赤石千衣子の発言 (少子高齢化・共生社会に関する調査会)
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○参考人(赤石千衣子君) NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむの理事をしております赤石です。
今日は、こういった機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。(資料映写)
私に与えられたのはシングルマザーを中心とした女性の貧困とコミュニティーといったところかなというふうに思っておりますけれども、正直なところ、何というんですか、コミュニティーとかまちづくりということを余り意識して今まで活動してきておりませんので、若干お役に立つかなと思いながらお話しさせていただきます。
それで、私は、しんぐるまざあず・ふぉーらむというところでシングルマザーの当事者団体の活動をしておりますとともに、女性と貧困にかかわってネットワークをつくっております。だから、高齢女性や若い女性についての貧困については余りたくさんはお話しできないかなというので、事例をちょっと御紹介するような感じになるかと思います。
様々な貧困の当事者というのがいらっしゃいます。私自身も、今もう二十九歳に子供がなりましたけれども、二十九年前に結婚しないで子供を産みましたときには勤め先がなかった、フリーター、今でいうフリーターでしたので、本当に職がなくて、一年弱生活保護を受けて暮らしました。
その後に共同保育園の、無認可保育所の保育士になりまして、その当時、九万五千円のお給料だったと覚えております。ですので、児童扶養手当三万三千円が入って十二、三万円で家賃四万六千円の家に暮らしていたなというようなことが思い出されるわけですけれども、その後、団体で正規の職員になれたのでまだましなんですけれども、二十年前と違うところは、何年たってもシングルマザーは正規の職に就けない、現在は、というような状況がかなり違うなというふうに思っております。
三枚目は、写真は、青山のこどもの城前に、しんぐるまざあず・ふぉーらむ及びNPO法人ウィンクの会員の方たちが集まって、児童扶養手当の削減をやめてくださいということで集まったときの映像ですけれども、本当にみんな必死で子供たちを連れてやってきております。これはただ見ていただければいいんですけれども。
まず、シングルマザーの状況をちょっと御説明したいと思います。
まず貧困といえば経済的な貧困なんですけれども、政府は昨年、一人親家庭の貧困率五四・三%というのを発表いたしました。これは相対的な貧困率でして、もう有名になったのでお分かりいただいていると思うんですけれども、例えば相対的な貧困率というのは、百人の人を所得順に並べて五十番目、真ん中の人の所得の、可処分所得ですかね、それの半分以下の人のパーセントというのを相対的貧困率というふうに言っています。
それで、母子家庭だけの貧困率を出しますとこれよりも高くなるだろうということは容易に推測できるところであります。まあ、六〇%ぐらいになるのかなというふうに言われております。
この経済的な貧困というのはやはり就労年収が、何しろ働いてもなかなか収入が得られないということです。平均の就労年収は百七十一万円ですけれども、百万円未満の方も三〇%ぐらいいらっしゃいます。シングルファーザーはどうかと申しますと、年収で三百九十万円ぐらいですので二倍ぐらいにはなるのかなというふうに思います。
じゃ、別れたお父さんから養育費をもらったらいいんじゃないですかというふうに皆さんおっしゃると思うんですけれども、養育費をもらっていると答えていらっしゃる方は一九・〇%です。これはやっぱり景気に左右されまして、男性の方も景気が悪くなれば払う方が少なくなります。それから、再婚すれば払いが悪くなります。それから、非正規の方の方が払いが悪いです。本当に、男性の状況にも左右されるということです。
こういった状況ですので、生活が苦しいと答えているシングルマザーは九〇%ぐらいです。シングルファーザーの方も決して高い年収ではございませんので、こちらもやっぱり生活が苦しいというふうなことはあります。
