伊波洋一の発言 (外務委員会)
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○伊波参考人 おはようございます。沖縄県宜野湾市長の伊波洋一でございます。
衆議院外務委員会に付されている第三海兵機動展開部隊の要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転実施に関する日本国政府とアメリカ合衆国との間の協定の締結についての承認の審議において、日米政府間の長年の懸案事項となってきた米海兵隊普天間航空基地に関して、宜野湾市長として意見を述べる機会を与えていただき、河野太郎委員長並びに各委員の皆様に感謝申し上げます。
さて、米海兵隊普天間航空基地については、一九九五年に設置された沖縄に関する特別行動委員会、SACOの課題とされ、一九九六年十二月二日のSACO最終報告で、ヘリ部隊が駐留する代替施設の建設を条件に、五年ないし七年以内の全面返還が合意された経緯があります。その全面返還合意から十三年がことしで過ぎるわけですが、依然として普天間基地は存在し、住宅地上空を米軍機が旋回飛行訓練を繰り返しています。
二〇〇四年八月十三日には、CH53D型米海兵隊大型ヘリコプターが市内の沖縄国際大学本館に墜落、炎上する大惨事が起き、大学本館が使用不能になったほか、周辺民家二十九戸、車両三十三台を損傷し、地域住民には心的外傷後ストレス障害、PTSDを発症する方もありました。多くの物的被害の中で、学生や大学職員、市民に直接的な身体被害が起きなかったことは奇跡的なことでありました。
日常的に市内住宅地上空での旋回飛行を繰り返している米軍ヘリや米軍機がある限り、二〇〇四年八月のような墜落事故はいつでも起こり得ることであり、二度と起こさないためには、一日も早く普天間飛行場での飛行訓練や部隊運用を停止することが必要です。
私は、二〇〇三年以来これまで、宜野湾市長として、日米両政府に対して、普天間飛行場の危険性除去の緊急性を訴え、これまでに三回の訪米要請行動を含めて日米両政府関係機関に九十回を超える要請行動を取り組んでまいりました。あわせて実施してきた米軍航空基地の安全基準についての調査などを通して明らかになったことを含めて、以下に、今回の米軍再編の流れの中で不透明になっている事柄などについて意見を述べたいと思います。
まず、普天間飛行場では、滑走路の両端前方で一切の障害物を除去するために設置すべきクリアゾーンが民間地区に大きく張り出して設けられ、その一番危険なクリアゾーン内に市立小学校や児童館、地域公民館、保育所などと約八百戸の住宅があり、合わせて三千六百名の市民が居住していることです。このことは、宜野湾市が二〇〇七年末に明らかにするまで隠されてきました。明らかに米軍基準に違反しており、国として直ちに運用停止を求めるべきです。
私は、このような見逃してはならない危険性が放置されて運用している普天間飛行場を一日も早く閉鎖させ、早期返還させるために、米軍再編の流れの中で、海兵隊を沖縄から撤退させ、海兵航空部隊の米本土やハワイ、グアムなどへの分散移転を実現するよう、強く両国に求めてまいりました。
米軍再編の日米協議で二〇〇六年五月に合意された約八千人の海兵隊員とその家族九千人の沖縄からグアムへの移転については、宜野湾市民の普天間飛行場の基地負担の解消と嘉手納以南の返還による沖縄の基地負担軽減に結びつくものと期待していましたが、今回の委員会での政府の答弁を聞いておりますと、国としての沖縄の基地負担の軽減への熱意や普天間飛行場の危険性の除去への熱意を感じることができません。
この協定の提案説明として、中曽根外務大臣からは、第三海兵機動展開部隊の要員八千名と家族九千名の沖縄からグアムへの移転実施を確実なものとし、沖縄県の負担軽減に資するものと考えられますと説明されております。私は、この沖縄県の負担の軽減について、資するものと考えるとあいまいにせず、委員会議論を通して、ぜひ明確に沖縄の負担軽減につながるものとしていただきたいのです。同時に、普天間飛行場の一日も早い危険性除去につながるものにしていただきたいと思います。
三年前の二〇〇六年の五月一日に2プラス2協議で合意した再編実施のための日米ロードマップにおいて、約八千名の第三海兵機動展開部隊の要員とその家族九千名は、部隊の一体性を維持するような形で二〇一四年までに沖縄からグアムへ移転するとし、日本は、これらの兵力の移転が早期に実現されることへの沖縄住民の強い希望を認識しつつ、これらの兵力の移転が可能となるよう、グアムにおける施設及びインフラ整備のため、二十八億ドルの直接的な財政支援を含め、六十・九億ドルを提供するとしました。
同時に、沖縄に残る施設・区域が統合され、嘉手納以南の相当規模の土地の返還が可能になるとされ、さらに、双方は、二〇〇七年三月までに、統合のための詳細な計画を作成するとしました。そして、嘉手納以南のキャンプ桑江、普天間飛行場、牧港補給基地、那覇港湾施設、陸軍貯油施設第一桑江タンク・ファームの五施設を全面返還し、キャンプ瑞慶覧については部分返還と可能な限りの統合としました。さらに、SACO合意による移設・返還計画について再評価が必要となる可能性を示しました。
