自見庄三郎の発言 (総務委員会)

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○自見参議院議員 ただいま議題となりました日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案について、提案の趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。
 昨年十月一日、日本郵政公社は民営・分社化され、持ち株会社である日本郵政株式会社のもとに、郵便事業株式会社、郵便局株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の四会社が設立されました。
 三年前に審議が行われた郵政民営化関連六法案は、民営化に当たって多くの危惧、弊害が指摘され、第百六十二回国会において一度は参議院で否決されましたが、小泉内閣は衆議院を解散し、総選挙の結果を経て、第百六十三回国会において成立したものであります。
 法案審議の過程においては、小泉内閣総理大臣及び竹中郵政民営化担当大臣から、郵便局はなくさない、サービスダウンは行わない、労働条件もダウンさせないと、再三にわたる答弁があり、また、参議院の郵政民営化に関する特別委員会においては、同趣旨の附帯決議も付されておりました。
 しかしながら、民営化法の成立後、全国各地における多くの簡易郵便局の閉鎖、千を超える郵便局での郵便配達業務の廃止、過疎地におけるATM、現金自動預け払い機の撤去、さらには送金手数料の大幅な引き上げが行われるなど、国会審議の際の政府答弁も附帯決議も今やほご同然の状態であります。
 このような状況が生じたのは、経営者の利益至上主義の考え方にも問題がありますが、より根本的な原因は、本来、公共の福祉の増進を目的とする郵政事業を、利潤追求を目的とする株式会社に変更し、さらに、一体的、効率的に運営されていた日本郵政公社を、十分な検証を行わず五つの会社に分割し、しかも、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式を十年以内に全部処分することとした、郵政民営化の制度設計そのものに大きな欠陥を有していることにあります。
 そもそも郵政事業は、郵便、郵便貯金、簡易生命保険の三事業を一体的に経営することにより、その効率性が確保され、税金を全く使うことなく、全国二万四千余りの郵便局が維持されてまいりました。したがって、仮に郵便事業だけで郵便局を経営しようとすれば、ニュージーランドやドイツの例を挙げるまでもなく、ほとんどの郵便局の経営は成り立たず、早晩廃止に至ることは必定であります。
 郵政民営化関連法では、郵便局は、郵便局株式会社の「営業所であって、郵便窓口業務を行うもの」と定義づけられており、郵便貯金、簡易生命保険のサービスの提供は義務づけられておりません。しかも、日本郵政株式会社が保有する郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式は、すべて処分することとされています。今後、株式の処分が進み、民間株主が支配する会社ということになれば、郵便貯金銀行も郵便保険会社も、赤字を出してまで地方の郵便局に業務を委託することは考えられません。その結果、多くの郵便局が閉鎖に追い込まれ、利用者である国民の利便が著しく低下することは必至です。
 このような事態とならないように、郵政民営化の制度設計全体を早期に見直すべきであるとの観点に立ち、日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等について定めるため、本法律案を提出した次第であります。
 株式の処分については、承継計画において民営化後三年目の上場を目指すこととされているものの、法律上はいつでも可能であり、できるだけ早く本法律案を成立させ、株式の処分を凍結すべきであります。
 次に、本法律案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一に、政府は、郵政民営化法等の規定にかかわらず、別に法律で定める日までの間、その保有する日本郵政株式会社の株式を処分してはならないものとしております。
 第二に、日本郵政株式会社は、郵政民営化法の規定にかかわらず、別に法律で定める日までの間、その保有する郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式を処分してはならないものとしております。
 第三に、郵政民営化法のうち、完全民営化までの移行期間中の郵便貯金銀行及び郵便保険会社の業務についての規定の運用に当たっては、日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分が停止されていることを考慮しなければならないものとしております。
 第四に、郵政民営化については、国民生活に必要な郵政事業に係る役務が適切に提供されるよう、速やかに検討が加えられ、その結果に基づいて必要な見直しが行われるものとしております。
 第五に、この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行するものとしております。
 以上が、この法律案の提案の趣旨及び内容であります。
 さて、最後に一言申しつけ加えますと、数年前までは直接金融時代のお手本のように評価されてきた米国の大手民間投資銀行、リーマン・ブラザーズが本年九月十五日に破綻いたしました。アメリカ金融市場の混乱が続いており、金融経済のグローバル化の影響もあり、我が国を初め全世界の実体経済に深刻な影響を与えております。ある識者によれば、ベルリンの壁の崩壊に匹敵する、全世界の経済、社会、政治の世界史的な大変革の始まりであると言う人もいます。
 何とぞ、この法律案の歴史的な意義をお酌み取りいただき、速やかに御賛同くださいますようにお願い申し上げます。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 自見庄三郎

speaker_id: 4656

日付: 2008-12-09

院: 衆議院

会議名: 総務委員会