衛藤晟一の発言 (本会議)
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○衛藤晟一君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました平成二十三年度予算三案について、反対の立場から討論いたします。
まず、今回の東日本巨大地震・津波災害によってお亡くなりになりました方々、そして被災された皆様に対しまして心から御冥福をお祈りし、またお見舞いを申し上げます。
二十八日現在で死者は一万一千六十三人、行方不明者は一万七千三百三十九人、また直接的な被害総額は、原発の影響を含めずに二十五兆円に上ると試算されています。かつて経験したことのない未曽有の大災害であります。
我が党は、東日本巨大地震・津波災害に対して、「がんばろう日本」の掛け声の下、国民運動的な取組を積極的に行っています。地震発生直後には、政府に先駆けて、東日本巨大地震・津波緊急災害対策本部を立ち上げ、これまでの震災対応の経験を生かして、総力で対策を実行しています。緊急に取り組むべき項目をまとめ上げ、政府に提言しています。
また、募金や緊急援助物資の提供を国民の皆様にお願いし、被災地への救援・復興支援運動を全党員挙げて展開しているところであります。
我が党は、今後とも国民の皆様とともに歩んでいくことをお誓いいたします。
一方の政府は、初期対応の遅れ、情報の混乱、指揮命令系統の不統一などで対応が後手後手に回り、極めてお粗末な対応に終始しています。
国家の危機ですから、我々は混乱に拍車を掛けることはしませんが、ただ一つ、総理の初動に看過できない問題点があったことを指摘しておきます。
震災の翌日、総理は早朝から官邸を離れ、自衛隊ヘリで福島原発の事故現場、宮城県被災地を視察されました。このため、官邸で緊急災害対策本部会議が開催されたのはお昼前と、半日も遅れた初期対応だったのです。
しかも総理は、緊急対応に追われている原発現場の負担や混乱も考えずに視察を強行されました。自らが現場の危険性や緊急対応の状況も考えずに直接の現場に行くという軽挙妄動、愚かな行動は、最高指揮者としての自覚がなく、危機意識が全く欠落しています。
さらに、日赤総裁も参加する中央防災会議がいまだに開催されておらず、官民の英知を結集して対応の基本方針や対策の優先順位付けが行われないまま場当たり的な対応に終始しています。
今日の災害対策が後手後手に回ったのは、この総理の初動の誤りからきているのであります。
この国会を振り返りますと、予算審議が歳入関連法案のない中で進められるという極めていびつな状態にありました。参議院では特例公債発行法案などは否決されるから送るのを遅らせるという、政府の誠に身勝手な判断によるものです。この点、政府に猛省を促しておきます。
同時に、この非常事態にあっては予算の採決に応じますが、必要不可欠の集中審議等は四月以降に先送りしたことを明言しておきます。政治と金、外交防衛、経済・財政、マニフェスト問題など、追及すべきテーマは数多く残されているのであります。
さて、参議院での予算委員会を通じて国政上あまたの問題があぶり出され、菅政権にはとても政権運営を任せておけないことが明白となりました。今回の予算に限らず、菅内閣の体制、政策は国民の立場から見て賛成できないのであります。
具体的に述べますと、まずは、自由民主党の比例代表で選出された与謝野氏の入閣問題です。全く筋の通らない、有権者、国民への背信行為です。
政治と金の問題に関しても疑惑は深まるばかりであります。
小沢元代表が強制起訴されましたが、総理は、国民誰もが望んでいる疑惑の解明、証人喚問の実施に関して全くリーダーシップを発揮していません。
また、藤井総理大臣補佐官は、自由党と民主党の合併時、使途不明になっている十五億円の大金の領収書に署名をしている可能性が極めて高いことが明白になってまいりました。
枝野官房長官に関しては、JR総連やJR東労組からの献金問題が指摘されています。
野田財務大臣、蓮舫大臣についても、脱税関連企業からのパーティー券の購入が明白になりました。
極め付けは前原前外務大臣と菅総理です。政治資金規正法で禁止されている外国人からの政治献金を受けており、政治家としてあるまじき行為です。
菅政権の基盤は既に壊れていると言っても過言ではありません。政権の体を成していない菅内閣が提出した予算に反対するのは当たり前のことであります。
