小坂憲次の発言 (本会議)
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○小坂憲次君 私は、自由民主党を代表し、菅内閣総理大臣の所信表明演説に対し、質問をいたします。
質問に先立ち、この度二〇一〇年のノーベル化学賞の受賞が決定した北海道大学の鈴木章名誉教授、米パデュー大学の根岸英一教授に対し、心よりお祝いを申し上げます。
質問に入ります。
暮らしのための政治を、国民の生活が第一という公約を掲げて民主党が総選挙に勝利し、政権を奪取してから一年余りが過ぎました。もはや、政権交代後間もないからとか、初心者だから見守ってなどという言い訳が通用する時期は完全に終わりました。
一年前、国民の皆さんが民主党に寄せていた期待は見事に裏切られました。国民は政権に失望し、今夏の参議院選挙では我が自由民主党が改選第一党として勝利いたしました。民主党の皆さんがかつてよく言っていた直近の民意は、自民党に寄せられたのです。
国民の失望の原因は大きく三つあります。
第一に、政権交代がバラ色の世の中をもたらすかのように国民を誤解させ、これを行えば、強い経済が実現し、国民の生活が守られるのだと美辞麗句で飾られた政権公約のマニフェストが一向に守られていないことであります。
天下り根絶といいながら、政権が発足するや、日本郵政の社長に大物と言われる旧大蔵省OBを就任させ、高速道路無料化やガソリン税引下げも約束を裏切り、十七兆円の無駄を見付けるはずの事業仕分も結局は一兆円に届きませんでした。
子ども手当や高校無償化といった財政に重大なダメージを与えるばらまき政策をめぐっては、さきの民主党代表選挙で、菅、小沢両候補の間で守るか守らないかが大きな争点となりましたが、これこそ実現不可能な公約で国民をだました証左ではありませんか。
国民が失望した第二の理由は、この政権が常に重要な政策でぶれることであります。
この夏の参議院選挙に臨み、菅総理は唐突に財源不足を補うための消費税増税を主張されました。ところが、民主党内の反発に遭うや、まだ先の話、年収の低い人には還付しますなどと発言は後退し、ついに還付対象も、年収二百万円と言ったその日の最後には四百万の人まで低所得者にされてしまうほどぶれたのであります。そして、その後の民主党代表選挙では議論を回避されたではないですか。出したり引っ込めたり、菅総理御自身の言葉は大きくぶれております。総理、消費税はどうされるんですか。
国民がこの政権に失望した第三にして最大深刻な原因は、危機管理能力の欠如です。
この春、宮崎県で発生した口蹄疫被害が拡大していたさなか、現地で対策の指揮を執るべき農水大臣は外遊予定を変更せず、危機意識の薄さを満天下に示しました。我が国の畜産業が被った大きな打撃の責任は、当時の大臣と総理にあることは疑うべくもありません。
また、さきの円高危機の発生局面では、総理も関係閣僚も夏休みだとして拱手傍観し、その後、事態の推移を見守ると悠長な対応に終始し、民主党代表選挙に狂奔するばかりで、本務たる政策を顧みず、我が国企業の経営に深刻な打撃を与えました。
後に述べる中国漁船の領海侵犯・公務執行妨害事件でも、総理の優先項目は代表選での勝利であり、この危機的事態にどう対処するか熟慮された形跡は見て取れません。そして、遺棄化学兵器処理計画で訪中していて拘束された日本人の解放も要求せずに中国人船長を処分保留のまま釈放するに至っては、この政権には危機管理以前の問題として我が国の領土と国民を守る気概のないことが明らかになったのであります。
第三に、危機に当たっての対処の遅さと誤りによって我が国経済と国民の生活や我が国の領土まで危うくしていることについてどのようにお考えですか。領海侵犯事案に今後どのように対処されるおつもりか、自衛隊の最高指揮官としてどのようにお考えですか。また、命懸けで領海警備に就いている海上保安庁の装備や今後の国内法上の手当てについて、総理としてのお考えを伺います。
この夏の参議院選挙の結果、自公政権時とは攻守所を変えて、参議院で野党多数のいわゆるねじれ国会となりました。
