佐藤茂樹の発言 (本会議)

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○佐藤茂樹君 公明党の佐藤茂樹でございます。
 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました、原子力損害賠償支援機構法案及び平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律案、いわゆる仮払い法案に対する修正案並びに両案の修正部分を除く原案について、賛成する立場から討論を行います。(拍手)
 東京電力福島第一原発事故から四カ月半が経過しました。政府と東京電力は、事故の収束に全力を挙げるべきは当然でありますが、並行して、国が前面に立ち、被害者の方々の救済を進めていかなければなりません。
 しかし、東電の仮払いの実情を見れば、一世帯当たり百万円の仮払いは実施されたものの、その後、第二弾の、避難期間や状況に応じて支払われる一人当たり十万円から三十万円は、やっと始まったばかりという状況です。農林漁業者や事業者に対する仮払いも極めて限定的かつ少額であり、被害者の実情を見れば、東電に任せるというだけで政府がみずから救済の矢面に立とうとしないのは、国の怠慢であります。
 一人の人の命を守り、いかに救済するか、国の責務はここにあります。この一点から出発すべきです。
 私は、国が、今般の原子力災害によって生じたさまざまな課題にどう行動するのか、その覚悟と具体的な行動が求められていると考えます。
 放射線から命と健康を守る。避難された方の生活、雇用、そして地域のコミュニティーを守る。そして、原子力損害の賠償、仮払いを国が責任を持って補償する。すべてにおいて国が矢面に立つべきではないでしょうか。
 こうした観点を踏まえ、以下、両修正案に対する賛成理由を申し述べます。
 被害者の方々の視点に立てば、被害者への賠償金支払いを完全に保証できるスキームを構築し、また、賠償金の仮払いの迅速化を図っていくことが急務の課題です。
 まず、支援機構法案についてですが、公明党は、政府提出の原案について、幾つかの問題点を指摘し、その修正を求めてきました。
 具体的には、一、国策として原子力政策を進めてきた国の責任を明確にすべきであること、二、今般の事故を踏まえ、原子力損害賠償法の見直しを行うこと、三、東電の経営者責任やリストラを徹底することとあわせ、株主などの関係者の責任のあり方も検討し、適切に対処すること、四、東電以外の原子力事業者が行う負担金については、区分して管理すること、五、原子力事業者による負担に伴う電力料金への転嫁の回避など、国民負担の最小化を図ることなどです。
 以下、賛成理由を具体的に六点申し上げます。
 第一に、国の責任の明確化については、新たに第二条「国の責務」が追加され、「国は、これまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任を負っていることに鑑み、」「万全の措置を講ずる」としています。
 原案では、国の責任が極めてあいまいなまま、あくまでも原賠法の枠内で、賠償責任は原子力事業者に負わせるものでした。しかし、原子力政策を推進し、原子力施設の安全基準を策定し、それを認めた政府の責任、さらには、今回の事故に関して政府が行った避難指示や警戒区域の設定、出荷制限等によって住民がこうむった被害や苦痛に対する国の関与と責任が、皆無であるとは言えません。
 第一義的な責任が東京電力にあることはもちろんですが、今般、国の社会的責任を法律で明記したことは、今後の原子力損害における国と原子力事業者の責任のあり方を規定する上で、非常に重要な一歩であると考えます。
 第二に、原賠法の見直しについては、今般の大規模な地震、津波を伴った原発事故による巨額な損害賠償に対応することには限界があり、抜本的な見直しは不可欠です。
 修正案では、附則第六条一項において、政府は、法施行後できるだけ早期に、原子力損害の賠償に係る制度における国の責任のあり方等について検討を加えるとともに、これらの結果に基づき、原賠法の改正等の抜本的見直しを初めとする必要な措置を講ずる旨を規定しました。
 また、委員会においては、できるだけ早期にとは一年をめどとする旨の附帯決議がなされたところです。
 政府は、これまでの法解釈にとらわれず、今般の事故の経験を踏まえ、新しく法律をつくりかえる覚悟を持って、速やかに、かつ真摯な議論を開始するよう要請します。
