田中和徳の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○田中和徳君 私は、自由民主党の田中和徳であります。
 私は、自由民主党・改革クラブを代表いたしまして、ただいま議題となりました財務金融委員長玄葉光一郎君の解任決議案について、その提案の理由を御説明いたします。(拍手)
 まず冒頭、趣旨弁明に先立ちまして、一言申し上げたいと存じます。
 私は、先日まで直前の財務金融委員長を務めていた立場であり、この歴史ある国会において大変な重責を担う委員長を糾弾する演説をしなければならなくなったことを、極めて残念に、かつ遺憾に存じます。
 我々自由民主党は、長きにわたり、与党として、与野党や会派の大小にかかわらず、粘り強く合意形成の努力をしつつ、議会運営に対処してまいりました。これは、我が党が、自由活発な議論を重要に考え、また、法案を採決するまでのプロセスにこそ民主主義の真髄があるという信念のもとに国会運営を行ってきたからであります。
 与野党が一致しなかった案件に関しても、昼夜を分かたず野党の皆さんに丁寧に呼びかけ、最後の最後まで、よき結論を得るための最善の努力を尽くしてまいりました。民主党を初めとした現在の連立与党の皆さんも野党時代は我々の呼びかけに応じていただき、与野党が協力のもと、国民のために、国のためにと、さまざまな議案を成立させることができたのであります。
 その民主党を初めとした今の連立与党が、与野党逆転後のこの国会において、突然に、これまでの主張を翻し、議会制民主主義の根幹を忘れたかのような強硬な国会運営を始めたことを、私は、驚きとともに、この裏切られた行為が、いまだに信じられない思いであります。
 私は、民主党を初め与党の皆さんに猛省を促すとともに、この数の力がすべてを支配しようとするこの国会を、一刻も早く本来のあるべき姿に正常化できるよう、力の限り演説をさせていただく所存であります。
 それでは、まず、案文を朗読いたします。
  本院は、財務金融委員長玄葉光一郎君を解任する。
   右決議する。
 以下、その理由を申し述べます。
 解任の第一の理由として、玄葉光一郎君の、そのルールを無視した強権的な委員会運営を挙げざるを得ません。
 財務金融委員長玄葉光一郎君は、今国会冒頭の十一月十一日の委員会において、「公正かつ円満な委員会運営に努めてまいる所存でございます」と、その所信を述べられたばかりであります。
 今般、財務金融委員会に付託された中小企業金融円滑化法案は、中小企業の資金繰りや住宅ローンの負担軽減に関する法案であり、国民生活に多大な影響を与える、今国会の最重要法案と言っても過言ではありません。
 現在の我が国の経済は、GDPこそやや回復基調にあるものの、中小企業などがその回復を実感するにはほど遠く、失業率も高く、依然として国民生活が極めて厳しい状況にあることは、皆さんも周知の事実であります。
 そのような状況のもとで提出された中小企業金融円滑化法案は、当初、亀井静香金融担当大臣が構想を打ち上げてから、政府の内外を問わずさまざまな意見が寄せられ、法案審議の上からも、慎重にも慎重な取り扱いが求められていることは当然でありました。
 この法案の、まず主な問題点を挙げますと、まず第一に、政府が信用保証協会を通じて金融機関の損失の一部を肩がわりしたり、金融機関の財務が悪化した場合には公的資金を注入して支えることになりますが、いずれの場合にも、最終的な負担は国民が担うことになるという問題です。
 第二に、借り手側は、急場をしのぐことはできますが、借金を減らすことにはならず、根本的な経営改善にはつながらない可能性が高いということであります。
 第三に、返済猶予を受けることによって、かえって信用力を失うことになり、新規のニューマネーの借り入れ時に不利になるのではないかと、借り手がちゅうちょし、心配をしてしまう可能性があることです。
 また、政府が民間金融にも重大な影響を与える可能性があるため、中小企業を助ける仕組みのはずが、かえって民間全体の活力を失わせてしまうのではないかとの心配があり、さまざまな報道を通じても、しばしば目にするところでもあります。
 我々自由民主党も、苦労されている中小企業や住宅ローンの借り手の方々を支援する思いは共有しており、国会審議を通じてよりよい法案をつくっていこうと、さまざまな提案をさせていただいておりました。我々が、参考人質疑を提案し、本日は木曜日であり、委員会の定例日ではありませんが、開会に合意したのは、十分な質疑時間をかけて法案の精度を高めようという、十分な与党と野党の合意が成り立っていたからでありました。
