土屋正忠の発言 (総務委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○土屋(正)委員 今大臣の答弁にありましたように、実はことしの施政方針の中でも総理が地域主権という言葉を使われて、私は非常にけげんに思って心配したわけであります。だれが振りつけているのかよくわからないけれども、総理がそうおっしゃるということについて、私は、総理は経済や外交には大変強い方だと思いますが、地方自治はそこそこの方ではなかろうかと思っております。でありますから、そこそこの中で、もうちょっと議論を詰めていただいて、総理の言葉というのは重いわけですから……(発言する者あり)それぞれ得意不得意がありますからね。ということで、ぜひひとつ議論を深めていただきたいと存じます。私はそこそこと言っているのであってね。
さて、最後の質問でございますが、今までの分権論の中で見過ごされてきたものがある、このように考えております。
地方分権一括法の施行のときもそうでありましたが、国はどういう役割、どういう行政分野を果たすか、あるいは都道府県はどういう分野を果たすか、市町村はどういう行政分野を果たすかという、行政分野ごとに切り離して、これは国、これは都道府県、これは市町村と、こういうふうな議論が重ねられてきたわけであります。
ただ、これからもそういうふうなやり方だけでいいのか、あるいは日本の行き方としてこれでいいのかという議論があります。今のようなやり方を分離的自治論というわけであります、分離的分権論、こういうことになるわけですが、私は、実際は、一つの行政目的に向かって、同じ行政目的で国や都や市町村がそれぞれ役割を果たしてきた、果たしてきているというのが今までの自治の姿ではなかろうかと思います。
例えば、道路をとってみても、全国をネットする国道、域内の基幹道路の都道府県道、それからコミュニティーを中心とする市町村道、こういうふうに分かれますし、教育においても、憲法第二十六条に基づいて、国が教育基本法や学習指導要領などを定めて、都道府県が教員、そして具体の教育施設の実施は市町村ということになっております。介護保険にしても、二〇〇〇年の四月からスタートしたわけでありますが、これなどもそういう仕組みになっているわけであります。国民健康保険もそうでありますし、長寿医療もそういうふうになっているわけであります。
さらに、治安などについても、昔は都道府県警察ということになっておりました。治安は都道府県警察がやる。したがって、警察庁は、行政官庁であっても司法警察権は持っていない。失礼しました。国家公安委員長に向かって大変失礼いたしましたが、そういう仕組みになっていたわけであります。
しかし、国際的なテロ事件や麻薬、マネーロンダリングみたいなことがあって、こういう特殊な事件については警察庁が司法警察職員として働くということになったわけであります。つまり、都道府県の上に国家警察が出てきたわけであります。さらに、この十年ぐらいにわたって、地域内のピッキングの被害だとか振り込め詐欺の被害だとかがあって、警察だけではやり切れないので、都道府県警察よりもっと小さな自治区である市町村が、例えば生活安全条例といったようなものをつくったり、あるいは違法駐車防止条例といったようなものをつくったりしながら、市町村も責任を持つよということになってきているわけであります。
つまり、治安は専ら都道府県がやるものと思っていたのが、国家警察と市町村の治安対策みたいなものができてきたわけであります。ですから、首都圏においては、どこの市でも防災プラス安全という言葉を入れて、治安対策などにも目配りをしてくるようになったわけであります。
このように、一つの治安なら治安という行政分野の際にも、当然のことながら、国家警察あるいは市町村的な治安、こういうものが重なってきているわけでありますから、こういうのを融合的自治というわけであります。
外交などの場合も、専ら国の専管事項とされていたのが、最近ではNGOとか、あるいは、外務省の総務課の中に地方連携室というのが数年前にできたわけでありますが、市町村や都道府県と連携して、総合的な外交を進めよう、日本国民の総合力をもって外交を進めよう、こういうふうになってきているわけであります。
ですから、一定の行政目的に向かってさまざまな形で国や都道府県や市町村が役割をしていくという方向、こういう融合的自治論について議論していく必要があるのではなかろうかと存じます。
分離型の自治の失敗の典型的なものがあります。国民年金であります。
国民年金は、地方分権一括法に基づいて、保険料徴収事務を市町村から社会保険庁に移管いたしました。このとき、平成十二年ごろからそういう話があったんですが、平成十三年に七〇・九%だった納付率は、平成十四年では何と六二・八%。八ポイントも一挙に落ちたわけであります。それは、市町村が、市町村長のもとでやっていた納付事務をやらなくなったからであります。
このように、分離的自治でいくのか、あるいは融合的な自治でいくのか、きょうここですぐ結論の出る話じゃありませんが、また永田町に戻ってこられたらこういう話も本質的な話として引き続きさせていただきたいと思いますし、何か御見解があれば、ぜひお聞かせいただきたいと思います。