岸本周平の発言 (財務金融委員会)

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○岸本委員 さらに、消費税の論議であります。
 今後四年間、消費税を引き上げないことは十分理解をしておりますが、衆議院議員定数の八十人のカット、さらには公務員の総人件費の二割削減、特殊法人、公益法人の廃止などの無駄遣いをやめた後のことであろうかと存じますけれども、一方で、年金や医療、介護、子育て支援など社会保障の予算を賄うためには、消費税以外に安定財源を求めることが困難なこともまた事実であろうかと存じます。
 今、将来の社会保障に関する不安から、大勢の国民の方の消費がそのために萎縮をしているという部分もあろうかと存じます。安定的財源をきちんと確保して、社会保障については心配要りませんよということをお示しすることで、四年後以降は、消費税の引き上げできちんとした安定財源を確保しますよということを宣言することが、ある意味では、そういう不安を取り除くことで消費を促す景気対策にすらなるのではないかと考えております。
 実際、一九九〇年代でありますが、北欧諸国が大変な不況に陥りました。そこで彼らは、国債を増発して景気対策を行いました結果、金利が上昇いたしまして大変な状況になりましたときに、政府が増税をした、あえて増税をすることで国債増発の不安をストップさせて、その結果、金利を下げて景気が回復したという例もございます。その意味では、消費税の議論をお始めいただくことは、大変前向きに国民も理解をしてくださると考えております。
 ただ、四年間は消費税を引き上げないわけでありますから、その間、国債のマーケット等にメッセージを送るためにも、中期財政フレームをきちんとおつくりいただいて、財政再建の道筋を示す必要があろうかと存じます。
 その意味で、菅財務大臣の所信をお伺いしたいのでありますが、国家戦略担当大臣を中心に、本年前半には、複数年度を視野に入れた中期財政フレームを作成するとともに、中長期的な財政規律のあり方を含む財政運営戦略を策定し、財政健全化への道筋を示すということを菅財務大臣も表明されておられます。また、英国型の中期財政フレームの導入でありますとか、財務省から予算の査定権限を取り上げるとか、鼻血が出なくなるまで効率化をさせていくんだということをおっしゃっておられます。ぜひ、菅財務大臣のリーダーシップで、その方向でお進めをいただきたいと思います。
 問題は、どうやってそれを実現していくかということでございます。
 実は、私は主計局で五年間主査をやっておりまして、単年度予算をつくっていく古きよき時代の予算編成を経験しておりましたが、どうしても、単年度でありますので、その年度年度をクリアしていくということで、主査に求められるのは、いわゆる悪知恵ということでありまして、その場しのぎの悪知恵を出すほど評価されるわけであります。
 いろいろなのがありますので、申し上げるわけにもいきませんが、まさに、特別会計のいろいろな勘定間のやりとりをさせていただきますと、私は厚生労働をやっておりましたので、数千億円のお金はある程度自由にできる。次長から頼まれると、ちょっと岸本君、二千億出せと言われると、はいと言って出せるように準備をするというのが仕事でありました。
 おもしろいのは、ちょっとだけ話しますと、年金の支給というのが二月に一遍なんですけれども、これは私じゃないです、ある先輩ですが、支給月をその年度から一回だけ延ばしますと、支出が六分の一減るわけです。そういうような知恵を出す人が評価をされる。それはいいんですけれども、その結果、財政が悪くなっているのも何となくごまかしてきたということもあるので、これからはまさに政治主導で、もっと大胆に、正直に、透明性を上げていって、かつ、中期の財政フレームワークできちんと政治的意思をコミットメント、公表していくということをお願いしたいと思います。
 財政のルールや目標につきましては、EUのマーストリヒト条約がございます。単年度財政赤字三%、債務残高六〇%というわけでありますが、このような目標を掲げたとしても、自動的に財政規律が維持されるわけではありません。実際、EUへの参加が終わった後、ユーロへの参加が終わった後はインセンティブがなくなりましたから、ギリシャの問題やらいろいろ問題が出てきているわけであります。