 そもそも、参考人質疑の意義とは、私が申し上げるまでもありませんが、国会の外からのさまざまな視点を加えることによって法案等をよりよく磨き上げていくことだと言えます。
 しかし、与党は、昨日十一月十八日の理事会において、突然に約束を破り、参考人質疑の直後の採決を提案したのであります。
 参考人質疑後も参考人の意見陳述を法案に生かしつつ充実した審議を行うものと与党側との約束を信じていた我が党にとって、この非常識な提案は、与野党の信頼関係を一瞬にして失わせるに十分な事柄でありました。また、参考人質疑直後の採決では、参考人質疑の意義そのものを否定し、今後の国会審議のあり方に大きな禍根を残すことにもなりました。
 玄葉光一郎君は、委員長という良識ある国会を守るべき立場にありながら、与党幹部の理不尽な言い分に唯々諾々と従うのみで、一方的に採決日程を決めるという、憲政史上まれに見る、無気力かつ乱暴な運営に出たのであります。
 これは、今国会の冒頭に委員長本人が所信でお述べになった「円満な委員会運営」とは余りにもかけ離れたものであり、国権の最高機関である国会の権威を大きく損なわせる行為と断言せざるを得ません。
 議会に籍を置く者として、多数を背景とした独善的、強権的な今回の委員会運営は、断固として許すことのできない、恥ずべき行為であります。よりよい法案にするための努力を怠り、スピードのみを追い求めることは、議会制民主主義を破壊する行為であると、強く抗議するものであります。
 解任の第二の理由は、玄葉光一郎君は、委員長としての公平性、公正性に著しく欠けるということであります。
 今国会は、総選挙後初の本格的論戦となる国会としては異例ともいうべき遅い召集となった上に、しかも、大変短い会期を設定して始まりました。
 十月二十六日からの会期の間、国会がいわゆる不正常な状態に陥ったことはなく、主権者の大きい期待にこたえるためにも、各委員会でも十分に議論を深めようと円満な協議を進めていたところでありました。
 自由民主党も、かつての、何でも反対の理念なき野党ではなく、国民、国家に対する責任を持ち続ける建設的な野党として、いたずらに日程をおくらせるようなことは一切いたしておりません。
 しかしながら、青天のへきれきともいうべきか、与党は、昨日、突如として、数を背景とした強引な国会運営に踏み切ったのであります。
 さらに、去る十一月十二日に行われた与党国会対策委員長同士の会談でも、臨時国会に提出された法案を会期内で成立させるという方針が確認されたという報道がありました。
 この報道が事実であるとすれば、なぜ十二日というタイミングでそのような方針を出すことができたのでしょうか。この会談のとき、各委員会では、法案の趣旨説明どころか、所管大臣の就任あいさつも行われていない状況でありました。
 連立与党の民主党、社民党、国民新党の国会対策委員長は、一体、どのように審議を進めれば会期内にすべての法案を成立させることができるとお考えになったのでしょうか。そのとき脳裏にあったのが、与野党合意も、国会のよき慣例も、憲法の精神も、すべてをかなぐり捨てて、ただひたすらに一方的に採決を繰り返すというひどい方針であったことは、この財務金融委員会の今般のてんまつからもはっきりと読み取れる次第であります。
 国会法十二条にはこう述べられております。「会期の延長は、常会にあつては一回、特別会及び臨時会にあつては二回を超えてはならない。」つまり、臨時国会は二度まで延長することができることになっております。また、一月の通常国会までには、まだ一カ月以上もあります。政府・与党には、十一月三十日までの会期を延長し、中小企業金融円滑化法案を初め重要法案を真摯に議論するという選択肢がなぜないのでしょうか。
 結論を得ることのみを急ぐ今の与党の国会運営は、我が党の谷垣総裁の代表質問に対する与党第一党の民主党の鳩山総理の、「大いに国会の中で議論しようじゃありませんか」という党首の呼びかけを民主党自身が軽視していることになるのではありませんか。
 それとも、この強行的な国会運営は、鳩山総理自身が承知したものと考えてよいのでしょうか。もしそうであるならば、みずからの公的な発言を鳩山総理はいともあっさりと覆したということであり、総理が国民との契約とまで言い切ったマニフェストの実行も、極めて疑わしくなってくると言わざるを得ないのではないでしょうか。
 民主党のマニフェストと現在の政策をめぐっては、また、閣僚や民主党幹部の発言を見ると、既に首をかしげたくなる状況が随所に散見されます。
 その最大の事柄に、天下りの根絶があります。
