鈴木寛の発言 (文教科学委員会)
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○鈴木寛君 この今回の法改正は、昨年、私ども、そして自民党の林芳正参議院議員、そして公明党の斉藤議員、共同でいろいろな作業をさせていただきまして、研究開発力強化法という法律を議員立法で、これも与野党で成立をしていただきました。
その中で、研究開発力を強化をしていかなければいけない、そのために必要な資金あるいは年度を超えて使い勝手のいい研究費の交付の在り方と、こういう議論をさせていただいて、そして法律もできて、その精神といいますか、その考え方に沿った第一弾ではないかなと、こういうふうにも理解をさせていただいているところでございます。
その中で、特に昨年も重要であるというような議論をさせていただきましたけれども、最先端の研究支援とそして若手研究者の支援と、この両方の観点から、それぞれ二千七百億円、三百億円の基金を積むと。基金でありますから、予算の単年度主義の弊害をある程度、何といいますか、解決できますということでございますので、そういう意味ではその方向に沿ったものだというふうに理解をし、評価もさせていただいているところでございます。
そこで、今日は、改めて我が国の研究開発力というものがどうなのか、大丈夫なのかという観点から質問をさせていただきたいと思いますが。
お手元の資料の四と五を御覧いただきたいわけでありますけれども、昨年も議論をいたしましたけれども、情報、環境、生命科学、ライフサイエンスと、この三つは非常に重要なとりわけ研究課題、研究分野だと、こういう議論はこの間ずっとされているわけですけれども、その中で特にライフサイエンス、これがやっぱり日本はなかなか諸外国に比べて基礎研究も応用研究も非常に脆弱といいますか、更なる振興が必要だと。情報などにつきましては、例えば応用、あるいは環境についても応用、ここは民間企業がかなり担っていただいておりますので、もちろん情報や環境についても基礎研究については更なる支援が必要だと認識しておりますけれども、ライフサイエンスについては基礎も応用も臨床も相当てこ入れをしていかなければいけないなと、そういう議論をさせていただきました。
そういう中で、資料の四でございますけれども、ライフサイエンスの中核を担う医学論文でございますが、これ、二〇〇四年以降、日本は一〇%ぐらい減っているわけですね。世界全体は七%ぐらい増えていると。まさに、今でも更に強化をしていかなければいけない臨床あるいは生命科学分野、医学分野の研究、これ基礎も含めてですけれども、のところが、ここへ来てまた水を空けられていると。
このことは大変に憂慮すべき事態だと思いますし、かつまた、その理由は何かということを見てみますと、資料の五でございますけれども、結局、医学研究の中核を担う大学の医学部あるいはその附属病院、この教員あるいは教職員の皆様方が診療時間が極めて多忙になっているがために、例えば平成二十年で申し上げますと、診療時間が増加したとお答えになっておられる、これは国立大学協会のアンケートでございますけれども、六六・七%の方々が増えたと。そして、教育は、教育もこれは問題なんですけれども、減少したという人が二四・四%います。結局、診療時間の増加のしわ寄せが教育の減、さらには、決定的に効いておりますのは研究時間、研究時間が減少したという方が七七・八%と、こういう状況でございます。
このことが先ほどの医学論文の、世界はどんどん伸びている中で、七%も伸びている中で日本は一〇%下がってしまうと、こういうことにつながっているわけでありまして、まず前半は、大学附属病院、とりわけ国立大学の附属病院が今置かれている状況について少し議論をさせていただきたいと思います。
私は、今、国立大学病院は、これはトリプルパンチというふうに言わせていただいているんですけれども、そういうふうな状況にあるんじゃないかと。つまり、まず二〇〇四年に国立大学が国立大学法人になりました。法人化によって、後で詳しくお伺いしたいと思いますが、まず膨大な長期債務を抱えたと。その元利償還ということを負っていかなければいけない、国立大学法人が。そして、と同時に、交付金が、五百八十四億円あった国立大学病院運営費交付金が二百七億円、まさに三分の一に減らされてしまったと。このまさに国立大学の法人化に伴って、法人化がいけないんじゃないんですけれども、法人化をきっかけとして債務を負わされ、そして交付金を減らされると。これが第一のショック。
それから二つ目は、診療報酬も減らされました。これは四度にわたる診療報酬のマイナス改定がありまして、つまり、二〇〇二年にはマイナス二・七%、二〇〇四年にはマイナス一・〇%、二〇〇六年にはマイナス三・一六%、二〇〇八年にはマイナス〇・八二%で、実に四回にわたる診療報酬マイナス改定で約一割弱の診療報酬水準が下がっているわけです。これはもとより国立大学附属病院にも同じ影響。さらに、大学病院というのは大変に高度な医療をやっていますから、そういう意味での打撃は一割を超える診療報酬減と、こういう影響を受けているというふうに思います。
そしてさらに、この診療報酬改定でもって様々な影響が生じておりまして、診療報酬改定の結果、他の病院がどんどんどんどん医療機能を縮小をいたしております。
例えば救急で申し上げますと、二〇〇一年、四千三百四十七か所あった救急医療機関が二〇〇七年には二百十八か所減って四千百二十九か所に減っていますし、したがって救急を大学病院が負わなければいけない役割というものが増えてしまった。あるいは公立病院は、これは公立病院改革ガイドラインというものが二〇〇七年に出まして、その結果、公立病院どんどん縮小しております。都立病院も十四あったのを七に減らすとか、あるいは八百三十七の公立病院のうち、診療報酬改定等々もありまして八〇%が赤字になってしまった結果、全体の一九%に当たる百五十九病院が統廃合、再編、あるいは十二病院が民間譲渡、十病院が指定管理者制度になり、十八病院が診療所化したということで、公立病院も崩壊していると。銚子市民病院の事例あるいは岩手県の事例というのは皆様方もよく御承知のことだと思います。そのこれまたしわ寄せが国立大学、あるいは私立大学も含めて大学附属病院に来ていると。
それから、三つ目でございますが、それはまさに行政改革推進法で国立大学の人件費、これに対して五%のカットが掛かっています。私どもは、先ほどこの参議院の文教科学委員会に提出させていただいた、公的教育機関の人件費を削るという行革推進法のその条文を削除しろという法律を提出させていただいて、可決していただきました。あれは主として、公立も入りますけれども、あの中の条文には国立も入れておりますから、国立大学の定員についても私どもの法律ではここは削除させていただいているわけでありますけれども、いずれにしても行革推進法で人件費削減になったと。
後でまた詳しく申し上げますけれども、人件費削減でもってどんどんどんどん国立病院の医師の立ち去りというものを促進をさせたと。それから、加えて、二〇〇四年から導入をされました新臨床研修制度でございます。結局、それまで五千九百二十三人いた研修医の在籍が、現状で申し上げますと三千五百九十一人ということで、実に二千五百人もこの新臨床研修制度の発足によって大学から物理的に人がいなくなってしまったと。
こういうまさにトリプルパンチの下で国立大学病院、大学病院が大変な状況にあるということであります。結果、二十代の大学病院勤務医師の平均の一週間の病院滞在時間というのは何と八十四時間、平均が八十四時間ですから、ということが医療崩壊につながっているということでございます。
これまでも予算委員会などで御質問をさせていただきましたけれども、改めて伺いますが、この国立大学病院運営費交付金、これ三分の一に減ってしまったと。まさに大学附属病院というのは、地域の医療を守り、そして人を育てる、極めて重要な役割を本当に担っていただいているわけで、ここに対しての運営費交付金をやはり私は二〇〇四年の水準に少なくとも戻すべきだというふうに思っておりますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。