鹿野道彦の発言 (農林水産委員会)
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○鹿野国務大臣 おはようございます。
農林水産委員会の開催に当たりまして、委員長にお許しをいただき、所管大臣として考え方の一端を申し述べます。
このたび、二十一年ぶりに農林水産大臣を拝命し、その当時と比べ、農林水産業を取り巻く環境が深刻なものになっていることを改めて認識いたしました。この二十年間で、四九%あった食料自給率は九%も低下し、農業所得は半減し、耕作放棄地は四十万ヘクタールに達しており、農林水産予算もこの間約七千億円も減少しました。農業はまさに縮小の道を歩み、農林水産行政もいつしか受け身の姿勢をとらざるを得ない状況に陥っていました。
私は、こうした閉塞感の漂う現在こそ、方向性を大きく転換する好機であると考えております。そのため、食料自給率、農業所得の向上、耕作放棄地の削減など、農山漁村の再生に果敢に取り組み、攻撃型の農林水産行政ともいうべき新たな行政の確立に向けて全身全霊を傾けてまいる所存であります。
以下、こうした理念に基づき、主要な農林水産政策について申し述べます。
第一に、戸別所得補償制度の本格実施であります。
戸別所得補償制度は、攻撃型の農政の骨格であり、意欲ある農業者が安心して事業を継続できる環境を整備することで食料自給率の向上と農業の多面的機能の維持を目指す重要な施策であります。
来年度は、本年度実施した水田農業を対象とするモデル対策の状況を踏まえ、本格実施に向け、対象を麦や大豆等の畑作物にも拡大することといたしております。また、対象作物の生産性や品質の向上、農地の有効利用等を図るため、必要な加算措置を講じることといたしております。さらに、この制度の下支えに不可欠な農業の生産基盤の整備を推進してまいります。
なお、この制度を安定的なものにするため、所要の制度改正について検討を進めてまいります。
第二に、農山漁村の六次産業化であります。
農山漁村に雇用と活力を生み出すには、生産、加工、販売の有機的な結合により、新たな付加価値が創造されることが必要であります。
このため、意欲ある農林漁業者等による加工、販売への進出やバイオマス等の地域資源を活用した新産業の創出を促す農山漁村の六次産業化を推進しており、本年の通常国会に関係法案を提出いたしました。法案の早期成立に向け、御審議をよろしくお願い申し上げます。
また、農山漁村の六次産業化を農林水産物等の輸出の拡大につなげていくことにより、一兆円水準の農林水産物等の輸出を目指します。
第三に、食の安全、安心の確保であります。
農林水産業の発展には消費者からの信頼が不可欠であり、食の安全、安心を求める消費者ニーズに対応した生産体制を構築していくことが必要であります。
このため、生産、製造、流通の各段階において科学的知見に基づく施策の強化、農薬や飼料等の生産資材の適正な使用の徹底を図り、国産農林水産物や食品の安全性向上に取り組んでまいります。
第四に、EPA交渉であります。
本年六月に閣議決定した新成長戦略においては、本年秋までにEPAに関する基本方針を策定し、平成三十二年を目標にアジア太平洋自由貿易圏を構築するための道筋をつけていくこととされております。
こうした中で、農林水産業の振興を預かる立場といたしましては、食と地域の再生や食料自給率五〇%の達成との両立を基本として、EPAの問題を政府全体の中で検討することとしており、所要の財源確保を含め、国内対策を考えてまいる所存であります。
第五は、森林・林業政策であります。
森林・林業は、戦後植林した人工林が利用可能な段階にあるとともに、低炭素社会の中で新たな役割も期待されており、地域資源創造型産業への再生を図る好機であります。
このため、森林・林業再生プランに沿って、路網整備、森林管理の専門家等の人材の育成、国産材利用の推進などを着実に実施してまいります。また、意欲と実行力を有し集約化により持続的な森林経営に取り組む方に対する直接支払い制度を来年度から導入してまいります。
これらの施策を通じて、建築材からエネルギー源に至るまでさまざまな形での木材利用を推進し、十年後の木材自給率五〇%以上を目指してまいります。
第六は、水産政策であります。
我が国水産業は、非常に高い潜在能力を持ちながら、資源状況の低迷等により厳しい状況にあり、漁業者が将来にわたって持続的に漁業経営を維持できる環境を整備する必要があります。
このため、計画的に資源管理に取り組む漁業者に対する収入安定対策とコスト対策とを組み合わせた総合的な漁業所得補償制度を構築することとし、来年度からの実施に向けて準備を着実に進めてまいります。
また、国際的な管理下にある水産資源について、科学的知見に基づき持続的な利用が確保されるよう、適切な資源管理に努めてまいります。
最後に、宮崎県で発生した口蹄疫について、今後、第三者検証委員会の最終報告に基づき、二度と今回のような甚大な被害を招かないよう、必要な措置を講じてまいります。
宮崎県等の畜産の復興や地域の再建に当たっては、畜産再生に向けた基金の設置等の支援策を取りまとめたところであります。また、議員立法により法案提出されている、発生農場に交付される手当金等に係る免税措置については適切に対応してまいります。これらを活用して、被害を受けた農家の生活再建と地域経済の再生に努めてまいる所存であります。
以上、農林水産政策に関する基本的な考え方を申し上げました。
現在、私みずからが率先して、副大臣、政務官とともに農林水産業の現場を回り、農林漁業者の方々とひざを交えた意見交換を行っているところであります。
今後の政策の推進に当たっては、このように現場の生の声をつぶさに伺い、積極的に政策に反映するとともに、わかりやすく丁寧な説明を行い、国民の皆様方により一層の関心を持ってもらえるような農林水産行政の推進に努めてまいります。
委員長を初め委員各位におかれましては、今後とも一層の御指導、御鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。(拍手)