では、今どのようにしているんですかというふうに聞くと、この経済的な困難を、預貯金の取崩しをしていますとか、親族から援助を受けて何とかやっていますとか、借金をしていますとか、何とか節約していますとか、そのように答えている方が多いです。そのほか、やっぱり子供が大きくなるとダブルワークをするという方が多いかと思います。子供が小さいうちはなかなか夜働けないんですけれども、ちょっと大きくなったら夜も働く、二つ、三つの掛け持ちをするというような方も、私たちの調査でも二〇%ぐらいいらっしゃいます。
経済的な貧困というのはそれだけでとどまらないのです。それは、やっぱりシングルマザーの場合には時間の貧困、時間がない、それから教育の貧困というのにつながります。先ほども言ったように、一人で仕事をしながら、済みません、ちょっと一つ抜かしました、就労率は非常に高いんですね。シングルマザーの就労率は八五%、それからシングルファーザーは多分九〇%を超えていますので、本当に、働いても貧しい、まさにワーキングプアということです。
働いているわけですので、家事、育児を一人で担っているので、すごくやっぱり時間が足りない。当たり前のことなんですけれども、時間が足りなくて、平均の育児時間というのは四十六分という数字が出ています。子供にかかわることが本当に少ない。これは子供の育ちにとってどういう影響を及ぼすのかということを考えていただきたいと思います。
それから、教育の貧困ということで、今日お配りしたこれはできたてほやほやなんですけれども、「母子家庭の子どもと教育」というので、福祉医療機構からの助成金で、仕分対象に福祉医療機構はなったみたいですけれども、調査したものですが、これを見ると本当に深刻な状況がお分かりになるかと思います。
やっぱり中学生の親というのは、高校進学に非常に困難感を抱えております。中三になりますと、周りはすべて塾に通わせているというようなところがありますので、どのようにしてその塾代を出すのかというので困惑しているんです。本当に、三科目とか通わせますと年間で六十万ぐらい掛かる。しかし、母子家庭の年収は、先ほど言ったように就労年収は百七十一万円、あるいは私たちの調査でも年収二百六十万円ですので、そこで六十万円ぐらいの塾代を出すということはいかなることなのかということでございます。
そこの中で、例えばこんな声がありました。子供たちを食べさせていくのが精一杯で塾に行かせたくても行かせてやれないし、親のもう心のゆとりがない分、落ち着いて子供と向き合う時間が取れませんということです。このようなのが普通の状況だと思います。
さらに、時間がない、お金がないといったところには健康の貧困ということがあります。本当に、健康状態が悪いと答えていらっしゃる方、あるいは、この数年で悪くなったと答えている方が半数以上いらっしゃいます。何かこう貧乏でもにこにこと、何というんですか、何とか頑張ってやっているイメージというのはぎりぎりの線ですので、崩れてきているということだと思います。
さらに、どんなことが気掛かりですかというふうにお聞きしますと、子供の病気二八%。子供の反抗、これは大きくなればなるんですけれども、子供が反抗してきたときに受け入れられる余裕がないとか時間がないというようなこともございます。それから、周囲の偏見を感じるという方も二二%。それから、不登校一四%。障害を持っている、結構、発達障害を持っているお子さんをお持ちのシングルマザーの方がとても多いです。これはどうしてなのかなと思うと、一つは、障害を持ったお子さんに対してお父さんの方が受け入れ難いといったときに離婚に至るということもあるのかなというふうに思っております。それから、引きこもりが五%ということで、こういった悩みを一つ二つ抱えていた場合に、更に生活が非常に困難を増すということがあります。
子供の十七人に一人は一人親で育っているというふうに言われているんですけれども、やっぱり町とかではなかなか一人親の存在というのを可視化するのは難しいというふうに思います。では、どのようなときに可視化するのか。それは、あるときには虐待という形で突然私たちの目に触れてくるわけです。
子供の貧困ということが大きな問題になりつつありますので、これは一体どういう原因なのかということも言われるようになりました。今までは密室育児の主婦の問題であるとのような認識があったかと思いますが、実は虐待は貧困と大きくかかわっているというのが現場の方の認識です。