さきの百七十四通常国会において、民主党は、会期中の首相交代に際しては衆参両院の予算委員会を開き新内閣の基本姿勢を論議するという院の慣例に従わず、予算委の開会を拒否し、自らが提案した党首討論もこれを撤回し、我が党が提出した首相問責決議案の採決をも拒み、会期末に本会議を開かないまま国会を閉じるという前代未聞の強権的な国会運営をされました。
これによって、総理のおっしゃるクリーンな政治とは全く相反する事態が招来されました。すなわち、鳩山由紀夫前総理や小沢一郎元代表、さらには当時の現職閣僚をめぐる政治と金の問題にふたをし、国民の率直な疑問に何ら答えることなく、議会での自由な言論を封じ込めたわけであります。政府提出法案の成立率が戦後最低の五五・六%にとどまるという、つまり政策実現能力がここまで低いことを露呈しつつも、参議院選挙に有利か不利かという党利党略、私利私略に基づく選択をされたのであります。
まず、さきの通常国会における国会運営を率直に謝罪されるべきです。総理の見解を伺います。
我が国の喫緊の課題は経済、景気の立て直しであり、そのための補正予算は今国会において成立させなければならない最重要案件であります。我が党としても、かつて政権運営をした経験を有する責任ある野党として、国民生活を無視して、反対のための反対で補正予算の成立を阻止するつもりはありませんし、協力すべきは協力します。有言実行内閣としてどのような国家観の下に野党の協力を求め、この状況をどう打開して補正予算や関連法案を成立させるのか、どのように考えているか、改めて伺います。
菅総理は、所信表明演説において議員定数の削減に言及し、民主党の公約にも衆参定数の削減が盛り込まれております。参議院議員の定数削減に具体的にどのように取り組まれるのか、民主党党首でもある菅総理に伺います。
参議院の定数是正は、一票の格差や都道府県代表の在り方など、憲法議論に踏み込む必要が出てくる可能性があります。本来であれば、憲法審査会において議題とすべきでありますが、同審査会の設置に必要な規程の制定を長期間にわたって先送りしてきたのは民主党であります。民主党は、改憲派から頑迷固陋な護憲派までが同居する寄せ集め集団であることからこうした決定ができないのではないですか。しかし、憲法審査会が設置できない現状は違法状態であります。憲法改正に反対するグループが党内にいるからといって国会に議論をする場まで設置させないというのは余りにも横暴であります。
早急に憲法審査会規程を整備するなどして憲法審査会を始動させるべきであると考えますが、民主党代表としてどうリーダーシップを発揮されるのか、お考えを伺います。
昨年、発足当初の鳩山政権は、自民党政権時代の政権運営体制を否定することを自らの基本方針としていました。事務次官会議を廃止して国家戦略室、行政刷新会議を設け、大臣、副大臣、政務三役が各省における意思決定を政治主導すると宣言したのであります。ところが、菅総理は就任後の記者会見で、官僚を排除して政治家だけで決定すればいいということでは全くないと述べられました。自公政権時代は経済財政諮問会議が司令塔となりましたが、これを廃止してより強力な官邸主導の実現を国民に約束されたのではなかったですか。
来年度予算の概算要求基準をめぐり、財務省が政策経費の一割程度を各省が一律削減と差配する有様は、民主党が否定してきた財務省主導のシーリングそのものではありませんか。いや、防衛費等、真に必要なものまでシーリング対象とした、そういう点では、あなた方が非難してきた自民党の予算編成よりも硬直的で画一的な手法であると言わざるを得ません。
菅総理、政治主導の旗を降ろすのですか。政治主導確立法案はあきらめますか。お考えを伺います。
政権交代すれば何ぼでも財源は出てくる。昨年総選挙で掲げたマニフェストの完全実施を宣言したのは、代表選挙を争った小沢一郎氏の発言です。特別会計を含め、二百七兆円の国家予算を全面的に組み替えれば、マニフェスト実現の裏付けとなる初年度七兆円以上の追加財源が捻出できるというものでありました。
