建設的な議論、修正協議につながったものと思っております。
私は、まだ当選して四か月の一年生議員です。次のステージでは必ずや政権交代ができるものと確信をしておりますが、現状の歴史的な動きに参加していることを誇りに思い、政治を国民の目線に立った生活第一のものに変えていきたい、この思いを新たにしているところです。
以下、本法案について、原案の問題点やそれを衆議院での修正によってどのように改善したのかといった観点から質問をいたします。
第一は、経営委員会の権限の多くを総務省令にゆだねていたことです。これでは、時の権力者が恣意的に省令を変え、委員会の権限が政治的に濫用される事態が起きかねません。経営委員会の権限を法定化し、限定する修正で、時の権力による政治介入の抑制につながると考えますが、総務大臣の見解を伺います。
第二は、経営委員会の番組編集への介入についてです。
本年九月の経営委員会において、経営委員長から選挙期間中の番組報道についての発言がなされました。民主党の修正提案により、経営委員会の委員が個別の放送番組の編集を行うことを禁止したため、NHKの番組編集の自由は守られたと考えますが、経営委員会による番組編集への介入について、総務大臣はどのように考えていますか、お答えください。
また、本改正案により経営委員会の権限が強化されるわけですが、当然に責任も伴います。そもそも、NHKの経営責任は最終的にだれが負うものとお考えなのか、総務大臣に伺います。
次に、NHKの国際放送における命令放送に関する規定について伺います。
昨年十一月、菅前総務大臣は、電波監理審議会にNHKに対する国際放送実施命令の変更を諮問し、拉致問題に特に留意することを求めました。拉致問題解決の重要性は論をまちませんが、具体的内容にまで立ち入った命令放送は放送法第三条の放送番組編集の自由を侵害するおそれがあることから、諮問については慎重であるべきでした。
この命令放送について、改正法案には「命令」を「要請」に改め、NHKは応諾に「努めるものとする。」と規定されていますが、従来の命令放送制度と何が違うのか、総務大臣に答弁を求めます。
衆議院における修正では、制度の廃止まではできなかったものの、NHKに対して要請できる放送事項を限定、さらには総務大臣に対して、要請に当たって放送番組の編集の自由に配慮することを義務付ける規定が追加されました。増田大臣御自身は、菅前大臣のように、具体的事項を指し示した放送要請を今後行うおつもりでしょうか、お考えをお示しください。
また、新たに制度化された映像国際放送の財源についてお伺いします。
受信料を負担していない外国人を対象とする国際放送に、国民が負担している受信料を充てることについてどのようにお考えか、総務大臣にお尋ねします。
次に、マスメディア集中排除原則の緩和について質問します。
本法案には、認定放送持ち株会社が複数の放送局を子会社化できるようにするという規定が入っています。地上デジタル化の設備投資を強いられた放送局の経営の安定を考慮したとき、この制度は放送局にとって経営の選択肢を広げるものであると一定の評価をします。
しかし、一方で、この制度によって東京のキー局による地方のいわゆるローカル局への支配が強まる結果、ローカル局の情報発信の独自性を損なう可能性があります。それでなくても、現状、ローカル局の自主制作番組の比率は一〇%程度にすぎず、残りの九〇%程度は東京のキー局の番組をそのまま流すだけになっています。そして、ローカル局の中には、汗水流して自前の番組を作るよりも、キー局が作った番組をそのまま流した方が楽というキー局依存体質があることも否定できません。
そこで、キー局のローカル局への支配に一定の歯止めを掛けるために、改正法案では、民主党の提案により、一の者が保有できる持ち株会社の議決権の割合の上限を、政府原案の二分の一以下から三分の一未満に引き下げる修正を行いました。この上限引下げによる効果をどうとらえているか、総務大臣にお尋ねします。
また、衆議院総務委員会の附帯決議には、認定放送持ち株会社制度の運用に当たって、地方の独自性が確保されるよう留意することが盛り込まれましたが、具体的にどのようなことを行うのか、総務大臣、明確に答弁してください。
ここで少し視点を変え、地方の放送局が抱える苦境を地方の疲弊と関連付けて考えてみたいと思います。
地方の放送局が厳しい経営を迫られている理由としては、地上デジタル化の設備投資ばかりが取り上げられていますが、私に言わせれば、根本的な原因は地方経済が活力を失っていることにあります。
民間の放送局は収入の大部分を広告に頼っています。ローカル局は広告収入の七割から九割を独自に確保していると言われています。地方の放送局に広告を出す地元企業が疲弊していれば、広告収入も減少して当然です。私は、以前、広告代理店に勤務していたとき、地方の放送局が広告収入を確保するのに四苦八苦している状況を目の当たりにしてきました。今日、都市と地方の経済や財政の格差が指摘されていますが、放送業界においてもこの都市と地方の格差が如実に現れているのです。
地方の放送局の経営を改善し、地方独自の情報発信力を高めるには、そもそも地域間の経済格差是正、地方の活性化のための抜本的な取組が必要であると考えますが、どのような地方再生策を講じていくのか、放送のみならず地方の行財政を担当されるお立場として、総務大臣、具体的にお答えください。
次に、番組捏造問題への対応策について伺います。
今年一月、関西テレビの「発掘!あるある大事典Ⅱ」でデータ捏造問題が発覚しました。私自身、広告代理店に勤務していた際、この事態の収拾にかかわらざるを得ない立場に置かれ、言語道断の不祥事に憤りを覚えたことを鮮明に記憶しています。
その背後には、番組制作会社とテレビ局の間の構造的な問題もありましたが、放送業界側がBPO、放送倫理・番組向上機構を中心として自主的な対策を打ち出したことは評価してよいでしょう。
しかし、政府原案には放送局に対して再発防止計画の提出を求める行政処分の制度が盛り込まれました。私たちは、この規定を認めれば放送に対する行政の介入を安易に助長し、表現の自由、報道の自由が侵害されかねないと考え、衆議院での修正協議で削除を主張し、実現することができました。
もちろん、放送業界は自浄機能を高めなければなりませんし、BPOの組織改編や機能強化等、より一層の取組を期待するところです。総務大臣、番組捏造問題の再発防止に対する放送行政の在り方について、お考えをお聞かせください。
次に、地上デジタル放送への移行についてお聞きします。
二〇一一年七月にアナログ放送を停止し、全面地上デジタル放送に移行するわけですが、送信側については二〇〇七年三月末時点で八五%の世帯カバー率となっていますが、問題は受け手側です。同時点で受信機の世帯普及率はわずか二七・八%にすぎません。このままでは、お年寄りや生活保護世帯など、テレビを買い換える経済的余力のない人は二〇一一年七月以降、テレビを見ることができなくなってしまいます。
現代社会において、テレビを見るということは社会生活の基盤であり、憲法が定める健康で文化的な最低限度の生活と言っても過言ではありません。受信機を普及させるために政府としてどのような支援策を講じていくのか、さらに全世帯の約三分の一を占める共聴世帯への対応について、総務大臣の答弁を求めます。
総務大臣、あなたは、国民の社会生活の基盤であり民主主義のインフラである放送という分野において、放送事業者への免許権限を持ち、様々な行政指導を行うという絶大なる権限を有しておられます。このことをいま一度御認識いただいた上で、放送行政を行われることを切に要望いたします。
最後に、国家権力を監視する役目を持つ放送局を国家権力が直接規制、監督するという現在の放送行政の在り方を改め、独立性の高い通信・放送委員会にゆだねることを今真剣に議論をしていくことの必要性を提言いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔国務大臣増田寛也君登壇、拍手〕