このほか、主婦年金、すなわち三号被保険者の救済問題について、厚生労働省の取り返しの付かない失政が浮き彫りになりました。救済策については、大変な不公平を招いている点、法改正でなく課長通知で済ませている点、細川大臣と長妻前大臣の責任問題など、解明、改善されなければならない問題が数多く残っています。
さらに、防衛省の事務次官通達問題に関しては、憲法第二十一条の表現の自由に抵触するゆゆしき問題をはらんでいるとの厳しい指摘がなされました。しかし、北澤防衛大臣は逃げの答弁を繰り返すばかりであります。
政策的には、菅内閣の大きな柱に位置付けられた社会保障と税の一体改革をいかに進めるか、TPP、環太平洋戦略的経済連携協定を本当に進めるつもりかなどに関しても、菅政権はやると言うだけで、具体的にどう進め、どのような結論を導き出そうとするのか、明確に提示していません。
特にTPPに関しては、二十三日の予算委員会公聴会で京都大学の藤井教授は、被災地にTPPによる安い農産品の津波が来襲すれば壊滅的な被害を受けるのは必定だ、政府は直ちにTPP交渉不参加を表明すべきだと主張し、与野党委員から大きな拍手、声援を受けたのであります。
以上述べましたように、予算審議の中で明らかになった問題に関して、何ら解決されず、解決の道筋さえ示されないのに予算に賛成するわけにはまいりません。
二十三年度予算の内容に関しても、とても賛同できるものではありません。予算が衆議院で可決される際に我が党は予算の組替え動議を提出しましたが、その中ではっきりと政府案の問題点、修正すべき点を述べております。
ばらまき四K、すなわち、子ども手当や戸別所得補償、高校授業料無償化、高速道路無料化に関しては国民の大多数が政策の継続にノーと言っています。今後、膨大な復興財源が必要となるのは間違いなく、効果が期待できない四K政策は全て放棄すべきであります。
特に子ども手当については、少子化対策という所期の目的から大きく懸け離れたばらまきです。子供の将来のための貯蓄、保険料は四十数%と圧倒的な比重を占め、親の遊興費などに使われているとの話も後を絶ちません。政策効果の薄いばらまき四K政策を撤回することで、我が党の試算では二・七兆円もの財源が確保できるのであります。
また、本予算では、公共事業に関してはコンクリートから人への空虚なスローガンがまだ生きており、一三・八%もの大幅な削減になっています。今後、補正予算の編成によって公共事業は拡充されるでしょうが、この予算は全く現在の状況を反映していません。災害復旧事業費や学校耐震化予算の削減、スーパー堤防事業の廃止など治水事業の大幅カット、道路整備事業の圧縮など、恐ろしいほど現実の需要と正反対の予算になっているわけであります。
基礎年金の国庫負担割合二分の一を維持するための財源二・五兆円も問題です。政府案では、鉄道・運輸支援機構や財投特別会計、外為特別会計の余剰金を充てることにしていますが、これらの多くは一度きりの財源であります。我が党の組替え動議では、二分の一維持のためにしっかりと恒久財源を手当てすることといたしています。
また、農家の戸別所得補償制度に関しても即刻廃止し、我が党が主張する農地利用の集積、集落営農を含む担い手育成のための支援等を充実すべきであります。
このほか、予算の規模は小さいので目立ちませんが、花粉症対策のための予算がとんでもない削り方をされています。我々が百億円程度付けていたものを僅か二億円と極端に抑制しています。医療費で二千八百億円、経済損失で五千億円以上と言われる花粉症に対して極めて冷たい予算と言わざるを得ません。
最後になりますが、東日本巨大地震・津波災害によって国会は一時休戦状態にあります。今後、日本の復興を図っていくため、与党も野党もない、国民総力を挙げて必死に取り組む必要があります。我々は、これからの補正予算の編成などを含めて、政府に全面的に協力していく所存であります。
しかしながら、この予算、それを提案した菅政権には何ら評価できる点はなく、国民生活の向上につながることもないと判断せざるを得ません。
我々は、日本が大震災から復興するために、昼夜を問わず、粉骨砕身、刻苦勉励し、国民一人一人が震災前よりも将来にしっかりとした展望と明るい希望を抱くことができる国づくりに邁進することをここに強くお誓い申し上げまして、私の討論といたします。(拍手)