鈴木陽悦の発言 (本会議)
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○鈴木陽悦君 私は、民主党・新緑風会・国民新・日本の鈴木陽悦です。ただいま議題となりました平成二十二年度予算、いのちを守る予算について、会派を代表して質問いたします。
私は、秋田県を選挙区にして、今から六年前に初めて本院に議席を得ることができました。秋田県は、国民の皆さん御存じのように、あきたこまちで知られる米どころでありますが、人口減少と高齢化が進み、高齢化率は今では三〇%近くにも上り過疎化が進んでいる、これが現状であります。それだけに、私は当選以来、秋田の声の集配人を自称して、地方の切実な声を国政に届け、地域の活性化を生涯の課題に据え、政治活動に取り組んできております。
平成十九年に民主党・新緑風会の会派に所属し、去年、民主党に入党いたしました。古くて新しいメンバーではありますが、今回このように代表質問の機会をいただきまして、誠に光栄です。会派の皆様に改めて御礼申し上げます。
さて、日本の民主主義の歴史の中でも画期的だと言える政権交代が去年夏の選挙によって実現いたしました。それから五か月、鳩山内閣が誕生してからわずか四か月半、この短期間で編成されたのがただいま議題となりました予算案であります。
鳩山内閣が高々と掲げられたコンクリートから人へ、この政治目標に沿って、予算案の中身は政権交代があってこそ初めて可能になったと言える内容であふれております。例えば、自民党政権時代には逆立ちをしてもできなかった、官僚やいわゆる族議員に全く依存せずに予算を組んだ点であります。そのことは、公共事業費を前年比一八・三%、約一兆三千億円削減して五兆七千七百億円とし、逆に社会保障費を九・八%増の二十七兆二千六百億円とした予算配分に象徴されております。
鳩山総理は、いのちを守る予算、人間のための政治への転換を強調されました。その結果が、公共事業を減らして社会保障に手厚い予算となったわけであります。民主党が初めて組んだ予算案の特色は、自民党時代のような法人や企業を通じた間接支援ではなく、家計に直接支援するやり方に転換させたことに尽きると思います。
ほかにも、言わば政権交代の効用と言える予算措置が幾つもとられました。陣頭で指揮された鳩山総理は、予算編成後の記者会見で、財政規律を守るぎりぎりの線を確保することができた、今までのようなばらまき予算ではないと力強く断言、私も全く同感であります。
そこで、改めて鳩山総理に、今回の予算案の出来栄えを総括的に評価していただくとともに、どこがポイントなのか具体的にお示しをいただきたいと思います。
私は、地域の活性化を実現していくためには、政府が常に自治体の意向を勘案し、真摯に対応することが不可欠だと考えます。その意味で、民主党政権の地域主権を大事にしていこうとする姿勢、一丁目一番地の位置付けに心強くしております。
今回の予算案では、地方自治体の自主財源となる地方交付税が一兆一千億円増加し、十六兆九千億円計上されました。十一年ぶりの増加であり、特に地方財政計画の目玉として約一兆円を地域活性化・雇用等臨時特例費に充てて地方の単独事業の財源としました。これは鳩山政権の地域主権に懸ける意欲を表したものであり、高く評価いたします。秋田県のように財政難の市町村を多く抱える地方自治体は、有効な財源として活用することを期待しています。
そこで、鳩山総理と原口総務大臣にそれぞれ、今後、地域主権の実現に向けてどのような取組を行うか、そのための財源の手当てをどうする考えなのか伺います。
次に、地域活性化についてお尋ねいたします。
我が国の景気は、このところ全体として持ち直しの動きがあると言われますが、地方は依然として厳しい状況にあります。地方の疲弊は今に始まったことではなく、長らく構造的な問題とされてきました。大都市への人口集中が進む一方で、地方の中心市街地はシャッター通りと化すなど、深刻な状況に陥っております。
これまで地域活性化に向けた様々な施策が行われてきました。私も経済産業委員会の一員として、例えば中小企業地域資源活用促進法、農商工連携促進法、地域商店街活性化法など、新しい事業の創出や商店街の活性化に向けた取組を進めてきました。
しかしながら、せっかくの施策も地方の隅々まで周知されておらず、一定の効果はあるものの、残念ながら地域経済が活性化するという状態には至っておりません。まさに、菅大臣が述べられたプラン・ドゥー・チェック・アクションが求められます。私は、今こそ地方に元気を取り戻す地域経済の起爆剤となるような新しい産業を育成する必要があると考えます。
昨年十二月、鳩山内閣は新成長戦略、輝きのある日本へを閣議決定しました。我が国の明るい未来を予感させる新たな成長戦略を短期間のうちにまとめ上げたわけでありまして、大いに評価するものであります。
新成長戦略では、六つの戦略分野についての基本方針が示されています。その中でも私は、観光・地域資源、環境・エネルギー、医療・介護・健康の三つの分野に注目しています。これらの分野は地方にとって身近なテーマでありまして、かつ比較的取り組みやすいものであるため、これら戦略分野の産業を重点的に育成することにより地域経済の活性化につながるものと確信しております。
