神野直彦の発言 (国民生活・経済に関する調査会)
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○参考人(神野直彦君) ふるさと納税については、二つの議論が混乱していると思うんですね。ふるさとを愛する、ふるさとをどうするかという問題と、もう一つはふるさと納税という形で財政調整をする、地域間の財政力の格差を是正するという問題と二つあると思います。
後者の問題について、先ほど私が説明した分かち合いの議論から言えば、私は、地域社会で地域社会の痛みを、悲しみを分かち合うために地方税を支払い、国民が国民的な悲しみを分かち合うために国税を分かち合っていると。国民は国税を納税することによってすべての日本国民が幸福になるような形で負担をし、地域社会のために地方税をやっているのに、その地方税をほかの地域に持っていくということは課税権の根本を侵すのではないかということが一つですね。
それから、これは先ほどの松先生の質問に幾つか答えていなかった点があるかと思いますけれども、大きさを決めるのも、したがって地方税というのはマンションの管理費みたいなものなので、その地域社会が共同でやらなければならないことについて、マンションの管理費を払ってどこまでをマンションの管理費としてやりますか、高さどのぐらいにしますかということはそれぞれ決めればいい、それが程よいものだというふうに考えておりますので、そういう議論からいっても、分かち合いの議論からいっても、ふるさと納税は成り立たない。
もう一つは、スウェーデンでもふるさと存続運動をやっています。しかし、スウェーデンのふるさと存続運動というのは、私たちは目先の利益に追われて、もうふるさとを見捨てるのをやめようと、もしもそんなことをやったら、このグローバル化の下で自分たちのアイデンティティーを失うのだと。これは、ヨーロッパで行われているサステーナブルシティーとか持続可能な都市とか、持続可能なサステーナブルコミュニティー、持続可能な地域社会というのと同じ考え方です。それは、あくまでもふるさとというのは、ふるさとは近くにありて守るものであり、ふるさとは近くにありて愛するものだという思想に支えられているんですね。ふるさと納税の思想というのはどういうものかというと、これからもふるさとを見捨てていくという思想なんですね。後で仕送りすればいいでしょうというそういう話ですよね。
あくまでも日本がふるさとは遠くにありて思うものという思想に基づく限り、ファウンテン現象と言っていますが、泉のごとく地域から新しい芽が出てきて、泉のごとく地域が持ち上がっていくということはなく、いつもトリクルダウン、一部のところからのおこぼれちょうだいという形で地域社会の発展にはならないんじゃないかという、二つの意味で議員のお目に留まったかもしれません。厳しく言っております。