目玉政策の一つに子ども手当がありますが、今年度予算では、十五歳以下の子供一人当たり月一万三千円の支給が開始されました。さて、来年はどうされますか。今年度の支給は一年限りの時限立法によるものであり、存続するには新たな立法措置が必要であります。また、マニフェストどおりであれば、財源は地方負担をやめ、国が全額負担することになります。
さらには、手当支給に対応して、昨年末の税制改正で年少扶養控除の段階的な廃止を決定しています。この先行決定で単年度立法という見切り発車の制度設計に矛盾が生じてまいります。実際、三歳未満の子供を抱える世帯では逆に負担が増えるという試算が出ています。このような矛盾を抱えたままマニフェスト実現を主張されるんでしょうか。
巨額の税金を投入しながら、効果より負の側面が目立つ農家の戸別所得補償や高速道路料金の無料化も問題であります。
戸別所得補償は、本年度の米に加え、来年度は麦や大豆など畑作が加わって予算は一兆円規模に膨れ上がります。この政策が原因で現在、米価が大幅に下落し、土地改良予算が大幅に削減された結果、農業基盤の荒廃が進み、災害発生すら危惧されていますが、これらをどうするお考えですか、お答えください。
高速道路の無料化公約は社会実験という名目で批判をかわそうとしておりますが、完全実施の財源をどうするつもりですか、総理の御所見を伺います。
さて、総理はまた、いわゆる政治主導と全く異なる考え方を所信表明において示しておられます。例えば、その冒頭において、我が国が取り組むべき課題の一つに国民全体で取り組む主体的な外交の展開を挙げ、世界の平和と安定を国民一人一人が自分の問題としてとらえるべきだと主張されました。
本来、外交こそ専門家の経験と知恵を総動員し、最後は総理が責任を負わなければならない問題であります。これを国民全体でというのは、決して民主主義の本旨に沿ったものではなく、責任を国民に丸投げしたものとしか思われません。沖縄県民の理解が得られないから米軍普天間基地の移設は進まない、検察が判断したから我が国領海で不法操業し公務執行妨害で逮捕した中国漁船の船長を釈放した、あなたはこうおっしゃりたいのでしょうか。
外交に関するある政治家の発言を御紹介しましょう。日本外交はよく戦略がないと批判されますが、私の見るところ、今の外交はかわし外交と呼ぶべきです。かわし外交とは、この国をいかに導くか、相手国といかに付き合うかという外交戦略を欠き、相手国の圧力をかわすことにエネルギーの大半を費やす外交のことです。しかし、外交戦略を欠くゆえに、かわし外交はその場しのぎ外交となり、結局相手にずるずる押されて終わる宿命にあります。これは、一九九八年の第百四十四国会において、ほかならぬあなたが当時の小渕恵三総理に対して行った質問であります。
日本外交がまさに八方ふさがりの様相を呈している今日、まさにこのことを菅総理にただしたいと思います。
今回の尖閣諸島にかかわる中国漁船の我が国領海侵犯と逮捕、釈放に至る一連の経緯は、まさに総理の言うかわし外交であり、その場しのぎ外交にほかならないと思うのですが、総理は領土問題に関していかなる戦略を持ち、対中外交においてどんな戦略をお持ちなのか、お答えください。
この問題で、菅総理に代わり主導的な役割を果たしたと言われる仙谷官房長官にもお聞きいたします。
あなたはこの事件で、十四人と船がお帰りになれば違った状況が開かれるのではないかと思っていた、司法過程についての理解が異なるということをもっと我々は習熟すべきだったと率直に御自身の判断違いを認めておられます。
しかし、我が国の領海を侵犯し、海上保安庁の正当な公務の執行を妨害しながら、なお自らの非は認めず、さらに我が国の譲歩を迫る中国に対し日本政府の見込み違いを告白するのは、誤ったメッセージを与えることになるのではないですか。今後、彼我の制度の違いを習熟すれば、尖閣諸島でいかなる違法行為があっても、逮捕とか、我が国の法の執行はないと相手側が判断してしまう危険はないでしょうか。
中国漁船の船長の釈放に際し那覇地検の次席検事は、我が国国民への影響や今後の日中関係を考慮すると、これ以上身柄を拘束して捜査を続けることは相当ではないと判断したとその理由を説明しました。
