古川禎久の発言 (本会議)
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○古川禎久君 自由民主党の古川禎久です。
ただいま議題となりました口蹄疫状況報告に関しまして、自由民主党・無所属の会を代表して質問いたします。(拍手)
去る四月二十日、宮崎県において確認された口蹄疫は、現場関係者の必死の努力を笑うかのように勢いを増し続け、ここに至って、ついにワクチンの接種を決断する事態となりましたことは、まことに痛恨のきわみであります。
地元紙、宮日新聞に発表された短歌を一首、御紹介します。
養豚の音なき終わりにすべもなく只ありがとうの感謝あるのみ
千二百頭の豚を失う川南町の養豚農家の方が詠まれた歌です。
発生農家あるいはワクチン接種農家の苦痛と悲嘆は、筆舌に尽くしがたいものがあります。また、殺処分や埋却、消毒など、一連の作業に従事する方々の精神的、肉体的消耗も極限に達しております。発生エリアだけではありません。県内外の畜産関係者の緊張感は限界を超え、経営不安も深刻化しております。運送業初め関連産業へのダメージはもとより、地域経済全体が先行きを見通せない、異様な不安に包まれております。
さらに、畜産王国宮崎における口蹄疫発生は、近隣各県のみならず、全国の畜産業にも影響を与え、特に宮崎の宝である種牛は予断を許さない情勢に追い込まれ、もはや日本の畜産の将来にわたる問題となっているのであります。
口蹄疫は、十年前にも宮崎県と北海道で発生をしました。当時の政権は、発生直後、即座に予備費を含め百三十億円を確保し、あらゆる対策を矢継ぎ早に打ち出しました。火事は最初の五分と言うように、家畜伝染病への対処は、初動が決定的に重要であり、やり過ぎだと言われるぐらいのことをやることが危機管理の要諦であります。
このときは、まさに政治のリーダーシップによって、宮崎県の牛三十五頭、北海道は七百五頭を失うことで、ウイルスを早期に鎮圧し、被害を最小限にとどめることに成功したのでした。OIE、国際獣疫事務局は、世界に例を見ないと絶賛し、我が国の獣医学、家畜衛生は、その名を世界にとどろかせたのであります。
その宮崎が、今回、ここまで悲惨な状況に陥ったことの最も大きな理由は、十年前のような政治のリーダーシップが欠如していたことにあります。
赤松農林水産大臣は、第一例発生から十日後の四月三十日、関係者の強い中止要請を振り切って、予定どおり、九日間の中南米への外遊に出発されました。大臣は、EPA交渉のためと説明しておりますが、甚だ疑問です。農林水産省の報告を見ましても、わずかに、メキシコのマジョルガ農牧大臣と会談しておりますが、それも事務レベル協議で足りる内容であり、明らかに不要不急のものにすぎません。
赤松大臣の外遊には、少なくとも、口蹄疫対策に優先されるだけの必要性、緊急性などは認められず、当然のことながら、大臣は、外遊を取りやめ、全力で口蹄疫対策に当たるべきでありました。
中南米の国々も、畜産文化を持つ国々です。自国で口蹄疫が発生しているにもかかわらず、現場指揮をとらず、外遊する農林水産大臣とは一体何者か。恐らく、かの国の人々もいぶかしく思ったことでしょう。
ちょうど、安全保障の総責任者である内閣総理大臣が、海兵隊の抑止力を知らなかったと平然と言ってのけ、諸外国を驚かせたのと同様に、政権を担っている、自分自身が責任者であるという自覚が決定的に欠けているのであります。
二〇〇一年、英国で口蹄疫が発生した際、当時のブレア首相は、即日、休暇を返上してロンドンへ帰り、緊急会議を招集しております。また、赤松大臣がすぐ近くに外遊中だった五月二日、オバマ米国大統領も、メキシコ湾の油田災害対策の現場に入っております。
鳩山総理は、五月一日、熊本県の水俣、八代まで行かれております。そこからすぐ近くの宮崎県えびの市では、その三日前に口蹄疫が発生していたにもかかわらず、総理は足を延ばされることはありませんでした。鳩山総理大臣もまた、畜産農家の悲痛の叫びに、地獄絵図のような現場の惨状に、同情や共感を持ってはおられなかった、そう思わざるを得ないのであります。
また、この問題について専門知識を有しているはずの農林水産省の官僚の方々は、大臣に危機感や緊急性を進言してきたのでしょうか。民主党政権の掲げる政治主導のもとで、何かといえば政務三役にお伺いを立てなければ動けない状況に陥り、萎縮してしまい、結果、対応に支障を来しているのではないでしょうか。
鳩山総理にお尋ねいたします。
口蹄疫対策本部長として、また民主党政権のリーダーとして、口蹄疫をかくも拡大させてしまったことの責任について、どのようにお考えになりますか。
