岡田直樹の発言 (本会議)

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○岡田直樹君 私は、自由民主党の岡田直樹です。自由民主党・改革クラブを代表して、鳩山総理並びに関係閣僚に質問をいたします。
 まず、改めて想像を絶するハイチの大地震の犠牲者にお悔やみを申し上げ、被災者にお見舞いを申し上げます。しかし、総理が施政方針演説の冒頭、いのちを守りたいと述べたことを思えば、今回の地震で日本政府の対応が遅れたことは残念でありました。世界のいのちを守りたいと言う以上、今後どのような復興支援策を講じていくか、まずお示しをいただきたいと思います。
 さて、鳩山総理は、施政方針演説でいのちを守りたいとうたわれました。これには同感でありますが、その内容たるや観念的、情緒的あるいは幻想的と言わざるを得ません。あの演説を聞く限り、鳩山政権が内外の厳しい情勢の中で本当にいのちを守れるのだろうかと大きな不安を感じたことを申し上げた上で質問に入ります。
 政治家のいのちは信頼でありますが、今それが大きく揺らいでいます。先日の施政方針演説で強い違和感を感じたのは、労働なき富、つまり働かずにもうけてはいけない、こういうガンジーの言葉を鳩山総理が口にされたことであります。
 なぜなら、鳩山総理ほど労働なき富を多く手にしている人は少ないのではありませんか。お母様から友愛に満ちた月額一千五百万円、合計十二億六千万円もの資金を受けていた鳩山総理であります。日々の仕事もない人々の気持ちが実感できるのでしょうか。その総理が、働くいのちを守りたいと演説してもむなしく響くばかりと、私には聞こえました。
 総理は、お母様からの資金について、知らなかった、すなわち脱税ではなかった、この一点張りでありますが、この説明を信じる国民が果たして何人いるでしょうか。世論調査で内閣支持率が急落し、不支持率が上回ったことの原因の一つは、ぬぐい去れない総理の脱税疑惑にあるでしょう。
 総理は、私腹を肥やしたり不正な利得に手を染めたりしていないと繰り返していますが、到底納得できません。総理自身が国家に納めるべき贈与税を納めていなかったことは、既に私腹を肥やしたことであり、不正な利得に手を染めたことではありませんか。後で分かったから税金を払いましたでは済まないのであります。
 総理は国民の血税を預かる政府の最高責任者であります。総理がちゃんと税金を納めないでいて、どうして国民に納税せよと言えるでしょうか。このことをもってしても、あなたは総理の資質に欠けると思いますが、総理は自らの政治的責任、道義的責任をどのように認識しておられるか、それともこれで一件落着と考えているのか、伺いたいと思います。
 関連して、昨年六月に発覚した友愛政経懇話会の収支報告書の虚偽記載の問題について伺います。
 いまだに収支報告書の訂正申告が行われておらず、国民に対して真実が報告されておりません。総理が自身の潔白を主張するならば、すぐにでも検察にある資料の返還又は閲覧を求め、訂正申告をして真実を国民の前に明らかにすべきではありませんか。どうして訂正をしないのですか。
 検察に押収された資料は、御自身が要求すればいつでも閲覧が可能であります。起訴事実についても争う点がないと総理は明言しているではありませんか。訂正しないのは、そのことにより総理自身が友愛政経懇話会に寄附した金額が量的制限の一千万円をはるかに超えることが明らかになるおそれがあり、そうなると、結果として自らの公民権が停止される可能性があるからではありませんか。なぜ訂正申告により説明責任を果たそうとしないのか、誠実かつ明確な答弁を求めます。
 そして、小沢幹事長の問題があります。
 施政方針演説に小沢幹事長の疑惑について全く触れなかったのは何ゆえですか。総理は何が何でも小沢幹事長のいのち、すなわち政治生命を守りたいのですか。小沢幹事長が国会でもしっかり説明責任を果たすべきとは考えないのですか。民主党は自浄作用が働かず、小沢幹事長ににらまれないように口を閉ざす議員が大部分ではありませんか。我々は、小沢幹事長を参考人として国会に招致して国民に説明責任を果たすよう強く求めております。鳩山総理、そして連立を組む国民新党の亀井大臣、社民党の福島大臣に、小沢問題に関してどのような御認識をお持ちか、また国会における小沢幹事長の説明責任をどのように果たすべきか、お考えを伺います。