法と証拠にのみ基づいて事案を判断すべき検察が日中関係を考慮するのは、検察の独善かあるいは政府による事実上の指揮権発動だと思いますが、総理、法務大臣及び官房長官の見解をお尋ねします。
この問題に関し、菅総理は、我が国海上保安庁の巡視船に体当たりする模様をとらえたビデオは見ていないと衆議院予算委員会で答弁されておられます。危機対応の責任者としては無責任極まりない発言であり、杞憂とは存じますが、よもや、まだ見ていないとおっしゃることはないことを確認させていただきたいと思います。
政府・与党は今次国会の開会を十月一日に決め、所信表明演説と対する代表質問の日程を与野党で合意したにもかかわらず、総理のアジア欧州会議、ASEM首脳会議への出席を理由に代表質問の日程を先送りしました。
この会議への出席は、菅総理が中国漁船衝突事件について中国首脳と協議すること、また、日本の立場を各国首脳に説明することと理解し、我々野党も納得して日程変更を受け入れたのであります。
立ち話であったようですが、成果はありましたか。温首相とは会場廊下のいすに座って会談したと伝えられています。突如の立ち話に、日本側の中国語通訳がいなかったため、英語を介しての通訳だったと聞きます。それで二十五分の立ち話ということは、実質的には十分以下の短時間の会談ということになります。それで十分な日本の国益の主張ができたんでしょうか。また、立ち話の際に温家宝首相に対し、いまだに拘束されたままのフジタの社員一名の解放を直接要求されたでしょうか。昨日の我が党総裁、同僚の質問にははぐらかし答弁に終始されましたが、直接要求したのか、イエスかノーかで明確にお答えください。御本人の不安や御家族の御心配を考えるとき、国民の生命を守るべき首相としての役割をどのように認識されているのか、率直にお答えください。
領土問題の存在しない中国とでさえ今回のような事件が起こるのです。我が国にとって長年の懸案であるロシアとの間に横たわる北方領土問題が一段と困難になっているのは、まさに民主党政権の不作為の罪だと考えます。
メドベージェフ・ロシア大統領は、今年十一月、横浜でのAPEC首脳会議が終了した後、日本から北方領土を訪問する意向を公にしています。我が国を舞台にした多国間外交の場から、初めて北方領土に立とうとするメドベージェフ大統領を、総理はなすすべもなく粛々とお見送りされるつもりでしょうか。それとも何らかのアクションを取られるおつもりでしょうか。お尋ねいたします。
私は、今日、外交が八方ふさがりとなっている主因は、何といっても日米安保体制の揺らぎからきていると考えます。総理は所信において、日米同盟は我が国の外交の基軸だと淡々と述べられました。しかし、民主党政権によるこの一年間の対米アプローチは、米側の不信を招くに十分な迷走の連続でありました。沖縄の普天間基地移設問題に象徴される度重なる方針転換。何人もの政治家や有識者が腹案と称するものを持ち込み、その実、どれも荒唐無稽で破綻してしまったのがこの一年の経緯です。
沖縄の地元では早くも辺野古受入れ拒否が大勢になっています。この中で、本年五月の日米合意を踏まえて取り組むことが本当にできるとお考えでしょうか。
普天間基地が一ミリも動かない中で、移転先となるべきグアムの米軍基地建設への資金供与だけは着々と進んでいます。総額一兆円のプロジェクトの六割を日本側が負担するとされていますが、それが終了するとき本当に普天間基地の移設も完了する見込みはあるのでしょうか。最近、米軍施設以外のインフラ充実のため、追加資金が求められているとも聞きます。詳細を御説明ください。
吉田茂首相は、後世に起こるであろう問題の責任はすべて自分一人で取るとして、他の代表の出席を認めず、単身で日米安全保障条約に署名をされました。
そこで、前原外務大臣にお尋ねします。
吉田外交がそうであったがごとく、あなたは一身を国にささげ、歴史に対して責任を取る覚悟はありますか。イエスと言うのであれば、話は前後いたしますが、さきの尖閣沖の衝突で、事件後、速やかに現地を視察し、中国漁船が悪質な妨害をした十分な証拠があるとまでおっしゃっておりながら、その後、船長の釈放を是とするなど、なぜ当初の勇ましい言動と逆の姿勢を取っているのですか、その理由をお聞かせください。