今お出ししているのは東京都の福祉保健局の児童虐待の実態からのデータですが、すべて、家庭の状況というのを特記して、一つ、例えば一人親家庭というので付随する状況を見ますと、経済的な困難、孤立、就労の不安定といったような数字が出てまいります。それは、育児疲れであってもその背後には経済的な困難といったものがあるということなんですね。
ですので、実は現場の人間の中ではもう虐待は貧困とかなり相関しているのだということは常識です。それは一人親家庭に多いのかもしれないんですが、実はその背後には貧困があるというふうに解釈した方がよいのではないかと思います。
シングルマザーの、あるいはその子供たちに必要な支援というのは何なのかということなんですけれども、それはもうある程度お分かりいただけるように、一つは経済的な支援、給付だと思います。これは、今、児童扶養手当という制度がありまして、これは月額満額支給で四万一千七百二十円が支給される。今改正案が審議されようとしているのかなというふうに思いますけれども、父子家庭にも支給するというようなことになっていますが、そういうものがあります。あと、子ども手当といったちょっとユニバーサルなもの、あるいは生活保護といったものだと思います。
どれも制度的にはやや不安定な部分がありまして、児童扶養手当については、五年間支給後は一応支給停止という条文が生きておりますので、是非これを十八歳年度末まで支給することにした方がよろしいのではないかと思いますし、生活保護についても、母子家庭の場合には、受けられていない方、所得からいったら絶対に受けられる、しかし受けられていない方がたくさんいらっしゃる、これを捕捉率が低いというふうに言うんですけれども、そういう問題があります。
こういう経済的な支援とともに、住宅という問題があります。公営住宅や住宅手当、諸外国で見られる住宅保障のようなものがないといけないのではないかということです。
あと、やはり健康の問題がありますので、医療費の助成制度とともに、やっぱり保険料滞納者に対する対応というのをきめ細かく、今対応なさっていると思うんですけれども、まだ漏れていらっしゃる方がいるように聞いておりますので、しなければいけないということとともに、就労支援というのはなされているんですけれども、今まであるいは今やっている就労支援の効果を測定するということがきちんとやられていない。
全くやみくもにやっているような状態なのではないかなというふうに思っておりますので、七年間、就労支援にかなり力を入れてきていますけれども、ちゃんと効果を測定した方がいいと思います。例えば、在宅就労などにお金を掛けるというのは余り意味がないのではないか、やはりきちんと雇用されて就労したいというふうに思います。
シングルマザーのつながりということを見ますと、次のところに行きますと、親族と同居している方と同居していない方がいらっしゃいます。それから、親族は同居していなくても保証人などを頼める方と頼めない方というのはいらっしゃるので、先ほどの沖藤委員の御発言と同じように、保証人問題はかなり大きな問題になっています。
あと、地域というものにかかわる余裕とか時間がないので、地域から支援を受けるというのもなかなか難しくなっている、あるいは職場というところでも、非常に少数派ですので、何というか、いじめに遭ったりとかいろんなことがあります。セクハラのターゲットにもやはり母子家庭はなりやすいということがあります。
私たちはインターネットやメールのコミュニティーをつくっているわけですけれども、実際のところ、情報格差というのはここにもありまして、貧乏なのでパソコンを持てないシングルマザーが多いです。ですので、メーリングリストというメールでやり取りする仕組みがあるんですが、携帯のメールで入っている方が多いです。だから、情報は携帯で取るという方が多いということを意識した情報の提供というのが必要な気がいたします。だから、年齢によっていろいろな、ニーズが違うということですね。
それから、私たち、いらっしゃれる方には、一緒に顔を合わせてグループ相談会、次の写真、こんなようなものですけれども、各地でやっております。
あと、元夫と良好な面接交渉と養育費の支払があれば非常に安定するわけですけれども、この問題もかなり援助が必要ではないかなというふうに思います。
それから、異性と書きましたのは、いろんな形で、やっぱりこれだけ不安定な世の中ですので、頼れる先を見付けたいという気持ちになるシングルマザーも多いと思うんですが、これが新たな危険をもたらすこともあります。虐待のところの事件でもいろいろな、新たな恋人が子供を虐待しているような事例も見聞きするところですけれども、いい面と悪い面というのがあるというふうに思っています。