 米国の財政調整法というのがございました。裁量的な経費につきましては支出にキャップをかける、義務的な経費につきましては財源を用意しなければ認められないというペイ・アズ・ユー・ゴー方式も導入されておりますが、これはうまくいったんですけれども、財政が黒字になった瞬間に、もとのもくあみになってしまうというようなことがございました。
 予算が毎年作成されるという意味は、財政民主主義によりまして、議会が毎年予算を審議して議決をするんだということであります。しかし一方、先ほど申し上げましたように、単年度予算主義は、どうしても経済運営の中期的な安定を損ねて、つじつま合わせの予算となってしまいがちであります。
 その意味では、諸外国も、複数年度を前提にした中期財政フレームの試みを六〇年代ぐらいから始めております。最初はイギリスや西ドイツでスタートしておりますが、しかし、これもなかなか成功しなかったわけであります。中期財政フレームが単なる見通しで終わってしまうということではだめでありまして、今現在、成功事例と言われているものが幾つかございます。例えば、三年間の歳出総額に上限を設定するスウェーデン方式、それから、三年間の裁量的な支出を固定化する英国の方式、あるいは、四年間の将来見通しによりまして相当強制的に歳出抑制を行っておりますオーストラリア、ニュージーランドなどの方式がございます。
 どうしても各省庁は漸進的に予算を獲得しようとされますから、よほど強い政治的コミットメントがなければ、中期的な財政フレームが途中で崩れてしまうということになるわけでありますから、このような財政ルールに違反した場合に、時の政権が高い政治的コストを払うような仕組みが必要だろうと考えます。
 その場合に必要な条件が幾つかありますけれども、一つは、複数年にわたって支出を拘束する、それから、前提として計算する際の成長率を保守的に、慎重に見積もる。高い成長率でやって失敗する例がたくさんありました。そして、包括的に予算を対象とするとともに、過去の推計と実績を常に比べてそれを検証するということも大切だろうと考えます。
 その意味では、菅財務大臣が目標にされている英国では、過去の推計と実績の乖離につきましては、リコンシリエーションテーブルと呼ばれる分析手法が導入されておりますし、また、英国の中期財政フレームで使われる潜在成長率は、実際の政府の経済見通しよりも低い数字をあえて使っております。まさに過去のフレームで楽観的な経済成長を前提に税収を過大に見積もり、歳出の増加を許した反省があるわけであります。その意味でも、今回のフレームでは、新成長戦略では名目三%の成長率をお使いいただいていますが、中期財政フレームではそれよりも保守的な、慎重な成長率をぜひお使いいただきたいと考えております。
 それから、財務省には後年度影響試算という、ある意味、フレームがあるわけであります。しかし、これは注意書きでわざわざ、将来の支出は拘束しないと書いてあるわけでありますから、そういう意味では世界標準のフレームではないわけであります。そして、自民党政権時代、二〇〇二年一月には「改革と展望」、それから始まりまして、二〇〇七年一月の「進路と戦略」など内閣府から出されたわけでありますが、当然これも単なる見通しでありまして、政府のコミットメント、強い政治的意思はありませんので、世界標準のフレームとは言えません。もちろん、推計と実績の分析もしていませんし、その説明もありませんでした。
 財務大臣として、今申し上げました前提が成り立つような本物のフレームを導入するお覚悟はおありかどうか。従来のにせものだった後年度影響試算や自民党時代の内閣府の「改革と展望」などよりもよい中期財政フレームをおつくりいただく政治的な意思がおありかどうか。そして、本当に六月までにその財政戦略、国家戦略担当大臣とともに、むしろ副総理としての菅財務大臣の政治的リーダーシップでおつくりいただく意思があるのかどうかを確認させていただきます。

発言情報

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発言者: 岸本周平

speaker_id: 26898

日付: 2010-02-24

院: 衆議院

会議名: 財務金融委員会