 次に、外交・安全保障について伺います。
 いのちを守るという第一に、我が日本国民のいのちを守る責務が総理にあることは当然であります。
 まず、拉致問題について伺います。
 私の地元の石川県を始め、日本海側の各地で北朝鮮による拉致が多発してきました。私は新聞記者時代、二度北朝鮮を訪れ、当時北朝鮮が決して認めなかった拉致の存在を確信いたしました。横田めぐみさんが十三歳で拉致された新潟の現場に立ち、涙したこともあります。そのめぐみさんも今四十五歳になります。横田さんの御両親から北朝鮮に強い姿勢で臨むよう訴えられたこともあります。御家族もお年を召しました。一日も早く被害者のいのちを救わねばなりません。
 我々が与党のときには、北朝鮮に対して対話と圧力、いや、圧力と対話の路線で毅然とした姿勢を取ってまいりました。これに対して、鳩山政権誕生後、その北朝鮮政策が見えてまいりません。率直に言って、拉致問題への対応に物足りなさを感じるのです。昨年の所信表明や先般の施政方針にも数行おざなりの文句が書かれているだけです。
 鳩山総理、国家第一の責務は国民のいのちを守ることであります。そして、拉致は日本の主権に対する明白な侵害であり、それ以上に日本国民のいのちに対する冷酷非情な侵害であります。どうか拉致に対してもっと断固とした姿勢を取っていただきたいのです。なぜ総理のいのちの演説に北朝鮮に対する強い怒りが示されなかったか、これを伺いたい。あわせて、鳩山政権の拉致問題解決に懸ける決意と方針を伺います。
 さて、日米同盟は我が国にとって安全保障上の命綱ですが、総理は昨今の日米関係を余りにも楽観視しているのではありませんか。
 普天間飛行場移設問題では、地元沖縄も含めて長い困難な交渉の末に調整した日米合意をほごにしかけており、憂慮に堪えません。今、米国政府は我慢の限界にあると言ってよいでしょう。鳩山政権は普天間飛行場の移設先について結論を先延ばしにし、名護市長選挙で受入れ反対派が勝利したことでますます自ら窮地に陥ったのではありませんか。そもそも政府が責任を持って判断すべきことを名護市民にげたを預けたこと自体、大きな間違いと考えます。市長選挙は住民投票ではありません。受入れ容認の名護市民も少なくなく、その民意をいかに判断するのですか。結局、総理の不決断が地元住民に苦渋の決断を強いてしまったのではありませんか。移設先についてこれからゼロベースで検討すると言い、平野官房長官は、選挙結果についてしんしゃくしてやらなければいけない理由はないと、こう述べました。名護市辺野古も移設先の候補として残っていると考えてよいのですか。総理の明確な答弁を求めます。
 五月末までに結論を出すという意味は、まさか政府が候補地を選ぶだけという意味ではなく、日米そして移設先の合意も得るということを指すのだと考えますが、確認を願います。もしこれが実現できず、危険な普天間飛行場のままという最悪の事態に陥った場合、総理はどのような政治責任を取りますか。はっきりと伺います。
 先日、海上自衛隊によるインド洋補給支援活動が打ち切られました。平成十三年から本年一月まで、我が国は派遣隊員のいのちを一人も失わず、テロとの戦いに参加し、成果を上げてきたのであります。この補給支援活動について、以前、民主党は、無料のガソリンスタンドとか、諸外国から感謝されていないなどと酷評をしていましたが、総理自身はこの活動をどう評価しますか。炎熱のインド洋で汗水垂らして頑張った隊員に総理からねぎらいの言葉を掛けていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。この補給支援活動の中止を米国や国際社会はどう受け止めるでしょうか。アフガニスタンへ四千五百億円もの援助を行うことは、やはり小切手外交に逆戻りと見られるのではないでしょうか。
 こうした日米関係の現状を見て、米国の識者から、日本は日米同盟から日中同盟に切り替えようとしているのではないか、こういう指摘さえあります。米国との信頼関係が揺らぐ一方で、小沢幹事長が平成の遣唐使さながらの大訪問団を率いて訪中をし、天皇陛下と中国副主席の特例会見が強行されたことを見れば、こうした疑念が生ずるのも当然であります。