例えば、観光産業の育成を新成長戦略では、アジアを中心に訪日外国人を二〇二〇年初めまでに二千五百万人、将来的には三千万人まで伸ばすという目標を掲げていますが、観光立国を推進するに当たっては観光資源の連携が必要だと考えます。
地方には、自然、文化遺産など四季折々、多様で豊かな観光資源が存在しています。一つ一つの観光資源を整備し、観光客を増加させ、地方における需要を喚起する取組のみならず、各地域の観光資源を有機的に連携させることにより、更に大きな観光資源として発展させることができると考えられます。そして、特産物など豊かな地域資源も満ちあふれ、発展の可能性を秘めていますが、まだまだ十分に活用されていないのが現状です。
こうした地方の強みである地域資源を生かして、地方が自らの知恵と工夫で立ち上がり、自立できるような仕組みを構築する必要があります。地産地消という活動がありますが、私は、農林水産物を始め多様な地域資源、観光資源を地域が生かす、生まれると書く、もう一つの地産地生活動に結び付けていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
地域の伝統的食文化を維持、継承し、地域への愛着につなげ、地域経済の活性化を図ることも重要です。
そこで、鳩山総理に伺います。今後、地方の活力を向上させ、地方から日本を元気にするために、新成長戦略の基本方針に沿って、新政権ならではの抜本的な地域活性化策をどのように具体化していくのでしょうか、伺います。
そして、直嶋経済産業大臣には、成長戦略を通じ、どのように地域経済の活性化に向けて取り組んでいかれるおつもりか、具体的な方策や将来のビジョンについて伺います。
地域経済を支える中小企業から、急場をしのぐための金融対策も有り難いが、仕事がないのがきついといった声をよく耳にします。こうした中小企業の声に政府としてどのようにこたえていくのか、地域で厳しい状況にあえぐ方々の心に響くメッセージをお願いいたします。
夢と希望と安心、これを実感できる社会を構築する、特に地方において実感できるよう、新成長戦略に沿った取組を着実に推進していただきたいと思います。私も全力で取り組んでまいることを、誠に勝手ですが、この場をお借りして決意表明させていただきます。
さて、地方においては道路網の整備が生活路線の充実を図る上でも不可欠だと思います。識者の中には、費用対効果の高い施策の一つとして、昨日、全国三十七路線、五十の社会実験路線を発表しましたが、高速道路の無料化を挙げる方がいます。流通面などで巨大な経済効果が見込めるとの理由からであります。例えば秋田県の場合、高速道路は三十四キロが未整備となっており、それが点在しているため道路網、いわゆるネットワークとはなっておらず、流通面での効果は疑問です。
今回の予算案では、道路予算は二五・一%減少し一兆二千四百六十四億円にとどまり、原則として国直轄・補助事業とも新規建設が取りやめられました。国土交通省が高速道路予算として六千億円を要求しましたが、財務省は費用が過大過ぎるとしてばっさりと削減して、一千億円に大幅減額しました。地方自治体の立場からすれば誠に残念でありますが、大局的に考え抜かれた上での措置であろうと思います。前原国土交通大臣、高速道路政策の今後をどう考えていらっしゃるのか、地方の期待と財源手当てをどのように折り合いを付けていかれるのか、見解を伺います。
〔議長退席、副議長着席〕
さて、マニフェストの中でパーフェクトに実現したのが農家への戸別所得補償制度の導入でした。私が米どころの秋田の出身だから強調するわけではありませんが、農業はいつの時代でも国政の基本に位置付けられるべきだと考えます。しかし、これまでは猫の目農政とやゆされ、農家に犠牲を強いる政策が押し付けられてきました。
民主党がマニフェストで農政の一大転換策として打ち出した農家への戸別所得補償制度は、農家の皆さんを直接支援しようというもので、大きな期待が寄せられています。予算案の中では満額回答され、農林水産省の要求どおり五千六百十八億円が計上されました。
平成二十二年度は、米を対象に全国一律で戸別所得補償が実施されることになりました。これは、国が定める生産数量目標に従う販売農家に対し、十アール当たり一万五千円を生産コストと販売価格の差額に当たる定額部分として支払うものです。豊作などで米価が大きく下落した場合、定額部分に変動部分を上乗せして赤字を補償することにしています。
ところで、我が秋田県では、生産数量目標の市町村配分をめぐり国と県の間で行き違いが起こりました。生産調整、いわゆる減反が未達成の三つの市と村、大潟村、能代市、潟上市、ここに県が独自にペナルティー、いわゆる配分格差を科して三分の一だけ解消する方針を決めたのに対しまして、国が待ったを掛けて既定方針どおりに全量解消にし、その分を他の市町村に割り振ったからであります。秋田県は、秋田を戸別所得補償の対象外にして交付金を下ろさないと国から示唆されたことを踏まえて渋々折れたというのが実情であります。
そこで、赤松農林水産大臣にお尋ねします。
