小宮山洋子の発言 (本会議)

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○小宮山洋子君 ただいま議題になりました民主党・無所属クラブ提出の消費者団体訴訟法案につきまして、提出者を代表して、趣旨と概要を説明いたします。
 このたびの消費者の権利を守るための法案は、長年の消費者、消費者団体の悲願でした。その要望の柱の一つが、違法に上げられた収益、違法収益を剥奪し、被害者に返してほしいということです。
 二〇〇六年に消費者契約法を改正して、消費者の皆さんの要望にこたえて、全体では大きな被害ですが一人一人の消費者の損害は小さな額のため泣き寝入りすることが多かった事件について、消費者団体がかわって訴訟を起こせる消費者団体訴訟の制度をつくりましたが、被害の予防に当たる差しとめ訴訟だけ認める制度になっています。
 当時から民主党は、予防のための差しとめ訴訟と被害を回復する損害賠償訴訟は、車の両輪のようなもので、両方がそろって有効に機能すると考え、損害賠償訴訟も盛り込んだ民主党案を提出し、並行して審議をしましたが、残念ながら実現しませんでした。
 このたびの法改正では、そのときの案をより強化し、消費者権利院の支援を受けながら消費者団体が一人一人の消費者にかわって損害賠償請求もできるようにしたものを、独立した消費者団体訴訟法案として提出いたしました。
 どのような消費者被害を救済できるかというと、例えば、高齢者をねらった、布団や医療器具、健康食品、リフォーム工事の契約などがあります。エビの養殖に投資させるワールドオーシャンファームの詐欺事件では、およそ五万三千人が総額八百億円の詐欺に遭っています。また、エル・アンド・ジーの円天事件は、古典的なマルチ商法ですが、およそ五万人が総額一千億円の被害に遭っています。
 こうした個々の損害を一人一人が裁判することは困難で、全体の被害額が大きく、広がりがある事件で消費者の被害を回復するためには、損害賠償を消費者団体がかわって訴訟をする制度がぜひとも必要であることをおわかりいただけると思います。
 民主党は、消費者の立場を代表する政党として、二〇〇四年の消費者保護基本法改正の際にも、消費者は保護の対象ではなく権利の主体であることなどの観点から対案を取りまとめ、積極的に改正に取り組んできました。そして、二〇〇六年の消費者契約法改正に当たっては、適格消費者団体を、政府の言う認定制ではなく、基準を明記した上で登録制にし、各地に存在するようにすること、また、差しとめ請求の範囲を政府案よりも拡大すること、そして、個々の被害者にかわって損害賠償を請求できるようにするなど、より消費者の皆さんの要望にこたえられる対案を提出しています。
 二〇〇六年の衆議院内閣委員会の附帯決議にも、「消費者被害の救済の実効性を確保するため、適格消費者団体が損害賠償等を請求する制度について、司法アクセスの改善手法の展開を踏まえつつ、その必要性等を検討すること。」と明記してあります。
 ところが、その後の政府の取り組みは、有識者による研究会を設置し、検討しているということですが、今回、消費者についての大きな法律をつくろうというのに、違法収益を剥奪して被害者に損害賠償をする制度が全く入っていないことは、画竜点睛を欠くどころか、大きな柱が欠けていると言わざるを得ません。
 諸外国を見ても、アメリカのクラスアクション制度やヨーロッパ諸国での消費者団体が損害賠償請求をできる制度など、消費者被害を救済する実効性のある制度として損害賠償制度が存在しています。
 また、二〇〇七年にOECD理事会で、加盟国に対して、多数の消費者に係る紛争解決及び救済の仕組みを導入するよう勧告されています。
 日本も、せっかくの今回の機会を生かして充実させるべきだと考えます。
 今回提出している消費者団体訴訟法案は、二〇〇六年の民主党の消費者契約法改正案を土台にして、消費者権利院制度を生かすとともに、ヒアリングなどで聞かせていただいた関係団体の皆様からの意見や私たちの研究成果も取り入れ、大幅にバージョンアップしたものです。その過程では、諸外国の損害賠償制度を参考にしながら、日本の民事訴訟制度の基本的な枠組みと整合性を持ったものにするために、さまざまな工夫をし、現実的で実効性のある制度設計をしております。