今、国民の検察への信頼は大きく揺らいでいます。厚生労働省局長であった村木厚子さん逮捕まで発展した郵政不正事件裁判において、検察の驚くべき姿が暴かれる事態となりました。
主任検事による証拠品改ざん、さらにはその上司であった特捜部長、副部長も報告を受けていた上で黙認、隠ぺいの指示をしたとの報道がなされています。これが事実であれば、もはや組織ぐるみの犯罪と言われても仕方ありません。まさに、検察史上、歴史に残る汚点であります。特捜部の存在意義をも問われるものであります。厳正なる捜査による一刻も早い真実の究明を願ってやみません。
ただ、この度の不祥事によって、すべてを検察の暴走で乗り切ろうという声には注意を喚起するものであります。一連の検察批判がある今、法治国家として国民に信頼される検察再建が急がれますが、具体的方策について菅総理の所見をお伺いします。
十月四日、民主党小沢元代表の政治資金をめぐる事件で、検察が再び不起訴にした小沢氏本人について、東京第五検察審査会は二回目の審査でも起訴すべきと改めて議決しました。これにより、小沢氏は政治資金規正法違反の罪で強制的に起訴されることになりました。
ここで改めて言うまでもなく、小沢氏はさきの民主党代表選で、菅総理と首相の座を争い、民主党所属議員の半分近い票を得た実力者であります。検察審が起訴相当や否やを議論しているさなか、民主党議員の半数近くが、菅総理ではなく、問題の渦中にある人物を総理大臣にふさわしいと判断したということであります。今、このひな壇に座っておられる閣僚の中にも明確に小沢氏の支持を表明されていた方がおられますが、どのようにお考えか、機会があればお聞きしたいと思います。
菅総理は、お金にまみれた政治を変えるのが自らの政治の原点であると言い、クリーンでオープンな民主党をつくり上げていくと宣言されております。では総理、小沢氏の民主党における処遇はどうされますか。起訴という事実を受けて、けじめを付けるべきではないですか。
我が党は、小沢氏の説明を求め、国会における証人喚問を再三要求しております。我が党の例を挙げれば、過去、起訴となった議員は、離党や議員辞職で国民におわびをして、その責任を果たしてきました。昨日、総理は、小沢元代表に対する党としての対応について記者団に問われ、議員について検察審の強制起訴は初めてのケースだ、岡田幹事長の方で検討していると聞いていると述べ、岡田幹事長に判断をゆだねる考えを示した報道がされております。
総理、あなたはいつもだれかに判断を丸投げし、自らの判断を示すことなく、検討していると聞いているなどと逃げてばかりです。こうしたあなたの姿勢が巷間、逃げ菅と呼ばれるようになっているのです。
小沢氏の処分について与党党首としてどのようにお考えか、今日は逃げることなく明確にお答えください。
蓮舫大臣は、代表選のテレビ討論で、小沢氏の証人としての国会出席を主張されておられました。その考えに変わりないことを確認させていただきたいと思います。
コンクリートから人へのスローガンの下、民主党政権は公共事業を大幅に削減されました。また、菅内閣が六月に策定した新成長戦略でも、公共事業中心の経済政策、第一の道は失敗だったと結論付けています。
しかしながら、予算の削減で民間投資も冷え込み、今年度の建設投資はピークだった平成十年の半分近くになる見通しであります。建設業界では倒産が続き、自公政権時の緊急経済対策で公共事業を前倒し発注した前年度からの継続事業によって、ようやく今年上期まで持ちこたえているのが実情であります。これによって地域経済は破綻の危機に瀕していると言っても過言ではありません。
他方、近年急増している集中豪雨による災害対策、これから予想される冬の豪雪対策においても、公共事業はなくてはならない存在です。
総理は一に雇用、二に雇用、三にも雇用と政権の重要施策を表明されておりますが、雇用の上でも、地域経済のためにも、コンクリートは本当に悪なのでありましょうか。この点、公共事業に対する総理の基本的な認識と、今後の補正予算ではいかなる対応をされるか、その所存をお聞きしたいと思います。
農産物の自由化問題は我が国にとって農業の衰退につながる大問題でありますが、一方で我が国国土の保全に重要な課題でもあります。
我が国食料自給率は二十年前に比べ一〇%近く下がって約四〇%、農業所得も半分になっております。そして、耕作放棄地が四十万ヘクタールとも言われております。これらは、農村の疲弊によって、農業を取り巻く様々な問題の解決に取り組めなくなっていることが原因ではないでしょうか。
今や国土の荒廃は農村から始まっていると言っても過言ではありません。高齢化の波は農村集落にも押し寄せ、田んぼはもちろん、森も守っていくことが難しい状況であります。最近の大水害などは、山野の荒れようにも原因があります。
民主党の看板政策である戸別所得補償制度は来年度予算で一兆円規模の要求であります。これすら、その確保は困難な情勢ではないですか。この財源は環境税の導入で充てるという鹿野農水大臣の発言がありましたが、国土の保全を前提にしなければ、補償を受け取る農家の存立も危うくなってしまいます。
この問題をどうとらえ、どんな解決策を出すのか、本当に環境税の導入で取り組むのか、総理のお考えを伺います。
次に、中小企業対策について伺います。
我が国の企業のうち九九・七%は中小企業であり、全労働者の七割以上が中小企業で働いています。雇用の確保を図るためには、中小企業の振興が必要不可欠であります。
現在の中小企業を取り巻く環境は非常に厳しいものがあります。経済産業省が八月に行った円高の影響調査では、円高により五割の企業が減益、さらに対ドル八十五円程度の円高が続けば七割の中小企業が減益になると答えています。
政府として、経済の現状をどのようにとらえ、円高にどう対応しようとしているのか、まずお答えください。
昨年十二月に菅総理が経済財政政策担当大臣として当時取りまとめた新成長戦略(基本方針)は、公共事業中心の第一の道と規制緩和など構造改革による第二の道は失敗した、新たな需要の創造によって経済成長を達成するため第三の道を取るとされていました。こうした方針により、民主党内閣は産業振興を軽視し、むしろアンチビジネスと思われる政策を取ってきたのです。
ところが、本年九月に菅内閣が決定した新成長戦略実現に向けた三段構えの経済対策を見ると、まずは日本を元気にする規制改革一〇〇を強力に推進するとあり、これでは内閣が否定した第二の道を採用するとしか読めません。政府として第三の道を修正する考えか、お伺いしたいと思います。
いずれにしても、さきに申し上げたとおり、現在、中小企業は非常に厳しい経営状況に追い込まれています。補正予算を含め、強力な対策を講じる必要があります。
米国においては、本年九月、中小企業支援法が成立し、中小企業への融資の促進や設備投資減税が行われることになりました。我が国においても補正予算で中小企業に対し強力な支援策を講じるべきと考えますが、所見を伺います。
中小企業金融円滑化法は、来年三月末で期限が到来します。金融庁は、昨年十二月施行後、六月までの間に四十万件以上の利用があったと公表しています。中小企業の経営状況は以前にも増して厳しい環境に置かれており、公的金融機関から融資を受けている企業についても民間金融機関融資分を適用するなど、法律を拡充強化して延長する必要があると考えますが、お考えを伺います。
去る六月、国民の心を弾ませるすばらしい快挙がありました。
平成十五年、二〇〇三年五月九日に打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ」の地球への帰還であります。小惑星イトカワから物質のサンプルを持ち帰るため、七年間にわたって宇宙を旅してきた「はやぶさ」は、世界に誇り得る我が国科学技術の輝ける結晶であります。そして、「はやぶさ」が持ち帰ったカプセルは日本各地で展示、公開され、国民の間に大反響を巻き起こしているのです。