 もちろん中国は大切な隣国でありますが、その軍備拡張にひた走る姿や世界のヘゲモニーを握ろうとする姿を見るとき、決して無警戒ではいられません。総理は、日米関係、日中関係のバランスをどのようにとらえ、外交を展開していく構想をお持ちか、伺います。
 この問題の結びに、先日行われたオバマ大統領の一般教書演説では、テロとの戦いについても経済対策についても、日本への言及がなかったことを指摘しておきたいと思います。総理はどのような感想を抱きましたか。政権交代後の総理を始めとする政府の言動によって、日本は米国から軽視あるいは無視されようとしているのではありませんか。この点、総理は日米関係の現状をどう認識しているか、伺いたいと思います。
 総理は、施政方針演説の中で、来年度予算をいのちを守る予算に転換したと宣言しました。そして、公共事業予算を一八・三%削減したことを誇らしげに述べました。しかし、公共事業予算にかつてない大なたを振るったことは、現在の厳しい不況、とりわけ地方不況の中で、本当に地域の人々の働くいのち、すなわち雇用の場を守る選択なのでしょうか。そこに行き過ぎはないでしょうか。
 我々が与党であった時代にも公共事業は抑制してきましたが、一昨年からの百年に一度と言われる不況に直面して大型の補正予算も組み、懸命に景気の底割れを防いできました。
 厳然たる事実として公共事業に依存する地域があります。私の地元石川県でいえば、能登半島や白山のふもとの過疎地がその典型です。鳩山総理の北海道にもそうした地域は多いでしょう。そうした地域の人々が、今、公共事業の大幅削減で途方に暮れています。建設会社の破綻が相次ぎ、その関連産業も含めて雇用の場が失われ、人々の生活が脅かされています。昨年も、私の友人が一人、自らいのちを絶ちました。私は、コンクリートから人へというスローガンを素直に受け入れることができないでおります。
 コンクリートから人へ、人のための政治は当然至極であり、私も、人間のいのちと暮らしのために政治を志したのです。人は政治の目的です。コンクリートはその手段です。災害から人のいのち、安全を守るコンクリートもあれば、人の暮らしを便利に豊かにするコンクリートもあります。
 先ほども申したとおり、多くの人々が建設業に関連して生計を立てております。建設業法では二十八種もの業種があります。土木、建築、大工、左官、とび、石工、屋根、電気工事、管工事、タイル・れんが・ブロック、鋼構造物、鉄筋、舗装、しゅんせつ、板金、ガラス、塗装、防水、内装、機械器具設置、熱絶縁、電気通信、造園、削井、建具、水道施設、消防施設、清掃施設、以上であります。このほかにも関連の産業が幅広くございます。
 総理、お尋ねをいたします。こうした多くの人々の働くいのちと誇りを傷つけるコンクリートから人へのスローガンを総理は今後も使い続けるおつもりでしょうか、お尋ねをしたいと思います。
 いわゆる土建国家からの脱却は必要でありますが、現在の厳しい景気・雇用情勢を見れば、建設関連企業の急激な淘汰は決して好ましくないと考えます。前原大臣は、建設業者は二十万社でも過大であると発言されたように伺いますが、どの程度の業者数が適正と考えておられますか。また、建設業からの事業の転換や従業員の雇用についてどのような支援を講じる考えか、お伺いをいたします。
 私は、今後の景気対策において、あえて公共事業を除外する必要はないと考えます。リーマン・ショック以降、米国や中国も大型の公共事業によって景気の底支えを行ったではありませんか。オバマ大統領の一般教書演説でも、米国は温暖化対策の側面もある高速鉄道網の整備などを目玉に、橋、高速道路といった社会基盤整備も即座の雇用創出につながるとして景気対策の柱にしております。景気対策における公共事業の役割について総理の御認識を伺います。また、環境面に配慮すれば、我が国においても整備新幹線の促進は依然として大きな意義のある事業と考えますが、総理の認識を伺います。
 次に、総理が地球のいのちと表現した環境問題についてお伺いします。
