郷原信郎の発言 (行政監視委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○参考人(郷原信郎君) 御質問にお答えいたします。
 尖閣のあの中国人船長釈放の問題ですが、まず結論から申しますと、私は、あの船長釈放を検察の権限行使ということで検察側が説明したこと、それからそれを内閣の側が了としたこと、いずれも全くの誤りだと思っております。この問題は、私は昨年の秋の大阪地検不祥事に匹敵する大変な検察の歴史上重大な問題だというふうに考えております。
 その理由ですが、まず先ほども申しましたように、検察はどの範囲で独立して権限を行使するのか、どの範囲であれば外からの介入を拒否するのかということについては、明らかに言えることは刑事事件の捜査、処分です。その中のコアの部分は、先ほども申しました伝統的な犯罪です。誰が考えたって犯罪だ、悪いと言えるような殺人とか泥棒とか放火とか、そういうものについては基本的に法と証拠に基づいてのみ判断する、それを検察の組織、内部が独立してやっていくことが善であるという考え方も基本的には妥当するわけです。それであっても、先ほど風間委員がおっしゃったような、それが誤っているという疑いが生じる場合、誤りやすい局面というのもあります。それは気を付けていかなくちゃいけない部分ですが、基本的にはそれは独立して権限行使することが妥当する分野です。
 しかし、それが、刑事司法というのは世の中の全てをカバーしているわけではなくて、その刑事司法的な判断が及ばない部分というか責任が負えない部分が様々なものがあります。その典型が外交上の判断だと思います。
 外交に関して言えば、検察には何ら専門知識も情報もありません。そして、外交判断というのは、その国自体、その命運をも握るものです。そういった判断を検察が行うということは、全く国民に対して責任が負えないことですから、そういうものこそ、検察が独立して判断するのではなくて、その外にある、法務大臣による指揮権という枠組みが取られているわけですから、法務大臣に請訓を上げて指揮を仰ぐという対応をすべきだと思います。あの事案においてはそういう判断をすべきだったと思います。
 では、なぜそういうようなやり方が取られないで、検察の側で自分で判断して、外交上の判断をして釈放したというふうな説明をしたのかというと、恐らくそこには、検察の内部に、できる限り自分たちが事件で判断する限りにおいては全てのことを独自に独立して判断したいという欲求があります。それがあの事例においても、これは全く検察庁の組織の性格からいうとおかしいんですけれども、間違っているんですけれども、ああいったものについても自分たちが独立して判断したんだという説明をしようという動機になったんじゃないかと思います。しかし、それは、検察という組織をまともに法律に基づいて考えている人間は決してそういう考え方はしないと思います。
 私がちょっと驚いたのは、検事出身の弁護士の私にとっても大先輩に当たる方がある月刊誌に、あの尖閣の船長釈放の問題は法務大臣が指揮権を発動するような問題じゃなくて、内閣が、政府が検察に陳情したんだと、そういう問題だということを公言しておられて全く驚いたんですが、そういう感覚がまだその検察の内部にもひょっとしたらあるのかもしれません。それがああいう誤った判断に結び付き、まさに国民に対して責任の負えない外交上の判断を検察が行ったと公言するという事態に至ったのではないかと考えております。
 以上です。

発言情報

speech_id: 117714281X00520110530_027

発言者: 郷原信郎

speaker_id: 29864

日付: 2011-05-30

院: 参議院

会議名: 行政監視委員会