 それでは、この法律案の概要について説明いたします。
 第一に、適格消費者団体は、現行法の差しとめ請求に加えて、共同の利益を持つ多数の消費者の損害の救済のために、裁判所の許可を得て、みずから損害賠償等団体訴訟を行うことができるとしています。
 また、損害賠償等団体訴訟の確定判決等に基づいて、弁済として受領した財産を当該消費者に配当できることとしています。その際、適格消費者団体は、損害賠償等を行う許可を得る前であっても、当該損害賠償等団体訴訟に係る仮差し押さえ命令の申し立てをすることができることとしています。
 これらの制度は、あわせて提出している消費者権利院法案に基づいて、消費者権利院が行う事業者の財産保全、訴訟援助と相まって、事業者の違法収益剥奪と消費者の被害の救済のために新たな道を開くことになります。
 第二に、現在の法律で認められている適格消費者団体による差しとめ訴訟についても、消費者契約法に規定されている対象範囲を拡大することとしています。
 現在の法律では、差しとめ請求の対象が、消費者契約法に違反する不当な行為に限定されていますが、この法案では、その対象を、民法における詐欺や強迫に該当する事案、さらに民法九十条の公序良俗違反などに拡大し、消費者の被害の発生及び拡大の防止をより一層図ることができる内容としています。
 第三に、適格消費者団体の登録の制度についての規定を整備しています。
 現在の消費者契約法では、内閣総理大臣の認定を受けた消費者団体を適格消費者団体としていますが、その要件が大変厳しく、また、行政機関の裁量の余地が大きいため、ごくわずかの消費者団体しか認定を得られていません。法律が施行されて間もなく二年になるのに、現在ある適格消費者団体は、全国で七つのみで、広島より西にはありません。これでは、九州、沖縄の人は遠くまで行かなくてはならないことになります。
 この法案では、消費者権利官、いわゆる消費者オンブズパーソンによって登録を受けた団体を適格消費者団体としています。認定制度から登録制度に変更するとともに、登録要件の簡素化、明確化を図り、より多くの消費者団体が適格消費者団体になることができるようにしています。これによって、消費者団体訴訟制度を積極的、実効的に運用することができるとしています。
 第四に、適格消費者団体への支援について、必要な規定を設けています。
 適格消費者団体は、差しとめ請求権の行使や損害賠償等団体訴訟の提起など、消費者の権利利益の擁護のため、積極的な活動を行うことが期待されています。ところが、経済的な基盤は十分とは言えません。そこで、この法案では、適格消費者団体が行う差しとめ請求関係の業務や損害賠償等請求関係の業務の公益性にかんがみて、国及び地方公共団体は、それらの業務のために必要な資金の確保に努める旨の規定を設けています。
 このほか、消費者契約法その他の、所要の規定の整備を行うこととしています。
 なお、この法案の施行期日は、一部の規定を除き、消費者権利院法の施行の日、すなわち、同法の公布の日から起算して一年を超えない範囲内で政令で定める日からとしています。
 以上が、この法案の趣旨と概要です。
 政府案には全く規定がないものであることからも、どうぞ、御審議の上、党派を超えて皆さん賛同してくださることを心からお願いいたします。(拍手)
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 消費者庁設置法案(第百七十回国会、内閣提出)、消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(第百七十回国会、内閣提出)及び消費者安全法案(第百七十回国会、内閣提出)並びに消費者権利院法案(枝野幸男君外二名提出)及び消費者団体訴訟法案(小宮山洋子君外二名提出)の趣旨説明に対する質疑

発言情報

speech_id: 117105254X01520090317_026

発言者: 小宮山洋子

speaker_id: 492

日付: 2009-03-17

院: 衆議院

会議名: 本会議