岩城光英の発言 (本会議)
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○岩城光英君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました内閣提出の国家公務員法等の一部を改正する法律案について質問をいたします。なお、答弁が不十分な場合には再質問もあり得ますことを申し添えておきます。
さらに、先般、衆議院において本改正案の強行採決が行われたことについて遺憾の意を表します。良識の府である参議院においては、政府・与党に対し慎重審議を強く求めますとともに、我々野党の声にもしっかりと耳を傾けていただくことを強く求めるものであります。
さて、どんなに優れた制度でも、いつまでも効果的に、効率的に機能するものではありません。企業でも、おおむね三十年が一つのサイクルで新しい職種が世に出てくるものです。脱皮できない蛇は滅びるとの言葉もありますが、企業経営の世界では、まさに生き残りを懸けてイノベーションのための不断の努力が行われております。同様のことはいかなる組織にも求められ、当然、行政組織もその例外ではありません。行政改革はまさに急務であると考えます。
もちろん、私は、多くの国家公務員が夜遅くまで、土曜、日曜の区別もなく献身的に仕事をしていることを承知しております。平日のみならず、休日にも深夜こうこうと電気がともされているのがそのあかしでもあります。
しかし、残念なことに、昨今、例えば、社会保険庁の問題や農林水産省の事故米問題、防衛省の機密漏えい問題など、看過することのできない重要な問題が露呈しています。結局、組織内によどみがたまり、それを扱う公務員の感覚が麻痺してしまっていたと考えざるを得ません。
本来、なすべきことをなし、なすべからざることはなさずという姿勢があれば起こらないはずであり、不祥事は、倫理観の欠如という心の内面の問題と同時に、組織というシステムに欠陥が生じているということでありましょう。ゆえに、公務員としての矜持を持ち、また、優れた人材がその能力を発揮できるような制度を構築しなければなりません。
今回、鳩山内閣が提出した国家公務員法改正案は、内容的に甚だ不十分であり、昨年、麻生内閣が提出した改正案と比べると大幅に後退しております。
例えば、内閣人事局の問題については、人事院の級別定数等の機能、総務省の機構、定員等の機能、財務省の給与機能の移管等が一切盛り込まれておりません。率直に申し上げて、この度の政府案は、連合なども反対しない骨抜き法案となっており、政治主導や改革とは名ばかりの法案なのであります。官公労に支えられた民主党政権に実効のある公務員制度改革を期待できないことは、国民の多くも感じていることと思います。
そこで、麻生内閣提出の国家公務員法改正案と比較して後退しているという認識はあるのか、仙谷公務員制度改革担当大臣にお伺いいたします。もしそうした認識がないとすれば、なぜ人事院等の機能について内閣人事局への移管をしなかったのか、お尋ねいたします。
質問の第二は、人事の一元化についてであります。
本法案では、幹部職員人事の内閣一元管理の規定が盛り込まれております。総理大臣から委任を受けた官房長官は、適格性審査を行い幹部候補者の名簿を作成、任命権者は、幹部候補者名簿に記載されている者の中から幹部職員を任用することとなります。また、任命権者は、幹部職員の任免を行う場合は、あらかじめ総理、官房長官に協議する等の仕組みとなっております。新制度の導入で、省庁ごとの縦割り、年功序列の人事が改められ、適材適所の人材登用が図られることを期待したいと思います。
しかし、小規模の内閣人事局で千人に上ると見られる人事情報を管理することができるのか、また、政治家が六百人以上の幹部候補者の能力や特性を把握することができるのかなどといった指摘も見られます。そこで、こうした指摘に対して仙谷大臣の所見を伺います。
質問の第三は、事務次官の廃止についてであります。
これまで民主党は、事務次官会議を廃止して官僚主導から政治主導へと転換すると主張しておりました。また、昨年十二月、仙谷大臣は事務次官なんかいなくてもいいと発言をされ、その廃止を検討することを明らかにされておりました。
こうした経緯から、今回の法案には、当然、事務次官の廃止が盛り込まれるものと考えておりました。しかし、この法案において事務次官の廃止の規定は明記されておりません。結局、政治主導といいながら、官僚の反対により断念したのでしょうか。
附則には、議院内閣制の下、国家公務員がその役割をより適切に果たす体制を整備する観点から、事務次官その他の幹部職員の位置付け及び役割について検討するといった検討条項が置かれています。このように結論を先送りしているものの、更に問題なのは、その期限が設定されていない点であります。
そこで、なぜ今回廃止しなかったのか、その経緯について仙谷大臣に伺います。あわせて、いつまでに結論を得るおつもりなのか、お示し願います。
また、仙谷大臣は、衆議院の内閣委員会で、事務次官を廃止し、事務系副大臣の創設を検討する旨の意向を示されました。しかし、閣内不一致、朝令暮改が当たり前の鳩山政権であるだけに、この言葉を額面どおりに受け取ることはできません。政府としては、事務次官を廃止して事務系副大臣構想を検討するお考えがあるのかどうか、官房長官にお尋ねいたします。