このような相談会をやっていますということで、済みません、何かちょっと時間があれなので少し飛ばして。
子供と暮らしのところでは、子供は地域に本当に根差して暮らしていますので、いろいろなツールで子供にかかわることができると思います。それは保育園であり、小学校であり、中学校であり、高校であり、学童保育であり、児童館であり、塾であり、PTAであり、父母会であり、あとホームヘルパーの派遣事業というのは全国で行われておりますし、ファミリーサポート事業というようなものもあります。だから、このようなものをどのように使って一人親の子供を支援していくのかということがやっぱりツールとして必要なのかなというふうに思っています。
やはり、お母さんたちから来る悩みの中には、病児保育がないので欲しいとか、子供の放課後の安全が気掛かりであるとか、学童保育が三年までで終わってこの後が気掛かりだとか、いろんなことがあります。それから、PTAに参加する時間も本当にないのだというようなこともあります。そのほか、特別な援助が必要な困難を抱えているシングルマザーの方もいらっしゃるので、この方たちには、やっぱり出ていらっしゃいというよりは訪問で相談をするというような必要性もあるかと思います。
シングルマザーのことに時間を掛けてしまったので、あとは、高齢女性のところとかは、私が春の派遣村とかをやったときの体験を少しお話しさせていただきます。
派遣村にもかかわらせていただいたんですけれども、女性は本当にごくわずかですが、いらっしゃいました。去年の春の派遣村というのも相談事業をやりましたけれども、七十代の女性がいらしていました。この方たちは、先ほどの沖藤さんのお話を聞いていて本当に思うんですが、ヘルパーあるいは清掃などで七十代で働いている方です。
しかし、今、紹介所は若い方が入ってくるのでヘルパーの登録していても仕事が回ってこなくなったということで、もう食べられないということで御相談にいらした。同居の娘さんがいらしても、その方は病気で働けないというようなことで、本当に生活が立ち行かない。
でも、非常に誇り高い方たちなんですね。どんな方たちも誇りを持っているんですけれども、特に誇り高くて、やっぱり生活保護を受けるというところを御案内するまでに物すごく時間が掛かりました。何度も付き添ってやっと受けていただくところまで行ったわけですけれども、そのお二方ともやっぱり離婚あるいは別居の、要するに、やっぱり離別あるいはシングルということが不利に重なっていくということがあります。
私も七十代で働く必要のある女性というのにお会いしたのは初めてだったので、でも、私たち、しんぐるまざあず・ふぉーらむの未来なわけですね。ショックを受けました。そういうわけで、仕事があっても本当に暮らしていけない、そういう高齢女性がいらっしゃるということです。
それから、若い女性の方なんですが、若い女性の方も、非常に今仕事がない、あるいは家で家事手伝いという名で引きこもっていらっしゃる。それから、やっぱり学校でのいじめ、家族のDV、そういったことを見聞きしていく中で人間関係が非常に困難になって働けない、非正規で働いていて先が見えない。そういう方が増えていて、女性と貧困ネットにもいろんな方がいらっしゃいます。そこには、精神的な問題を抱えていらっしゃる方もいらっしゃいます。
先進的な取組としては、横浜市の男女共同参画センターがガールズ講座というのをやっておられて、働いていない若い女性たちのための講座をやっているんですけれども、本当にパソコンから習って、何とか、初めて友達ができたということで、そこからステップアップされている方もいらっしゃいます。だから、実はこういう方たちも何とか今対策が必要なのかなというふうに思っています。
女性と貧困ネットワークでも、「かたり・れん」という語り合う場を毎月つくっているんですけれども、やっぱりそこに来て安心して語り合う場で自信を得ていくというような方がいらっしゃいます。
こういった若い女性は、なかなか困難を抱えているということは見えにくいのかもしれないんですけれども、実際は深く進行しているなという気がしていて、その人たちのつながりをどうつくっていくのか、どうニーズを把握していくのかというのはこれからなのではないかなというふうに思っております。
以上です。ありがとうございました。