米側のよく言うパッケージ論について、ただいま述べた詳細な返還計画の作成もまたパッケージの構成要素であるはずです。二年前の二〇〇七年三月までに作成されるはずだった嘉手納以南の統合のための詳細な計画は、いまだ作成されておりません。そのために、宜野湾市では、SACO最終報告で二〇〇八年三月までの返還が合意されたキャンプ瑞慶覧の普天間ハウジングエリア五十五ヘクタールの返還跡地利用の作業が二〇〇六年以来凍結されているのです。
それどころか、沖縄のどの部隊がグアムに移転するのかもあいまいにされたままです。あげくの果ては、沖縄からグアムへ移転する八千人の海兵隊は、実数ではなく定数である、それも米国がロードマップ交渉で示した在沖海兵隊実数約一万三千人から五千人も水増しした一万八千人の定数から移すのだと説明しています。全くあきれるばかりです。有事への即応性を海兵隊駐留の理由にして沖縄に負担を押しつけてきたのに、幽霊定数が重視されるのなら、六十・九億ドルは無駄金になりかねません。
国としても、沖縄県民も納得できる明確な説明責任を果たしてもらいたいと思います。
沖縄県民の負担軽減を前面に押し出して二〇〇六年の合意をしたにもかかわらず、現時点までに、沖縄の負担軽減にどのようにつながるのか明らかにされていません。むしろ、基地周辺では、嘉手納基地の米軍機の騒音激化や外来機の増加、普天間基地では深夜十一時までの住宅地上空での旋回飛行訓練が繰り返され、金武町では実弾による被害まで起こっています。
宜野湾市では、米軍再編の流れについて、数年にわたり、国内だけでなく米国内の動きに注視し、要請行動や調査を行ってきました。以下にその概要を述べますが、その内容は、先週までの政府答弁のようなあいまいなものではなく、当初から詳細な計画案が示されてきました。最終的に、環境影響報告書の出そろう二〇一〇年当初に確定するものと思われます。
グアム移転の一方の当事者である米国では、米太平洋軍司令部が、二〇〇六年七月に策定中のグアム統合軍事開発計画を同年九月に公表しました。その内容は、重要部隊のグアム到着を二〇一〇年以降になるとしつつも、具体的な部隊構成や移転の順位まで示しました。その内容は、実戦部隊を含むもので、演習地、訓練地の詳細な検討も求めていました。
二〇〇七年七月に沖縄県中部市町村会の市町村長十名でグアム調査を行い、グアム統合計画室とアンダーセン空軍基地の責任者から説明を受けて、移転予定地の視察も行ってきました。詳細は資料のとおりですが、本市の抱える普天間基地の海兵隊航空戦闘部隊についても、アンダーセン空軍基地の受け入れ予定地を案内され、六十五機から七十機の航空機と千五百名の海兵隊航空戦闘部隊員が沖縄からアンダーセン基地に来る予定と説明されました。グアム統合計画室とアンダーセン基地の二カ所の説明で、沖縄からの海兵隊のグアム移転は、米軍のアジアを含む軍事的抑止力の強化につながることも強調していました。
その後も米国で幾つものレポートが出されましたが、ほぼ同じ内容です。最新のものとしては、二〇〇八年九月十五日に、国防総省が海軍長官の報告書として連邦議会下院軍事委員会に提出した、国防総省グアム軍事計画報告書があります。
その中で、普天間基地の中型ヘリ部隊を含めて、具体的に部隊名を挙げて説明しています。現在、普天間飛行場とキャンプ瑞慶覧に常時駐留している海兵隊航空関連部隊では、KC130部隊関連を除いて、全部隊名がそのリストで、グアムに移転する海兵航空司令部要素として挙げられています。ロードマップでも、八千名の部隊は一体的にグアムに移転するとされていることから、私は、普天間基地の航空部隊は、KC130を除いて、グアムに移転するものと考えてきました。
グアムで増加する海兵隊員数は一万六百二十名とされていますが、内訳の少なくとも八千名は沖縄からの海兵隊員になるわけです。この人数は、常駐部隊数であり、一時駐留と区別されているもので、給付金や手当の受給資格を持つものとされています。
ですから、先週委員会での議論があったような、幽霊定数人員がグアムに移転してくると太平洋軍やグアム群島政府が考えているとは思えません。
しかし、なぜ国は、沖縄からグアムに移転する八千人は主として司令部関係で、実人数ではないと説明するのでしょうか。国として海兵隊のグアム移転に六十・九億ドルを負担するのなら、米国防総省のリストにも挙げられているように、沖縄で負担の大きい実戦部隊の移転を優先すべきです。普天間基地についても、海兵隊航空部隊を一日も早くグアム等へ、国外に移転させて、危険性の除去を実現し、沖縄の負担軽減に結びつくようにすべきです。明らかに、政府の説明責任が果たされていないと思います。
最後に、私も、ことし二月二十三日に米国大使館で普天間飛行場の早期返還と海軍病院の移設見直しを要請したときに、沖縄から海兵隊八千名と家族九千名がグアムに移転するので、SACO合意で建設計画が始まり、埋蔵文化財問題でストップしている海軍病院建設を見直すように求めた際に、グリーン安全保障課長から、沖縄の海兵隊員の定数は一万八千人だから、八千人移っても一万人まで外から兵隊と家族が移ってきますと説明されたときには、大変驚きました。
もしそれが本当だったら、私だけではなく沖縄県民の多くにとって、到底納得できるものではなく、憤慨するでしょう。そのようなロードマップは、辺野古新基地建設を含めて、すべてを直ちに白紙に戻して、グアム移転の財政支援も凍結すべきです。ぜひ、国会において、沖縄県民の負担軽減に結びつくのかつかないのか、国民が理解できるように委員会審議を尽くしてもらうことを要望して、意見陳述を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)