緒方貞子の発言 (決算委員会)

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○参考人(緒方貞子君) ただいまの藤田先生からの御質問、大変大きな御質問なものですから果たして数分でお答えできるかどうか分かりませんが、チャリティーでないと。チャリティーというのは非常に大事な心情だと思うんですが、私どものように国の予算をいただいて、そして公的な形で開発援助をしている者では、そのチャリティーの情だけで仕事をしているのではないと。やはり今開発援助というものがどれだけこの世界の中で、これは援助をする側にとっても、それからされるたくさんの国々、人々にとっても、これは相互依存を図っていくためのツールとして非常に大事だということを強調したいと思いまして、共同の新聞のインタビューのときにお答えしたものでございます。
 どうしてそういうふうなことになっているかというと、やはり国と国との間の関係ですべてが解決され、そして達成されていった時代よりも、広く国の中にある人々の在り方、その在り方によって危険であるとか貧困であるとかいうものがいろいろはっきり出てくるわけですから、そういうところまで配慮しながら仕事はしていかなきゃならないんだと。
 チャリティーというのは非常に美しい心情だと思いますし大事なことなんですが、一方が恵みを出して、そして他方が受け取るんじゃなくて、相互によりいい安定した生活、安全性、そして広い意味での、人間の安全保障というような概念も大分広まってきておりますが、人間同士が安定した社会をつくり、その上に立った、人々を大事にする政府と政府の間の関係等々を幅広く推進していくのがフィロソフィーとしては大事であるというふうに考えまして、JICAといたしましてもなるべく広く、これは外務省等々から出てきております国の方針というものをしんしゃくいたしまして、その中で、私ども実行をしていく機関としては、それとの話合い、そしてこの方向性というものを体しながら進めていくために非常に大事なツールであると。私どもは実施をしていくわけで、実施の上に立って方向性の効果も、それから意義というものもはっきり見えてくるだろうと、そういうふうに考えまして、JICAとしては、非常に政策というものを体した形での政策の具現化、そして実行というものを心掛けてきたわけでございます。
 そういうことを考えますと、どんなに友愛のいい気持ちであっても、気持ちだけで動くのではなくてラショナリティー、それから政策、そういうものに合った客観的な情勢判断、そういうものの上に乗った形で事業をして進めていくのが私どもの仕事だというふうに理解しております。
 効果のことなんでございますが、これは出したからといって効果がすぐ上がるという性格の仕事ではございませんで、効果が上がってくるのは、相手国、相手の国の人々、そういうものの上に行ってきた事業というものがどういうふうな形で受け止められ、実行に移されていくかということをよく考えてやっていかなきゃならないと。そういう意味で効果はすぐは、非常に効果を図っていくことは大事なんですが、効果というものはそう簡単に出てくるものではないと。そういうことも考えまして、現場での仕事、現場での職員の方向性への認識、実施の能力、そういうものを十分加味して仕事をしていかなければならないというふうに考えておりまして、そういう方向性は私は比較的正しく推進されているというふうに考えております。
 一つだけ例を出して申し上げますと、アフリカに対する援助というものは、これは決して日本が非常に長い間大きくやってきたというものではございません。これは、日本がアフリカにおける植民地を長い間支配していたということでないこともあって、日本が中心として取り上げられていたのはどちらかというとアジアの国々でございました。
 アフリカについては、むしろ、やはり貧困が非常に激しいから、医療であるとか教育であるとかいう形の、どちらかというと社会面での援助というものを中心に考えていたんですが、それでもアフリカに対する援助の推進ということを考えて、東京においてアフリカ開発会議というものを数度にわたってやっておられたんですが、私がこちらへ参りまして最初のTICADⅣ、この四回目の東京アフリカ開発会議においては、はっきりと、そういう社会面での教育、医療等々に加えまして、そういう事業を自分たちがやっていく力を付けたいと、そういうことで経済開発というものを非常に強く打ち出しまして、そこから、これは世銀等々の協力もあったんですが、インフラ等を推進する、インフラ、農業等を推進して、そしてアフリカの人たちが自分の力で社会面においてもいろんな進歩、発展をしていけるような援助の方向を付けまして、そしてアフリカに対する援助の倍増というものを政府の方で打ち出してくださったわけです。そういう形で、一方では心は温かく持っていなきゃならないんですが、それを理性とそれから実行力というものを通して進めていくと。それはやはり世界平和のためにも、また日本の役割を示す上でも大事な仕事だというふうに理解しております。

発言情報

speech_id: 117414103X00520100412_009

発言者: 緒方貞子

speaker_id: 1943

日付: 2010-04-12

院: 参議院

会議名: 決算委員会