質問の第四は、降任規定についてであります。
本法案では、次官、局長、部長は同一の職制上の段階に属するとみなすこととなっております。次官級から局長級等へと事実上の降格になった場合、数百万円規模の大幅な減給となります。また、現役時代の給与の格差は退職金や年金にも影響してくるのであります。次官級から部長級までを職制上の段階は同じとみなすのは無理があるのではないでしょうか。仙谷大臣に御見解を伺います。
さらに、通常の人事異動といっても、事実上の降格人事となることから、人事権の濫用には一定の歯止めが必要と考えます。我が党は官公労による違法な政治活動等は厳しく糾弾する立場です。しかし、その一方、先ほど申し上げましたように、多くの国家公務員がまさに夜を日に継いで職務に精励していることも十分存じております。やはり、一政治家の好き嫌いや政治家の責任を部下に押し付ける人事等、余りに恣意的な人事はあってはならないと考えます。そのため、透明性ある具体的な昇格や降格の評価基準を設けるべきだと考えますが、仙谷大臣に明快な答弁を求めます。
質問の第五は、天下り問題についてであります。
民主党は、マニフェストに掲げていた天下りあっせんの全面禁止の方針を根底から覆し、日本郵政の役員人事に官僚OBを充てる等、天下り人事を行っております。まさに国民への背信行為であります。こうした人事を正当化するためか、鳩山内閣は、昨年、政務三役や官僚OBのあっせんによる再就職は天下りには該当しないという政府見解を打ち出しました。この見解には多くの批判があったからだと思いますが、今年の総理の施政方針演説では、裏下りについて監視の目を光らせていくと明言されたのであります。しかし、官僚OBのあっせんによる損保協会副会長人事への対応一つを見ていても、政府がこの問題に真剣に取り組もうとしているとは到底思えないのであります。そこで、政府は裏下りについてどのように対応されているのか、官房長官に伺います。
質問の第六は、民間人材登用・再就職適正化センターなどについてであります。
本法案では、官民人材交流センターを廃止し、民間人材登用・再就職適正化センターが設置されます。このセンターでは、昨年、官民人材交流センターにおいて社会保険庁の再就職あっせんを行ったように、組織改廃で離職せざるを得ない職員の再就職のあっせんを行うこととなります。
民主党は、官民人材交流センターを天下りバンクと称し、厳しく批判をしておりました。そのときの発言をもうお忘れでしょうか。今回の民間人材登用・再就職適正化センターも同じ天下りバンクのようなものではないのでしょうか。
長妻大臣が、野党時代、公務員はハローワークで仕事を探せばよいとの主張を展開されておりました。今回の法案は、長妻大臣始め民主党の皆さんが今まで主張してきたものと矛盾しているのではありませんか。これでは、官公労に配慮したものとみなさざるを得ないのであります。
そこで、党として、主張が一変したことをいかにお考えか、整合性は取れているのか、仙谷大臣、そして長妻大臣の見解を伺います。また、同センターのあっせん規定がないと、分限免職をした場合、問題となるのでしょうか。ほかに配置転換の努力をすればよいのではないかと考えますが、仙谷大臣にお尋ねをいたします。
質問の第七は、労働基本権についてであります。
本法案の附則九条第二項では、労働基本権付与に向けた検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置を講ずる旨の規定が盛り込まれております。しかし、実は、この規定とほぼ同趣旨の規定が国家公務員制度改革基本法の第十二条に盛り込まれております。なぜ、今回の政府提出法案においても似たような規定を再度盛り込んだのか、仙谷大臣に伺います。あわせて、労働基本権付与に向けた法案の提出の時期やスト権を含めるか否かについて明快な御答弁を求めます。
質問の第八は、総人件費の二割削減についてであります。
民主党のマニフェストには、天下りあっせんの禁止、定年まで働ける環境づくり、総人件費の二割削減がうたわれております。総務省は、退職勧奨、新規採用抑制、六十一歳以降の昇給はいずれも行わないという前提で、定年延長をして六十五歳まで勤務するなら二〇二五年度の国家公務員の総人件費が約四千億円増、二割増加するといった試算を明らかにしています。これでは二割減どころか二割増です。ここにも民主党のマニフェストの矛盾が明らかになりました。
また、その手法ですが、国家公務員の人員削減をしても、その分地方公務員として受け入れるというのでは、トータルでの改革成果が上がったとは決して言えません。鳩山政権は、労組に配慮してだと思いますが、現役の公務員の給与体系には手を付けずに、二十三年度の新規採用者数を半減させようとしております。こうした大幅な新規採用の抑制を行えば、人事バランスがいびつになることなどが考えられます。また、若者だけにしわ寄せをするのはおかしいのではないでしょうか。そこで、二十三年度の新規採用抑制の方針について官房長官に伺います。
あわせて、法案では総人件費二割削減について全く盛り込まれておりませんが、今後どう取り組むのか、公務員の給与体系の抜本的な改革の道筋も含めてお答え願います。仮に二割削減が実現できないのであれば、マニフェストの撤回を強く求めて、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣仙谷由人君登壇、拍手〕