一刻も早い口蹄疫ウイルスの完全鎮圧が望まれます。そして、それと並行して、口蹄疫によって受けた甚大なる被害の復旧と復興に向けて、政治がしっかりとした道筋をつける必要があります。
被害を受けたのは、発生農家やワクチン接種農家ばかりではありません。限られた元手を家畜に投資し、月単位、年単位で目いっぱいに回転させてようやく成り立っているのが畜産農家の実情であります。出荷が停止し、数カ月にもわたって種つけや出荷日程に狂いが生じることによる損失は大きく、多くの畜産農家が深刻な経営不安に直面しております。
畜産は、宮崎県の主要産業です。関連する業種も多岐にわたり、畜産業が傾けば、それがそのまま地域経済や雇用への大打撃となります。大臣は風評被害は起こっていないとの御認識のようですが、実際は、例えば宮崎ナンバーのトラックが他県から拒絶されたり、あるいは、逆に、他県からのトラック輸送がとまって野菜が値上がりをするなど、宮崎の孤立感は深まっております。また、イベントや行事の中止、観光客の激減などは、強烈なボディーブローとなって地域経済に襲いかかってきております。
すなわち、今、宮崎県で起きているのは、災害、激甚災害であります。したがって、家畜伝染病対策という範疇を超えた、総合的な対策を可能とする立法措置がぜひとも必要であります。
自由民主党は、本日午前、口蹄疫対策緊急措置法案を国会に提出いたしました。
そのポイントは、一、現行の家畜伝染病予防法では十分に対応できない消毒や埋却作業、非感染家畜の殺処分などを国の主導で措置できるようにすること、二、国は、現行法の枠を超えて、殺処分家畜の手当金の全額交付、焼却・埋却費用の全額国庫負担、移動制限に伴う損失補てんを行うこと、三、基金を創設し、畜産農家の経営再建や地域再生を支援することなどであります。
立法措置をもって、国が口蹄疫対策を主導するとの強い意思をメッセージするとともに、口蹄疫によって生じたさまざまな損失などに国が責任を持つことを明らかにします。これによって、畜産農家を初め、関連自治体、関連産業などに安心感を与えることが何より重要だと考えるのであります。
なお、現在、民主党や公明党におかれても、同様に、口蹄疫に関する法案を検討されているとお聞きしておりますが、この問題は、与党、野党とは言っておられない緊急の課題であります。各党で協議を早急に行い、法律を成立させることが肝要です。鳩山総理、口蹄疫対策の総責任者として、そのとおりだ、与党、野党の別なく一緒にやろう、そうおっしゃっていただけませんか。
また、赤松農林水産大臣、このような特別立法措置の必要性についてどのように認識しておられますか。御答弁を求めます。
今、畜産農家の皆さんは、たとえ制限区域から遠く離れた地域であっても、口蹄疫の恐怖と戦いながら、孤立感の中で必死に耐えています。しかし、その苦しみを、周囲の皆さんが、困ったときはお互いさまと分かち合おうとしています。そして、畜産農家の方々は、その温かい人の心に触れ、勇気づけられているのであります。自分はひとりぼっちじゃない、農家は孤立してはいない、そう感じることができたときに、ふさぎ込んでいた農家の方は大いに励まされるのであります。
私は、はっきりと感じました。人々の心が一つになれば、決して乗り越えられない困難はない。宮崎の畜産は、今回、許容しがたい痛手をこうむりました。足腰の立たないほど打ちのめされたと言っても過言ではありません。
しかし、JAの皆さんや、商工会の皆さんや、建設業協会の皆さんのように、郷土を愛する私たちは、畜産農家を囲んで、みんなで痛みを分かち合い、心を一つに結束し、必ずこの試練を乗り越え、再起をいたします。
東国原宮崎県知事は、十八日、非常事態宣言を発しました。直面する危機に、県民一丸となって立ち向かおう、そう呼びかけたのであります。
今、県内はもとより、全国からさまざまな方が、募金などの支援活動に取り組んでくださっています。原口総務大臣に御所感を伺いますが、ふるさと納税制度活用による御支援も急増しているとのことです。本当にありがたいことです。宮崎県民の一人として、心から厚く厚く感謝申し上げます。
国民の皆様におかれましては、苦境に立つ宮崎県に対しまして、今後とも、どうぞ温かい御理解と御声援を賜りますよう、心からお願いを申し上げる次第でございます。
一刻も早い事態の終息を祈り、そして、罪もなく死んでいく数十万の畜魂に手を合わせ、安らかに眠れよとわびながら、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇〕