白川修二の発言 (厚生労働委員会)
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○参考人(白川修二君) 着座のまま失礼いたします。健康保険組合連合会の白川でございます。
本日は、このような意見陳述の場を与えていただきましたことに対しまして、厚生労働委員会に深く感謝申し上げます。また、平素から健保連あるいは健康保険組合に対しまして様々な御指導あるいは御支援を賜っておりますことをこの場を借りて厚く御礼を申し上げます。
ただいま御審議中の今回の法案、国民健康保険法等の一部を改正する法律案の中で私どもが申し上げたい箇所はただ一点でございます。協会けんぽへの国庫助成額の増額に関連して、後期高齢者医療制度への支援金の算定方式を変更し、その三分の一の部分を総報酬割に改定するという案になっている点でございます。私どもは、本法案のこの部分一か所のみについて反対をしておりますので、本日は法案のこの部分に限定して意見を述べさせていただきます。
私どもが反対する理由を整理して、三点意見を申し上げます。
第一点は、本来国が負担すべき協会けんぽへの国庫補助金の一部を健保組合と共済組合に実質的に負担肩代わりさせる法案になっているという点でございます。
協会けんぽに対する国庫補助に関する規定は、健康保険法百五十三条において一六・四%から二〇%までの範囲内で政令で定める割合となっておりまして、これが本則であります。この百五十三条が法制化された後、附則が付けられ、当分の間一三%とするとされ、これが現在まで適用されてきたわけでございますが、同じく附則の中に、中期的財政運営等を勘案し、必要があると認めるときは、この規定について検討を加え、所要の措置を講ずるとされております。
平成二十一年度の協会けんぽの収支見込みは約六千億円の経常赤字、準備金は約四千五百億円の不足と伺っておりますが、こうした財政状況を見ますと、今こそ附則にある所要の措置を講じるときであり、国庫補助を現行の一三%から本則である一六・四%から二〇%に戻すべきときであるというふうに考えます。
国庫補助を本則に戻すための財源は国が負担すべきでありますが、今回の法案では、その約半分を健保組合や共済組合が代わって負担するということになっております。国の財政が厳しい状態であることは私どもも十分認識しておりますが、それでも本来国の責任で賄うべき国庫補助の増額部分の一部を健保組合や共済組合が代わって負担するということに対して私どもは納得がいかないということを申し上げたいと思います。
二点目の理由は、この負担肩代わりを後期高齢者支援金の負担方法を変えることによって賄おうとしている点でございます。
御高承のとおり、昨年十一月に高齢者医療制度改革会議が発足し、本年八月の中間取りまとめに向けて現在議論が進められております。高齢者の医療費をどのように負担していくかは、この高齢者医療制度改革会議の最重要課題の一つであります。こうした検討のさなかに現行の後期高齢者支援金の算定方法を変更するというのは、私どもとしては得心できないということでございます。
三点目は、健保組合の財政が悪化し、これ以上の負担増には耐えられないという点でございます。
お手元に資料を配付させていただきましたが、平成二十年度に医療制度改革法が施行されまして以来、健保組合の財政は悪化しております。二十年度決算で約三千億円の経常赤字、二十一年度予算では約六千百五十億円の赤字、また本年度予算の早期集計では約六千六百億円の赤字となっており、高齢化の進展に伴って健保組合の財政は悪化の一途をたどっております。
財政悪化の主因は、高齢者医療制度に対する支援金納付金が平成二十年度以降約四千億円も負担増になったことに加え、昨今の経済低迷による標準報酬、賞与の減額によって保険料収入が大きく減少したことが大きく影響しております。こうした財政状況の厳しさは、今後中期的にも続くものと見ております。したがいまして、これ以上の負担増には耐えられないということでございます。
私どもが訴えたい点は今まで申し上げた三点でございますが、この機会に我が国の医療保険制度に対する私どもの基本的な考え方を御説明させていただくとともに、要望を二点申し上げたいと思います。
一点目は、公費投入の拡大に関する要望であります。
我が国の医療保険制度、国民皆保険制度は、世界に誇れるすばらしい制度であると認識しております。こうしたすばらしい制度をつくり上げた先輩方に深く敬意を表すると同時に、この制度を次の世代に残していく責任があると強く覚悟しております。
その際に最も重要な課題は、約三十四兆円の国民医療費のうち、その半分を占める高齢者の医療費をどのように負担していくかであろうと考えております。私どもは、高齢者の医療費は国民全体で支えるべきという考えに賛同しておりますし、したがって、いわゆる若年層、現役世代も高齢者医療を支えるために応分の負担をしていくべきという考えに立っております。
その場合、負担の公平性や負担する側の納得性が必要なわけであります。私ども健保組合も、加入者や事業主に対し何度も説明し、理解を求める活動を続けてまいりましたし、それなりの納得も得てきたというふうに思っております。
しかしながら、現在、健保組合の保険料収入に占める高齢者医療制度への支援金、納付金の割合は既に平均で四三%を超えております。保険料収入の五〇%以上を拠出している健保組合が全体の三分の一に達する状況にありますし、高齢化の進展とともに更にこの率は増加すると思われます。この状態が続けば、加入者、若年層、事業主の納得の限界を超えてしまう危険性があると感じております。
千四百六十二の健保組合のうち約九割の健保組合が経常赤字という状態、また協会けんぽも非常に厳しい財政状態が続いておりますが、こうした被用者保険の財政不安が更に拡大すれば、我が国の皆保険制度の持続性そのものに悪影響を及ぼすのではないかと危惧する次第です。
現在、高齢者医療制度改革会議で議論が進められておりますが、世代間の負担の公平性の観点から、働く世代の負担が過重とならないよう、新しい制度において公費投入の拡大を是非お願いしたいと思います。また、改革が実現するまでの間、高齢者医療制度への支援金、納付金の負担増をしのぐため、被用者保険全体に対する財政支援をお願いしたいと思います。
二点目は、我が国の社会保障全体のグランドデザイン構築が是非とも必要という点であります。
医療保険制度の問題点の一部はるる申し上げましたが、もちろんそれ以外の多くの課題もございます。また、年金制度、介護制度等我が国の他の社会保障制度についても、急速な少子高齢化の進展の中で、その制度の安定性や持続性が揺らぎ始めていることは御高承のとおりであります。今こそ、我が国の社会保障制度全体を見渡したグランドデザインを描く時期ではないかと感じております。
厚生労働委員会の先生方におかれましても、是非ともこの点を御検討いただくようお願い申し上げます。
最後に、私ども健保連、健保組合は、今後も世界に冠たる国民皆保険制度をより良いものにしていくため、全力を傾注する所存でございます。先生方には、引き続き御指導、御支援を賜りますようお願い申し上げます。
御清聴ありがとうございました。