 民主党のホームページにあるマニフェストの二ページを見ると、「鳩山政権の政権構想」という項目があります。その中の「五策」という項目に「天下り、渡りの斡旋を全面的に禁止する。」とあります。
 しかし、先日、議院運営委員会に提示された天下りの定義には、天下りとは、府省庁が退職後の職員を企業、団体等に再就職させることをいうと書かれておりました。
 我が党を初めとする野党が、内閣府及び厚生労働省の事務次官経験者である江利川毅氏の人事官への起用や、元大蔵事務次官齋藤次郎氏の日本郵政社長への起用について、天下りを認めたことになるのではないかとの疑問を呈しますと、何と、これらは政治主導による適材適所の再就職などと、政治主導の美名のもとに、国民との契約違反を正当化する発言をただ繰り返すのみであります。極めてけしからぬ話であります。
 つい先日までの野党時代の民主党において、党内のさまざまな立場の方々が天下りに関して発言をされています。特に、長妻厚生労働大臣は、天下り問題について、繰り返し繰り返しその問題点を指摘しておられます。
 長妻大臣は、天下りにはさまざまなケースがあると、平成二十一年二月四日の予算委員会において次のように発言をしておられます。
 もう指定席だから、中央省庁の関与がなくても、OBの間でルーチン化して、どんどん誘って、OBが数珠つなぎで天下っていくというケース。こういうケースは、全然政府は手つかずなんですよ。
 この御自身の発言と今回の政府が示した天下りの定義の間に、どのように整合性があるのでしょうか。
 さらに長妻大臣の発言を続けます。
 麻生総理、中央省庁がかかわっていない、水面下でOB同士でやられる天下りも、そういう趣旨であれば問題であるわけでありますから、ぜひ調査をしてください。
 長妻大臣は、かつて、役所がかかわっていないOB同士の天下りも大問題だという発言をこの国会の場で繰り返しておられたのであります。
 政権交代後の長妻大臣の発言も紹介しましょう。
 郵政社長人事について、この案件については、政治主導で、本当に適材適所という観点で悩みに悩んで決めた人事だと聞いておりますので、私は了解をしたわけでございます。人事官人事については、内閣としてそれを国会に提示しようということでございまして、閣僚全員と総理大臣の決断で提示をしたということでございますので、御理解をいただきたい。
 政治家の発言というのは、かくも軽くなってしまったのでしょうか。
 民主党の皆さんは、政治主導という言葉の響きに思考停止に陥ってしまったのではないでしょうか。それとも、意図的に政治主導という言葉でさまざまな矛盾点を切り抜けようとしておられるのでしょうか。
 政治主導という言葉で国民との契約を次から次へとほごにしていく。これらは、国会での議論、発言を民主党各位がいかに軽視しているかを物語るものであります。これは、このたびの強引な委員会運営を行った玄葉光一郎君にも共通しており、もはや民主党全体の体質なのではないかという思いすら浮かんできております。
 そもそも、極めて短い会期ですべての法案を成立させようという強引な国会運営の裏には、何らかのねらいが潜んでいるのではないかという疑いを持たざるを得ないのであります。
 予算委員会の質疑を通じて、我が党は、鳩山総理の政治資金問題について厳しく追及をいたしました。総理の政治資金問題は、今国会に始まったわけではなく、選挙前から数多く報道されていました。それにもかかわらず、一度の記者会見を開いたのみで、その後は検察庁の捜査への影響を理由に国民や国会への説明をことごとく怠ってきたのは、ほかならぬ鳩山総理自身であります。
 国民が鳩山総理の説明に納得していないことは世論調査などで明白であり、我が党は、事あるごとに国会の場での説明を強く求めてまいりました。しかし、まことに残念ながら、総理や民主党からは、いまだに明確な回答が得られないままになっております。
 ここで、我々の要求に対してなかなか説明に応じてくれない鳩山総理大臣にかわり、いわゆる鳩山献金疑惑について、報道内容等を簡単に紹介させていただきます。
 まず、六月十六日、朝日新聞が、鳩山総理が代表を務める資金管理団体、友愛政経懇話会の政治資金収支報告書の中に、発言は同じコジン献金でも、既に亡くなられたという方々からの献金、コジンのコの文字が違う故人献金があったことを報じ、偽装献金問題が発覚したのであります。
 次いで、六月三十日、記者会見で総理は、当時、総理の公設第一秘書であった会計実務担当者が虚偽記載したことを認め、さらに、この人物が一連の処理を単独で行い、総理にも会計責任者にも打ち明けていなかったと総理御自身が説明しておられます。
