橘慶一郎の発言 (本会議)

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○橘慶一郎君 自由民主党の橘慶一郎です。
 私は、自由民主党・無所属の会を代表し、ただいま趣旨説明がありました一般職職員給与法等三法案について、五項目にわたり質問をいたします。(拍手)
 質問に先立ちまして、一言申し上げます。
 尖閣諸島沖の中国漁船衝突に関するビデオ映像が流出した件につき、海上保安官が事情聴取を受けております。私どもはかねてよりビデオの全面公開を求めてまいりましたが、結果として、政府側の対応のまずさが事態を深刻にしたものと言わざるを得ません。
 また、今回は、国家の主権にかかわる重要な問題であり、菅内閣の危機管理能力が厳しく問われています。政府は早急に真相を究明し、国会の場において明確に説明するよう、強く求めるものであります。
 また、報道によれば、仙谷官房長官は、海上保安庁長官に重い責任があるとする一方、馬淵国土交通大臣については、政治職と執行職のトップは責任のあり方が違うと擁護するかのような発言をされていますが、政治の責任を回避する姿勢は納得できません。
 小沢前幹事長の証人喚問の要求とあわせ、我々は、この問題についての政府側の責任を徹底して追及してまいります。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 第一に、人事院勧告どおりの改定にとどまった理由について伺います。
 菅総理は、今国会冒頭の所信表明演説で、みずからの内閣を有言実行内閣と位置づけ、公務員制度改革についても、「国家公務員の総人件費の二割削減とあわせ、一体的に取り組んでいきます」と表明しました。有言実行という姿勢は大事なことですが、それだけに、約束された言葉にはいよいよ重みが増します。約束されたことがほごにされたり実行できなかったりすれば、信頼を一気に失う危険があります。それだけの覚悟を持って政権運営に臨まなければならない重大な決意を示したものと受けとめています。
 さて、菅総理は、九月に行われた民主党代表選で、国家公務員人件費について、人事院勧告を超えた削減を目指すと公約されました。勝利をおさめて総理を続けているわけですから、人事院勧告の深掘りは、いわば菅改造内閣の公約と言えます。しかし、今提案されている法案では人事院勧告どおりの引き下げとなっており、公約が実行されておりません。なぜなのでしょうか。
 当初、菅改造内閣では、片山総務大臣は深掘りをも視野に入れた発言をし、蓮舫大臣も人事院勧告を超えた給与削減の意向を示していたわけですが、わずか二カ月で、なぜ勧告どおりという結論に至ったのでしょうか。当初の総理の人事院勧告深掘り発言を軽い言葉にしてまでも勧告どおりという方針をあえて選択した理由を、検討途中の閣内での議論の経過も含めて総務大臣に伺います。
 一方、多くの地方自治体では、地方公務員も国家公務員と同様に協約締結権と争議権を制約されている状況でありながら、不況で税収減が深刻な近年は、厳しい財政事情を考慮して、人事院勧告や人事委員会勧告の水準を上回る独自の給与カットを行っています。知事や市町村長が、苦渋の決断の上、職員人件費を削減するためにみずから労使交渉を行い、職員の理解を求めることも珍しくありません。今や国家財政もこれまでにない厳しい状況であり、国においても真摯な対応が求められる局面ではないでしょうか。
 現行制度下において、国と地方自治体にどのような違いがあるのか、総務大臣に伺います。
 第二に、自律的労使関係制度を措置するための法案について伺います。
 本法案の閣議決定の際、政府は、次期通常国会に自律的労使関係制度を措置するための法案を提出し、交渉を通じた給与改定の実現を図るとの方針を示しました。これは、労働基本権を含めた国家公務員法の改正案を次期通常国会に提出する趣旨であると考えますが、公務員制度改革を担当する蓮舫大臣に、確認のため伺います。
 また、この閣議決定では、公務員制度改革の全体工程表は明らかにされていません。特に、現在の人事院制度についてはどう考えているのでしょうか。維持をするのか、廃止して、民主党のマニフェストのとおり、民間と同様、労使交渉で給与を決定するのか、いずれの方針であるのか、蓮舫大臣に伺います。
 この問題について、前通常国会での担当大臣は仙谷官房長官でした。内閣委員会での質疑では、私から、担当大臣として腰を落ちつけて、改革が成就するまでやり遂げていただきたいとお願いしました。官房長官からも、歴史的な使命感を持って臨んでいるとの答弁がありました。
 しかるに、六月に菅内閣が発足すると、残念ながら、担当は玄葉大臣となり、わずか三カ月で蓮舫大臣にかわりました。戦後国家公務員制度の大改革を実行しようという、まさに官房長官が日本にとって歴史的な問題ととらえている重要課題の担当大臣をこのように短期間でころころと交代させるのでは、菅内閣に、この問題に本気で取り組む意欲はないのではないかと疑います。
 蓮舫大臣も行政刷新会議の業務だけでも多忙のように見受けますが、前任者からの引き継ぎを含めて本当に問題はないのか、短期交代の理由とあわせて官房長官に伺います。
 また、蓮舫大臣は、担当大臣に就任直後の記者会見では、前任者の玄葉大臣と同様に、人事院勧告をただ遵守するだけで国民の理解が得られるかというとそうではないと発言していました。一方、前々任者の官房長官は、前通常国会の国家公務員法改正案の委員会質疑では、現行制度下での勧告の深掘りには慎重な姿勢を示していました。
 蓮舫大臣は既に前通常国会での議論も把握したことと思いますが、担当して二カ月弱たった現時点において、当初の考えとは合わない勧告どおりという結論をどのような理由で是と判断するに立ち至ったのか、伺います。
