猪口邦子の発言 (本会議)
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○猪口邦子君 自由民主党の猪口邦子でございます。
私は、自民党を代表して、ただいま議題となりました平成二十二年度補正予算三案に対し、反対の立場から討論を行うものであります。
まず、先日の北朝鮮による韓国・大延坪島への砲撃は決して許されない武力挑発であることを述べ、亡くなられた方々に哀悼の意を表します。
さて、民主党政権の時代になって一年二か月がたち、菅内閣の発足から半年近くが経過いたしましたが、この間、国民生活や経済の不安は増すばかりであり、また外交・安全保障では混乱が続き、危機管理の基本姿勢も整わず、世界における日本の存在感は薄れていくばかりであります。この補正予算は日本再浮上を可能にする内容になっているのでしょうか。国民生活に希望を、経済に展望をもたらす内容になっているのでしょうか。
我が国は、デフレ経済を退治できず、円高の長期化にも対応できず、雇用は低迷したままであり、景気も足踏み状態であり、そのような厳しさを考えれば、この補正予算は規模も内容も貧弱に過ぎます。そもそも、この臨時会は十月一日に召集されたにもかかわらず、補正予算の国会提出はようやく十月末になってからであります。国民生活が厳しさを増す中、民主党の党内事情などで政府・与党としての対応が遅れたとするなら、その責任は重大であることをまず指摘しておきます。
以下、この補正予算に反対する主な理由を述べます。
第一に、本補正予算における経済対策の財政支出は四・九兆円と言いますが、この中には、税収増があれば自動的に増額される地方交付税交付金の一・三兆円が含まれており、これを対策費に含めるのは明らかに水増し表現であり、実質的な財政支出が三・五兆円程度では約十五兆円の需給ギャップを埋めるには程遠く、十分な需要拡大効果は期待できません。さらに、本年度中に地方に渡る地方交付税交付金は三千億円にすぎないのです。
さらに、具体的な項目を見れば、自公政権が二十一年度第一次補正予算に計上したにもかかわらず、鳩山前政権によって理不尽にも執行が停止された事業と同様のものが実に四千六百億円も計上されています。例えば、緊急人材育成支援事業や地域医療再生基金の拡充など、国民生活に不可欠な予算の執行がかなりの規模で停止され、無用の混乱を招いたのであります。
また、高齢者医療制度の負担軽減措置など、本来は補正ではなく二十三年度の当初予算で計上すべき経費が盛り込まれている点も大きな問題です。円高対策、デフレ退治、雇用拡大という補正予算の本来の趣旨を逸脱し、本予算で対応すべきことと緊急経済対策としての効果が求められる補正予算との整理ができていないのであります。
反対の第二の理由は、景気が一時的に停滞する踊り場状態が続いているにもかかわらず、税収増を見込んで本補正予算の財源に充てていることです。
我が国経済は、リーマン・ショックで落ち込んだ後、穏やかな回復の動きを続けてきましたが、ここに来て、例えばエコカー補助金打切りなど政策効果の高い対策が失われ、経済に不透明性が増しているんです。そのような中で、所得税、法人税、消費税で合計二兆二千億円の税収増を見込んでいるのは根拠のない楽観主義であり、確保される保証のない税収の増分を想定して補正予算を編成するとは、政府として無責任にほかなりません。
民主党はそもそも、我が国の財政状態も顧みずに、将来世代に多大な負債を背負わせるばらまき政策をマニフェストに掲げてきました。補正予算の財源が不確かであることが明らかになった今、ばらまき四Kとも称される子ども手当、高速道路無料化、戸別所得補償制度、高校無償化などは見直して補正予算の財源に充て、経済国家日本の根本である雇用と成長をまずは回復させるべきなのです。
反対の第三の理由は、地方経済の活性化が余りにも貧弱である点です。
平成二十二年度の予算において公共事業関係費が前年度比で一八・三%大幅に削減されたことにより、地方経済は明白に疲弊しています。自民党は地域経済・雇用対策として地方自治体の自由度が高い交付金を一・五兆円程度に上積みすることを強く求めてきましたが、既に指摘したとおり、地方活性化交付金はわずか三千五百億円にすぎず、公共事業の前倒し契約も二千三百億円にとどまっています。独立行政法人の資産の売却などで一時的財源を確保するなど、あらゆる工夫が求められているこの局面において、この補正予算は、場当たり的であり、混乱しており、経済立て直しという目的への覚悟が欠落されたものとなっているんです。
最後に、私は、経済国家日本の根本は盤石な安全保障にこそあることを指摘しておきます。平和があっての経済です。平和があっての暮らしです。今国会、予算委員会では、外交、防衛、安全保障の面においても、現内閣の危うさが様々な質疑を通じて明白となりました。
皆様、本補正予算の審議は、まず尖閣諸島沖での我が国巡視船に対する中国漁船衝突事件の処理について政府の責任を認めようとしない内閣の間違いと勘違いから始まりまして、北朝鮮による韓国・大延坪島への砲撃に関して内閣の初動の遅れと安全保障会議が開かれないという重大問題のさなかに終局したのであります。その間に、衝突事件の映像記録の国会提出や海上保安庁からの流出問題があり、ロシア大統領の戦後初めての北方領土訪問があり、自衛隊との関連で民間人の言論封殺につながる防衛省事務次官通達問題があり、また政治と金の未解決の問題も残り、さらに官房長官による自衛隊暴力装置発言まであり、そして問責決議が予定されていた大臣の辞任もありました。
この内閣は外交・安全保障問題に不慣れであり、その不手際は我が国の権益を損ね、対外関係を後退させ、東アジア国際関係の不安定化につながり、国民を不安感と非力感に陥れています。私たちは今、何としても、外交的にも経済的にも日本の地盤沈下を食い止めなければなりません。日本は、いかに困難な地政学的な環境にあっても持続的平和を国民にもたらすことができることを、また、いかに資源が乏しくても持続的成長を次世代につなぐことができることを示し続けなければなりません。それこそが、この国への世界の期待、国民の希望です。
この一年間、その期待も希望もかなりしぼんでしまい、今まさに消えようとしていますが、私たち自民党は必ず日本再浮上のために全力を尽くすことを申し上げ、私の反対討論といたします。(拍手)