使われたイオンエンジンという新しい技術は、効率が非常に良いことから、世界の宇宙工学部門で将来の惑星探査でも重要な技術として期待されるところであります。また、自動制御技術、センサー技術、使用された新素材などは日本の最先端技術であり、これらの更なる開発は、我が国の中小企業の発展の原動力として、今後、産業や雇用の拡大も見込まれるものであります。
我が国がこれまで科学技術の振興に取り組んできた成果でありますが、民主党政権は全く科学技術に理解がない、信じ難い政策を打ち出しました。
さて、民主党政権による事業仕分では、その「はやぶさ」の後継機の開発について、麻生政権で計上した十七億円が無駄と断定され、三千万円まで削られそうになりました。蓮舫大臣が二位じゃ駄目なんですかと聞かれた次世代スーパーコンピューターの開発は、仕分による予算減額で完成時期が七か月遅れ、米国に世界一位の座を脅かされております。科学技術に無知、無理解であることは、科学技術立国たる日本の地位を危うくしています。
八月には日本学術会議が、産業化に結び付かないような基礎研究にも十分な研究費を求める勧告をまとめ、菅総理に手渡しました。科学技術に取り組む方々の危機感の表れであります。今年度科学技術振興費は四十五億円削減されました。言うまでもなく、資源の乏しい我が国が経済成長を図っていくためには技術革新が大きな要素です。
京都大学の山中伸弥博士のiPS細胞研究など、我が国には将来の科学技術や産業構造を根本から変えてしまうような研究基盤を持ちながら、人材の育成も資金の投入も余りにもおざなりで、可能性を阻害している面があります。
将来の成長の芽をその場しのぎで摘んでしまうことなく、国家百年の大計の観点から、政策のめり張りを付けて開発の加速化を図るため、今まで以上に予算投入が必要だと思いますが、科学技術振興にどう取り組むのか、補正と来年度予算をどうするのか、総理の決意をお伺いします。
総理は所信表明演説の中で、景気回復の処方せんとして、まず政府が先頭に立って雇用を増やす、そうすれば国民全体の雇用不安もデフレ圧力も軽減される、消費が刺激され所得も増える、その結果、需要が回復し経済が活性化すれば更に雇用が創造される。つまり、政府が直接資金を投入するのか、強力な規制改革を進めるのか、詳細は判然とはしませんが、ある種の強硬措置によって雇用を創出すればすべてはうまくいくという手品まがいの夢物語であります。確かに、膨大な財政支出を実施すれば一時的には失業率が改善するかもしれません。しかし、それがそのまま自律的な雇用の拡大につながるかどうか、総理は後世に対して責任が取れるのでしょうか。国民の皆さんにも分かりやすくお答えいただきたいと思います。
最後に、喫緊の課題であります補正予算について一言申し添えます。
現段階でその全容を明らかにせよとは申しません。ただ、今回の補正内容のあいまいさについてその理由を率直に言わせていただければ、総理御自身に、何をしたいのか、何のための政権か、我が国をどういう方向に向けたいのかという具体論が何もないからではないでしょうか。さきの所信表明演説を聞き、これほど印象に残らない、情熱も使命感も感じられない演説はめったにないというのが私の偽らざる感想であります。それは、総理が所信を述べたのではなく、政治のテーマをカタログのように並べただけであるからであります。
総理が過去一年間の民主党政権が試行錯誤の過程であったと認めたのは、率直さの表れと評価します。しかし、現内閣は有言実行内閣とは言えません。実行の前に有言がない、つまり国民に約束したことを実行せず、何も約束しないものを実行しようとするのは不正義と言うほかありません。私は、総理と民主党が政権交代という大目標の達成によって事成せりとし、このまま惰性のように無為無策のまま政権をもてあそぶことを危惧いたします。その無為無策への国民の危惧こそが、今夏の参議院選における民意であります。
我が国が抱える内政、外交の危機はもはや一刻の猶予も許されません。総理には直ちに解散・総選挙を求めますが、見解を伺います。
自由民主党は、長く政権にあった時代の正すべきものは正し、いつでも民主党に取って代わって再び国民への義務を果たす準備ができていることをお伝えをいたしまして、私の質問とさせていただきます。(拍手)
〔内閣総理大臣菅直人君登壇、拍手〕