 ところで、公務員制度改革の担当については、前任の副大臣、政務官が退任した上、担当副大臣が欠けて、弱体化した体制となっています。多岐にわたる論点がある重要課題であるだけに、担当副大臣の補充の必要性は感じていないのか、蓮舫大臣に伺います。
 第三に、この閣議決定における暫定的な対応の内容について伺います。
 今回の閣議決定では、自律的労使関係制度が実現するまでの間についても、人件費を削減するための措置について検討し、必要な法案を次期通常国会から順次提出するとの方針が示されましたが、具体的にどのような仕組みや工程を考えているのか、正直申し上げて、全体像が理解しづらい文言です。また、いかなる措置をとるにせよ、関係各方面とは相当な調整が必要になるものと考えます。
 まずは、労働基本権に立ち入らずに人件費を削減する措置として、具体的にどのような仕組みを想定しているのか、あわせて、その検討の進め方について総務大臣に伺います。
 そして、有言実行の菅内閣です。次期通常国会までの間には実質的に三カ月程度の準備期間しかないのではないかと危惧しますが、閣議決定の文言どおり次期通常国会に法案を確実に提出することを確認いたしたく、覚悟のほどとあわせて総務大臣に伺います。
 また、順次提出するという文言からは、複数の法案が次々に提案されるものと理解しますが、なぜそのような段階的な手順を予定しなければならないのでしょうか。自律的労使関係制度が実現するまでの期間が数年間にわたることを想定しているのではとも思いますが、総務大臣の見解を伺います。
 第四に、具体的な改定の考え方について伺います。
 今回の改定案では、五十五歳を超える職員のうち、一定程度の職以上についている者のみを対象として一・五%の一律給与削減をかけています。同一年齢で差をつけるこの改定手法に合理的理由があるのか、総務大臣に伺います。
 一方、四十三歳未満の職員については平成二十三年四月に一号俸の回復措置を予定していますが、現下の厳しい財政状況とは矛盾しないのでしょうか。
 政府には、昭和五十七年、当時の鈴木首相が、財政非常事態を宣言し、人事院勧告凍結に踏み切った前例があります。この部分だけでも勧告を深掘りし、回復措置を先送りすれば、菅総理の当初の発言に多少とも沿うこともできるのではないかとも思います。
 回復措置の先送りは検討されなかったのか、この措置を実施しなければならない理由とあわせて、総務大臣に伺います。
 また、育児休業法の改正では、一定の非常勤職員の休暇取得が可能となり、地方公務員についても同趣旨の改正が行われます。片山総務大臣は給与制度についても地方の自主性を重んじる方針を示していますが、本改正について地方の意見をどのように酌み取ったのか、そして、本当に問題はなかったのか、総務大臣に伺います。
 第五に、国家公務員総人件費二割削減について、覚悟のほどを伺います。
 民主党マニフェストは、平成二十二から二十五年度の四年間で、二十一年度比較で国家公務員総人件費の二割、約一兆一千億円を削減するとしています。
 そこで、二十二年度当初予算について、社会保険庁改革で非公務員化された部分を除いて、二十一年度と比較しての総人件費の削減額を財務大臣に伺います。あわせて、二十三年度概算要求において、総人件費の今年度と比較しての増減がどうなっているのか、財務大臣に伺います。
 総人件費は今回の改正案でも五百億円程度の削減にとどまる見込みであり、これで二十三年度予算が事実上決まっていきます。残された予算年度は二年間となり、実質、既に折り返し地点に立っている現状です。そして、二割削減についての進捗度合いは、金額面でも制度面でもせいぜい一、二歩を踏み出したばかりの状況にとどまっており、ゴールはいまだ遠くのかなたにあります。
 このことについて、しばしば、四年間で達成すればよい目標だと安易な発言も耳にしますが、時は刻々と経過しています。公約達成まであと二予算年度しか時間が残されていない、あと二年でなし遂げなければならない難しい課題となっているという認識をしっかりとお持ちであるのか、総務大臣及び蓮舫大臣に確認します。
 また、公約達成の道筋は、現時点でも既に極めて険しいものになっているのではないでしょうか。この点、総務大臣及び蓮舫大臣の率直な見解と、公約達成への覚悟のほどを伺います。
 最後に、民主党マニフェストは、総人件費の削減方法として「地方分権推進に伴う地方移管」を挙げていますが、地方自治体への単なる人員のつけかえによる人件費の減少は、それが国から地方への負担金の支払いを伴うのであれば、その分は当然のことながら二割削減にカウントされないものであることを総務大臣に確認します。
 国家公務員に対する国民の期待と負託は極めて重いものがあります。厳しい財政状況のもと、その給与水準がどうあるべきか、そして、政務三役と職員が真に一体のチームとなって、持てる力を発揮し、国民のためにどのような成果を上げていくのかが国政上の重大な焦点であり、国民の関心の的となっています。また、公務員制度改革の分野においても、菅内閣が本当に有言実行できるのか、厳しく見詰められています。
 我が国が、内政、外交両面にわたり難局と言える事態に立ち至っている現状であるからこそ、菅内閣に対しては、言葉の重みをいま一度指摘したいのであります。一足飛びで安易に目的地に行こうとしたり、思い余って奇策に走ろうとしたりするのではなく、山道を一歩一歩踏み締めるごときしっかりとした心構えで改革の実を着実に上げることこそ課題解決の真の近道であることを申し述べ、私の質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣片山善博君登壇〕

発言情報

speech_id: 117605254X00720101111_014

発言者: 橘慶一郎

speaker_id: 19229

日付: 2010-11-11

院: 衆議院

会議名: 本会議