 総理は、政権発足直後、我が国の温室効果ガス排出量を二〇二〇年までに一九九〇年比で二五%削減すると高らかに表明しました。しかし、その後は、温暖化問題解決に向けて総理自ら指導力を発揮してきたと言えるでしょうか。民主党マニフェストに記載されていたガソリン税等の暫定税率を廃止し、地球温暖化対策税に一本化するという案も、結局は小沢幹事長の圧力に屈して、あいまいな形で先送りしただけではありませんか。
 また、昨年末、コペンハーゲンにおけるCOP15でも総理の存在感は薄く、各国の議論を主導することもないまま終わりを迎えてしまいました。会議も、事実上、結論の先延ばしで、ポスト京都議定書の枠組みはまだ見えてきません。そもそも、国民的な合意を得る努力もないまま、したたかな各国首脳を相手に華々しい数値目標だけ先走って発信してしまったことは、外交戦略上、軽率だったのではありませんか。後からできませんでしたでは、国民からも世界からも信用を失ってしまいます。指導力欠如という評価を気にしたのか、総理は、十分な議論も待たずに、先日、国連気候変動枠組条約の事務局に二五%削減の目標値を提出しました。これもまた独善的ではありませんか。もっと幅広い国民の声をお聞きください。
 総理は、昨年の臨時国会の答弁において、目標達成に向けての中身を早急に明らかにすると述べております。そこで、改めて、今後二五%削減に向けてどのような道筋を描いているのか、明確にお示しください。あわせて、その実現のためには、国民、産業界の負担は金額にして年間幾らを想定しているのか、具体的に御説明ください。
 地球温暖化防止は、国際社会が共通して取り組むべき大きな課題であります。しかし、国民的合意のない、また国民の暮らしを脅かすパフォーマンスであっては決してならないということを申し添えておきたいと思います。
 次に、国の形であり、いのちともいうべき憲法問題についてお伺いをします。
 鳩山総理、あなたの憲法に対する姿勢がよく分かりません。総理はかつて、自衛軍の保持も盛り込んだ「新憲法試案 尊厳ある日本を創る」という著書を出しておられます。また、昨年末にも、ベストな国の在り方のための憲法を作りたいと憲法改正の意欲を示すとともに、民主党内や与野党間で改正論議を活性化させるべきだとの考えを表明されました。しかしながら、先日の代表質問で総理は、首相という立場においては、特に重い憲法尊重擁護義務というものが課せられていると、そのようにも考えております、したがいまして、今はその私の考え方について申し上げるべきときではない、そのようにも考えておりますと述べ、憲法改正について自らの姿勢を鮮明にすることから逃れています。
 しかし、総理や大臣が憲法改正を論ずること自体は、憲法九十九条の憲法尊重擁護義務に違反しないということは明らかであります。もし無血の平成維新というならば、今こそ国会や内閣など統治機構を含む新しい日本の国の形を大いに論ずるべきではありませんか。平成十九年には憲法改正国民投票法も成立し、衆参両院に憲法審査会が設置されましたが、民主党の一部にも反対論があり、二年半以上を経過した今も規程すらなく、全く機能していないことは明らかに違法な状態であり、極めて遺憾であります。鳩山総理には、民主党代表としても憲法審査会の始動に向けて指示をしていただきたい。その場で党利党略を超えて大いに議論をしようではありませんか。憲法審査会の問題も含めて、憲法改正について政治家としての鳩山総理の御所見を伺います。
 質問の結びに申し上げます。
 私は、昨年九月十六日、鳩山政権発足の日にある報道関係者から問われて、小鳩内閣というニックネームを付けました。その後、割合よく使われる表現となりましたが、小鳩の小は小沢幹事長の小でもあり、小沢幹事長が鳩山総理の頭越しに仕切る内閣になるのではないかと予測したのでありますが、その予測は的中したようであります。
 このような不正常な政権構造は直ちに解消すべきであります。そして、鳩山総理自らと小沢幹事長は、政治と金の問題について一刻も早く国民に説明責任を果たすべきであります。このことを強く強く訴えて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 117415254X00620100203_005

発言者: 岡田直樹

speaker_id: 6015

日付: 2010-02-03

院: 参議院

会議名: 本会議