 第三に、東電及び株主等の利害関係者の負担のあり方については、修正案では、附則第三条二項で、東京電力は、「その経営の合理化及び経営責任の明確化を徹底して行うとともに、当該原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施のため、当該原子力事業者の株主その他の利害関係者に対し、必要な協力を求めなければならない。」としています。
 徹底した合理化と経営責任を求めていくことはもちろん、株主や金融機関など利害関係者の負担のあり方も、国民負担の最小化の観点から、今後、十分な監視と追及が必要であると考えます。
 第四に、東電以外の原子力事業者の負担については、本則第五十八条四項で、機構は負担金について原子力事業者ごとに計数を管理することとしています。その上で、附則第六条二項にて、法施行後早期に、東京電力と政府及び他の原子力事業者との間の負担のあり方等について、法律の施行状況について検討を加え、必要な措置を講じるとしています。
 公明党は、原子力事業者の負担金は、今般の事故と将来の事故への備えについて、これを分けて考える必要があるとの観点から、修正案に沿って、早期にその負担のあり方の検討を行い、適切に対処すべきであると考えます。
 第五に、修正案において、国民負担を最小化する観点を条文上明記し、今般の賠償に際しては、原子力事業者による負担に伴う電気料金への転嫁の回避など国民負担の最小化を図る観点から、施行後早期に検討を加え、必要な措置を講じるものとしております。
 第六に、附則第六条一項に、原子力損害の賠償に係る紛争を迅速かつ適切に解決するための仕組みの整備についても、できるだけ早期に検討する旨規定しております。
 ジェー・シー・オー臨界事故の損害賠償の最終解決に、事故から約十一年の年月がかかりました。今回の事故の損害賠償は、対象件数や範囲からしても、膨大になることが予想されます。政府には、被害者救済の視点からの前向きな対処を望むものであります。
 さらに、修正案では、機構が原子力損害の賠償あるいは仮払いの支払いを実施する規定も追加され、より迅速かつ適切な賠償支払いができる体制となったことも、仮払い法の制定とあわせて効果が期待できるものと考えます。
 次に、いわゆる仮払い法案についてであります。
 この法律は、東電による仮払いが、遅い、足りない、不明確といった問題があることを踏まえ、国の責任のもとで仮払いを迅速に行い、また、紛争審査会の基準で対象外となっている方々も柔軟に救済することが可能となるようにするものです。
 仮に、支援機構法案が成立し、賠償の枠組みが決定しても、原発事故の収束がいつになるかわからず、また、被害の損害範囲が確定し、本格的に賠償金の支払いが始まるまでには相当の月日がかかることなどもかんがみれば、被害者の方々の救済の観点からも絶対に必要な法律です。
 参議院における同法案の修正協議では、ぎりぎりのところで最終合意に至らず、原案のまま可決され、衆議院に送付されました。
 今般、本院では、真摯な与野党協議の中で、国の責任で仮払いを行うという趣旨を生かしつつ、仮払いの事務が都道府県に過重な負担を課することのないよう十分に配慮することとする配慮規定の追加などの修正を含め、より迅速かつ適正な被害者救済が図れる内容となりました。
 支援機構法案と仮払い促進法案は相対立する法律案ではありません。私は、両法律案が早期に成立し、被災者救済に向けて速やかに施行されることを強く切望するものであります。
 最後に、一言申し上げます。
 今般の両法律案に対する復興特別委員会における論議及び与野党の修正協議は、その修正内容もさることながら、与野党の議員が、原子力災害における被害者の迅速な救済をいかに図るかという観点で、それぞれの主張の差異を調整しつつ、まさに真摯かつ有意義な協議がなされ、大きな成果を生んだものと、当事者の一人として自負しております。まさに、これこそ、本来、復旧復興に向けた国民の代表たる国会のあるべき姿であると思います。
 公明党は、今後も、国会議員の本分、使命を忘れることなく、被災者の方々の視点を持って取り組んでまいる決意であることを最後に申し上げ、私の討論とさせていただきます。(拍手)

発言情報

speech_id: 117705254X03520110728_011

発言者: 佐藤茂樹

speaker_id: 30698

日付: 2011-07-28

院: 衆議院

会議名: 本会議