土屋品子の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○土屋品子君 自由民主党の土屋品子でございます。
私は、自由民主党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました憲法第五十九条第二項に基づき、本院議決案を議題とし、直ちに再議決すべしとの動議について、賛成の立場から討論を行います。(拍手)
本年四月二十三日に衆議院本会議で可決し、参議院に送付されました海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律案は、本日、参議院において否決され、本院に返付されてきました。
昨年、ソマリア沖・アデン湾では、百十一件もの海賊事件が発生したため、六月以降、国連安保理では、ソマリア沖の海賊行為を制圧する決議が四回も採択されており、その対処は国際社会の一致した要請となっております。世界の二十カ国以上が取り締まりを強化してきましたが、ことしも、海賊事件が年間三百件を超えるのではないかという予想もあります。さらに、この海域は、年間約二千隻の日本関係船舶が通航している重要な航路であります。
こうした経緯を踏まえ、本年三月、応急措置として護衛艦二隻を派遣いたしました。六月十五日現在で合計二十七回の護衛を実施し、外国船が不審船に追われているといった情報などを受け、人道上の措置として、既に六度対処しております。
しかしながら、この派遣は、自衛隊法八十二条の海上警備の行動に基づく活動であり、警護対象や武器使用権限の面で十分でない部分があります。
昨年四月に日本のタンカーがアデン湾で襲撃されたとき、これを救助したのはドイツ海軍でした。逆の場合、もしこれを放置するようなことがあれば、日本は他国の海賊被害には無関心と国際的な非難を浴びるのは必定であります。さらに、海賊が民間船舶に接近するなどの行為については、これらの犯罪行為を行っている段階で抑止する必要があります。
こうしたことから、本法案には、保護対象を拡大し、外国船舶の護衛もできるようにすることと、警告に従わない海賊船への射撃を可能とすることで実効性をより担保しようとしております。
さて、本法案に対する民主党修正案の柱は、国会の事前承認と海賊対処本部設置の二点であります。
民主党は、国会の事前承認がなければ自衛隊に対する文民統制が担保されないと主張しておられますが、果たしてそうでしょうか。また、野党の一部には、今回の海自派遣を憲法違反だと主張する声があるようですが、海賊対処は、国連海洋法上、あくまで警察権の行使であり、憲法第九条の禁止する武力行使には断じて当たりません。そのため、与党としては、本法案で定めるような国会報告で十分と考えます。
また、首相が本部長を務める海賊対処本部を新設すべきとの主張については、屋上屋を架すたぐいのものと考えます。なぜなら、原案でも、自衛隊が海賊対処行動をとるときは、政府全体の意思決定が必要となっていること、そして、身分を併用しても、実際、活動を行うのは海上保安庁と海上自衛隊であり、わざわざ本部を設けなくても、両省間で調整すれば対応可能であります。
このような理由で、民主党との修正協議が調わなかったことは甚だ遺憾であります。与党がその主張の一部を取り入れた修正案を提示したにもかかわらず、民主党は、自衛隊派遣に異論のある党内事情の露呈を恐れる一方で、修正合意に反対する社民、国民新両党との共闘を優先したがゆえに、合意に向けてのハードルを最後まで下げませんでした。民主党は、国民の生命や財産を守るという意味で、国益に直結する海賊対策を政争の具としたことになります。参議院第一党として、また政権を目指す責任政党として、あるべき姿とはとても言えないでしょう。
参議院では御賛同いただけず、返付されてまいりましたが、現下の情勢にかんがみ、一刻も早く海賊被害に機動的かつ効果的に対処することは、国益と国際貢献の両面で喫緊の課題であります。それは、三月中旬に内閣府が発表した世論調査において、六割以上の国民が前向きに評価したことにもあらわれております。
以上の理由から、憲法第五十九条第二項に基づき、粛々と本法案の成立を図り、国会の意思を明らかにする必要があると考えます。国民の負託を受けた議員各位の良識に基づき、圧倒的多数をもって御賛同いただきますようお願いして、賛成の立場からの討論を終わります。(拍手)