戸別所得補償制度を今後も安定的に定着させることを願う立場から是非確認をしておきたいのですが、地方の減反の実情をどのようにお考えになったのか。地方の現場では、配分の数量を決めるのは自治業務なのに国が介入したのはおかしいとの批判とか、これまで減反に協力してきた農家と非協力の農家を同一に扱う配分格差の一気の解消は納得できないといった不満の声が上がったのをどう見ているでしょうか、率直な見解を伺います。
同時に、土地改良費の削減について伺います。
この事業は、自給率アップのための農地活用の基盤となる業務であり、担い手育成や耕作放棄地の防止に不可欠の事業です。今回の削減は、農業経営計画に変更を余儀なくさせ、農業県にとって痛手と言えるものであります。当然、非効率な事業は見直した上で激変緩和の措置をとるお考えはないのか、今後の対応を伺います。さらに、自給率向上のため、今後どのような方策を考えているのかも併せてお聞かせください。
次に、少子高齢化対策について伺います。
我が国の少子高齢化は先進国の中でも極めて急速に進んでおり、私の郷土秋田県の場合、全国でもトップクラスの高齢化率であるのは冒頭で紹介したとおりです。例えば、六十五歳以上の高齢者だけの世帯数は、去年七月現在で全世帯数の二割強に当たる約八万九千世帯あり、そのうち独り暮らしの世帯数は約四万七千世帯という実態であります。
予算案で高齢者対策として目立つのは、食事サービスや介護関連の施設について高齢者向けの賃貸住宅の整備を支援する制度を創設した程度で、ほかは厚生労働省の予算の中に組み込まれております。対照的に、将来の担い手となる子供向けの施策は充実しました。とりわけ選挙公約の最大の目玉とされた子ども手当の創設は、中学卒業までの子供一人当たり月額二万六千円を一律に支給するものです。予算編成の過程では、支給に際し所得制限を付けるかどうかで議論になりましたが、当初の方針どおりに家計を支援する意味を込めて制限なしに落ち着きました。私は、この結果を高く評価いたします。
そこで、鳩山総理に伺います。少子高齢化対策では、今後どのような方面に力を入れていくのでしょうか。また、今後の取組についても見解を伺います。
一方、高校の授業料無償化については、私立高校の生徒の倍額支給基準が引き下げられたのを除けば、ほぼ公約どおりに実現しました。社会全体で教育を支えるとの理念に基づく教育投資は次代を担う人材の育成につながり、今後とも充実させていくべきだと考えます。今後の教育支援の在り方についての考えを併せて伺います。
さて、予算案から浮かび上がるのは、我が国の財政が極めて厳しい局面に立たされているということであります。そのことは、新規の国債発行額が六十一年ぶりに税収を上回る事態に陥ったこと、国と地方の長期債務残高が九百兆円に迫り、国内総生産の二倍近くになろうとしているといった数字が雄弁に物語っております。まさに日本は世界で例を見ない借金大国になっており、将来を担う孫子に赤字のツケ回しをしようとしているわけで危機的な状況と言えます。
マスコミでは、こうした我が国の財政状態を個人の家計に例えて、月給(税収)は四十八万円しかないのに、生活費(一般歳出)は六十八万円に膨らんだ。ローンの返済(国債費)が二十六万円と重くのしかかり、実家への仕送り(地方交付税など)、これも二十二万円も掛かるし、へそくり(特別会計などからの収入)を十二万円取り崩した。それでも足りず、新たな借金(新規国債)を月給以上の五十六万円つくってしまった。このため、積年の借金は年収五百七十六万円の十七年分に当たる九千八百万円に膨らんだと表現しております。鳩山総理、借金漬けの状態をいかにして脱却するのか、処方せんをお持ちなのかどうか、御見解をお述べください。
最後に、今、鳩山内閣は三つのK、すなわち経済、基地、金の問題に直面しておりまして、うまく打開できなければ政権の危機になるとの見方を各マスコミがしております。具体的には、鳩山総理と小沢幹事長の政治と金をめぐる問題を始め、沖縄普天間基地移設問題、デフレ不況の克服と景気回復のための経済政策であります。
私たち民主党は、内閣と党が一丸となってこれらに取り組むべきであることは言うまでもありません。国民の皆さんの熱い期待に支えられてせっかく成し遂げた政権交代を失敗させるわけにはいかないからであります。政権交代をしてよかったと国民に実感してもらう責務があるからです。確かに前途は多難ですが、日本丸のかじ取りの重責を果たしていく決意のほどを最後に鳩山総理に伺います。
私は、かつて政治家を目指したとき、農家のお年寄りから次のような話をされました。昔はみんな田んぼにはだしで入ったもんだ、そうすれば素足を通じて田んぼが、そろそろ水を張ってもいいよ、そろそろ苗を植えてもいいよと教えてくれる、長靴を履いていたんじゃ、そんな肌感覚が分からない、土との対話は肌なんだと教えてくれました。
これこそが、鳩山政権の目指す、肌感覚の分かる国民のための政治ではありませんか。疲弊した地方という毛細血管にまで血液を循環させる政権でなくてはなりません。改革には様々なハードルが待ち構えていますが、国民の皆さんとの肌感覚を共有しながら前進してまいりましょう。私も、微力でございますが、地に足をしっかりと付けて共に前進してまいります決意を述べて、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇、拍手〕