 しかし、十一月十日、我が党の西田参議院議員の予算委員会における質問で、秘書が総理の個人資産を引き出していた件について、総理自身が指示をして毎年五千万円の巨額資金を鳩山氏の資金を管理する六幸商会の口座から引き出していたことを認めました。これは、六年間で約三億円という、国民感覚からは余りにもかけ離れた額であります。生活に苦しんでいる国民の皆さんがどのように感じられたでありましょうか。
 これら一連の問題をめぐっては、あろうことか脱税疑惑まで報じられております。
 個人が政治献金をすると、総務省から所得税控除のための証明書類が発行される仕組みになっておりますが、友愛政経懇話会は、総務省へ虚偽の、うその寄附者についても所得税控除のための申請をし、多数の証明書を受けている事実が明らかになりました。
 国税庁には、当然、これらの不適正な控除の申請が記載されているはずであります。国税庁の主管大臣である財務大臣藤井裕久君が指導力を発揮され、鳩山政権への国民の疑惑を一日も早く払拭すべく、友愛政経懇話会の所得税控除に関する記録をすべて調査し、それを早く公表することを強く求めます。
 さらに、鳩山総理をめぐっては、今国会会期中には、新たに六年間で五億円もの所得隠し疑惑が発覚をいたしました。
 十一月二日付で毎日新聞が、二〇〇八年に総理が売却した株式について、七千二百二十六万円余の所得を税務申告していなかったと報じました。その後、さらに、報道機関が株式の譲渡所得の原資、売却した株式の銘柄について質問をしたところ、鳩山氏は、十一月十日、二〇〇二年から二〇〇八年の資産報告書と資産補充報告書を訂正したのであります。
 鳩山総理は、かつて、政治家の秘書が関係した問題が起きた際に、秘書の責任は議員本人の責任であるといった趣旨の発言を繰り返しておられます。今回の一連の問題に関して、総理の秘書であった会計実務者の監督者は総理御自身であり、みずからの責任をどのようにお考えなのか、総理自身の口から即刻すべてをお話をされることがよいのではないでしょうか。
 私は、すべての国民を代表して、鳩山総理が、検察の捜査に協力するとの発言を繰り返し、必死で逃げている印象を国民に与えることなく、司直の捜査に協力するのは当然のこととして、正しい勇気と友愛精神を発揮され、疑惑に関連する資料をすべて白日のもとにさらし、国会の場で説明することを、鳩山首相の人としての良心に訴えるとともに、ここに強く要求するものであります。
 十一月三十日までで臨時国会を閉じる。十一月十八日に開催することで調整されていた党首討論は延期。そして、財務金融委員会における強硬な運営。
 さらに、本日、産経新聞に、民主党小沢幹事長の巨額政治献金疑惑に関する記事が報道されました。小沢幹事長は、その政治資金の問題をめぐって代表を辞任されたわけでありますから、その当時から現在まで、みずからの疑惑に対する説明を、与党第一党のまさしく大幹部でありますから、説明すべきなのに、全く説明をしておられません。
 これらの出来事が意味することは、自分たちの通したい法案のみ会期内で成立させ、総理の政治資金問題、小沢幹事長の政治資金問題を追及される国会は早々に閉じるという御都合主義に凝り固まった国会運営であります。これは、まさに鳩山疑惑、小沢疑惑隠しの国会運営そのものと言わざるを得ません。
 この間、玄葉光一郎君は、財務金融委員長として主体的な判断をされることなく、ただ唯々諾々と与党の国会軽視の命令に従うのみでありました。言うまでもなく、委員長は、国権の最高機関である国会にあり、あくまで中立公正に委員会の運営を行うのがその職務であります。今回のように、与党の一方的な言い分に従って委員会の運営を行うだけであれば、数の力のみが言論の府を支配することになり、委員長職の権威は大きく失墜してしまうことになります。
 玄葉君には、委員長職の権威を守り、国会の権威を守るという気概が全くなく、重要法案を審議する委員長として、その職務を遂行するには不適当であり、速やかにその職を辞するべきであると考えます。
 以上の理由から、ここに、我々自由民主党・改革クラブは、財務金融委員長玄葉光一郎君の解任を強く求めるものであります。
 この国会が、民意を十分吸収する場として、あるべき姿に戻るために、良識ある議員各位の御賛同を心からお願いして、提案理由の説明といたします。(拍手)
    —————————————

発言情報

speech_id: 117305254X00520091119_006

発言者: 田中和徳

speaker_id: 151

日付: 2009-11-19

院: 衆議院

会議名: 本会議